「絵描き歌」といえば、どんなものが思いつきますか?歌いながら楽しく絵を描ける絵描き歌には、定番の「コックさん」の他にもいろんなものがあります。絵描き歌の特徴やおすすめの絵描き歌をご紹介します。
1 絵描き歌ってどんなもの?
絵描き歌には、有名な「コックさん」をはしめ、さまざまなものがあります。そんな絵描き歌には、どのような特徴があるのでしょうか?
1-1 歌いながら絵を描く
「絵描き歌」とは、読んで字の如く、絵を描きながら歌うことです。昔からある有名なものでは、「コックさん」があります。似たものでは「へのへのもへじ」もありますが、これは歌わずに描くため「文字絵」と呼ばれ、絵描き歌とは区別されています。
面白いメロディーや歌詞の中で絵を描く「絵描き歌」は、古くから人々に親しまれ、またさまざまな場面で新しい絵描きが生み出されています。
1-2 歌のストーリーを楽しめる
絵描き歌の歌詞は、うまく絵を描けるように形を伝えるものです。しかし、絵描き歌の歌詞の中には、最後に出来上がるものとはまったく関係のない歌詞のものがあり、そのギャップからくる面白さを味わうことができます。
例えば「コックさん」では、「葉っぱかな 葉っぱじゃないよかえるだよ かえるかな かえるじゃないよあひるだよ」「6月6日に雨ザーザー降ってきて」等、展開が気になる歌詞が沢山あります。
このように歌かき絵には、絵を描きながら歌詞の世界観を想像する面白さがあります。絵描き歌が長きに渡り歌い継がれているのは、この面白さが故なのかもしれません。
1-3 出来上がりには意外性あり
絵描き歌では、歌詞の中に出てくるものとは全く関係ないものが完成することがあります。
例えば、「コックさん」では、「棒が一本あったとさ」と、コックさんとは関係ないものから歌詞がスタートします。その他にも「かえる」や「アヒル」、「6月6日の雨」等、歌詞は「コックさん」とは関係のない不思議な展開をしていきます。
最後には、パンが出てきて突然コックさんになります。最後の意外な展開に、初めて「コックさん」の絵描き歌を描く子どもは、驚きと面白さを味わえることでしょう。
1-4 メロディーは簡単で親しみやすい
絵描き歌のメロディーは、単調なもの、有名なメロディーの替え歌が多いです。それは、絵描き歌は歌いながら絵を描くためです。つまり、絵を描くことを邪魔せず、簡単で親しみやすいメロディーとなっていると考えられます。
耳に馴染みやすいメロディーは、絵描き歌か子どもの頃から楽しめる理由のひとつになっているでしょう。
2 子どもと絵描き歌を行うねらい
子どもと絵描き歌を行うと、子どもにどんな影響があるのでしょうか。また、保育ではどのようなねらいが考えられるでしょうか。
2-1 絵に親しむ
子どもも大人と同じように、絵が好きな子どもいれば絵が嫌いな子どももいます。得意な子も苦手な子もいることでしょう。
絵描き歌は文字通り歌いながら描くため、意外な仕上がりになることがあります。同じ絵描き歌でも毎回微妙に表情の違った絵が出来上がることでしょう。その面白さで、絵が苦手な子どもにも絵への関心を高めてくれることでしょうし、絵が得意な子どもにも新たな発見があることでしょう。
2-2 形を認識する
絵描き歌の歌詞には、丸や三角形などの形を表す言葉がたくさん出てきます。なかには、丸は丸でも「おまめ」や「コッペパン」のように小さい丸や楕円形を表す言葉もあります。
絵描き歌を行うことによって、言葉から形をイメージしたり、表現したりすることができます。ただひたすら図形の描き方を練習するよりも、絵描き歌なら楽しくやることができます。
もちろん初めから上手く描くことはできません。それでも絵描き歌の楽しさを味わうことができれば、だんだんと集中し繰り返し行うことができるでしょう。絵描き歌は、子どもが楽しみながら、形を認識できる方法の一つなのです。
2-3 歌やリズムに親しむ
絵描き歌の歌の部分に注目すると、単調でわかりやすいものがほとんどです。逆に言うと、覚えやすく親しみやすいものです。
絵を描きながら歌うことは初めは難しいものですが、子どもは一度体で慣れるとすぐに覚えて楽しめます。覚えやすい絵描き歌のメロディーは子どもに親しみやすく、繰り返し行う子どもはリズム感も培われることでしょう。
2-4 完成したときの達成感を味わう
子どもの時期に達成感を味わうことは、とても重要です。なぜなら、達成感を味わうことで、自己肯定感を育てることができるからです。
自分に自信を持つことができる、自分はかけがえのない大切な存在だと認識する自己肯定感を育てるために、達成感は子どもたちに何度でも経験できるようにしましょう。
絵描き歌は、そんな「できた!」という達成感を手軽に味わうことができます。つまり、子どもの時に大事にしたい達成感を味わうためにぴったりの遊びなのです。
3 保育園で行う絵描き歌の注意点
絵描き歌を保育園で行う場合、どんなことに気をつけたら良いのでしょうか。
3-1 保育士が行うときは見せ方に工夫を
絵描き歌を知らない子どもには、まず保育士がやって見せる必要があります。その時には、子どもから保育士が描いている様子がよく見えるように配置をよく考えましょう。
保育士が子どもと向かい合っている場合、右と左は逆になる他、子どもに背を向けてホワイトボード等に描く場合は保育士の体で絵が見えないことをよく注意してください。
絵描き歌は、描いている過程も楽しめる遊びです。しっかりとその楽しさを伝えられるように、工夫して見せるようにしましょう。
3-2 子どもが行うなら3〜4歳頃から
一般的に子どもはお絵かきに1歳頃から興味を持ち始め、歌は2歳頃から自分で歌うようになります。では、絵描き歌はどのくらいの年齢の子どもからできるのでしょうか?
絵描き歌は、歌いながら描くという2つの動きを同時に行う必要があります。また、歌詞から形をイメージして表現する力も必要となります。
そのため、簡単なものでも3〜4歳頃から取り組むようにしましょう。無理強いや否定は行わず、楽しい雰囲気の中で取り組むと、子どもたちは絵描き歌を好きになってくれるでしょう。
3-3 子どもに合わせたサポートを
一般的に3〜4歳で始めることができる絵描きですが、もちろん個人差もあるため、子どもの様子をよく把握することが大変です。
歌が苦手なら歌を練習したり、保育士が歌を歌って子どもに絵を描かせたり、丸がうまく描けないなら丸を描く練習をしたり、できるだけ丁寧に対応しましょう。
また、嫌がって子どもがやりたがらない場合は、無理強いは禁物です。子どもが自分から進んでやりたくなるような雰囲気作りに力を注ぐようにしましょう。
4 保育園でおすすめの絵描き歌
保育園でおすすめの絵描き歌はどんなものでしょうか?おすすめの7選をご紹介します。
4-1 線の練習「あめふり」
初めて行う絵描き歌には、線の練習が出来る「あめふり」がおすすめです。雨をイメージしながら、縦にまっすぐ線を描くというもので、簡単に始めることができるでしょう。
4-2 波線の練習「うみ」
「あめふり」ができるようになったら、次は「うみ」がおすすめです。「うみ」の歌に合わせて波線を描いていきます。
波線を描くことは、子どもには意外と難しいものです。波をイメージできるように、言葉や絵でうまく伝え、練習する様にしましょう。
4-3 丸の練習「しゃぼん玉」
子どもが3歳頃になり丸を描くようになったら、「しゃぼん玉」の絵描き歌がおすすめです。「シャボン玉」の歌の世界観をイメージしながら、丸や点を描くと、とても楽しい時間になるでしょう。
この絵描き歌では、丸がうまく描けなかった場合にも歌詞にあるように「壊れるシャボン玉もあるね」と子どもの頑張りを認めることができます。いろいろな形のシャボン玉を子どもと楽しみましょう。
4-4 うさぎ
イメージしやすいうさぎは、絵描き歌にぴったりです。おすすめは、「チューリップ」の簡単なメロディーに乗せて描く絵描き歌です。「おやま」や「おまめ」等、子どもでもイメージしやすい言葉で進めます。
はじめはうまく描けない表情も、繰り返すとだんだんうまくできるようになるはずです。
4-5 電車
四角形や丸が描けるなら、電車の絵描き歌がおすすめです。「チューリップ」等のメロディーで簡単に描き進めることができます。
四角形や丸の大きさがどのくらいでちょうど良いかイメージできると上手く描くことが出来るでしょう。
4-6 キャラクター
有名なアニメ等のキャラクターの絵描き歌はたくさんあります。キャラクターは少し複雑な形をしていることが多いため、5〜6歳くらいの子どもにおすすめです。
アンパンマンやピカチュウ、ドラえもん、トトロ等があり、子どもたちの興味に合わせて選ぶと良いでしょう。
4-7 オリジナル絵描き歌に挑戦!
子どもと一緒にオリジナルの絵描き歌を作ることも楽しいためおすすめです。まずはメロディーと描くテーマを決めます。歌詞は子どもと一緒にどんな言葉にしていくか、考えていきます。
丸は丸でも、お豆くらいかお池くらいなのか、楕円形でもおいなりさんなのかコッペパンなのかというふうに、大きさや様子をよく考えながら言葉を選ぶと良いでしょう。
5 絵描き歌で子どもと楽しい時間を過ごしましょう
絵や歌、図形に親しむことが出来る絵描き歌。動物やキャラクター等さまざまな絵描き歌があるため、子どもが好きなものが必ずあるはずですし、オリジナル絵描き歌を子どもと一緒に作ることも面白いでしょう。ぜひ保育に取り入れて楽しい時間を過ごしてくださいね!