介護保険制度において、必要な介護度合いやサービスの種類を認定する介護認定があり、その介護認定の審査を行うのが「介護認定審査会」です。
しかし、実際に認定までの流れや結果の判断基準がどのようになっているかが不明瞭なまま介護申請してしまう方も多いでしょう。
介護保険制度を利用する際には、介護認定が必要不可欠なので、理解しておくことが重要です。
この記事では、介護認定審査会がどのような機関なのかという点から介護認定審査会の審査を経て、実際に認定結果が出るまでの流れを詳しく解説します。
介護認定審査会とは
介護認定審査会は、介護保険制度において必要な介護度合いやサービスの種類を認定するための審査機関です。
地域包括支援センターに設置され、医師や看護師、社会福祉士などが参加して利用者の状況を総合的に評価します。
実際に介護認定審査会と利用者が直接関わることはありませんが、介護認定後に適切なサービスが受けられるかどうかという点からも介護認定審査会の役割と重要性を理解しておくと良いでしょう。
介護認定審査会の役割
介護認定審査会の役割は、介護保険制度において必要な介護度合いやサービスの種類を認定することです。
地域包括支援センターに設置され、医師や看護師、社会福祉士などが参加して、利用者の生活状況や身体機能、精神状態などを総合的に評価します。
審査の結果、介護の度合いに応じた介護サービスが認定されますが、介護の度合いが変化した場合、再認定や見直しの審査を受けることも可能です。
したがって、一度介護認定を受けて終わりではなく、適切な介護サービスを受けるために状況に応じて再審査および再認定を受けられます。
介護認定審査会の構成員
介護認定審査会の構成員は、基本的に以下の専門職員が参加しています。
- 医師
- 看護師
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 介護福祉士
- 作業療法士
- 理学療法士
上記の構成員は、利用者の生活状況、身体機能、精神状態、家族の支援状況などを総合的に評価し、必要な介護度合いやサービスの種類を決定します。
ただし、機械的に審査および認定をされるわけではなく、利用者やその家族の意見も聞き入れたうえで認定されます。
つまり、介護認定審査会の構成員は、利用者と家族の立場に立った審査を行い、利用者や家族が必要とする介護サービスを適切に提供するために重要な役割を担っています。
介護認定審査会で認定結果が出るまでの流れ
介護認定審査会で認定結果が出るまでの流れは、以下の通りです。
- 介護認定申請を行う
- 介護支援専門員による状況調査が行われる
- 認定審査会が開催される
- 認定結果が通知される
それぞれの内容を詳しく解説していきます。
介護認定申請を行う
介護認定申請を行うには、利用者またはその家族が地域包括支援センターに申請する必要があります。
申請書に利用者の基本情報や健康状態、家族の状況などを記入し、必要書類と一緒に提出しましょう。
必要書類な書類は以下のとおりです。
- 健康保険証
- 介護保険証
- 診断書
- 介護報酬請求書
ただし、注意点として上記の書類は、利用者や家族が自分で用意しなければなりません。書類の不備や漏れがあると、認定の遅れや不認定となる場合があります。
申請書と必要書類に不備がないか確認したうえで、地域包括支援センターに提出するようにしましょう。
とくに介護認定申請は、適切な介護サービスを受けるための重要な手続きです。可能な限り正確に行うことが大切です。
介護支援専門員による状況調査が行われる
介護認定申請の後は、介護支援専門員による状況調査が行われます。
専門職員が利用者や家族と面談を行い、生活状況や身体機能、精神状態などを評価します。
この調査は、利用者や家族の要望や希望にも耳を傾け、できるだけ快適な生活が送れるようにサポートすることが目的です。
そのため、調査の内容は以下のようになっています。
- 身体機能や認知機能
- 口腔ケア
- 排泄ケア
- 食事
- 入浴
- 外出
状況調査の結果に基づいて、介護の度合いや必要なサービスの種類が決定され、介護認定審査会で正式に認定されることになります。
認定審査会が開催される
介護認定申請が受理され、介護支援専門員による状況調査が終わった後、認定審査会が開催されます。
認定審査会は、介護保険法に基づき、地域包括支援センターが主催する会議です。前述した審査会の構成員である専門職員が集まり、介護の度合いや必要なサービスの種類などを判断し、認定結果を決定します。
認定審査会では、利用者や家族が要望したサービスが必要かどうか、介護度合いはどの程度か、その他のサービスや補助金の申請が必要かなどを審査します。
もし、介護認定がされなかった場合は、不認定理由や再申請の方法について説明があります。
認定結果が通知される
介護認定申請が受理され、認定審査会で判断されたあとは、認定結果が通知されます。
認定結果は、認定された介護の度合いや必要なサービスの種類、また認定期間が記載された書類として通知されます。
通知書には、介護保険制度の説明や介護サービスの利用方法、自己負担の詳細、また介護保険外のサービスや支援制度の案内が記載されるため十分確認しましょう。
万が一、通知書の内容に不備がある場合は、再度申請する必要があります。
また、認定審査会で認定されなかった場合は、前述したように認定理由や再申請の方法についての説明が含まれることがあり、内容をよく確認し、必要な手続きを進めるようにしましょう。
介護認定審査会の結果
介護認定審査会の結果は、申請者の介護度合いや必要なサービスの種類、また認定期間が決定されます。
認定される介護度には、「要支援」および「要介護1〜5」があります。
認定期間は、1年、3年、5年のいずれかが決定され、その期間中は介護保険制度が提供するサービスを受けることができます。
認定結果に基づき、申請者が受けることができるサービスは異なりますが、一般的には、訪問介護、通所介護、居宅介護支援事業所、特定施設入居者生活介護等のサービスがあります。
介護認定の種類と内容
介護認定は、要介護度合いに応じて「要支援」「要介護1〜5」の5段階で認定されます。
申請者は認定内容に基づき、訪問介護、通所介護、居宅介護支援事業所、特定施設入居者生活介護等のサービスを受けることができます。
介護保険制度を利用するために必要な手続きであり、必要な介護サービスを受けるための重要な基準となります。
介護認定 | 内容 |
---|---|
要支援 | 自立できないことがある場合に、必要な援助が得られなければ、介護の度合いが向上する可能性がある。 介護サービス利用時の自己負担金の金額等が含まれる。 |
要介護1~5 | 介護の度合いが重くなるにつれて認定される。 介護サービス利用時の自己負担金の金額等が含まれる。 |
認定内容 | 日常生活に必要な介護サービスの種類。認定期間。 |
介護サービス | 訪問介護。通所介護。居宅介護支援事業所。特定施設入居者生活介護等。 |
必要性 | 介護保険制度を利用するために必要な手続きの一つ。申請者にとって、必要な介護サービスを受けるための重要な基準。 |
認定結果の通知と異議申し立てについて
介護認定の結果は、審査後、申請者に郵送にて通知され、認定結果に不服がある場合、異議申し立てが可能です。
異議申し立ては、申請日から3週間以内に行わなければなりません。申請が受理されると再度審査が行われ、認定結果が変更されることもあります。
また、異議申し立てをした場合でも、その間は認定された介護度合いや自己負担額が適用されます。
異議申し立てをする際には、異議申し立ての理由を明確にし、必要書類を揃えて手続きを行う必要があります。
とくに異議申し立てによって、自己負担額が減額されることもあるため、申請者にとっては重要な手続きと言えるでしょう。
まとめ
介護認定審査会は、要介護状態の方が必要な介護度合いを認定する手続きです。介護認定を受けることで、介護サービスの利用が可能となります。
介護認定は、要介護状態の方が必要なサービスを受けるためには欠かせない手続きです。
正確な情報の提供や必要な書類の提出が求められますが、介護支援専門員のサポートを受けることで、スムーズな手続きが行えます。
また、認定結果に不服がある場合は、異議申し立てをすることで自己負担額の減額などの可能性があることも覚えておきましょう。