かごめかごめは、日本の伝承遊びのひとつです。かごめかごめの遊びを保育に導入したいと考えている保育士の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、かごめかごめの遊び方やアレンジ方法を紹介します。保育のねらいからかごめかごめで遊ぶメリットもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

かごめかごめはどんな遊び?

かごめかごめの歌やリズムを聞いたことがあるものの、実際に遊んだことがないという方もいるかもしれません。まずは、遊びの概要について解説します。

かごめかごめの概要

かごめかごめは伝承遊びの一種です。大人数でも楽しめる遊びとなっています。

子どもが手をつないで輪を作り、その中に一人が入ります。輪の中にいる子が、歌の終わるタイミングに合わせて後ろにいる人を当てるというゲームです。

歌中に使用されている「かごめ」は、「囲め」の命令形であると言われています。名前の通り、鬼を囲って遊ぶのがかごめかごめのルールです。

かごめかごめの歴史

かごめかごめの歌が確認できる最も古い文献は、「竹堂随筆(ちくどうずいしゅう)」という童謡集です。

1820年に作成された童謡集ですが、1751~1772年ごろに歌われていた童謡が掲載されていると言われています。

当時の歌詞には「なべのなべのそこぬけ」というフレーズが登場することから、なべなべ底抜けの別バージョンの遊びだったのではないかと考えられています。

かごめかごめで遊ぶ3つのメリット

かごめかごめは古くから日本の子どもたちに親しまれてきた遊びです。かごめかごめには大きく3つのメリットがあります。

運動能力やリズム感を養える

かごめかごめは歌を歌いながら、同時に体を動かします。この動作により、リズム感や運動能力が養われるのがメリットのひとつです。

また、複数の動作を同時に行うためマルチタスクの能力も培うことができるでしょう。

さらに、鬼は「誰が後ろにいるのかな」「あの子の声がここから聞こえる気がする」といったように考えることから、考察力や推理力の発達も期待できます。

ルールが分かりやすく乳児期でも遊べる

かごめかごめはルールが分かりやすいという点もうれしいポイントです。

子どもたちは手をつないで輪になって回り、鬼は後ろにいる人を当てるだけという分かりやすいルールのゲームなので、2~3歳児クラスでも楽しめます。異年齢保育の際のレクリエーションにも最適です。

社会性や協調性が育つ

社会性や協調性が育つというメリットもあります。かごめかごめを行う際は、鬼が後ろにいる人を当てる必要があるため、必然的に子ども同士が顔と名前を認識し合っていなければなりません。

また、手をつないで鬼の周りを回るため、子ども同士の自然な交流も生まれます。

さらに、かごめかごめには一定のルールがあり、ルールを覚えてから行うことになります。

誰か1人でもルールを破ってしまうと面白さがなくなってしまうため、社会性や協調性の育成にも役立つでしょう。

かごめかごめを保育に導入するねらい

かごめかごめを保育に導入する際は、ねらいを定めましょう。

活動する前にねらいを定めておくことで、子どもたちにとって有意義な学びの環境を整えることができます。ねらいの一例は以下の通りです。

  • 歌を歌いながら遊ぶことで、リズム感や音感を養う
  • 友達と触れ合う中で、コミュニケーション能力を育む
  • 作戦を立てながら遊びを進める中で、協調性を養う
  • 体を動かして遊ぶことで、身体機能の発達を促す
  • 友達の顔や名前を認識し、関りを深める
  • ルールを覚えて実践する中で、社会性を培う

子どもたちの普段の様子や発達させたい部分を考察しながら、かごめかごめを導入するねらい(目標)を決めましょう。

かごめかごめの遊び方は?

かごめかごめの遊び方を手順に沿って詳しく解説します。乳児期から幼児期まで幅広い年齢の子どもが楽しく遊べる内容になっているので、ぜひ保育に導入してみてください。

かごめかごめの歌詞

かごめかごめは、歌を歌いながら行います。歌詞は以下の通りです。

かごめかごめ
籠の中の鳥は
いついつでやる
夜明けの晩に
鶴と亀が滑った
後ろの正面だあれ

地域性による違いもありますが、ほとんどの地域では上記の歌詞で歌われています。

かごめかごめの遊び方・ルール

かごめかごめの遊び方やルールについて、詳しく解説します。ルールは以下の通りです。

鬼を決める
まずは、鬼を1人決めます。鬼になった人は、他の子どもたちから少し離れた場所に移動し、目をつぶりながらしゃがみましょう。

手をつないで歌を歌う
鬼以外の子どもたちは、鬼を囲むようにして輪を作り、手をつないでスタンバイします。スタンバイが完了したら、歌を歌いながら回りましょう。

後ろにいる人を当てる
歌が終了するタイミングで回るのをやめて、その場で停止します。また、繋いでいた手も離しましょう。

鬼は、「〇〇くん!」などと名前を呼び、自分の丁度後ろにいる子が誰かを当てます。当たった場合は、鬼の勝ちとなるため鬼とその子が入れ替わります。外れた場合は、鬼がもう一度鬼を行いましょう。

かごめかごめを楽しむ5つのアレンジ方法

かごめかごめは比較的ルールが簡単であるため、何度も行っていると子どもが飽きてしまうことがあるかもしれません。

かごめかごめをもっと楽しみたいときは、アレンジを行うのがおすすめです。

おすすめのアレンジ方法をいくつか紹介します。子どもの発達や興味関心に合わせて、適宜アレンジを導入しましょう。

後ろにいる子に関するヒントを出す

大人数で遊びを行った場合、鬼が後ろにいる子を当てるのが難しくなります。しかし、何度も同じ人が鬼をやり続けると、「面白くない」と感じてしまう子が出てくる恐れがあります。

人数が多い場合や当てるのが難しそうなときは、ヒントを出すのも方法のひとつです。例えば、後ろに立っている子が「こんにちは」「僕だよ!」などと声を発したり、保育者が「虫に詳しい子だよ!」などとヒントを与えたりする方法があります。

また、子どもが全員後ろ側に集まり、どのようなヒントを出すか作戦会議を立てても楽しめるでしょう。

踊りを入れたり歌詞を変えたりする

かごめかごめの基本ルールでは、手をつないで鬼の周りを回ります。しかし、動きが一定であるため、4~5歳児クラスでは「もっと面白くしたい」と感じる子もいるでしょう。

そういった場合は、踊りを入れてみたり歌詞を変えてみたりしながらアレンジするのがおすすめです。踊りや歌詞は、子どもたちと一緒に考えながらアレンジすることで、覚えが早くなります。

考える時間に制限を設ける

鬼が考える時間に制限を設けると良いでしょう。制限時間があった方が、ドキドキハラハラとした感覚が増し、スリル感や楽しさを実感できます。

ただし、まだ遊びに慣れていない時期にこのアレンジを加えると、鬼になる子にプレッシャーを与えてしまう恐れがあります。そのため、子どもたちが十分にルールを理解してからアレンジを加えるようにしましょう。

鬼や後ろに行く子の人数を増やす

鬼の後ろに行く子の人数を増やすというアレンジ方法もあります。1回のゲームに参加する人数が多い場合や、遊びに変化が欲しいときに適したアレンジです。

鬼が複数人を指名することになるため、当てられる確率が高まります。また、鬼以外の子がゲームに参加するきっかけが増えるため、遊びの楽しみをより共有しやすくなります。

また、後ろに並ぶ子だけでなく、鬼の数自体を増やすのも方法のひとつです。鬼になる確率が上がるため、スリルを味わえるでしょう。

名前でなく特徴で答える

鬼になる子が後ろにいる子の名前を当てる際、「〇〇ちゃん」などと名前を呼ぶのではなく、「今日白い靴下を履いている子」「髪の毛を結んでいる子」といったように特徴を当てるという遊び方もできます。

新学期に遊びを行うときや異年齢保育を実施する際のように、「まだ友達の名前と顔が一致していない」という時期に適したアレンジ方法です。また、鬼が後ろにいる人を当てられる確率が上がるため、遊びが回転しやすくなります。

かごめかごめを保育に導入する際の注意点

かごめかごめを保育に導入する際は注意したいポイントがいくつかあります。注意点は以下の通りです。

  • 広い場所で行うこと
  • 最初は保育者が手本を見せること
  • やりたくない子は無理に参加させない
  • 自発的な活動を促す など

まず、かごめかごめを行う際は、できるだけ広い空間を確保しましょう。

室内でも楽しめる遊びではありますが、手をつなぎながら回るため物に当たったり転倒したりするリスクがあります。

遊びを導入する際は、保育室内の物をどかす、近くで遊ぶ子がいないようにするなどの対策が必要です。

また、かごめかごめを「やりたい」と子ども自身が思い、自発的に活動に参加できるよう促しましょう。

保育者に無理やり遊びに参加させられると、遊び自体が嫌になる可能性があります。保育者が楽しそうに遊びながら手本を見せることで「自分も参加してみたい」という意欲が自然と出るようになります。

まとめ

かごめかごめは、日本の伝承遊びです。大人数でも異年齢でも遊ぶことができるため、保育レクリエーションでの導入に適しています。

「友達とのかかわりが増える」「コミュニケーション能力を養うことができる」「考察力や推理力が養われる」といった効果も期待できます。

また、かごめかごめを行う際は、「広い場所で行う」「自発的な活動を促す」といった配慮が必要です。注意点を事前に押さえておくことで、より楽しく活動を展開できるようになります。遊びを導入する際の注意点やアレンジ方法を紹介した今回の記事も、ぜひ参考にしてみてください。

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