ふわふわとした質感と自由な形づくりが楽しい「モール」は、冬の工作や飾りづくりに大活躍の素材です。中でも、クリスマスにぴったりなのが“ボウチェーンガーランド”。モールをねじってリボンや輪をつなげるだけで、ツリーや壁を華やかに彩ることができます。
親子で簡単に作れるうえ、手先の器用さや色の組み合わせのセンスも育める点が魅力です。この記事では、モールで作るクリスマス・ボウチェーンガーランドの材料や作り方、飾り方のコツに加え、安全に楽しむためのポイントも紹介します。
目次
モールだけで簡単!クリスマスのボウチェーンガーランド
ふわふわのモール(パイプクリーナー)だけで作れる「ボウチェーンガーランド」は、切る・貼るを最小限に抑え、短時間で部屋を一気にクリスマス仕様にできる飾りです。基本は小さな“リボン(ボウ)”を作って連結していくだけ。
材料が軽く安全で、静かな作業と指先の操作が中心のため、家庭や保育の活動に向いています。この記事では、必要な材料、失敗しにくい作り方、年齢に合わせた安全ポイントとアレンジまでをわかりやすく解説します。
用意するもの——モールの太さ・色・本数と、あると便利な道具
基本材料はモールのみです。標準的な太さ(約6mm)のモールを赤・緑・白・金など複数色そろえると、クリスマスらしい配色が簡単に作れます。
長さは30cm前後が扱いやすく、リボン1個につき1本を目安にします。幼児にはワイヤーが柔らかめのタイプを選ぶと曲げやすいです。道具は、先端を軽く押さえるためのラジオペンチやピンセット、長さを整えるためのはさみがあると便利ですが、基本は手だけでOKです。
安全のため、はさみを使う場面は大人が見守り、切り落とした端材はすぐに回収しましょう。作業トレーやマス目付きの下敷きを使うと、必要本数を数えやすく紛失も防げます。
飾りにベルや小さなポンポン、リボン用のサテンテープを加えると華やかさが増しますが、3歳未満には誤飲防止のため小パーツの使用を避け、サイズの大きい装飾に置き換えると安心です。
本数の目安は、子ども用ガーランド(約1m)で20〜30本程度、玄関や壁にしっかり飾る長さ(約2m)なら40〜60本程度。配色は赤2:緑2:金1:白1の比率にするとバランスよく見えます。余りはツリートップや小物の結束にも再利用できます。作業前に色ごとに束ねておくと配分の偏りを防げます。
基本の作り方——“ボウ”を作ってつなぐ3ステップ
ステップ1:中央を作る
モールの中央をつまみ、左右を折り返して小さな輪を二つ作ります。輪の根元を軽くねじって中央結びの芯を固定します。
ここで強くねじりすぎると毛が抜けるので“1回だけ”が目安です。
ステップ2:ループを整える
左右の輪の大きさを揃え、指の腹で丸みをつけます。余った端は後ろ側に回し、軽くねじって隠すとリボン形が安定します。
ステップ3:チェーン化
新しいモールで同じリボンを作り、片方の輪を通してから中央をねじると、輪同士が連結されチェーン状になります。
以後は“通す→ねじる→形を整える”を繰り返すだけ。連結のコツは、ねじる位置を毎回同じ向きにそろえることと、ねじり回数を最小限にすることです。
長さを伸ばすときは、10個ごとに形を見直し、ねじりが甘い箇所だけをピンセットで軽く締めます。
仕上げに中央芯を指で押し込むと立体感が出て見映えが上がります。安全面では、ワイヤー端が飛び出した場合に皮膚をこすらないよう、端を内側へ曲げ込むか、必要に応じてテープで覆います。
幼児は大きめの輪から始め、力が強い児には“ねじり1回”を合言葉に統一すると、全体のテンポが保てて作業がスムーズです。
アレンジと飾り方——配色設計・長さ調整・学びの広げ方
配色は「赤×緑×金」の定番に、白をアクセントで入れると明るく上品にまとまります。同色3個→別色1個のリズムでつなぐと規則性が生まれ、見た目にリズムが出ます。
長さは飾る場所に合わせ、途中の結節点でU字フックやマスキングテープに引っかけると落下を防げます。ツリーのガーランド、壁のジグザグ掛け、ドア枠の縁取りなど用途は自在です。余りは小物のタグやリースの補強に活用できます。
発達面では、指先の巧緻性、配色感覚、パターン認識の学びが期待できます。活動前に“色と数の指示カード”を配り、例:赤2・緑1・金1を繰り返す等のミッションを提示すると集中が続きやすいでしょう。
片付けは色ごとに束ね、端材は透明袋へ回収するルールを共有します。安全対策として、端は内側に曲げ、装飾は直径3cm未満を避けるなど年齢に応じた基準を徹底します。教室や家庭での展示は、作品名カードや名前を添えると自己有用感が高まります。
保管はジッパー袋に折りたたまず“ゆるく丸める”のが型崩れ防止のコツです。持ち帰りは筒状の芯に巻くと皺になりません。行事後はリボンを外して色別素材に戻し、次の活動の素材として循環させるとサステナブルな実践につながります。
年齢別の工夫と安全対策——幼児から小学生まで楽しく安心に
モール工作は柔らかく扱いやすい反面、細いワイヤーが芯に入っているため、年齢や発達段階に応じた配慮が欠かせません。小さな子どもほど、作業を「まねっこ遊び」や「色分けゲーム」として取り入れると集中しやすくなります。
年中児から年長児では自分の力で形を作る喜びを感じ、小学生になると連結や長さ調整などの“構成遊び”が学びにつながります。ここでは、年齢別に安全に取り組める工夫と指導ポイントを紹介します。
年少〜年中:指先トレーニングとしての導入とサポート
年少児(3〜4歳)では、モールを1本折る・ねじるといった基本動作を楽しむ段階です。最初から長いチェーンを目指さず、「1個できたら見せてね」と声をかけ、短い成功体験を積み重ねましょう。
年中児(4〜5歳)では、色の違いや順番に注目する活動に発展させます。例として「赤→緑→金の順で3つ作ってみよう」など、簡単なルールを設定すると集中が続きやすいです。安全面では、モールの端が鋭い場合に布テープを巻くか、指サックを使用することで擦り傷を防げます。
大人がねじる補助を行う際は、子どもの手の動きを尊重し、過剰に手を出さないことも大切です。完成した作品は短くても十分に価値があり、「自分でできた」という自信が創造意欲を育みます。展示時には名前カードを添え、頑張りを見える形で称えると達成感が高まるでしょう。
年長〜小学校低学年:構成力と達成感を育てる段階
年長児(5〜6歳)になると、手先のコントロールが安定してくるため、複数のリボンをつなげる「チェーンづくり」に挑戦できます。ここでは“同じ大きさで作る”ことをテーマに、均一な形を意識させると観察力と集中力が育ちます。
小学校低学年では、友達と分担して長いガーランドを協働制作する活動がおすすめです。例として「5人で1本ずつ作り、つなげて教室を囲もう」といった共同目標を立てると、社会性や達成感が得られます。
安全面では、切れ端をすぐに集める「モール回収係」を設け、誤飲や床への落下を防ぐ工夫が有効です。完成後は吊るす位置を子どもたち自身に選ばせると、表現の主体性が高まります。
また、長さ測定や色の並び順を記録することで、算数的な要素も自然に学べます。片付けの時間を“作品展ごっこ”として楽しむと、最後まで笑顔で活動を終えられるでしょう。
安全と片付けの習慣——環境づくりで工作がもっと楽しく
安全な工作環境をつくるには、作業台の高さ・明るさ・素材の保管場所を整えることが重要です。モールは細く転がりやすいため、作業時は浅めのトレーに入れて配布します。はさみを使う場合は“切る専用台”を用意し、刃物の共有を避けると安全です。
制作後はモールの端材を色ごとにまとめて再利用ボックスへ。子どもが自分で整理する習慣を持つことで、「使う→片付ける→再利用する」というサイクルが自然に身につきます。園や家庭で取り組む際は、ルールを視覚化するポスターを掲示するのも効果的です。
活動後には手洗いを必ず行い、モールの繊維が残っていないかを確認します。小さな配慮の積み重ねが「安全に楽しく作る」意識を育て、次の製作活動への期待につながるでしょう。
飾り方と発展アイデア——作ったあとも楽しめる工夫と活用法
完成したモールガーランドは、飾り方や組み合わせ次第で印象が大きく変わります。壁や棚に吊るすだけでなく、ツリーやリース、窓辺などに合わせて形を変えると、子どもたちの創造力をさらに刺激できます。
また、遊びや学びへ発展させるアイデアを加えることで、制作後の活動がより豊かになります。ここでは、家庭・園のどちらでも実践しやすい飾り方や応用例を紹介します。
空間を彩る飾り方——ツリー・壁・窓で変わる印象
モールガーランドは軽量で柔らかいため、画びょうやテープを使わず飾れる点が魅力です。ツリーに巻き付ける場合は、上から斜めにかけると立体感が出ます。壁飾りとして使うときは、チェーンを波状に垂らし、両端をマスキングテープで留めると安全で剥がしやすいです。
窓辺では、透明テープで数か所を軽く固定し、日光を受けてキラキラ光るモールの質感を楽しみましょう。さらに、リボンの中央に小さなベルや綿を加えると、音や質感の変化を感じられます。子どもたちが自分の作品をどこに飾るかを選ぶ体験は、空間づくりへの興味を育てる良い機会です。
活動後に「どこが一番きれいに見える?」と話し合う時間を設けると、観察力と表現力の両方を養えます。飾り替えを行う際には、踏み台の使用や高所作業は大人が担当し、転倒防止に注意しましょう。
発展活動——色や数を学ぶ遊びへの展開
完成したガーランドは、遊びや学びに活かせる素材としても便利です。たとえば「色の並びクイズ」を出題し、一定のパターンを見せたあとに「次の色は何かな?」と考えさせることで、順序や記憶のトレーニングになります。
また、「何個つなげたら1メートルになるか」を一緒に測ると、数の概念や長さの理解にもつながります。色カードを使って並び順を再現する活動を組み合わせると、論理的思考の導入としても効果的です。家庭では、作ったチェーンを部屋の“仕切り線”に見立ててごっこ遊びに発展させたり、写真撮影用の背景として使うのも楽しい方法です。
活動後には「今日は何色を多く使った?」と問いかけ、制作を振り返る時間を設けましょう。制作→飾る→遊ぶ→片付けるという一連の流れを通して、計画性と達成感を体験できます。
季節ごとのアレンジ——冬以外にも使えるアイデア
モールガーランドはクリスマスだけでなく、季節を問わず応用できます。春はピンクや黄緑のモールで「花の輪チェーン」、夏は青や白で「波チェーン」、秋は茶やオレンジで「落ち葉リボンチェーン」として展開できます。
季節ごとのテーマに合わせた色や素材を選ぶことで、年間を通して造形活動を楽しむことが可能です。行事ごとにチェーンを作り替えると、環境構成の変化を子どもが感じ取り、季節感を身につける機会にもなります。
また、使い終えたモールをほどいて再利用する“リサイクル製作”を行うと、物を大切にする心を育てられます。作品を年度ごとに写真に残し、成長アルバムとしてまとめると家庭との共有もスムーズです。繰り返し作る中で、色選び・形作り・配置などの判断が自然に磨かれ、造形表現の幅が広がるでしょう。
まとめ
モールのボウチェーンガーランドは、材料が手軽で準備が少なく、創造性と達成感を同時に味わえる工作です。年齢に応じて難易度を調整し、安全面に配慮することで、家庭でも園でも安心して楽しめます。
完成したガーランドを飾ると空間が明るくなり、子どもたちにとっては「自分が季節をつくる」喜びを感じられる時間になるでしょう。制作後の片付けや再利用までを含めて取り組むことで、物を大切にする心も育まれます。
