赤ちゃんの「初めての言葉」は、親にとって待ち遠しく、感動的な瞬間ですよね。 「うちの子はいつしゃべり始めるの?」「他の子より言葉が遅い気がする…」と心配になることもあるかもしれません。赤ちゃんの言葉の発達には個人差があるため、焦らず成長を見守ることが大切です。
この記事では、赤ちゃんが何歳頃から言葉を話し始めるのかを解説し、言葉の発達段階について詳しくご紹介します。さらに、「発達が遅れているかも?」と感じたときの対処法やサポートのポイントもお伝えしますので、赤ちゃんの成長を楽しみながらサポートしていきましょう。
赤ちゃんは何歳からしゃべる?言葉の発達段階を解説
赤ちゃんの言葉の発達は、日々の成長とともに少しずつ進んでいきます。最初は「アー」「ウー」といった声を出すだけですが、次第に単語を覚え、意味のある会話へとつながっていきます。この過程を理解しておくことで、赤ちゃんの言葉の発達をサポートしやすくなります。ここでは、0〜3歳の言葉の発達段階を年齢ごとに詳しく解説します。
0~1歳:喃語から初語までの成長
0〜1歳の赤ちゃんは、言葉の基礎となる「声を出すこと」を通じてコミュニケーションの第一歩を踏み出します。
生後2〜3か月頃:喃語(なんご)の始まり
「アー」「ウー」「クー」といった声を出し始めます。喃語は赤ちゃんが発する自然な音で、周囲の人に反応するようになります。
生後6か月頃:音や言葉の模倣
周りの声や音を真似して、「バブバブ」「ダダダ」などの繰り返し音を発することが増えます。
生後9〜10か月頃:意味のない単語を発する
「ママ」「パパ」などの音を出すことがありますが、この時点ではまだ意味を理解していないことが多いです。
1歳頃:初語が始まる
はっきりとした「ママ」「ワンワン」など、意味のある単語を1〜2語話し始める子が増えます。物や人に指を差しながら声を出すことで、コミュニケーションの意思表示をするようになります。
この時期は「声を出す楽しさ」を感じる大切な段階です。赤ちゃんの反応に対して笑顔で返したり、言葉をかけたりすることで、言葉の発達をサポートしてあげましょう。
1~2歳:単語から二語文への発展
1〜2歳の時期は、言葉の数が一気に増え、単語同士を組み合わせる力が育ち始めます。
1歳半頃:単語の理解が進む
「ワンワン(犬)」「ブーブー(車)」など、身の回りの物や人を単語で表現できるようになります。言葉の理解が進み、指示語(「ちょうだい」「おいで」など)も少しずつ理解します。
2歳頃:二語文の出現
単語を2つ組み合わせた「ママ きた」「ワンワン いた」などの二語文を話し始めます。言葉だけでなく、身振り手振りを交えて自分の気持ちを伝えようとする姿も見られます。
1〜2歳の時期は、言葉をどんどん吸収し、知っている単語を組み合わせて表現の幅を広げていきます。そのため、周りの大人がたくさん話しかけることで、語彙力が大きく伸びていくでしょう。
例えば「ワンワン!」と言ったら「そうだね、ワンワンがいるね!」と返すことで、会話の楽しさを感じるようになります。
2~3歳:会話の基礎が形成される時期
2〜3歳になると、子どもの言葉はより具体的で豊かになり、簡単な会話が成り立つようになります。
2歳半頃:三語文の登場
「ママ、これ ちょうだい」「パパ あそこ いく」など、主語と動詞、目的語を組み合わせた三語文が話せるようになります。
質問や応答ができるようになる
「これなあに?」「どこいくの?」など、質問することが増え、会話のやり取りを楽しめるようになります。さらに「イヤ!」「これがいい!」など、自分の気持ちをはっきり言葉で伝えることが増えます。
簡単なストーリーが理解できる
短い絵本やお話を聞いて内容を理解し、簡単に伝え返すことができるようになります。
この時期は会話の基礎が育つ大切な時期です。子どもの言葉を丁寧に聞いてあげることで、さらに語彙力や会話力が育ちます。また、絵本の読み聞かせや質問を通じて、親子のコミュニケーションを深めるのも良いでしょう。
子どもが話し始める平均的な年齢とは?
赤ちゃんが言葉を話し始める時期には個人差がありますが、一般的には段階を経て少しずつ発話の力が育っていきます。「いつ初めて言葉を発するの?」「二語文はいつから?」といった疑問を感じる保護者も多いでしょう。
ここでは、初語が出る時期、二語文を話し始めるタイミング、そして発達の個人差や男女差について解説します。
初語を発する時期の目安
赤ちゃんが最初に意味のある言葉「初語(しょご)」を話し始める時期は、一般的に生後10か月〜1歳半頃とされています。そのため、この時期に「ママ」「パパ」「ワンワン」など、身近な人や物の名前を1語で話し始める子が増えます。
また、発音が不明瞭でも、親が言葉を理解して返すことでコミュニケーションが生まれ、単語の意味を理解しながら、少しずつ発話が増えていきます。例えば「マンマ(ごはん)」「ブーブー(車)」など、日常の中で繰り返し耳にする言葉を話しやすい傾向があります。
1歳半を過ぎてもまだ言葉が出ない場合でも、周りの音に反応したり、指さしやジェスチャーで意思を伝えていれば、言葉の発達の準備段階にいると考えられます。この時期の赤ちゃんには、言葉を聞く機会をたくさん作ることが大切です。日常の中で話しかけたり、絵本を読んだりすることで、自然と初語が出るサポートになります。
子どもの言語発達は個人差がある
言葉の発達には大きな個人差があり、同じ年齢でも話し始める時期やペースは子どもによって異なります。また、一般的に男女で言葉の発達に違いが見られ、言葉の発達自体は環境や性格、興味関心によっても異なります。早く話し始める子もいれば、ゆっくりな子もいます。
そのため、言葉が遅いと感じても、指さしやジェスチャーで意思を示していれば、発達過程に問題がないことがほとんどです。ただし、2歳を過ぎても言葉が出ない、発語が極端に少ない場合は、専門家に相談することも検討しましょう。
早期に対応することで、言葉の発達を適切にサポートする方法が見つかることもあります。
言葉の発達は、子どもそれぞれのペースがあり、比較する必要はありません。焦らず、子どもの興味に寄り添いながら、たくさん話しかけたり遊んだりしてサポートしていきましょう。
言葉の発達を促す親の関わり方とは?
赤ちゃんや子どもの言葉の発達には、親や周囲の人との関わりが大きく影響します。言葉を覚える過程では、日常のコミュニケーションや遊びの中で自然と語彙が増え、会話の力が育っていきます。
ここでは、日常的な語りかけの重要性や絵本の読み聞かせの効果、そして子どもの発音を真似する意義について詳しく解説します。
日常的な語りかけの重要性
赤ちゃんや子どもに日常的にたくさん語りかけることは、言葉の発達を促す最も基本的で効果的な方法です。
語彙力を増やす
日常の中で「今、○○してるね」「このお花は赤いね」など、目の前の出来事や物を言葉にして伝えることで、自然と語彙が増えていきます。
耳から言葉を学ぶ
赤ちゃんは、大人の話す言葉や音を耳で聞きながら、言葉のリズムや発音を学んでいます。繰り返し話しかけることで、徐々に言葉の意味を理解するようになります。
反応に合わせて会話を楽しむ
たとえ、まだ話せなくても子どもの指さしや「あー」「うー」といった喃語に対して「そうだね、ワンワンがいるね!」など、返事をすることで会話の楽しさを感じるようになります。
短く分かりやすい言葉を使う
長い言葉ではなく「おいしいね」「これはボールだよ」など、短くシンプルな言葉で伝えると子どもも理解しやすいです。
日常の何気ない会話が、子どもにとっては「言葉を学ぶ大切な時間」になります。家事や外出時にも積極的に話しかけ、言葉のシャワーをたくさん浴びせてあげましょう。
絵本の読み聞かせの効果
絵本の読み聞かせは、言葉の発達を促すだけでなく、親子のコミュニケーションを深める素晴らしい方法です。
言葉のリズムや発音を学ぶ
絵本の中の繰り返し表現やリズミカルな言葉は、子どもが自然と耳で覚えやすく、発音や言葉の使い方を学ぶ手助けになります。
語彙力が広がる
絵本には日常生活ではあまり使わない言葉や表現も多く含まれています。「動物の名前」や「色」「形」など、子どもが新しい言葉に触れる機会になります。
想像力や表現力が豊かになる
絵本を通して物語の世界に触れることで、子どもの想像力や感情表現が豊かになります。登場人物に感情移入したり、話の流れを理解することで思考力も養われます。
親子の絆を深める
絵本の読み聞かせは、親子で一緒に過ごす特別な時間になります。子どもは安心感を抱きながら、言葉に親しみを感じるようになります。
絵本は、楽しく自然に言葉の力を育てる強力なツールです。毎日数分でも読み聞かせの時間を作り、親子で楽しみながら言葉の発達をサポートしましょう。また、ゆっくりと抑揚をつけて読むことで、言葉のリズムが伝わりやすくなり、子どもが興味を示すページでは、「これは何かな?」などと質問してコミュニケーションを取るようにするとさらに効果的でしょう。
子どもの発音を真似することも大切な行動
子どもが話す言葉や発音を真似することは、言葉の発達を助け、コミュニケーションの基礎を築くうえで大切な行動です。
例えば、子どもが「ブーブー」と言ったら「そうだね、ブーブー(車)だね!」と真似して返すことで、言葉を繰り返す意欲を引き出します。このように子どもの発音を真似して返すことで、「この言葉には意味がある」と気づき、言葉と物事の関連性を学びます。
また、大人が自分の発音を真似してくれることで、子どもは「伝わった!」という安心感や達成感を感じ、これが次の発話への意欲につながります。そのため、子どもが間違った発音をした場合でも、親が自然な形で正しい発音を繰り返すことで、少しずつ正しい言葉を覚えていきます。
【具体例】
子ども:「まんま!」
親:「そうだね、ごはん(まんま)おいしいね!」
このように子どもの言葉を真似しながら返すことで、子どもの気持ちを受け止めつつ、自然に言葉の発達をサポートすることができます。言葉の発達には、親の関わり方がとても重要です。日常的な語りかけや絵本の読み聞かせを通じて言葉の力を育み、子どもの発音を真似することでコミュニケーションの楽しさを教えましょう。
言葉の発達が遅いと感じたときの対応
「同じ年齢の子が話し始めているのに、うちの子はまだ…」と、言葉の発達が気になることもあるかもしれません。しかし、言葉の成長には個人差があり、遅いと感じても慌てる必要はありません。
大切なのは、適切なタイミングで専門家に相談することや、家庭でできるサポートを行いながら、子どもの成長を温かく見守ることです。ここでは、言葉の発達が遅いと感じたときの対応について解説します。
専門家に相談するタイミング
子どもの言葉の発達が遅いと感じたとき、どの段階で専門家に相談すればよいか迷うこともあるでしょう。以下のようなサインが見られる場合は、一度専門機関に相談することを検討しましょう。
1歳半〜2歳頃のサイン
2歳〜3歳頃のサイン
その他のサイン
前述したように一般的に言語の発達には個人差があるため、必ずしも上記のサインに該当したからといって異常があるとは限りません。そのため、できるだけコミュニケーションを取りつつ、十分に観察して相談が必要だと感じたときに専門機関への相談を検討しましょう。
相談先の例としては、以下のとおりです。
家庭でできる言語発達をサポートする方法
言葉の発達を促すために、家庭でもできるサポート方法を取り入れてみましょう。日常生活の中で、少しずつ言葉の学びを積み重ねることが大切です。
日常的にたくさん話しかける
子どもの目を見て、ゆっくりと分かりやすい言葉で話しかけましょう。
「ごはん食べようね」「お外に行くよ」など、日常の行動を言葉にして伝えるだけでも効果があります。
ジェスチャーや指さしを活用する
言葉が出にくい場合でも、ジェスチャーや指さしで意思表示を引き出すよう促します。
子どもの動作に対して「これ?」「取る?」と声をかけて言葉をつなげましょう。
絵本や歌を取り入れる
絵本の読み聞かせは、言葉のリズムや新しい語彙を自然に学べる効果があります。リズミカルな歌や手遊びを一緒に楽しむことで、発語のきっかけが生まれやすくなります。
オウム返しや共感の声がけ
子どもの言葉や喃語を繰り返すことで、言葉のやり取りを楽しむきっかけになります。例えば、子どもが「ワンワン!」と言ったら「そうだね、ワンワンだね!」と返すと、安心感や自信につながります。
遊びを通して言葉を学ぶ
積み木やおままごとなど、遊びの中で物の名前や動作の言葉を伝えましょう。
「これ何かな?」「おいしいね!」などと声をかけながら、一緒に遊ぶ時間を大切にします。
家庭でのサポートは「無理に話させる」のではなく、子どもが自然と発語するきっかけを作ることがポイントです。
焦らず見守ることの大切さを知る
言葉の発達には個人差があり、成長のペースは子どもそれぞれです。他の子と比べて焦るのではなく、温かく見守る姿勢が何よりも大切です。
1つの言葉が出たときや意思表示ができたときは、しっかりと褒めてあげましょう。「すごいね!」「伝わったよ!」という親の反応が、子どもの自信と意欲を育てます。
また、言葉が出る時期やペースには幅があります。「ゆっくり成長しているんだな」とポジティブに捉え、焦らず待つことも大切です。特に言葉を学ぶ時間が楽しいものであれば、自然と興味が湧いてきます。遊びや絵本、日常の会話を通して無理なくサポートしましょう。
もちろん育てる側に不安があれば、早めに専門家に相談することで安心材料が得られます。発達の遅れではなく「成長の個性」だと十分に理解できる良い機会になることもあるでしょう。
言葉の発達は時間がかかることもありますが、子どもは日々少しずつ成長しています。焦らず、子どもの努力や発達のサインに気づきながら、一緒に楽しむ姿勢を大切にしましょう。
まとめ
多言語環境で育つ子どもの言語発達は、適切なサポートと温かい見守りによって自然に進んでいきます。複数の言語に触れることは、子どもの認知力や柔軟な思考力を育てる大きなメリットがあります。
日常的に楽しく言葉に触れる機会を作り、絵本や歌、遊びを通じて自然に言語を学ぶ環境を整えることが大切です。子どものペースを尊重しながら、焦らず成長を見守る姿勢が、言葉の発達を支える大きな力になります。