子どもたちの健康や幸せを願うこどもの日。「こども」と名前がついている祝日なので、子どもたち自身も身近に感じやすいイベントです。

保育園や幼稚園では、こどもの日の由来や意味を伝えたり、こどもの日にちなんだ活動をしたりすることも多いのではないでしょうか。そこで今回は、こどもの日を感じられる保育アイディアや、こどもの日の意味や由来の伝え方をご紹介します。保育士や幼稚園教諭の方は、ぜひ参考にしてみてください。

こどもの日とは?

「こどもの日ってどんな日なの?」と子どもたちから質問されることもあるでしょう。こどもの日の意味や由来は事前に確認しておくことが大切です。

こどもの日の由来・意味

こどもの日は1948年に制定された祝日のひとつで、「こどもの人格を重んじ、子どもの幸福をはかるとともに、母に感謝するための日」となっています。これをかみ砕いて言うと、「産んでくれた母に感謝し、こどもの健康や幸せを祝い願う日」です。

もともと5月5日は「端午の節句」という行事を行う習慣があったので、端午の節句とこどもの日を合わせてお祝いする事が多くなっています。

端午の節句とは

端午の節句は、奈良時代から続く伝統行事であると言われています。端午の「端」は「はじめ」という意味があるので、「最初の午(うま)の日」と解釈できます。昔の中国の暦では、午は5月なので、最初の午の日は5と5が重なる5月5日のことです。

端午の節句には菖蒲(しょうぶ)の節句という別名もあります。菖蒲=尚武と認識され、武士をイメージすることから、かつては男の子のための行事となっていました。女の子は桃の節句で3月3日に「ひな祭り」を行うのが一般的です。ただ、最近ではどちらの行事も男女関係なくお祝いすることも少なくありません。

こどもの日のシンボルと込められた願い

こどもの日には、こどもの日を象徴するシンボルがいくつかあります。それぞれに意味や願いが込められていますので、こどもの日の由来とともに、子どもたちに伝えてあげましょう。

こいのぼり

こいのぼりは鯉という魚を模したものです。鯉は、水の流れの早い川でも元気に泳ぐことができます。また、中国では、滝を登り切った鯉が天を泳ぐ竜になれるという言い伝えもあるそうです。こいのぼりには、「子どもたちが、鯉のように元気にたくましく成長するように」という願いが込められています。

こいのぼりの先端に飾る五色の吹き流しの役割は、「魔除け」です。健やかに成長するために、悪いものを追い払うといった意味があります。また、こいのぼりを飾ることで、神様に子どもが産まれたことをお知らせし、守っていただくための目印にしたという説もあります。

【こいのぼりの飾り方】

  • 五色の吹き流し
  • 真鯉(まごい)=黒くて一番大きい鯉
  • 緋鯉(ひごい)=赤くて二番目に大きい鯉
  • 小鯉(こごい)=青くて、一番小さい鯉

兜・鎧

端午の節句では男の子のいる家庭は、兜や鎧を飾ることもあります。兜や鎧は、武士の身を戦から守ってくれる護身具でした。そのため、病気や事故などの厄災から守るという願いが込められていると言われています。

当時の武士にとっても、兜や鎧は戦いにいくための道具という役割だけでなく、無病息災を祈願して各家庭に飾る「神聖なもの」でもありました。そのため端午の節句で兜や鎧を飾る際には、天気や縁起の良い日に出し、端午の節句が終わったら早めにしまう習慣ことも習慣として残っています。

五月人形

五月人形も、子どもの健やかな健康を願うためのものです。「子どもの代わりに厄災を引き受ける」、「子孫繁栄を願う」といった意味も込められていると言われています。子どもの厄を引き受けてくれるため、五月人形には触れてはいけないというルールがあるので注意しましょう。

五月人形として有名なのは、金太郎や桃太郎です。どちらも物語の主人公で、「勇敢で優しい」ことで知られています。五月人形を飾るのには、「金太郎や桃太郎のように、思いやりがあり頼れる子に育ってほしい」という願いも込められています。

菖蒲の花

端午の節句の別名は菖蒲の節句です。菖蒲とは植物で、5月に旬を迎えます。菖蒲は、ハーブのような強い香りが特徴です。邪気を払うとされ、薬草として親しまれてきました。

5月は季節の変わり目で、疲れが出やすい時期です。菖蒲の花がこどもの日のシンボルのひとつになっている理由には、「英気を養い健康に過ごす」という意味も込められています。

かつては、菖蒲酒を飲む、菖蒲枕で寝るなどさまざまな使用方法がありましたが、現在では、こどもの日に菖蒲湯に入浴する習慣が定着しています。

こどもの日の行事食

こどもの日の行事食は、柏餅やちまきです。端午の節句で食すお菓子として知られています。なぜ、こどもの日に柏餅やちまきを食べるのでしょうか。ここではこどもの日の行事食である、柏餅やちまきの意味や由来を解説します。

柏餅

白いお餅のなかにあんこが入っていて、そのお餅を柏の葉で包んだものが柏餅です。柏餅は江戸時代に、端午の節句のお菓子として定着したと言われています。

柏の葉は、新しい芽が出るまで古い葉っぱが落ちないのが特徴です。そのため、子孫繁栄の意味を込めて柏餅を食べるようになりました。

ちまき

関西地方では柏の気が育ちにくかったため、ちまきが定着しました。ちまきは、もち米や米粉で作った餅を、笹の葉でくるんで蒸したものです。

本来は茅(ちがや)という葉を使っており、中国では茅には邪気を払うという意味がありました。そのため、ちまきを食べるのには、厄除けの意味も込められていると言われています。

こどもの日の伝え方やポイント

こどもの日が近づいてい来たら、行事の意味や由来、シンボルなどについて子どもたちに話をすることが多いでしょう。こどもの日について伝える際には、以下の2つのポイントをおさえることで、的確に解説できるようになります。こどもにしっかりと伝わるように、事前に保育方針や保育内容を考えておきましょう。

こどもの日の保育のねらい

こどもの日の意味や由来を伝える目的は何か、どのような保育目標を立てるのかを明確にするためにも、まずはこどもの日の保育のねらいを確認することが重要です。

【こどもの日の保育のねらい】

  • こどもの日が、自分たちの成長を願うための日であることを知る
  • 家族や保育者など、周りの人から見守られていることに気付く
  • 健康でいられることや周りの方の支えに感謝をする
  • 今後も健やかに成長するためにはどう生活していくかを考える など

遊びを通して楽しく伝える

ただ単に話をするだけでは、完全には理解しきれない場合もあるでしょう。そのため、遊びを取り入れながら「こどもの日」を体験することで、記憶に残りやすくなります。

遊びを取り入れる前には、「絵本で導入する」「人形劇を行う」「実際に兜やこいのぼりを見てみる」といった工程があるとベストです。話で聞いたものを実際に目で見たり、触ったり体験すると、話の内容を理解しやすくなります。

こどもの日の過ごし方!保育アイディア6選

こどもの日にできる遊びや保育アイディアをご紹介します。こどもの日に興味関心を持ってもらうためにも、保育に取り入れてみましょう。

兜鬼ごっこ

普通の鬼ごっことルールは同じですが、鬼は兜をかぶる点が異なります。鬼がかぶる兜は新聞紙で簡単に作成できるので作ってみましょう。

【兜の作り方】

  • 新聞紙を正方形に切る
  • 切った新聞紙を三角形になるよう半分に折る
  • 三角形の両端の角を頂点に合わせて折る
  • ぺらぺらと開く方を下に来るように置く
  • ぺらぺらとしている三角形を頂点に合わせて折る
  • 頂点に合わせた部分(両サイド)を外側に少し折る
  • 下側のぺらぺらしている部分のうち1枚を上に向かって折る
  • 残りの1枚を内側に向かって入れ込む

こいのぼり紙飛行機

折り紙で作ったこいのぼりを、紙飛行機のように飛ばして遊ぶゲームです。1番遠くに飛んだ人の勝ちという単純なルールなので、年齢の小さいクラスでも楽しめます。

【こいのぼりの作り方】

  • 折り紙を三角形になるように折り、一度広げる
  • 三角の角を折り紙の中心に向かっておる
  • 折った部分をさらに2回折る
  • 折り紙にうろこの模様を書く
  • 折り紙を丸めて、端をのりで貼り合わせる
  • 貼り合わせて部分に紙を貼り、飛ばす際の持ち手を付ける
  • こいのぼりに目を書く

こどもの日クイズ

クイズは道具や材料を用意する必要がなく、空き時間に気軽に取り入れられる遊びです。こどもの日にちなんだ問題を作って遊びましょう。

【クイズの一例】

  • こどもの日は何月何日か?(①5月5日②10月10日③3月3日)
  • こどもの日に飾るのはどれ?(①ひなにんぎょう②こいのぼり③たんざく)
  • こどもの日に食べるお菓子はなに?(①かしわもち②みたらしだんご③ようかん)
  • こどもの日のお花といえば?(①ひまわり②しょうぶ③つばき)

こいのぼり旗あげゲーム

手に持てるようにミニサイズのこいのぼりを作れば、旗あげゲームができます。旗あげゲームは保育者の指示通りに旗を上げ続けられた人の勝ちです。

ここでは、簡単に作成できる方法をご紹介しますが、こいのぼりはさまざまな手法で作成できます。幼児クラスでは、デカルコマニーや吹き絵といった製作技術を使用しアレンジするのもおすすめです。

【旗あげ用こいのぼりの作り方】

  • 赤と白の画用紙を1/4程度の大きさに切る
  • 割りばしに画用紙を貼り付ける
  • 画用紙の端をこいのぼりの尾ひれの形に切り込む
  • クレヨンやマーカー、シールなどでこいのぼりを装飾する

菖蒲湯遊び

室内用プールを広げて、菖蒲湯ごっこをするのも保育アイディアのひとつです。難しい製作工程がないので、年齢の小さい子どもでも安心して遊べます。

【菖蒲湯の作り方】

  • 室内用プールを広げる
  • 新聞紙を細長くちぎって入れる(お湯に見立てる)
  • 画用紙に菖蒲の花を書き、花の形に切って新聞紙の上に置く
  • 菖蒲湯に入って遊ぶ

和菓子屋さんごっこ

柏餅を作って、和菓子屋さんごっこをしてみましょう。作って楽しむだけでなく、ごっこ遊びにも展開できるので長時間楽しめます。

【柏餅の作り方】

  • ティッシュ1~2枚を優しく丸めて、花紙で包む
  • 緑色の折り紙や画用紙を葉っぱの形に切る
  • 葉っぱの内側に両面テープを付け、お餅に見立てた花紙の外側に巻く
  • 画用紙や廃材を使って、お餅を置くお皿を作る
  • お皿の上にお餅を置く

食育にも最適!柏餅の作り方

保育カリキュラムに余裕がある場合には、子どもたちと一緒に柏餅を作るのもおすすめです。食べ物の大切さや作り手のありがたさを感じられるので、食育にもなります。柏餅は意外と簡単に作れるので、保育園や幼稚園でも気軽に取り入れられるでしょう。

ただ、アレルギーには十分配慮する必要があります。事前に保護者にお知らせしておきましょう。

材料

柏餅5個分の材料をご紹介します。実際に柏餅を作る際には、クラスの人数に合わせて調整してみてくださいね。

  • 新粉:200g
  • 砂糖:大さじ1
  • 熱湯:200ml
  • 粒あん:200g
  • 柏の葉:5枚
  • 蒸し器
  • お湯(適量)
  • ボウル
  • 菜箸

作り方

1.粒あんを5等分にして丸める
2.蒸し器にお湯を適量入れ、沸騰させる
3.蒸し器の上段にクッキングシートを敷く
4.ボウルに上新粉と砂糖を入れて菜箸で混ぜる
5.熱湯を注ぎ、再度菜箸で混ぜる
6.生地がまとまるまで手でこねる
7.生地を一口大にちぎる
8.蒸し器に生地を入れ、蓋をして中火で5~10分蒸す
9.クッキングシートの上に取り出し、熱いうちによくこねる
10.生地を5等分に分ける
11.生地を楕円形に伸ばし、粒あんを入れて包む
12.お餅を柏の葉で包む

食感の良いお餅に仕上げるためには、熱いうちによくこねることが重要です。子どもが行う際には、やけどの十分注意しできるだけ保育者が援助しましょう。

また、火を扱うので、机の上が雑然としないようきれいにしておく必要があります。エプロンや三角巾を付けることで、衣服が火に触れる危険性や汚れの心配が減り、衛生的にも適した状態になります。

柏餅作りに積極的に参加する子と、全く参加できない子に二極化しないよう、全員に役割を持たせることも重要です。ただ、年齢が小さい場合には無理して参加させる必要はありません。みんなが楽しく参加できるように配慮しましょう。

まとめ

こどもの日は、子どもの成長を願い、日々の暮らしに感謝するための日です。こいのぼりを出したり五月人形を飾ったりと、園全体でこどもの日にちなんだ行事を行う場合もあります。

活動を行う前にこどもの日の意味や由来を子どもたちに分かりやすく説明することで、行事に対する理解が深まり、より有意義な時間を過ごせるようになるでしょう。また、遊びを取り入れながら楽しくお祝いすることで、記憶に残る行事になります。今回の保育アイディアや伝え方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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