製作遊びは手指の運動に適しており、乳児クラスにもおすすめの遊びです。「乳児クラスでも安全にできる製作アイデアが知りたい」「自分のクラスで製作を行えるか不安」といった悩みを抱えている保育士の方も多いのではないでしょうか。
しかし、製作の難易度が低いものを選べば、乳児クラスでも楽しく製作遊びを行うことができます。そこで今回は、乳児におすすめの製作遊びを12個ご紹介します。クラスの年齢や発達の状態に合わせて適切な製作遊びを展開しましょう。
乳児クラスで製作遊びをするねらい
乳児クラスで製作遊びを導入する際は、事前にしっかりと活動のねらいを定めておくことが大切です。ねらいに合った遊びを展開することで学びがより一層深まります。ねらいの一例は以下の通りです。
- 素材に触れ、感覚を楽しむ
- 自分で作り表現することの楽しさを知る
- 指先を使って製作する中で、手先の発達を促す
- 道具の使い方を知る
- 活動を通して、保育者や友達とのコミュニケーションを楽しむ など
乳児期はまだ手先を自在に動かすことが難しく、思うように作業ができないこともあります。きれいな作品を作り上げることも大切ですが、楽しく活動に参加することを重視しながら遊びを展開できるとよいでしょう。
製作遊びの保育アイデア12選
0~2歳児クラスの乳児期におすすめの製作遊びを12個ご紹介します。「ゲーム・おもちゃ」や「イベント・行事」「季節の製作」といった3つのジャンルに分けて詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ゲーム・おもちゃ
ゲームやおもちゃなど、作って遊べる製作アイデアです。ここでは、おもちゃの基本的な作り方をご紹介します。乳児期は発達の差が激しいので、クラスの様子や年齢に合わせて製作方法をアレンジしましょう。
センサリーボトル
水や飾りが流れる様子を観察して楽しむ、センサリーボトルです。見ているだけで楽しめるので、乳児期の子どものおもちゃに適しています。
【用意するもの】
- 透明折り紙
- 小さめのペットボトル
- 水
- はさみ
【作り方】
- 透明折り紙をはさみで細かく切る
- ペットボトルの9分目あたりまで水を入れる
- 透明折り紙をペットボトルの中に入れる
- 蓋を閉めて混ぜたら完成
輪投げ
身近にある材料で簡単に作れる輪投げです。輪投げはルールが簡単なので、乳児クラスでも十分楽しめます。
【用意するもの】
- 新聞紙
- ペットボトル
- ビニールテープ
- 布の切れ端
- おはじきやビー玉
- 画用紙
- 水
- はさみ
- ガムテープ
- のり
【作り方】
- 新聞紙を横長の形になるように巻く
- ひねりながら輪の形にして、ビニールテープや布を巻きつけて留める
- ペットボトルに水とビー玉・おはじきを入れる
- 画用紙で点数(「10」「5」など)を作る
- 点数をガムテープでペットボトルに貼り付けて完成
魚釣り
魚釣りはクラスみんなで楽しめる製作遊びです。マグネットを使用するので、手先が自由に動かしにくい乳児期でも、簡単に釣りあげられます。
【用意するもの】
- 牛乳パック
- マーカー
- クリップ
- 磁石
- サランラップの芯
- 紐
- ビニールテープ
- セロハンテープ
- はさみ
【作り方】
- 牛乳パックにマーカーで海の生き物の絵を描く
- 絵の形に沿ってはさみで切る
- 切り取った絵にクリップを付ける
- サランラップの芯にビニールテープを巻きつける
- 紐の方端にマグネットをつける
- もう一方の端をサランラップの芯につけて完成
マラカス
ペットボトルに好きなものを入れるだけで簡単に作れるマラカスです。製作の後は、楽器遊びや合奏などを展開しても楽しめるでしょう。
【用意するもの】
- 小さめのペットボトル
- ビニールテープ
- 中に入れるもの(ビーズ、ストロー、どんぐりなど)
- 毛糸
- ボンド
- はさみ
- 丸シール
【作り方】
- ペットボトルの中に切ったストローやビーズ、どんぐりなどを入れていく
- キャップを閉めて、ビニールテープを巻きつける
- ペットボトルの外側に、丸シールを目に見立てて貼る
- 毛糸を口に見立ててボンドで貼り付けて完成
イベント・行事
行事やイベントに関する製作遊びです。保育園や幼稚園では、各行事にちなんだ保育を導入することが多いでしょう。製作遊びに取り入れれば、楽しみながら行事に触れることができます。
【春】ひな人形
春の行事のひとつに「ひな祭り」があります。ひな人形の作り方はさまざまありますが、ここでは紙皿を使って簡単に作れるひな人形をご紹介します。
【用意するもの】
- 紙皿
- クレヨン
- 画用紙
- はさみ
- のり
【作り方】
- 紙皿に好きな模様を描き、色を塗る
- 模様を描いた面を外側にして半分に折る
- 画用紙を丸く切り、目や口などを描く
- 画用紙をのりで紙皿の真ん中部分に貼り付ける
- 画用紙で冠や扇子などを作り、のりで貼り付けて完成
【夏】夏祭りの灯ろう
夏祭りに飾る灯ろうの製作アイデアです。保育室に飾って、夏祭りの楽しい雰囲気を味わいましょう。
【用意するもの】
- 牛乳パック
- 白画用紙
- トレーシングペーパー
- マーカー
- 折り紙
- のり
- 両面テープ
- マスキングテープ
【作り方】
- 牛乳パックの飲み口の部分を切り取る
- 画用紙を牛乳パックの大きさに切る
- 画用紙に絵を描いたり、折り紙でちぎり絵をしたりする
- 画用紙を両面テープで牛乳パックに貼り付ける
- トレーシングペーパーを牛乳パックの大きさに切る
- トレーシングペーパーの上と下にマスキングテープを貼り、牛乳パックに付けて完成
【秋】お月見
秋のお月見にちなんだ製作アイデアです。手や足のスタンプを活用すれば、簡単に可愛い作品が出来上がります。
【用意するもの】
- 画用紙
- 白の絵具
- お皿
- 水
- 筆
- 和紙
- のり
- クレヨン
【作り方】
- 紺色の画用紙を用意する
- 画用紙で月と三方(お餅を乗せる台)を作り、のりで貼る
※ウサギ(スタンプ)のスペースを開けておく - お皿に白い絵具と水を入れて混ぜる
- 筆を使って足の裏に絵具を塗る
- 画用紙の上に足をのせてスタンプを押す
- 指にも絵具を塗り、指スタンプでウサギの耳とお餅を作る
- 絵具を乾かす
- 和紙をちぎって雲を表現し、のりで貼る
- ウサギの顔やススキをクレヨンで描いて完成
【冬】クリスマスツリー
折り紙で表現するクリスマスツリーです。三角形に折った折り紙を重ねてクリスマスツリーに見立てるだけなので簡単に作成できます。空いたスペースにサンタやプレゼントなどを描くと、よりオリジナリティのある作品になるでしょう。
【用意するもの】
- 折り紙
- 画用紙
- クレヨン
- シールやスパンコールなど
- のり
- はさみ
【作り方】
- 折り紙を三角形に折る(3枚)
- 段々になるように画用紙にのりで貼り付ける
- 画用紙を四角く切り、木の幹を作りのりで貼り付ける
- ツリーに、シールやスパンコールを貼り付ける
- 空いている部分に飾りや雪、プレゼントなどを書き込んで完成
季節の製作
春夏秋冬の季節にちなんだ製作アイデアです。季節の製作は、壁面製作として導入することが多いでしょう。保育室に飾ると季節感がでるだけでなく、自分の作品を目で確認できるようになるので、達成感を味わうことができ自己肯定感が高まります。
【春】ちょうちょ
にじみ絵という技法を用いて作成するちょうちょです。マーカーを水でにじませることで、きれいな色味に変化します。難易度が高くないので、乳児クラスでの製作にもおすすめです。
【用意するもの】
- コーヒーフィルター
- モール
- はさみ
- スポイト
- キッチンペーパー
- マーカー
- 水
【作り方】
- コーヒーフィルターにマーカーで色を付ける
- スポイトで全体が湿るように水をたらす
- キッチンペーパーで軽く水気をとる
- コーヒーフィルターを乾かす
- コーヒーフィルターを2枚選び、面積の狭い方が付くようにモールを巻いて留める
- モールの端を触覚のようにして上に向け、先を丸めて整えたら完成
【夏】魚
花紙を使って作るカラフルな魚です。魚の模様をシールで装飾するため、手先のトレーニングになります。また、クリップを付ければ、魚釣りにも応用できます。
【用意するもの】
- 透明な袋
- モール
- 花紙
- 丸シール
【作り方】
- 透明な袋の底の部分の角を内側に折り込み山型にする
- セロハンテープで留める
- 花紙をくしゃくしゃにして、透明な袋の中に入れる
- 口の部分をモールで縛って留める
- 丸シールを使用して、目や模様を付けて完成
【秋】さつまいも
タンポという技法を使用して色付けをする作品です。タンポは色が付きすぎず、やさしい色合いになるのが特徴です。スタンプを押して色づけをする感覚が面白く、筆を細かく動かすのが苦手な乳児期の子でも、楽しんで活動に参加できます。
【用意するもの】
- ガーゼ
- 割りばし
- 輪ゴム
- 綿(スポンジでもOK)
- 画用紙
- はさみ
- のり
- 絵具
- 水
- お皿
- クレヨン
- 毛糸
【作り方】
- 画用紙にクレヨンで色を付け、土を表現する
- 画用紙をさつまいもの形に切る
- ガーゼの中に綿か小さく切ったスポンジと割りばしを入れ、輪ゴムで留める
- お皿に絵具と水を出し、混ぜる
- タンポを絵具に付けて、さつまいもの画用紙にスタンプを押していく
- 緑色の絵具を作る
- 手のひらに絵具を塗り、新しい画用紙にスタンプする
- 乾いたら手のひらの形に沿って切る
- 土を描いた画用紙に、さつまいもと手形(葉っぱ)の画用紙、毛糸(つる)を貼り付けて完成
【冬】てぶくろ
デカルコマニーという技法を用いて色付けをする「てぶくろ」です。絵具を潰して色を移すため、絵具の形が変形したり、色が混ざったりと想像できないような変化を起こします。
【用意するもの】
- 画用紙
- 綿
- 毛糸
- はさみ
- 絵具
- のり
【作り方】
- 画用紙を半分に折る
- 半面に、絵具を直接少量ずつ乗せていく
- 絵具が乾かない間に半分に折り、上から押さえる
- 画用紙をゆっくりと開く
- 絵具を乾かす
- 画用紙を手袋の形に切る
- 別の画用紙に手袋と綿、毛糸を貼り付けて完成
製作遊びを行う際の3つの注意点
乳児クラスで製作遊びを行う際は、注意したいポイントがいくつかあります。注意点をふまえて保育を展開し、楽しい時間になるよう配慮しましょう。
口に入れないよう見守る
乳児の場合、材料を口に入れてしまう恐れがあります。製作を行う際は、少人数ずつにして、保育者がしっかりと見守るようにしましょう。
特に何でも口に入れてしまう0歳児では、無理に小さい材料を使用する製作を行わないのも方法のひとつです。安全面にしっかりと配慮し、楽しく製作活動を進めましょう。
危険な工程は保育者が行う
「はさみを細かく使用する」「穴をあける」など、乳児期の子どもにとって難しいと感じる行程がある場合は、保育者が行うようにしましょう。
ただし、子どもの目の前で保育者がやってしまうと「自分でやりたい」「先生が勝手にやってしまった」という気持ちにさせてしまう可能性があります。危険な行程は先に終わらせた状態で、材料の一部として提供するのが望ましいでしょう。
製作物の角を取り安全に配慮する
製作物によっては、角がとがってしまったり切り口が鋭利になってしまったりすることがあるため、注意が必要です。
そのままにしてしまうと、遊んだ際に製作物によって怪我をしてしまう恐れがあります。角は丸く切り落とし、切り口はテープでふさぐなどして対応しましょう。
まとめ
乳児期でも楽しめる製作遊びはたくさんあります。発達の様子に合わせて難易度を調整しながら、製作遊びを展開しましょう。
また、乳児の製作を楽しく行うためには、「口に入れないように見守る」「安全面に配慮する」といった援助も必要です。今回の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。