2歳になると、子どもは言葉を使って気持ちや欲求を伝え始める時期ですが、言葉の発達には個人差があります。「同じ年齢の子と比べて話す言葉が少ない」と感じると、親御さんは不安になることもあるでしょう。

この記事では、2歳で言葉が遅れていると感じる子どもの特徴を解説するとともに、家庭でできる具体的なサポート方法をご紹介します。

2歳児の言葉の遅れに見られる特徴

2歳児の言葉の発達は、個人差が大きく、遅れが見られる場合でも多くは一時的なものです。ただし、特徴をしっかりと理解し、適切に観察することで、必要に応じたサポートを早めに行うことができます。

以下では、発語の遅れや理解力と表現力のバランス、コミュニケーション意欲に注目し、それぞれの特徴を詳しく解説します。

発語の遅れとその具体的なサイン

発語の遅れとは、言葉を話し始める時期が平均より遅かったり、話す単語が少なかったりする状態を指します。以下のようなサインが見られる場合、発語の遅れが疑われることがあります。

単語が少ない

2歳頃には300語以上の単語を話すのが一般的ですが、「ママ」「パパ」「ブーブー」などの基本的な単語が出てこない場合は注意が必要です。

1歳 約3語 1語文
1歳半 約30語
2歳 約300語 2語文
2歳半 約400語
3歳 約900語 3語文
3歳半 約1200語

参照:子どもの発音と言葉のハンドブック 山崎祥子著

2語文を話さない

「ママ来て」「お水ちょうだい」といった2語文が見られない場合も、発語の遅れを示す可能性があります。

模倣が少ない

大人の言葉を繰り返す模倣行動が少ないと、言葉を学ぶ機会が減り、発語に影響を及ぼすことがあります。

発音が極端に不明瞭

正確な発音はまだ必要ありませんが、ほとんど何を言っているかわからない場合、発達の遅れが疑われることがあります。

これらのサインに気づいた場合でも、焦らずに観察を続けながら、日常の語りかけや遊びを通じて言葉を促す工夫をしてみましょう。親が安心して接することが、子どもの成長にとって最も大切です。

特に言葉の発達は、子どもによってかなり個人差があるため、少し発語が遅いと感じても様子を見ながら接してあげましょう。

参照:こども家庭庁「子ども家庭総合評価表 記入の目安と一覧表」

理解力と表現力のバランスの違い

言葉の発達では、「言葉を理解する力(理解力)」と「言葉を使って表現する力(表現力)」のバランスが重要です。2歳児の場合、理解力が表現力よりも先行するのが一般的ですが、このバランスが極端にずれている場合は注意が必要です。

たとえば、理解力が進んでいる子どもは、話す言葉が少なくても親の簡単な指示に応じたり、絵本や会話の内容を理解している様子が見られます。このような場合、発語が少なくても大きな問題であることは少なく、子どものペースに合わせて成長を見守ることが大切です。

一方で、理解力はあるのに発語が見られない場合、子どもの性格や発達の個性が影響していることがあります。慎重な性格や恥ずかしがり屋な一面が原因であることも多いため、無理に発語を促すのではなく、日常の会話や遊びを通じて自然に言葉を引き出していくことが有効です。

しかし、理解力と表現力の両方が未発達の場合には注意が必要です。名前を呼んでも反応がない、指示に従えない、周囲の会話に興味を示さないといった様子が見られる場合は、他の発達面も含めて慎重に観察しましょう。

このバランスを理解することで、子どもの特性に合わせた対応ができるようになります。焦らずに見守りながら、日常生活の中で言葉の発達を無理なくサポートすることが大切です。

コミュニケーション意欲の観察ポイント

言葉の遅れが見られても、コミュニケーション意欲があるかどうかは非常に重要なポイントです。以下の観察ポイントに注目しつつ、子どもの意欲を理解しましょう。

ジェスチャーや表情の変化がある

言葉が少なくても、指差しや「バイバイ」の手振り、笑顔などで気持ちを伝えようとしている場合、コミュニケーション意欲はしっかり育っていると言えます。

親の声かけへしっかり反応できている

親が「これは何かな?」と問いかけたときに視線を向けたり指を差したりする場合、言葉を使う準備が整いつつあると考えられます。

周囲への関心がある

他の子どもや大人に近づいて遊ぼうとする行動は、周囲への関心が高く、言葉の発達に向けた意欲を示すサインです。

要求を伝えようとする行動が見られる

「おもちゃを取ってほしい」「おやつが欲しい」といった場面で、指差しや声を出して意思を伝えようとする場合、言葉を使いたい気持ちがあることがわかります。

コミュニケーション意欲が高い場合、言葉の遅れがあっても、それを補う形で成長していくことが期待されます。焦らず、温かく見守りながら、子どもに合ったサポートを続けていきましょう。

言葉の遅れが気になるときのチェックリスト

言葉の発達には個人差があるため、発語の遅れが見られる場合でもすぐに問題と決めつける必要はありません。しかし、具体的なポイントを確認することで、子どもの発達状況をより的確に把握できます。以下では、発語数やジェスチャーの状況、他の発達面との関連性についてチェックすべきポイントを解説します。

発語数と語彙の確認方法

子どもの言葉の発達を評価する際には、発語数や使える語彙を確認することが基本です。日常生活の中で、どのような単語を話しているかをリストにしてみると、子どもの言葉の成長を具体的に把握できます。たとえば、「ママ」「パパ」「ワンワン」といった基本的な単語や、特定の物の名前、動作を表す言葉が含まれているかを観察することがポイントです。

また、2歳頃には「ママ来て」「ジュースちょうだい」といった2語文を話し始める子どもが増えてきます。単語をつなげる試みが見られるかどうかを観察することで、言葉の発達の進み具合を確認できます。

さらに、発語数の目安として、2歳時点で300語以上の単語を話すことが一般的とされています。しかし、理解している言葉が多い場合、発語数が少なくても大きな問題でないこともあります。理解力やその他の発達要素を併せて考えることが大切です。

このように、発語数や語彙の使用状況を丁寧に観察することで、子どもの言葉の発達をより正確に把握できます。発語数が少なくても焦らず、温かく見守りながら、子どもの成長をサポートしていきましょう。

指差しやジェスチャーの活用状況も大事な動き

言葉の発達は、指差しやジェスチャーなどの非言語的なコミュニケーションとも深く関わっています。これらの行動は、言語表現が少ない時期の子どものコミュニケーション意欲を示す大切なサインです。

たとえば、子どもが興味のあるものを指差したり、欲しい物を指差しで伝えようとする場合、コミュニケーション意欲がしっかり育っているといえます。「これが欲しい」「見て!」といった意思表示が見られることは、言葉を学ぶ準備が進んでいる証拠です。

また、「バイバイ」の手振りや「もっとちょうだい」を示す動作など、簡単なジェスチャーを使う行動も、気持ちを表現するスキルが育っていることを示します。さらに、親の仕草や身近な人の動きを真似る行動が見られる場合も、重要な観察ポイントです。

模倣は、観察力やコミュニケーション能力を伸ばすための基本的なスキルであり、非言語的な学びの一環です。指差しやジェスチャーがしっかりと見られる場合も、発語が遅れていても大きな問題でないことが多いです。

言葉の遅れを理解するために他の発達面も確認しよう

言葉の遅れが見られる場合、他の発達面が影響していることもあります。身体的な発達や社会性、感覚の発達が言葉に密接に関連しているため、総合的に子どもの成長を観察することが大切です。

まず、運動能力との関連性についてですが、歩行や走る能力が急速に伸びている時期には、体を使った活動に集中している分、言葉の発達がゆっくりになることがあります。運動面での成長が著しい場合は、焦らず言葉の発達を見守りましょう。

次に、社会性の発達を確認することも重要です。他の子どもや大人と積極的に関わろうとする姿勢が見られる場合、言葉以外の方法でコミュニケーションを取る意欲が育っているといえます。このような姿勢がある場合、社会性は順調に発達していると考えられます。

さらに、感覚面の発達も言葉に影響を与えることがあります。たとえば、聴覚や視覚に問題があると、言葉の遅れが生じる場合があります。呼びかけに反応しない、視線が合わないといった行動が見られる場合は、感覚面での課題が影響している可能性があるため、専門家に相談することを検討しましょう。

言葉の発達を促すための家庭での取り組み


言葉の発達を促すためには、日常生活の中での関わり方が非常に重要です。親子の会話や絵本の読み聞かせ、音楽やリズム遊びを活用することで、子どもが楽しみながら言葉を学ぶ環境を整えることができます。

以下では、家庭で実践できる具体的な取り組みを解説します。

日常の語りかけで子どもの言葉を伸ばそう

日常生活の中での語りかけは、子どもが言葉を学ぶうえで最も基本的で重要な方法です。ただ話しかけるだけでなく、いくつかの工夫を加えることで、子どもの興味を引き出し、効果的に言葉の習得をサポートできます。

まず、語りかける際にはシンプルで具体的な言葉を使うことを心がけましょう。「これ、ボールだよ」「お水を飲もうね」といった短くわかりやすい表現が、子どもに伝わりやすく効果的です。

また、子どもが指差しやジェスチャーで興味を示した物について話を広げることも重要です。「赤い車だね」「ワンワンがいるよ」といった言葉を繰り返し伝えることで、子どもは新しい言葉を覚えやすくなります。

さらに、子どもの反応に対してしっかりと応じることが、言葉の発達を促します。たとえば、子どもが「ブーブー」と言ったら「そうだね、青いブーブーだね」と返すように、オウム返しや新しい情報を加えながら会話を広げると効果的です。

日常の出来事を言葉にする習慣も役立ちます。たとえば、家事をしながら「お皿を洗うよ」「ご飯を作っているよ」と話しかけたり、散歩中に「大きな木だね」「鳥が飛んでいるね」と周囲の物について説明することで、子どもは自然に多くの語彙を吸収します。

普段のさりげない親子の会話を大切にすることで、子どもは言葉への興味を高め、成長につながります。子どもが無理せず楽しみながら語りかけを続けることが、子どもの言葉の発達を促す鍵となります。

絵本を活用して言葉を伸ばそう!効果的な読み聞かせのポイント

絵本の読み聞かせは、新しい語彙や表現を学びながら、子どもが言葉に親しむための素晴らしい方法です。以下のポイントを意識すると、より効果的に活用できます。

子どもが興味を持つ絵本を選ぶ

動物、乗り物、食べ物など、子どもが好きなテーマの絵本を選びましょう。簡単なストーリーやリズムのある文章が、子どもにとって親しみやすく効果的です。

読み聞かせ中に対話を加える

「これは何かな?」「どんな色かな?」と問いかけて、子どもが絵本に参加できるようにします。答えたときにはしっかり褒めて、自信を育みましょう。

繰り返し読む

お気に入りの絵本を繰り返し読むことで、子どもは安心感を得ながら言葉を覚えます。同じ絵本でも、読むたびに新しい発見があるため、学びが深まります。

絵本を日常生活に結びつける

絵本に出てきた動物や食べ物を生活の中で話題にすると、学びが記憶に定着しやすくなります。たとえば、リンゴを見つけたときに「絵本に出てきたリンゴだね」と話しかけてみましょう。

絵本を楽しむ時間を通じて、親子の絆が深まり、自然と子どもは言葉に興味を持つようになります。

楽しく言葉を育む!音楽やリズム遊びの取り入れ方

音楽やリズム遊びは、子どもが言葉のリズムや音を楽しく覚えるための効果的な方法です。無理なく学びの機会を増やせるよう、以下のポイントを取り入れてみましょう。

簡単な手遊び歌を活用する

「いないいないばあ」や「むすんでひらいて」などの手遊び歌は、動作と音を組み合わせることで、子どもの興味を引きやすくなります。楽しみながら言葉に親しめます。

親子で一緒に歌う

親が一緒に楽しそうに歌う姿を見せることで、子どもは歌や言葉に親しみを感じます。「大きな声で歌ってみよう」「静かに歌ってみよう」など、声の出し方を変えると、遊びの幅が広がります。

リズムに合わせた遊びをする

タンバリンや太鼓を使い、「トントン」「ドンドン」とリズムを真似する遊びを取り入れましょう。音と言葉の関連性を学びながら、楽しい時間を過ごせます。

季節の歌を取り入れる

春には「チューリップ」、冬には「たき火」など、季節に合った歌を選ぶと、自然や行事に関連した語彙が増えます。季節ごとの楽しみを通じて学びが深まります。

音楽やリズム遊びは、親子で楽しい時間を共有しながら、子どもの言葉の発達を促す素晴らしい手段です。語りかけや絵本の読み聞かせとバランスよく取り入れ、楽しみながら子どもの言葉の世界を広げていきましょう。

子どもが発達障害かも?と思ったときの相談先

発達障害に関する相談・支援先をご紹介します。
以下の機関は、無料で相談を受けることができます。

発達障害者支援センター(電話相談できる地域あり)

保健、医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携し、地域における総合的な支援ネットワークを構築しながら、発達障害児(者)への支援に関する地域の機関なども紹介しています。
https://www.rehab.go.jp/ddis/action/center/

児童発達支援センター(電話相談できる地域あり)

障害のある子どもが通所し、日常の基本動作・集団適応といったスキルの訓練を行う施設です。お住まいの市区町村へ問い合せが必要です。

精神保健福祉センター(電話相談できる地域あり)

心の問題や病気で困っている本人や家族及び関係者の方からの相談を受け、心の健康・精神科医療についてのサポートをしてくれる場所です。
https://www.zmhwc.jp/centerlist.html

その他

  • 保健所・保健センター
  • 子育て支援センター
  • 児童相談所

などがあります。
それぞれインターネットなどで、お住まいの都道府県や市区町村と併せて検索してみてください。

まとめ

言葉の発達を促すためには、家庭での取り組みがとても重要です。日々の暮らしの中で親子のコミュニケーションを深め、言葉を学ぶ楽しさを伝えることが、子どもの成長を支えます。

  • 日常生活での語りかけ
  • 絵本の読み聞かせ
  • 音楽やリズム遊び

これらの方法を無理なく日常に取り入れ、子どもが安心して言葉を学べる環境を整えることが大切です。親子での楽しい時間を通じて、子どもの言葉の成長を温かく見守りましょう。

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子育て・教育・介護・医療・健康・LGBT・教養・法律など福祉を中心にしたテーマを発信する専門家集団です。各分野の専門家の意見や取材、キュレーションを通じて、幅広い視点で子育て世帯・介護世代に情報価値を提供します。日本の福祉の未来をつなぐ架け橋として活動を行っています。

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