フルーツバスケットは子どもたちから人気の高い遊びです。保育園や幼稚園の空き時間を利用して簡単にできるので、クラスを持っている保育者や実習を行う予定のある方の中には、フルーツバスケットを行いたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、フルーツバスケットの遊び方やおすすめのアレンジ方法、遊ぶ際のポイント
などを詳しく解説します。
目次
フルーツバスケットを行うねらい
フルーツバスケットは「楽しい遊び」という役割だけでなく、以下のようなねらいの元に行われています。
ルールを理解する
フルーツバスケットは使用する道具がほとんどなく、いつでも簡単にできる遊びとして人気がありますが、実際には意外と細かい「ルール」が決まっています。
例えば、「同じ席には座れない」「椅子に座れない人が鬼になる」などです。ルールを理解できなければ遊びには参加できません。また、何となく参加できていても楽しめない子もいます。まずは、しっかりとルールを理解し、楽しく遊びに参加することが目標の1つになります。
楽しさを共有する
フルーツバスケットは、自分に関係あることが指定されるかもしれないといったスリルを楽しむ遊びです。そのため、鬼役の子の発する言葉に、良く耳を傾ける必要があります。
また、フルーツバスケットは1人や数人だけではできない遊びでもあります。大人数で楽しむものだからこそ、クラスみんなで楽しさを共有できると良いでしょう。
想像力を育む
「次はどんなことを言うかな」「誰がどこに動くかな」「何を指定したら楽しいかな」といったことを想像するのもフルーツバスケットの醍醐味です。
体を動かすだけでなく頭を使って遊べるので、保育園や幼稚園に通う年齢の子どもの発達に良い影響をもたらしてくれることでしょう。
室内での遊びを広げる
外で思い切り体を動かして遊ぶことが好きな子は多いです。一方、室内遊びでは、「お絵描き」「ブロック」「ごっこ遊び」など、できることが限られてしまうデメリットがあります。
特に天候が良くない時期は、室内にいることが多くなる時もあるでしょう。室内遊びが増えすぎると子どもたちも飽きたり集中力がなくなったりすることで、トラブルが発生しやすくなります。そんなときに保育者が主導してフルーツバスケットを行うことで、新しい刺激を加えることができます。
フルーツバスケットのルールを伝える際のポイント
フルーツバスケットを行う際には、いきなりはじめるのではなく、前もってルールの説明をしましょう。ただし、ルールをただ伝えるだけでは理解しきれない子もいます。ここでご紹介するポイントを意識し、分かりやすいルール説明を心がけましょう。
絵で説明する
保育室にホワイトボードや黒板がある場合は、絵をかいて説明すると伝わりやすくなります。絵は簡単な表記で構いません。導入としては、鬼の動きや全体の動きを絵で伝えられれば、子どもたちも大まかなルールは理解できるでしょう。
手本を見せる
言葉と絵で解説してもあまり伝わっている手ごたえがなければ、実際に保育者同士で行い手本を見せましょう。鬼とその他の子の役で、最低でも2~3人は必要になります。実習などで行う場合は、前もって担任に協力を要請しておくと良いでしょう。
最初に数回練習する
実際に何度か練習で行ってみるとルールを理解しやすくなります。鬼役は頭を使うので、最初は保育者が行うとスムーズです。また、保育者が複数人いる場合は、鬼役以外の他の保育者は子どもの中に入り動きの手本を見せてあげましょう。
フルーツバスケットで遊ぶ際の注意点
フルーツバスケットで遊ぶ場合には、十分な配慮や注意が必要です。楽しさのあまりに興奮し、怪我やトラブルが起こる可能性もあります。
友達を押さないよう事前に伝える
急いで次の席を見つけようとするあまりに、友達を押したり走ったりする可能性が高いです。
これは事前に予測できる子ども動きなので、遊びを始める前に「友達とぶつからないようにしよう」「押したり走ったりしない」「周りをよくみてね」などと声かけすることで、予防できます。保育者が手本を見せる際にも、慌てた姿は見せず落ち着いて行いましょう。
遊びの中でも声かけや誘導をする
ルールを理解しきれていない子には、保育者はできるだけ「〇〇のフルーツが呼ばれたよ!」「〇〇くん、動いていいよ」などと個別に声かけをしてサポートしましょう。保育者は子どもと同じように遊びながらも、全体を見て行動する必要があります。
同じ子が鬼にならないよう配慮する
フルーツバスケットの遊びが進むと、同じ子が何度も鬼になってしまったり、進んで鬼になろうとしたりする子が出てきます。同じ子が鬼にならないように、保育者が声かけしたりルール設定を変えるなどして対応しましょう。
「鬼になりたくないから頑張る」「嫌だけど少し鬼になってみたい」といった気持ちから、そのスリルを味わうのがフルーツバスケットなのですが、鬼が固定化されるとだんだん面白味がなくなります。
集団遊びが苦手な子は保育者が代わりに行う
中には集団遊びが苦手な子もいます。声かけを行ってもあまり乗り気でなさそうな場合は、無理に遊びに参加させる必要はありません。
できれば輪に入って遊びに参加してほしいと思っている場合には、保育者がその子の代わりに鬼をしたり、手をつないで一緒に行ったりと十分にサポートする必要があります。
【手順で紹介】フルーツバスケットの遊び方
ここでは、フルーツバスケットの基本的なルールや手順をご紹介します。フルーツバスケットは、誰でも1度は遊んだことがあるでしょう。以下のルールを見ながら、遊び方を思い出してみてください。
手順1.グループ分け
1クラスの人数にもよりますが、各フルーツ3~5人程度のグループに分けます。「イチゴ」「メロン」「ブドウ」など、子どもが知っているフルーツを選びましょう。4歳児や5歳児など、年齢が大きければ自分たちで好きなフルーツを決めてもらうこともできます。また、グループ分けをかけたじゃんけん大会などを行っても、盛り上がるでしょう。
グループ分けをしたら、自分でバッジや首飾りなどを作り身につけるようにすると、誰がどのグループかを瞬時に確認できます。
手順2.椅子を円形に配置する
ゲームを始める段階に入ったら、椅子を丸く配置し内側に向かって座ります。鬼になる子が1人出てくるので、椅子ははじめから1つ少なくしておきましょう。
間を空けずにくっつけることで、椅子が転倒するリスクを減らすことができます。安定性がないと怪我にも繋がるので、椅子を用意する際に注意しましょう。
手順3.鬼決め
始めは保育者が行い、その流れで次の子に鬼役をバトンタッチするとスムーズです。もし、フルーツバスケットの遊びに慣れてきて子どもたちだけでも遊べるようになれば、じゃんけんやくじ引きなどで鬼を決めても楽しめるでしょう。
手順4.ゲームスタート
鬼が決まればゲームをスタートします。年齢にもよりますが、15分~30分程度で集中力がなくなるので、丁度良い頃合いを見て終わりにしましょう。「楽しいからまたやりたい!」と思うくらいの方が、次にゲームする時に盛り上がります。
フルーツバスケットのおすすめアレンジ
フルーツバスケットの遊びは、「フルーツ」に限らず遊べるのが面白いポイントの一つです。フルーツバスケットは色々とアレンジすることで、さらに楽しく遊ぶことができます。
野菜や動物などに変える
フルーツ以外にも、子どもたちの知っているものであれば何でも代用できます。例えば以下のようなものです。
- 色:赤、青、白、黒、黄、緑 など
- 野菜:にんじん、大根、キャベツ、ピーマン、かぼちゃ など
- 動物:犬、猫、うさぎ、キリン、象 など
- 飲み物:お茶、水、オレンジジュース など
- 食べ物:カレー、ハンバーガー、サンドイッチ、おにぎり など
- イベント(クリスマス):ツリー、トナカイ、サンタさん、プレゼント など
導入として絵本など読んでから行うと、そのものになりきる楽しみが増えるでしょう。
なんでもバスケットにする
5歳児では「なんでもバスケット」も十分楽しむことができます。なんでもバスケットは「フルーツ」「動物」といった種類分けは行わず、「髪の毛が長い人」「今日朝、パンを食べてきた人」など、なんでもOKというルールです。他にも、以下のようなお題があります。
- 白い靴下を履いてきた人
- 外遊びが好きな人
- 髪の毛を結んでいる人
- 〇〇組の人(全員)
ただ、何でもOKだからこそさじ加減が難しく、年齢によってはまだ何でもバスケットを行うのは難しいかもしれません。何度もフルーツバスケットを行っていてルールを良く理解できてから、少しずつアレンジするようにしましょう。
椅子なしにする
椅子なしでもフルーツバスケットはできます。屋外で行う場合や、椅子を用意するのが難しい時には椅子なしで床に座って行ってみましょう。床で行う場合は、そのままハンカチ落としや大根抜きゲームなど他の遊びもできます。
椅子を用意する必要がなければ、他のカリキュラムを行う前の空き時間などにも気軽にできるのでおすすめです。
新しいルールを取り入れる
新しいルールを子どもたちに決めてもらうこともできます。例えば、以下のようなルールです。
- 鬼を2人や3人にする
- 呼べるものを2種類にする
- モノマネをしながら移動する
子どもたちが自由に決めることで、保育者では考えられないような面白いルールが追加されるかもしれません。
まとめ
フルーツバスケットは子どもから人気の高い室内遊びです。さまざまな遊び方ができ、何歳でも楽しむことができます。
フルーツバスケットを行う際には怪我やトラブルに配慮しながら、子どもが楽しめる環境作りを心がけましょう。今回紹介した方法もぜひ試してみてください。