2025年、かつての「きょういくばんぐみ」のテーマ曲が再び注目を集め、SNSや動画サイトを中心に人気が再燃しています。親世代にとっては懐かしく、子どもたちにとっては新鮮なメロディが、親子のコミュニケーションや遊びの中で活用され始めています。
この記事では、話題となっているテーマ曲を中心に、保育や家庭で楽しめる音楽あそびのアイデアをたっぷり紹介。リズム遊びやダンス、表現活動など、音楽を通じて子どもの感性や協調性を育むヒントをお届けします。
目次
きょういくばんぐみのテーマとは?
TikTokやYouTubeを中心に話題となっている「きょういくばんぐみのテーマ」は、一見すると本物の子ども向け番組のような雰囲気を持つ音源ですが、実は“架空”の教育番組をモチーフにした創作コンテンツです。実際の放送番組ではないものの、その完成度の高さとノスタルジーを感じさせる音作りで、幅広い世代から注目を集めています。
以下では、この楽曲の制作者や音楽構造、さらにSNSでの拡散や二次創作の広がりについて詳しくご紹介します。
歌声クリエイター「やみのおねえさん」が2025年に公開した“架空教育番組”ソング
「きょういくばんぐみのテーマ」は、歌声合成ソフトを活用した創作活動で知られるクリエイター「やみのおねえさん」によって2025年に公開された作品です。公開された動画では、教育番組風のオープニング映像にのせて、軽快な音楽と特徴的なボーカルが展開されており、初見では本当にEテレ番組かと思うほどの完成度です。
これは“架空の番組ソング”というジャンルに分類され、近年増加しているVTuber・音楽クリエイターによるオリジナルコンテンツの一種として人気を集めています。特に「やみのおねえさん」は、その絶妙な“作り込み過ぎない手作り感”と“レトロ可愛い世界観”でTikTokユーザーや映像クリエイターの間で注目されており、本作もまた「懐かしくて新しい」という感覚をくすぐるコンテンツとして受け入れられています。
木琴マーチ+SE効果音が織りなす〈15秒ループ〉の耳に残る構造
本楽曲の特徴は、テンポ約120BPMの軽快な木琴(グロッケン)によるマーチ風リズムに、タイプ音やベルなどの効果音(SE)が重なる独特の音構成です。音楽的にはAメロ〜サビといった明確な起承転結は存在せず、15秒で完結する“無限ループ構造”が採用されています。
これは短尺コンテンツに最適化された設計であり、特にTikTokの平均再生時間とマッチしやすいことから、高い再生維持率(リテンション)を記録する要因にもなっています。また、シンコペーションを含んだ音のアクセントや、高低差のあるメロディラインが子どもや感受性の高い層の「耳」に残りやすく、教育番組のパロディとしてだけでなく、純粋に“中毒性のあるサウンド”としても評価されています。
TikTok・YouTubeで急拡散!リミックス動画に派生中
「きょういくばんぐみのテーマ」は、SNSを中心にリミックスや二次創作が急増中です。TikTokでは“○○番組風にしてみた”というテーマで、元の音源に映像をつけたモーショングラフィックスや、歌詞を足したパロディが続出。YouTubeでは字幕付き解説やピアノ・木琴アレンジ動画が人気を集めています。
こうした展開は、かつての「ようかい体操第一」や「ピタゴラスイッチ」のように、コンテンツが自然に教育・遊び・創作へと派生していく現象とも共通点があり、今後さらに多ジャンルとのクロスオーバーが期待されます。
もりとさくまによる音楽ユニット「MELOGAPPA」による話題のアレンジバージョン
「教育番組のテーマソング」をポップでキャッチーにアレンジし、注目を集めているのが、音楽系YouTuberユニット<MELOGAPPA(メロガッパ)>による【男が歌う】きょういくばんぐみのテーマ / やみの おねえさん のカバーバージョンです。
MELOGAPPAは、森(もり)さんと佐久間(さくま)さんの二人からなる人気音楽ユニットで、ハイクオリティなボーカルとユーモアあふれるアレンジで、様々な楽曲のカバーやオリジナル曲をYouTubeで発信しています。本作では、子ども向け番組の定番曲を大胆にポップアレンジし、まるで「うたのお兄さん」のような軽快で親しみやすいサウンドに仕上げています。
YouTubeのコメント欄でも、「この歌い方クセになる」「教育番組に本当に出てほしい!」といった声が多数寄せられており、MELOGAPPAならではのユーモアと技術力の高さが光る一曲となっています。
ミーム音楽から広がる学びもある
「きょういくばんぐみのテーマ」は、子ども向け番組の正式な主題歌ではなく、大人向けにパロディやミームとして制作された楽曲です。そのため、内容自体は保育を目的としたものではありませんが、テンポや繰り返しのフレーズ、音の構造が子どもの発達支援にも活用できる要素を多く含んでいます。
ここでは、この楽曲を“遊び感覚”で保育や家庭教育に応用する際に得られるメリットを3つの観点からご紹介します。
大人向けミーム音楽でも“音の学び”にアレンジできる?
曲の中では「ゴミカス」「生きるのつらい」など、大人の孤独感や社会への違和感を表現する言葉が繰り返し登場し、子ども向けというよりは、あくまで“大人向けの教育番組パロディ”として構成されたミームソングです。
一方で、テンポの良いリズムや繰り返しの構成、インパクトある音の展開は、純粋に音遊びとして楽しむには十分な魅力があります。子どもがこの曲を耳にして言葉を真似する場面もありますが、歌詞の意味理解を前提とせず、「音」そのものを楽しむ遊びに置き換えることで、遊びへの活用も可能になります。
たとえば、元の歌詞を保育や家庭用にアレンジし、リズムジャンプや手拍子遊びなどに応用すれば、語彙力や発語の発達をうながすきっかけにもつながります。意味が難しくても、繰り返しの構造や抑揚は子どもにとって“音の学び”の刺激になることは確かです。
曲の強弱を感じ取ることで情緒の安定と集中力アップ
この楽曲には、急に音が静かになる部分やテンポが加速する場面が含まれており、その“変化”に耳を向ける体験を通じて、子どもたちの注意力と感情調整に良い影響が期待できます。たとえば、再生中に「今から速くなるよ」「音が止まったら座ってみよう」といった声かけを組み合わせることで、聴覚的注意力と自己制御力を遊びながら鍛えることができます。
実際、音楽の節奏や強弱を使った介入は、子どもの注意力向上に効果があるとする研究があります。30分の音楽プログラムが注意制御力を改善したとの報告もあり、ゲームや映像を用いた遊びよりも高い効果が得られたケースも報告されています
また、音楽と情動の関連性については、音の強弱や抑揚が感情反応に結びつくことが知られており、音楽を通じて落ち着いたり集中したりする効果が示唆されています。視覚的な情報がなくても、音だけで反応する体験は、子どもの自己表現力や内的な調整力を育む場としても有効です。
リズム遊びをもっと身近に、もっと自由に
SNS発の音源が子どもたちの世界でも親しまれる今、「教育的」であるかどうかにとらわれすぎず、まずは音を楽しむことが大切です。特に「きょういくばんぐみのテーマ」のような短いループ構成の楽曲は、子どもの集中力やテンポ感と相性が良く、導入もしやすいため、家庭や保育現場での音楽遊びにうってつけです。
こうしたリズム遊びを取り入れる際は、難しく考える必要はありません。保護者や保育者が「いっしょに楽しむ」姿勢こそが、子どもにとって最高の刺激になります。
以下では、リズム遊びをよりスムーズに、安全に取り入れるためのヒントを紹介します。
短く・シンプルなリズムでOK
子どもが繰り返し遊びたくなるのは、「わかりやすく、すぐ真似できる」遊びです。1分以内のループ音楽に合わせて手拍子をしたり、ジャンプを入れたり、動きを2〜3種類に絞るだけでも、十分に楽しく、学びのある時間になります。
家庭でもできる“音+動き”の工夫
保育現場ほどスペースが取れない家庭でも、座ったままの「手拍子リズム遊び」や、ぬいぐるみを使った「音でおつかいゲーム」などを取り入れることで、音への集中と想像力を養うことができます。音源はスマホやYouTubeで再生しながら、繰り返し遊べるようにしましょう。
“ルール”を作るとより効果的
遊びにちょっとした“お約束”を加えると、注意力や感情のコントロールも育まれます。たとえば、「音が止まったらストップ」「ベルが鳴ったらしゃがむ」など、音の合図に反応する遊びを加えることで、遊びながらルール理解や自己制御が促されます。
ミームから始まる、未来のあそびのかたち
「きょういくばんぐみのテーマ」は、そもそもは大人向けのミーム楽曲として制作されたものです。しかし、そのキャッチーなループと、どこか懐かしさを感じさせる音づくりは、結果的に子どもたちの「音楽の入り口」としても機能し始めています。
現代の子どもたちは、音楽や遊びをSNSや動画で“体験”する時代に生きています。親世代の「懐かしい」が、子どもたちの「新しい」に変わり、そこからコミュニケーションや創造的な遊びが広がっていく。この流れこそが、音楽ミームの持つ新たな可能性と言えるでしょう。
音楽は教育的である前に、まず「楽しい」ものであるべきです。その楽しさを起点に、家庭でも保育でも、遊びながら自然と子どもの感性やリズム感を育むアプローチを、これからも広げていけたら理想的です。