毎日、子ども達の成長を見守ることができ、大きなやりがいがある保育士。しかし、やりがいと同時に大変さや厳しさを感じることも多い職業の1つです。1度は転職を考えたことのある保育士さんも多いのではないでしょうか。
数えられないほどの多くの保育園がありますが、実は保育士の転職理由は同じ理由がほとんどです。では、転職理由はどんなものがあるのでしょうか。
今回は保育士の転職理由ランキングTOP5と転職前にできる3つのことをご紹介します。転職を考えている保育士さんは是非参考にしてみてくださいね。
保育士の離職率は高い?
万年、保育士不足や定着率の悪さがイメージについてまわる保育士という職業ですが、保育士の離職率は10%前後と言われています。
1年間に10人に1人の保育士が職を離れるイメージです。これは他の職業と比べても、決して高い離職率ではありません。
しかし、厚生労働省が発表している「保育士の現状と主な取組」という調査資料には、以下のような記載があります。
- 経験年数は、経験年数が低い層の保育士が多く、8年未満の保育士が約半分
- 離職率は9.3%であり、私営保育所においては10.7%となっている(平成29年時点)
つまり、ベテラン保育士が育つ前に、経験年数の低い保育士が辞めてしまうために「保育士はすぐに辞めてしまう」というイメージが定着しているのでしょう。
ただし、近年では保育士キャリアアップ研修制度など処遇改善が期待できる制度も増えていることから、保育士自身が働きやすい環境に身を置くことが重要です。
保育士に多い転職理由ランキングTOP5
以下は厚生労働省が公表している保育士の主な退職理由です。
とくに人間関係や給与面で不安に感じて退職する保育士は、多いことがわかります。
ここでは、保育士に多い転職理由を5つ紹介します。
これから転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
人間関係の悩みがある
保育士の転職理由で最も多い理由が「人間関係の悩みがある」というものです。
どの職種でもついてまわる人間関係ですが、保育業界にとっての人間関係の悩みは、1番の悩みのタネになりやすいでしょう。
例えば、園長や主任などの管理職と考え方が合わないことも辛いですが、一緒に保育を担当する保育士と合わない時、大きな苦痛を感じてしまう人も多いです。
人間関係については、うまく付き合える人とそうでない人がいるため、あまりにも自身に適していないようであれば、環境を変えることも選択肢の1つでしょう。
給与や福利厚生への不満
子どもの命を預かるという責任重大な仕事である保育士ですが、年々、給与や待遇は変わりつつあります。
責任が大きい仕事である一方で、一般企業に比べ、給与が低いことも多く、続ければ続けるほど不満も溜まっていく人もいるでしょう。
例えば、良く聞かれる不満の1つに有休が取得しにくいというものがあります。他にも、退職金の制度が整備されていない場合があるなど、保育士を取り巻く現状は厳しいものがあります。
したがって、転職活動をおこなうときは、給与面だけでなく福利厚生が十分に整っているかどうかもしっかり確認しておく必要があるでしょう。
ワークライフバランスが実現できない
正規保育士は、シフト勤務が一般的です。早番で早くあがろうと思っていても、書類などが溜まっていると、ついつい残業してしまうこともあります。
また、変則勤務で遅番が混じるため、なかなか疲れが抜けないという保育士さんも多く、さらには隔週で土曜勤務も必ず入ってきます。
このように毎日のシフトが組まれている保育士は、時間固定で働く一般企業に比べて仕事とプライベートを両立させにくいと感じる方も多いでしょう。
とくに保育士の業務は、子どもたちを預かるという大きな責任のもと仕事をしなければならないため、ワークライフバランスが整えやすい職場を見つけることも必要です。
保育方針が合わない
保育士をしていくうえで、大切にしていきたいのが「自分の保育観」ではないでしょうか。
保育観と法人の方針が合わないと、ちょっとしたことにもストレスを感じる場面が多くなります。
さらに同じクラスの担任同士や、よく関わる人との保育観が合わないことも多々あるでしょう。
小さなことでも常に連携が必要な保育士の仕事で、大きく考えが異なることはストレスになってしまう可能性が高いです。
したがって、自身の保育方針がその保育園と合致しているかも常に確認しておきましょう。
結婚、出産による環境の変化
保育士を続けていくうえで、大きな壁となるのが、結婚、出産です。
ただでさえ、ワークライフバランスの取りにくい保育士ですが、パートナーができたり、子どもができたりすると、さらに働き方に悩む人も多いでしょう。
例えば、子どもが生まれ、保育士を続けていく場合には、まわりの人の協力が必要不可欠です。
正社員保育士として働いていく上で、基本的にシフト勤務は必須条件の1つである園も多いことでしょう。子どもを保育園に預けて働くためには、自分以外の誰かの手を借り、送迎をしてもらう必要があるのです。
とくに結婚・出産による環境変化は、保育士の退職理由の1つにもなっているため、保育園側からの支援があるかどうかも確認しておくと良いでしょう。
転職を考える前にできる3つのこと
いざ、転職をしようと決めても、働きながらの転職は想像しているよりも大変なこともあります。
転職活動には大きな労力と時間を必要とするのです。ここでは転職を考える前にできる3つのことをご紹介します。
情報収集をする
1つめは情報収集です。
転職活動を開始するには、求人情報や他の保育園の給与・福利厚生などの情報を可能な限り収集するようにしましょう。
今ではさまざまな情報がインターネット上にあるため、仕事の合間や休日等を使って情報を集めるところから始めることが重要です。
先輩に相談する
2つ目は先輩に相談するということです。
信頼できる先輩がいる人は、自分より経験のある人に相談することをおすすめします。
とくに中途採用の保育士が先輩にいる場合は、転職活動の経験がある可能性も高いため、インターネット上の情報よりも参考になる部分が多いでしょう。
ただし、先輩に相談する場合、転職や退職を良く思わない人もいることに注意してください。
日頃から信頼関係が構築できている人に相談するようにしましょう。
園長に相談する
3つ目は園長に相談するということです。
こちらも信頼関係ができているという条件付きになりますが、最終手段として園長に相談してみても良いでしょう。
現場の細かな業務についての相談は不向きかもしれませんが、勤務地や、人間関係など、勤務上の問題になるような点は具体的な解決策が見つかることもあるかもしれません。
突然、相談することは難しいですが、信頼関係を築いたうえで、内容を精査しながら相談するようにしましょう。
ほとんどの園で年に数回は園長面談を取り入れています。
そのような機会を無駄にせず、話をすることで、他職員にも気付かれにくく相談を進めることができるでしょう。
まとめ
今回は保育士の転職理由TOP5と転職前にできる3つのことを紹介しました。
さまざまな理由で転職を考える保育士さんは多いと思います。
ただし、自分と同じ境遇の保育士がどのような理由で転職を考えているのか、少し知るだけでも今後の転職活動の参考になるでしょう。
本文中にも述べましたが、働きながらの転職活動には多くの時間と労力を使います。
もし、これから転職を検討したいと考えている方は、今回紹介した主な転職理由と転職前にできる3つのことを参考にしてみてください。