2歳を目安に始めると言われるトイレトレーニング、いわゆる「トイトレ」。保育園ではどのように行うのでしょうか?大変なイメージのあるトイトレですが、うまくいけば子どもや保護者との距離はグッと縮まり、より良い関係を築くことができます。成長を見守りながら、しっかりサポートしましょう。

1 保育園のトイトレってどんなもの?

保育園のトイトレとは、どのようなものなのでしょうか?また、家庭でのトイトレとはどのように違うのでしょうか?

1-1保育園のトイトレとは

保育園は同年代の友だちが多くいるため、刺激し合いながらトイトレを進めることができます。トイレに興味がなくても、友だちが頑張っている姿を見ると、自然にトイレに向き合えるようになります。お友だちと一緒に頑張れる環境は、保育園ならではです。

また、規則正しい生活を送る保育園では、トイレに行くタイミングがわかりやすい他、子どもサイズのトイレが用意されているためトイレへ行きやすいことが多いです。しっかりと保育の中にトイレへ行くタイミングを設定し、トイトレを進めましょう。

1-2 いつからトイトレを始めるのか

保育園のトイトレはまずトイレに慣れることから始まることが多いです。早ければ1歳頃からトイレに連れて行き、トイレの存在を知らせていくのです。トイレの存在を早くから伝えることで、スムーズにトイレに移行できます。

2 トイトレに必要なモノとは

トイトレに必要なモノは、どのようなモノなのでしょうか?必要なモノを揃えて、準備万端でトイトレを始めましょう。

2-1 子どもと保護者の気持ち

何よりトイトレに必要なモノは、子どものトイレへ向き合う気持ちです。また、同時に保護者の気持ちも必要です。

子どもがトイレやパンツに興味を持たない中でトイトレを無理やり進めると、子どもはトイレを嫌ってしまいます。また、トイトレは衣類の準備をお願いしたり家庭でも保育園と同じようにトイトレを進めてもらったりと、保護者の協力が不可欠です。子どもと保護者の気持ちをよく確認しましょう。

子どもや保護者の気持ちがトイトレに向かわない場合は、トイトレはできません。無理に進めてもうまくいかないことが多いため、子どもと保護者の気持ちがトイトレに揃って向かうように、日頃から子どもと保護者に排泄について話すようにします。間違っても、保育士が独りよがりな気持ちでトイトレを進めないようにしましょう。

2-2 必要な衣類とその量

トイトレを始めると、おもらしに備えて多めの衣類が必要になります。保育園では毎日2、3回のおもらしを想定し、保護者に衣類の準備をお願いします。必要な1日あたりの衣類は次の通りです。

  • トレーニングパンツ3枚以上
  • 肌着、Tシャツ、ズボン 各3枚以上
  • 靴下 3足以上

また、園によっては保護者にお願いすることがあるものは次の通りです。

  • おねしょ(防水)シーツ(お昼寝で布団を濡らさないようにするため)
  • ビニール袋(汚れ物を入れるため)

衣類の購入だけでなく毎日の洗濯を考えると、家庭への負担は決して軽いものではありません。毎日衣類を準備してくれる家庭には忘れずに日々感謝を伝えるようにしましょう。

2-3 トイレの環境整備

トイトレを進めるために、トイレの環境をよく確認しましょう。トイレが明るく綺麗なものであることは言うまでもありません。しかしそれ以外にも、子どもが好きそうな壁面飾りを用意したり、動線を見て危険がないかを確認したり、トイレットペーパーの長さ見本を用意したりと、環境を整えましょう。

また、トイレは一度整備して終わりではありません。トイトレの進み具合や子どもの反応を見て、日々改善することが大切です。環境や子どもの様子を日々チェックし、変化にすぐ対応するようにしましょう。

2-4 かけるべき言葉とNG言葉

トイトレで子どもに必要なモノは、とにかく褒める、認める言葉です。モチベーションを上げ、自信に繋がる言葉をかけましょう。

  • 「ズボン、一人で脱げたね!」
  • 「すごいね!」
  • 「上手にできたね!」
  • 「すごーい!トイレに行けるんだね!」
  • 「おにいさん(おねえさん)みたいだね!」

NG言葉は、強く叱る言葉です。

  • 「どうしてトイレでできないの?!」
  • 「〇〇ちゃんはトイレできるのに、あなたはなんでできないの?!」
  • 「どうしてトイレって言ってくれないの?!」

トイトレに失敗はつきものです。おもらししてしまったときやオムツに排泄していたときは、穏やかな口調で「濡れちゃったね。次はトイレでしようね」と根気強く伝えていきましょう。

3 【年齢別】トイトレの進め方

保育園のトイトレの進め方はどのようなものでしょうか。年齢別に見てみましょう。

3-1 【0〜1歳頃】トイレの存在を知らせる

オムツをしている子どもは、大人がトイレを見せない限りはトイレの存在を知ることができません。そのため、2歳頃突然トイトレをスタートして初めてトイレの存在や、うんちやおしっこを知る子どもも少なくないのです。その場合、トイレを拒絶し、泣いてしまう子どももいます。

そのため、保育園では赤ちゃんの頃からトイレへ連れていく場合があります。少なくとも安定して歩けるようになると日常的にトイレの近くでオムツ替えを行ない、トイレに慣れるようにします。

子どもの歩行が安定しトイレに慣れてきたら、次はトイレに座るように誘います。この時は転倒しないように、必要なら体勢を支えてあげましょう。この段階は排泄はできなくてもトイレに座るだけでOK。トイレに座れたらたくさん褒めてあげましょう。

3-2 【1歳頃】活動の区切りでトイレに行く習慣を

トイレに行くことが習慣化されるように、活動の区切りで子どもをトイレに誘いましょう。例えば、朝の会の前、外遊びの前、給食の前、お昼寝の前です。

はじめは乗り気にはならないかもしれませんが、トイレに行った後に楽しい活動が始まることを覚えれば、だんだんスムーズにトイレに行けるようになります。

タイミングが合って排泄ができることもあります。その時は、最大限の褒め言葉をかけます。保護者にも必ず伝え、子どもの自信や達成感に繋げましょう。

3-3【2歳頃】尿意を把握し自分でトイレに行けるように

2歳頃になると、だんだんおしっこが出る感覚を理解するようになります。トイレに行くことが習慣化していれば、トイレで排泄することが自然と増えていきます。

排泄することが増えてきたら、トイレットペーパーの使い方を知らせます。はじめは保育士が拭くようにしますが、徐々に子どもにも促していきます。ただ、うまく拭けないことも多いため、仕上げは必ず保育士が行うようにしましょう。

3-4 【3歳頃】1人でトイレに行くようになる

子どもが自分で尿意を把握し、トイレへ行くことが当たり前になると、家や保育園のトイレには一人で行けるようになります。

ただし、まだ完璧に一人でできるわけではありません。子どもが不安に感じて見守りを必要とする場合もあります。必要に応じてトイレの見守りを行い、子どもが安心してトイレに行けるようにしましょう。

また、まだまだ3歳。うっかりおもらししてしまうことがあります。そんな時は子ども自身も「やってしまった!」と罪悪感を感じているかもしれません。「できるはずなのになんで?!」と叱らず、「今度はトイレに行こうね」と優しく話しましょう。

3-5【3歳〜】トイレのルールを身につける

安定してトイレで排泄できるようになったら、同時にトイレの正しい使い方を知らせましょう。具体的には次の通りです。

  • トイレが全て使用中の時は、順番を守って並ぶこと
  • 個室は覗かないこと
  • トイレットペーパーは正しく使うこと
  • 汚してしまったときは自分できれいに拭くこと、または先生に知らせること
  • トイレが終わったら必ず手を洗うこと

一度教わっても、時間が経てば疎かになることもあります。時々子どもの様子を確認し、子どもがトイレのルールを守れるようにしましょう。

4 家庭との連携を大切に

トイトレは、家庭との連携なくしては進めることができません。では、どのように家庭との関係を築けば良いのでしょうか?

4-1 家庭や園の様子を共有し合う

とにかく、子どもの様子を話すようにします。トイトレに限らず、「〇〇ちゃん、今日は〇〇できましたよ!」「今日はこんなことをしました!」等、明るく話しましょう。

その延長で、家庭でのトイトレの様子を聞けると良いですね。保護者から話がない場合は、「園ではこうなんですけれど、おうちではどうですか?」と質問すると、家庭での様子が聞きやすいためおすすめです。

4-2 保護者と子どもの意思をよく確認する

はじめはスムーズに進んだトイトレも、途中で失敗が続くこともあります。また、保護者の様子が疲れているように見えたり、具合が悪そうな場合もあるでしょう。

そんな時は、子どもや保護者の話をよく聞き、場合によっては、トイトレの一時休止を提案してみましょう。トイトレは保護者と子どもの双方の心身が元気な時でないと、うまくいかないためです。無理をしても良い結果にならず、保護者や子どもの負担だけが増えてしまうため、保育士はよく状況を観察しましょう。

5 焦らず子どものペースで進めよう

トイトレは、個人差が激しいものの1つです。オムツの卒業への道は、一人一人違うと言っても過言ではありません。年齢による目安はありますが、まずは目の前の子どもと保護者にしっかり向き合うことが大切です。子どもと保護者とより良い関係を築きながら、トイトレを進めましょう!

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