2人目の出産を迎えるにあたり、「育児休業給付金はいくらもらえるのか?」「1人目のときと金額が違う?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

育児休業給付金は、休業前の給与額をもとに計算されますが、2人目の産休・育休のタイミングによっては、給付額が減額されることがあります。特に「1人目の育休復帰から短期間で2人目を妊娠した場合」や「育休を延長している場合」は注意が必要です。

この記事では、2人目の育児休業給付金の計算方法、減額されるケース、減額を防ぐためのポイントをわかりやすく解説します。事前に仕組みを理解しておくことで、給付額を最大限受け取るための対策が可能になります。

育児休業給付金とは?基本の仕組みと支給条件

育児休業給付金は、育児のために一定期間仕事を休む際の経済的負担を軽減するための制度です。雇用保険から支給されるため、会社員やパート・契約社員など、雇用保険に加入している労働者が対象になります。

給付額は育休開始前の給与をもとに計算されますが、1人目と2人目で受け取れる金額が変わる場合があるため注意が必要です。特に、1人目の育休から復帰せずに2人目の産休・育休に入るケースでは、給付額が大幅に減る可能性があります。

ここでは、育児休業給付金の目的や支給条件、1人目と2人目の給付金の違いについて詳しく解説します。

育児休業給付金の目的と概要

育児休業給付金は、育児のために一定期間仕事を休む際の経済的負担を軽減することを目的とした公的制度であり、育児と仕事の両立を支援し、職場復帰を促す役割も担っています。

この給付金は、雇用保険に加入している労働者が対象で、育児休業開始前の賃金を基に支給額が決まります。原則として、育休開始から180日(6か月)までは賃金の67%、181日目以降は50%が支給されます。ただし、2025年4月以降は「出生後休業支援給付金」の創設により、最大28日間について賃金の80%(実質手取り10割相当)が支給される制度も導入される予定です。

なお、育児休業給付金は「職場復帰」が前提条件であるため、育休中に退職した場合は給付金を受け取ることはできません。給付を受けるには、復帰の意思があることを明確にし、適切に申請手続きを行うことが求められます。
参考:育児休業等給付の内容と 支給申請手続

支給対象となる条件

育児休業給付金は、一定の条件を満たすことで受給できます。特に、雇用保険の加入状況や育休前の勤務実績が重要なポイントとなります。

支給対象となる主な条件は、以下のとおりです。

育児休業を取得していること

育児休業給付金は、1歳未満の子どもを養育するために育休を取得していることが前提です。なお、保育所に入れないなどの事情がある場合には、育児休業を1歳6か月または2歳まで延長することも可能です(要申請)。

雇用保険に加入していること

支給対象者は雇用保険の被保険者である必要があります。また、育休開始前の2年間に「賃金支払基礎日数が11日以上ある月」が12か月以上あることが条件となります。これには産休期間も一部含まれるケースがありますが、勤務実績の確認が重要です。

育休中の給与が一定額以下であること

育児休業期間中に支払われる給与額が、育児休業開始時点の賃金の80%未満であることが条件です。これを超える給与が支払われている場合、給付金は支給されません。

育休後に職場復帰する意思があること

育児休業給付金は「育休後の復職」を前提に支給される制度です。育休期間中に退職する、または復職の意思がない場合は、給付対象外になります。復職日が変更になった場合もハローワークへの報告が必要です。

これらの条件を満たしていれば、育児休業給付金を受け取ることができます。ただし、1人目の育休を延長した後に2人目を妊娠した場合や、育休明けに時短勤務をしていた場合は、支給額に影響が出る可能性があるため注意が必要です。

1人目と2人目で給付金の計算方法は変わる?

育児休業給付金は、育児のために一定期間仕事を休む際の経済的負担を軽減するための制度で、雇用保険から支給されます。 ​

支給額の計算方法

財政運営(育児休業給付)について – 厚生労働省

育児休業給付金の支給額は、育休開始前の賃金を基に以下のように計算されます。 ​

  • 育休開始から180日目まで:​休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%​
  • 181日目以降:​休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%​

ただし、支給額には上限があり、給与によって変動するため注意が必要です。

1人目と2人目の給付金の違い

1人目と2人目で育児休業給付金の支給額が異なる場合があります。​特に、1人目の育休から復帰せずに2人目の産休・育休に入るケースでは、育休開始前6ヶ月間の賃金が低くなり、その結果、2人目の育児休業給付金が減額されることがあります。 ​

また、育休中に短時間だけ復帰していた場合や、時短勤務をしていた場合も、その期間の給与が基準とされるため、支給額が減少する傾向にあります。育児休業給付金を最大限に活用するには、育休後に一定期間通常勤務に戻ってから次の産休・育休に入るなど、勤務実績を積むことが効果的です。

さらに、育休中に就業した場合や、給与が一定額以上支払われた場合は、給付金が支給されない、または減額されることがあるため、会社との連携や事前確認が不可欠です。これらの点をふまえ、出産・育児のタイミングや復帰計画を総合的に考慮することが大切です。

これらの点を踏まえ、育児休業給付金を受給する際は、事前に条件や計算方法を確認し、適切な手続きを行うことが重要です。
参考:育児休業期間中に就業した場合の 育児休業給付金の支給について

出生後休業支援給付金(2025年4月1日から施行)

財政運営(育児休業給付)について – 厚生労働省

出生後休業支援給付金は、2025年4月1日から施行される新しい制度で、共働き・共育てを推進することを目的としています。
この制度は、子の出生直後の一定期間に、両親ともに育児休業を取得した場合に、既存の育児休業給付金に加えて追加の給付金を支給するものです。 ​

支給要件

被保険者本人の要件

対象期間内に、同一の子について、出生時育児休業給付金が支給される産後パパ育休または育児休業給付金が支給される育児休業を通算して14日以上取得していること。 ​

配偶者の要件

配偶者が、子の出生日または出産予定日のうち早い日から、子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間に、通算して14日以上の育児休業を取得していること。 ​
または
子の出生日の翌日において、以下のいずれかに該当する場合は、配偶者の育児休業取得は要件とされません。

  • 配偶者がいない。
  • 配偶者が被保険者の子と法律上の親子関係がない。
  • 被保険者が配偶者から暴力を受け、別居中である。
  • 配偶者が無業者である。
  • 配偶者が自営業者やフリーランスなど、雇用される労働者でない。
  • 配偶者が産後休業中である。
  • その他、配偶者が育児休業を取得できない特別な事情がある場合。
  • 支給額

    支給額は以下の計算式で算出されます。

    • 休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数(最大28日) × 13%​
    • 休業開始時賃金日額:​同一の子に関する最初の育児休業開始前の直近6か月間に支払われた賃金総額を180で割った額
    • 休業期間の日数:​対象期間内に取得した育児休業の日数で、最大28日まで

    ​これにより、既存の育児休業給付金(賃金の67%)と合わせて、合計80%の給付率となります。
    さらに、育児休業中は社会保険料が免除され、給付金は非課税であるため、手取り収入としては実質的に100%相当となります。

    2人目の育児休業給付金の計算方法


    2人目の育児休業給付金の計算方法は、1人目と基本的には同じですが、育休の取得タイミングや復職の有無によって受給額が変わる可能性があります。特に、1人目の育休中に2人目を妊娠した場合や、復職後すぐに2人目の妊娠がわかった場合は、計算基準となる「育休開始前6ヶ月の給与額」に影響が出るため、注意が必要です。

    ここでは、育児休業給付金の基本的な計算式や、1人目の育休中に妊娠した場合、復職後すぐに2人目を妊娠した場合の計算方法について詳しく解説します。

    給付額の基本的な計算式

    2人目の育児休業給付金も、基本的には1人目と同様に「育休開始前6か月間の賃金」をもとに支給額が算出されるため、勤務状況によって受給額が変わります。

    例えば、育休開始前6ヶ月の給与の平均額が30万円だった場合、

    • 育休開始から6ヶ月間の給付額= 30万円 × 67% = 約20万1,000円
    • 育休開始7ヶ月目以降の給付額= 30万円 × 50% = 15万円

    このように、育休開始前6ヶ月の給与額が高いほど、給付額も多くなる仕組みです。しかし、1人目の育休中に2人目を妊娠した場合や、復職後すぐに2人目を妊娠した場合は、この「育休開始前6ヶ月の給与額」が変わってしまうため、注意が必要です。

    1人目の育休中に妊娠した場合の影響

    1人目の育休中に2人目を妊娠し、そのまま復職せずに産休・育休に入る場合、2人目の育休開始前6ヶ月間に給与が発生していない可能性があります。これは、1人目の育休中は給与が支払われていないことが多く、給付金の計算基準となる6ヶ月間に「給与ゼロの月」が含まれてしまうためです。

    その結果、2人目の育児休業給付金が大幅に減額されることがあります。ただし、育児休業給付金の制度には「みなし賃金」や「4年遡りルール」といった特例があります。

    例えば、1人目の育休が1年未満で終了し、復職しないまま2人目の産休・育休に入るような場合、特定の条件を満たせば、1人目の育休取得前の給与を基に2人目の給付金を算出できるケースがあります。

    一方で、これらの特例の適用には詳細な条件があり、すべてのケースで必ずしも認められるわけではありません。したがって、2人目の育児休業給付金の支給額に不安がある場合は、早めに勤務先の人事担当者や最寄りのハローワークに相談しておくことも大切です。

    2人目の育児休業給付金が減るケースと対策

    2人目の育児休業給付金は、育休開始前6ヶ月間の給与をもとに計算されるため、1人目と比べて減額されることがあります。特に、復職期間が短かったり、時短勤務をしていたりすると、給付額が大幅に下がる可能性があるため注意が必要です。

    また、給付金の計算には「標準報酬月額」が関係しており、育休前の給与額が下がると給付金も減る仕組みになっています。そこで、給付額が減る原因を理解し、できるだけ減額を防ぐための対策が重要です。

    ここでは、復職期間が短いと給付額が下がる理由、標準報酬月額の影響、給付金を最大限に受け取るためのポイントについて詳しく解説します。

    復職期間が短いと給付額が下がる理由

    育児休業給付金は、育休開始前6ヶ月間の賃金総額を基に「休業開始時賃金日額」が算出され、そこから給付額が決まります。そのため、復職期間が短いと、この6ヶ月間に十分な賃金支払いがない場合があり、結果として給付金が減額される可能性があります。

    例えば、1人目の育休後に復職したものの、すぐに2人目を妊娠して産休・育休に入った場合、復職期間が1〜2ヶ月程度だと、直近6ヶ月に給与が支払われていない月が多くなり、給付額の計算に影響します。

    給付額が下がる可能性のあるケース

    • 復職後1〜2ヶ月で産休に入る場合
    • 復職後に時短勤務をしていた場合
    • 産前休業を早めに取得した場合

    上記のケースに当てはまる場合は、2人目の産休・育休を計画する際には、育児休業給付金の基準となる6ヶ月間の勤務・給与状況を事前に確認しておくことが重要です。制度上の例外(過去4年遡りなど)もあるため、早めに勤務先やハローワークに早めに相談するようにしましょう。

    標準報酬月額の影響を理解しよう

    育児休業給付金の計算に影響を与えるのが「標準報酬月額」です。これは、社会保険料や給付金の計算に用いられる基準額で、毎月の給与額をもとに決定されます。

    標準報酬月額は、直近3ヶ月の給与をもとに計算されるため、復職後に時短勤務をしていた場合や、給与が低い状態で復職していた場合、標準報酬月額も下がることになります。特に以下のようなケースでは特に注意が必要です。

    復職後に時短勤務をしていた場合

    時短勤務により給与が減少すると、標準報酬月額も下がる可能性があります。これは育児休業給付金の対象期間とは別ですが、将来の年金額に影響するため、「養育期間標準報酬月額特例申出」により、従前の報酬月額を適用できる制度を活用すると安心です。

    産休前に賞与や手当が減少していた場合

    賞与・残業代・各種手当が産前に大幅に減っていた場合、その月の報酬額が低く見積もられ、標準報酬月額が引き下がる可能性があります。これは将来の年金や健康保険料にも影響するため、給与変動の時期には注意が必要です。

    育休を長期延長していた場合

    長期育休後に復職せず2人目の産休に入るようなケースでは、標準報酬月額の見直しがないまま給与ゼロの状態が続き、保険料負担や将来の年金見込みに影響を及ぼす可能性があります。

    標準報酬月額は、給付金の額には直接反映されないものの、育休・復職を繰り返す育児期には、給与変動とともに見直されやすい項目です。必要に応じて「育児休業等終了時報酬月額変更届」や「養育期間特例」の活用も検討しましょう。

    給付金を最大限に受け取るためのポイント

    育児休業給付金は、育休開始前6ヶ月間の給与額をもとに計算されるため、2人目の育休でも減額されないようにするには、その期間の給与をできるだけ高く維持することが重要です。以下のような対策が有効です。

    復職後はできるだけフルタイム勤務をする

    時短勤務をすると給与が減り、結果として育児休業給付金の基準となる賃金日額が低くなります。可能な限り通常勤務に戻すことで、給付金の減額を防ぎやすくなります。

    最低6ヶ月以上は勤務してから産休に入る

    給付額は直近6ヶ月の給与に基づくため、復職後に6ヶ月以上働けば、全期間が給与ありとしてカウントされ、給付金が安定しやすくなります。

    ボーナスが支給される月を含めるよう調整する

    通常、育児休業給付金の算出にはボーナスは含まれませんが、標準報酬月額や社会保険料への影響はあります。タイミング次第では、産休入りの時期を調整することで他の給付や保険料に有利に働くことがあります。

    産休開始時期を会社と相談して調整する

    育休前6ヶ月の給与確保が大切なため、無理のない範囲で産休開始時期を会社と調整することも一つの方法です。特に早産のリスクがない場合は相談してみましょう。

    会社やハローワークに相談する

    給付金の計算は個々の勤務状況によって異なるため、早めに人事担当者やハローワークに相談して、事前に給付額をシミュレーションしておくと安心です。

    2人目の育児休業給付金は、1人目と同じ額が受け取れるとは限りません。復職期間の長さや勤務形態によって給付額が減ることがあるため、事前に計画を立て、育休前6ヶ月の給与をしっかり確保できるようにすることが、減額を防ぐポイントです。少しでも多くの給付金を受け取るために、働き方の調整を検討してみましょう。

    2人目の育児休業給付金を減額されずに受け取る方法

    2人目の育児休業給付金は、育休開始前6ヶ月間の給与額を基準に計算されるため、復職期間の長さや働き方によって金額が変わる可能性があります。1人目のときと同じ金額を受け取れるとは限らず、時短勤務や復職期間の短さによって減額されることもあるため、事前に対策を講じることが大切です。

    ここでは、復職期間を調整するメリット、短時間勤務が給付金に与える影響、ボーナスや手当を活用して給付額を増やす方法について詳しく解説します。

    復職期間を調整するメリット

    ​2人目の育児休業給付金を減額されずに受け取るためには、育休開始前6ヶ月間の給与額をできるだけ高く維持することが重要です。以下の対策を行うことで、給付額の減額を防ぐことができます。​

    復職後はできるだけフルタイム勤務をする

    時短勤務をすると給与が低くなり、育児休業給付金の基準額が下がるため、できるだけ通常勤務をするのが理想です。​

    最低6ヶ月以上は勤務してから産休に入る

    6ヶ月間の給与が確保されていれば、給付金の計算に影響が出にくくなります。​

    ボーナスが支給される月を基準にする

    ボーナスがあると標準報酬月額が上がり、育児休業給付金の計算額も増える可能性があるため、産休のタイミングを調整できる場合は考慮すると良いでしょう。​

    産休開始時期を調整する

    可能であれば、6ヶ月間の給与額が確保できるように産休開始のタイミングを会社と相談することが重要です。

    少しでも多くの給付金を受け取るために、育休開始前6ヶ月の給与額を確保し、会社と相談しながら最適な働き方を選ぶことが、良い育休の取り方につながります。

    短時間勤務でも育児休業給付金に影響はある?

    ​時短勤務を選択すると、労働時間の短縮に伴い給与が減少する可能性があります。 ​

    時短勤務が育児休業給付金に与える影響

    • 労働時間短縮による給与の減少
    • 標準報酬月額の低下に伴う、育児休業給付金の基準額の低下​

    例えば、通常8時間勤務で月給30万円の労働者が、時短勤務により6時間勤務となった場合、給与は約75%に相当する22.5万円に減少する可能性があります。 ​その結果、育児休業給付金として計算される基準額が低くなり、1人目のときよりも2人目のときの方が給付額が少なくなってしまいます。

    時短勤務をしていても給付金を増やす工夫

    • 産休前の数ヶ月間はフルタイム勤務に戻す
    • 賞与や手当の支給を考慮して産休に入るタイミングを調整する

    このように、時短勤務をしている場合でも、育休直前にフルタイム勤務へ戻すなどの工夫で、育児休業給付金の減額を防ぐことができます。もちろん、勤務先との連携も必要になるので、あらかじめ相談しておくとトラブルになりにくいでしょう。

    まとめ

    2人目の育児休業給付金は、育休開始前6ヶ月間の給与額を基準に計算されるため、1人目と金額が異なる可能性があります。特に、復職期間が短い場合や時短勤務をしていた場合は、給付額が減るリスクがあるため、事前の対策が重要です。

    また、育児休業給付金だけでなく、産前産後手当金、自治体の支援制度、社会保険料の免除などを活用することで、育休中の家計負担を軽減できます。
    給付額に不安がある方は、早い段階で会社の人事担当者やハローワークに相談しながら、自分に合った最適な方法を選びましょう。

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    子育て・教育・介護・医療・健康・LGBT・教養・法律など福祉を中心にしたテーマを発信する専門家集団です。各分野の専門家の意見や取材、キュレーションを通じて、幅広い視点で子育て世帯・介護世代に情報価値を提供します。日本の福祉の未来をつなぐ架け橋として活動を行っています。

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