出産後の仕事復帰を考える際、最適なタイミングや進め方に悩む方は多いでしょう。特に家計の事情や社会とのつながりを維持したいという気持ちから、早めに復帰を検討するケースも少なくありません。
さらに、仕事復帰に向けて子どもの預け先の確保や家事・育児のシミュレーションなど、解決すべき問題がたくさんあります。この記事では、仕事復帰の平均期間や復帰を決める際のポイント、悩み別の解決策について詳しく解説します。これから仕事復帰を予定している方は、ぜひ参考にしてみてください。
出産後の仕事復帰までの平均期間とは?
出産後の仕事復帰の平均期間は、厚生労働省の調査によると女性の9割以上が「6ヶ月〜1年」の間に仕事へ復帰していると発表されています。一方、男性の場合は5割以上が「2週間未満」となっています。
したがって、出産後から仕事に復帰するまでは、女性が6ヶ月〜1年未満、男性が2週間未満という期間が最も多いです。もちろん、育児に専念するために長期の育児休暇を取得する場合もありますが、家計の事情や職場の状況によって早く復帰しなけばならないケースも少なくありません。
仕事復帰を決める主な理由とは?
出産後の仕事復帰を決める理由は人それぞれですが、主に以下のような理由で仕事復帰を決める方が多いです。
- 家計の事情
- 職場が人手不足
- キャリアアップのため
それでは、それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
家計の事情
出産後に仕事復帰を決める理由で最も多いのが、家計の事情です。共働きとなることで、収入が増え、経済的にゆとりが生まれます。
家計の事情が仕事復帰の主な理由になるケースには、次のようなポイントがあります。
- 経済的な安定
- 自由に使えるお金の確保
特に子どもが複数いる家庭や将来に備えた貯金が必要な場合、夫婦共働きが家計の安定につながります。
職場が人手不足
出産前に勤務していた職場の人手不足が復帰の理由になることもあります。産休・育休を取っている間、職場は代替の人員で業務を補っているケースが多く、職場の理解がある場合は、復帰の際に優遇措置やサポートが期待できます。
ただし、いきなりフルタイムでの勤務になると、育児や家事の時間が減るため、時間のやりくりが難しくなる場合があります。また、人手不足が原因で元の職場に復帰する場合、育休前と同じレベルの業務が求められる可能性があるため、家事や育児との両立が難しいと感じることも少なくありません。
職場での立場によっては悩んでしまう点ですが、生まれたばかりの赤ちゃんの育児を優先に考えつつ仕事への復帰を検討することが大切です。
キャリアアップのため
キャリアの継続やスキルアップを求めて仕事復帰を選ぶ方も多くいます。出産・育児で一度キャリアを手放してしまうと、再就職で苦労するという懸念から、早めの職場復帰を希望するケースも多いです。
ブランクがあると再就職時に困難を伴うため、キャリアを維持し、スキルアップのために早めに復帰したいと考える方もいます。また、仕事にやりがいや達成感を感じている場合、キャリアを積み上げたいという思いから、出産後も仕事を続けることが選ばれることがあります。
キャリアアップを念頭において仕事復帰をする場合は、家族のサポート体制や自分のキャリアプラン、職場環境を見極めて、タイミングや方法を決めることが大切です。
仕事復帰後の働き方の選択肢
育児と仕事を両立するため、復帰後の働き方を見直すことが重要です。復帰後の働き方には、さまざまな選択肢があります。
ここでは、時短勤務とフレキシブルな働き方や在宅勤務(リモートワーク)での復帰について解説していきます。
時短勤務とフレキシブルな働き方
時短勤務は、小さな子どもを育てる親御さんにとって非常に有用な制度です。フルタイムよりも労働時間を短縮することで、仕事と育児のバランスを取りやすくなります。
特に時短勤務やフレキシブルな働き方を選ぶ場合、以下のようなメリットがあります。
- 時間の余裕を確保できる
- 勤務時間に合わせた職場選びができる
- 予定管理がしやすい
時短勤務制度を利用することで、フルタイムで仕事をするよりも仕事の負担を減らし、家事や育児に専念できる時間を確保できるでしょう。例えば、保育園の送迎や子どもの急な体調不良への対応も比較的楽になります。
また、子育てに理解のある職場であれば、急な休みや時短勤務への配慮も期待できるため、復帰前に勤務時間や職場のサポート体制について事前に確認しておくことも大切です。
在宅勤務やリモートワーク
在宅勤務(リモートワーク)は、子育て中の親にとって柔軟な働き方として人気があります。産後すぐからでも始められるため、家で子どもの世話をしながら収入を得ることが可能です。
ただし、以下のようなメリットと注意点があることも知っておきましょう。
在宅勤務やリモートワークのメリット
自宅で仕事ができるため、子どもの世話や家事と両立しやすく、通勤時間が省けることから時間的な余裕も生まれます。特に子どもの成長に合わせた柔軟な働き方が可能で、体力や気分に合わせて仕事量を調整しやすいです。
在宅勤務やリモートワークの注意点
子どもがまだ小さいうちは、仕事に集中する時間を確保するのが難しい場合があります。特に、赤ちゃんが起きている間は目を離すことができないため、仕事の内容や時間を工夫する必要があるでしょう。
また、体力回復が不十分な場合、在宅勤務でも無理をしないことが大切です。長時間パソコンに向かうことで肩こりや腰痛などの不調が出ることもあるため、自分の体調を観察しながら働くようにしましょう。
仕事復帰後の働き方を選ぶ際には、自分の体力や家族の状況、子どもの年齢などを考慮し、最適な方法を選ぶことが大切です。
仕事復帰のメリットとデメリット
仕事復帰をする際には、メリットとデメリットをしっかりと理解しておくことが重要です。これにより、家庭や育児とのバランスを保ちながら、最適な働き方を選択できるでしょう。
以下では、仕事復帰することの主なメリットとデメリットについて紹介します。
仕事復帰することの主なメリット4つ
育休取得後、仕事へ復帰することの主なメリットは以下のとおりです。
- 収入の増加
- 社会とのつながり
- キャリアの継続
- 家族との時間を確保しやすい
夫婦共働きになることで、家計が楽になり、生活に余裕が生まれます。増えた収入を貯蓄に回してマイホームや子どもの教育資金に備えることも可能です。
また、外で働くことで、家族以外の人と関わる機会が増え、社会との接点を持てるようになります。特に出産前までバリバリ働いていた方にとっては、限られたコミュニティだけで生活することに物足りなさを感じることが多いため、職場復帰によって「もうひとつの居場所」を得られるというメリットがあります。
さらに仕事復帰によって子どもと過ごす時間が減る分、一緒にいる時間をより大切にするようになる点も大きなメリットと言えるでしょう。子育てでは「時間の長さ」よりも「質」が重要だとよく言われるため、限られた時間をより充実させることができます。
仕事復帰することの主なデメリット3つ
仕事復帰することは、収入面の安定など多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットもいくつかあります。
- 時間的な余裕が減る
- 体力の消耗
- 育児と仕事の両立の難しさ
フルタイム勤務や仕事と育児の両立は、時間的な余裕を奪います。特に平日は家事に時間を割く余裕がなくなり、十分な休息を取れないことがあります。また、子どもの体調不良や急な用事への対応に追われることも多く、ストレスを感じる原因にもなりやすいでしょう。
さらに育児中の仕事復帰は、子どもの預け先の確保や家庭内での役割分担など、さまざまな課題に直面します。時短勤務やフレキシブルな働き方ができる職場でも、急な休みを取る際に周囲に負担をかけることがあり、精神的な負担を感じる場合も少なくありません。
このように仕事復帰するには、さまざまなメリットとデメリットがあるため、自分の状況や家族のサポート体制、職場環境などを考慮し、無理のない働き方を選択することが重要です。
出産後に仕事復帰するため必要な準備と心構え
仕事復帰に向けた準備を進める際には、家族の協力体制や子どもの預け先の確保など、さまざまな事前準備と心構えが必要です。以下では、家族のサポート体制の確立と保育園選びの重要性について詳しく解説します。
家族のサポート体制の準備
仕事と育児を両立するためには、家族のサポートが欠かせません。家族が協力して家事や育児を分担することで、安心して仕事復帰できる環境を作ることが大切です。以下のポイントを参考に、サポート体制を整えましょう。
- 役割分担を話し合う
- 周囲への協力依頼
- 家事・育児のシミュレーション
まずは夫婦で家事や育児の役割分担について話し合い、互いに協力し合える体制を整えます。例えば、授乳や離乳食づくりをお母さんがおこない、それ以外の家事(おむつ替え、ゴミ出し、洗濯、掃除など)をお父さんが積極的におこなうなど担当をある程度決めておくとスムーズに育児を進めることができるでしょう。
また、祖父母や兄弟、親戚など、周囲に協力を依頼できる人がいる場合は、事前に相談しておきます。仕事復帰後は、子どもの体調不良や予防接種など、急な予定変更が避けられないため、サポートしてくれる人を確保しておくと安心です。
このように復帰後の生活をイメージし、家事や育児をスムーズにこなせるようシミュレーションをして準備しておくと良いでしょう。保育園の送迎や帰宅後の家事・育児などを何度かシミュレーションすることで、復帰後の生活リズムを整えることができます。
保育園選びの重要性
仕事復帰には、子どもの預け先の確保が必須です。特に保育園選びは早めに始めることが大切であり、復帰後の生活をスムーズに進めるための重要なステップです。
特に保育園選びをおこなうときは、以下のポイントを意識して探すようにしましょう。
- 早めに動く
- 保育園の見学
- 行事や保護者会の負担確認
保育園探しは、早ければ早いほど良いとされています。特に、保育園の入園競争が激しい地域では、生まれる前から保育園の情報を集めておくことをおすすめします。特に保育園によっては、0歳児入園の方が1歳児入園よりも入りやすいケースもあるため、希望の復帰時期に合わせて計画を立てるようにしましょう。
また、保育園の雰囲気や保育内容、先生との相性などは、実際に見学しなければ分からない点が多くあります。大切な子どもを預ける場所だからこそ、見学を通じて園の雰囲気を確認することが大切です。無認可保育園も検討する場合は、先着順で枠が埋まることが多いため、見学の順番にも気を付けましょう。
さらに保育園によっては、保護者が参加するイベントや保護者会などの負担が異なります。行事への参加頻度や役割分担が多い場合、仕事との両立が難しくなる可能性があるため、事前に確認しておくのも保育園選びの判断基準になるでしょう。
まとめ
出産後の仕事復帰をスムーズに進めるためには、事前の準備と家族や職場のサポート体制を整えることが重要です。
仕事復帰には多くのメリットがありますが、デメリットも考慮しながら無理のない働き方を選ぶことが大切です。家族の協力と職場の理解を得て、子育てと仕事をバランスよく両立していきましょう。