室内遊びは、保育園の園生活を営む上でほぼ毎日行う遊びです。しかし、普段の室内遊びでは自由遊びを行っているというケースも多いのではないでしょうか。空いた時間を利用して集団でできる遊びを取り入れると、子どもたちの気持ちが盛り上がり、より楽しく過ごすことができます。
また、新学期や行事の前など、子どもたちの関係性を深めたいときにもピッタリです。そこで今回は、保育園でおすすめの室内遊びを「運動遊び」「製作遊び」「ゲーム遊び」の3つのジャンルに分けて解説します。
室内遊びのねらいと3つのメリット
保育園で室内遊びを取り入れる際は、遊びのねらいを定め明確な目標を持って行うことが大切です。子どもたちが健やかに成長できるよう、メリットや効果を確認し、クラスの子ども達の様子に合わせて適切なねらいを定めましょう。
【メリット1】天候に左右されない
室内遊びのメリットは、天候に左右されることなく実行できる点です。外遊びの場合、夏の暑い時期や雨・雪の季節では、天候不良が原因となり指導計画を立て直すこともあります。
室内遊びは計画的に遊べるため、保育者にとっても精神的な余裕を持って導入できるでしょう。また、突然計画が変更になる心配がなく、子どもたちも落ち着いて活動に参加させることが可能です。
【メリット2】考える力が身に付く
室内遊びは、手先を細かく使用する遊びが多くなっているのも特徴の一つです。手先を使うことで脳の働きが活性化され、想像力や思考力が身に付くと言われています。
さらにルールが決まっている遊びが多く、社会性を身につけられるのも大きなメリットです。例えば、「分からないことがあれば先生に聞く」や「困ったことがあれば助けを求める」のように順序立てて物事を考え、行動できるようになるでしょう。
【メリット3】コミュニケーション能力を養える
「楽しいね」「上手だね」などと自然と会話が生まれる機会を作れるのも、室内遊びを行うメリットの一つです。お互いに楽しく遊びに取り組めるよう協力したり、時には話し合いをしたりすることで、コミュニケーション能力が身に付きます。
また、ゲームを通して「こうしたら、あの子はどう思うだろう」「この場合は、どうやって声をかけようかな」などと考える中で、相手を思いやる気持ちも育まれます。
保育園で室内遊びをするねらい
年齢や子どもたちの様子によって、設定する「ねらい」は異なりますが、室内遊びのねらいの一例は以下のとおりです。
- 室内遊びを行う中で、友達との関りやコミュニケーションを取ることを楽しむ
- 室内遊びを通して、体の動かし方を学ぶ
- 遊びを楽しみ、自発的に行動するようになる
- 遊びを発展させようと考える中で、想像力や思考力、判断力を養う
- ルールを覚え理解を深める中で、社会性を培う
室内遊びから得られるメリットや効果に合わせて、保育を行う際のねらいを定めましょう。
室内でできる体を使った運動遊び5選
雨が続く時期や暑くて外に出られない時期には、「体を使った運動遊びをしたい」と思うこともあるでしょう。室内でも気軽に取り入れられる運動遊びをご紹介します。
新聞紙遊び
新聞紙遊びは、遊び方を工夫すれば0〜5歳までどの年齢の子でも楽しめる遊びです。指先を使って新聞紙を破いたり、折り紙のように使用したりとさまざまな遊び方ができます。新聞紙遊びの一例をご紹介しますので、アレンジしながら保育に導入してみてください。
- 新聞を全員に配布する
- 新聞紙を端から慎重にちぎり、誰が一番長くちぎれるか競争する
- 競争が終わったら好きなように新聞紙を破いて、花吹雪として遊ぶ
- 誰が一番多く新聞紙を集められるか競争しながら片付けをする
- 集めた新聞紙を袋に入れて、顔を付けてお化けごっこをして遊ぶ
コロコロドッジボール
ドッジボールとルールは変わりませんが、ボールを転がして遊ぶため、室内でも導入できます。ボールを投げないので危険度も高くありません。ルールを簡単にすれば2~3歳のクラスでも安心して遊べるでしょう。
【用意するもの】
- ビニールテープや養生テープ
- ボール
【遊び方】
- 子どもが入れる大きさにコートを作り、床にテープを貼る
- 2チームに分けて、それぞれ外野を決める
- 「始め」の合図で相手チームの内野に当たるようボールを転がす
- 内野はボールに当たらないように逃げる
- 「終わり」の合図をしたときに、内野にいる子の数が多いチームの勝ち
テープくぐり
0〜2歳の乳児クラスにおすすめの運動遊びです。スズランテープを用意してくぐって遊ぶだけなので、簡単に保育に取り入れられます。
【用意するもの】
- スズランテープ
【遊び方・作り方】
- スズランテープを保育室の端から端に向かって引っ張り、丁度よい長さで切る
- スズランテープを60cm位の長さに切り、先ほどのスズランテープに結びつける
- カーテン状になるまで続ける
- スズランテープのカーテンができたら、子どもの背の高さに合わせて保育者2人が端を持ち張り上げる
- スズランテープの下をくぐったり、感触を楽しむ
玉入れ
運動会の定番種目である玉入れを、室内遊びでも行ってみましょう。乳児クラスから幼児クラスまで幅広い年齢の子が楽しめます。
また、玉入れに使用する道具は、新聞紙や折り紙などを使って自分たちで製作することも可能です。軽くて柔らかい素材を使用すれば、安全性が高くなります。
【用意するもの】
- 牛乳パック
- ビニール袋
- 新聞紙
【遊び方・作り方】
- 牛乳パックの側面を4等分に切る
- 4つをつなげ、四角を作る
- ビニール袋の取っ手部分を切る
- ビニール袋の口の部分に牛乳パックを張り付ける
- 新聞紙を丸めて玉を作る
- クラスの人数に応じて何チームかに分ける
- より多くの玉を袋の中に入れられたチームの勝ち
的あて
的あては広いスペースがなくてもできる遊びであるため、室内遊びに適しています。的あて遊びの方法はたくさんありますが、ここでは少し変わった面白い遊び方をご紹介します。
【用意するもの】
- ペットボトル
- 風船
- ビニールテープ
- トイレットペーパー
【遊び方・作り方】
- ペットボトルの底を切る
- 切り口にビニールテープを張る
- 風船の口を縛り、端を少し切り落とす
- 切った部分をペットボトルにかぶせる
- 風船の口をビニールテープで固定する
- トイレットペーパーにタコの足のように切り込みを入れる
- ペットボトルの真ん中あたりに付ける(持ち手になる)
- 全体にビニールテープを巻きつけて固定する
- ペットボトルやトイレットペーパーで的を用意する
- 風船の部分を引っ張って離し、空気砲のようにして的を倒す
- より多くの的を倒せた人の勝ち
落ち着いて遊べる製作遊び5選
おもちゃを製作して楽しむのも室内遊びの方法の一つです。机や椅子に座ったまま楽しめるので、落ち着いて過ごしたいときにも適しています。おすすめの製作遊びを5つご紹介しますので、参考にしてみてください。
ぶんぶんごま
ぶんぶんごまは製作中だけでなく、製作後に遊ぶ過程も楽しめます。回せるようになるまでには練習が必要なので、製作の瞬間だけでなく何日も継続して楽しめるのが嬉しいポイントです。回転中の駒は触ると危険なので、4〜5歳の年齢の大きいクラスで行いましょう。
【用意するもの】
- 円を描いた厚紙(または牛乳パック)
- たこ糸(1m程度)
- コンパスやキリ
- マーカー
【遊び方・作り方】
- 厚紙に円を描き、切る
- 切った厚紙に絵を描く
- 厚紙の中心に穴を2ヵ所あける
- 穴に糸を通し、端を結ぶ
- こまを回して遊ぶ
けん玉
けん玉は伝承遊びとしても有名な遊びです。木でできた既製品のけん玉を使用することもできますが、自分で作るとより楽しめるでしょう。けん玉の作り方はいくつかありますが、紙コップを使用した代表的な製作方法をご紹介します。
【用意するもの】
- 紙コップ2つ
- タコ糸か毛糸
- 新聞紙
- マーカー
- テープ
【作り方】
- 新聞紙をちぎって丸める
- 丸めた新聞紙をテープで巻きながら固定する
- 1つめの紙コップの底に、糸を付ける
- 1つめの紙コップと2つめの紙コップの底を合わせてテープでとめる
- 糸の先に丸めた新聞紙を貼り付ける
- 一番早く玉を紙コップに入れられた人の勝ち
手形スタンプ
手形スタンプは、絵の具を手に付ける際の冷たさや、くすぐったい感覚などを楽しむ「感覚遊び」としても楽しむことができます。また、子どもの成長の様子を記録する方法としても最適です。手形スタンプを導入する季節やイベントなどに合わせて作品を作って遊びましょう。
【用意するもの】
- 絵具
- 水
- 筆
- 画用紙
【遊び方・作り方】
- 茶色い絵の具で木の幹を描く
- 乾くまで待つ
- ピンク色の絵の具を水で溶かす(水はほんの少しでOK)
- 子どもの手のひらに絵具を付ける
- 乾く前に画用紙に手形スタンプを押す
- 桜の木が完成する
- 作品が乾いたら展示し、鑑賞会を行う
魚釣り
魚釣りの道具は、牛乳パックや画用紙などさまざまな素材で製作できます。その中でも、水風船を使用した魚釣りは、一味違ったハラハラドキドキを楽しめるため室内遊びにおすすめです。遊びを行う時期や保育室の環境によって、風船に入れる水の量を調節してみてくださいね。
【用意するもの】
- 水風船
- 割り箸
- たこ糸
- S字フック
- 輪ゴム
- ビニールテープ
- 油性ペン
【遊び方・作り方】
- 水風船に水と空気を入れる
- ビニールテープに目や口、鱗などを描く
- 水風船に貼り付ける
- ビニールテープに輪ゴムを付け、風船に貼り付ける
- 割り箸にたこ糸を結び、ビニールテープで固定する
- たこ糸を適度な長さに切り、先端にS字フックを付ける
- 水を張った桶や室内用プールに魚を浮かべる
- たくさん魚を取れた人の勝ち
スライム作り
スライム遊びは、触った際の不思議な触感が面白く、子どもたちから人気の高い遊びです。自分たちで分量を調節しながら作れば、実験のような感覚で楽しむことができます。スライムもさまざまな作り方がありますが、ここでは代表的な製作方法をご紹介します。
【用意するもの】
- 洗濯のり100cc
- 水(洗濯のり用100cc、ホウ砂用50cc)
- ホウ砂4g
- 割りばし
- プラコップ2個
- ボウル
【遊び方・作り方】
- 1つめのプラコップに水(100cc)と洗濯のりを入れて混ぜる
- 2つめのプラコップに水(50cc)とホウ砂を入れて混ぜる
- 1つめのコップの液体をボウルに入れる
- 2つめのコップの液体を少しずつ入れる
- 好みの固さになったら完成
- スライムをこねたり、ちぎったりして感覚遊びを楽しむ
室内でも盛り上がるゲーム遊び5選
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室内でできるゲーム遊びをご紹介します。道具がほとんど必要ないので、準備が少なく空いた時間にも気軽に取り入れられます。
じゃんけん列車
友達とコミュニケーションを取りながら楽しめる遊びです。音楽に合わせて体を動かすので、リズム遊びに適しています。
【遊び方】
- 音楽が流れている間、思い思いに歩き回る
- 音楽が停止したときに、目の前にいる友達とペアになり、じゃんけんをする
- じゃんけんに負けた人が、勝った人の後ろにくっ付き、肩に手をかける
- 最後に先頭になった人の勝ち
宝探しゲーム
宝物を探すゲームです。4〜5歳クラスでは、謎解きの要素を取り入れるとさらに盛り上がります。クラスを何個かのチームに分けて、出題者と探す人に分かれて対決をしても面白いでしょう。
【遊び方】
- 宝物を5~10個程度決めて隠す
- それぞれの宝物がある場所に関するヒントを紙に書く
- ヒントを見ながら宝物を探す
- たくさん宝物を見つけられた人の勝ち
ジェスチャーゲーム
チームで競って楽しむ遊びです。同じチームの友達と力を合わせて行うので、協調性やコミュニケーション能力を育むことができます。ルールが複雑なため、3~5歳の幼児クラスでの遊びに適しています。
【遊び方】
- 保育者がスケッチブックにお題を書く
- 各チームで出題者と回答者を決める
- 保育者は出題者にだけ見えるようにスケッチを見せてお題を伝える
- 出題者の子がジェスチャーのみで、お題を表現する
- 回答者は当たるまで、答えを予想し回答する
- 正解したら次のお題に進む
- 正解数が最も多いチームの勝ち
猛獣狩り
歌に合わせて楽しく体を動かす遊びです。友達に声をかける積極性や、瞬時に文字数をカウントする理解力なども問われます。
【遊び方】
- 保育者の歌と動きを反復する
- 保育者は、指で文字数をカウントしながら生き物の名前を言う(「ウサギ」「ワニ」など)
- 子どもは動物の名前の文字数と同じ人数になるように集合する
- 定員になったら手を繋いで座る
- 集まれなかったら、猛獣(保育者)に食べられる
【歌と振付】
「猛獣狩りに行こうよ」:「よ」のところでエイエイオーのポーズ
「猛獣なんて怖くない」:手を顔の前で左右に振り、首も左右に振る
「だって鉄砲持ってるもん」:鉄砲のポーズ
「槍だって持ってるもん」:槍を持っているイメージで手を上に掲げる
「あ!」:驚きながら、前後左右上下のうち一か所を指さす
最後に生き物の名前を呼ぶ(「ライオン」「きりん」など)
なんでもバスケット
なんでもバスケットは、フルーツバスケットを応用した遊びです。ただし、フルーツバスケットのように小道具を用意する必要がないので、気軽に楽しめます。
【遊び方】
- 子どもの人数マイナス1の数椅子を並べる
- 円になるように並べ、内側を向いて座る
- 1人だけ鬼を決める
- 鬼がお題を言う(「髪の毛を結んでいる人」「靴下の色が白い人」など)
- 言った内容に合致する人は席を移動する
- 椅子に座れなかった人が次の鬼になる
室内遊びを取り入れる際のポイントや注意点
室内遊びを行う際は、楽しく盛り上がる反面多少の危険が伴うため注意が必要です。遊びを導入する際の注意点とポイントを事前に確認し、楽しく遊べるように配慮しましょう。
ケガがないように配慮する
部屋が狭い場合やクラスの人数が多い場合には注意が必要です。子どもたちが動く際にぶつかったり転んだりしてケガをしないように気を付けましょう。
運動遊びやゲームを行う際には、テーブルや椅子は保育室の端に寄せます。また、床に物が落ちていないか、棚からおもちゃが飛び出ていないかといったところも、丁寧に確認しましょう。
ルールが難しい場合は個別の対応も必要
遊びによっては、細かいルールが決まっている場合があります。年齢に適した遊びを選ぶようにしましょう。また、遊びを行う前に、「全体に説明する」「見本を見せる」などのサポートも必要です。口で説明するだけでは伝わらないこともあるので、視覚的に訴える動作は重要な意味を持ちます。
さらに、理解が難しい子がいた場合は個別に対応することも大切です。「次は〇〇くんの番だよ」「〇〇ちゃんも遊んでいいんだよ」など、具体的な指示を出すと「今何をすべきか」が明確になり、自信を持って参加できるようになります。
導入工夫し気持ちを盛り上げる
導入を行うか行わないかで、遊びに対する子どもたちの意欲は大きく変わってきます。代表的な導入の方法は以下の通りです。
- 遊びにちなんだ絵本を読む
- 歌を歌う など
こういった導入を丁寧に行うと、遊びに対するイメージを持ちやすくなり好奇心も高くなります。
ただし、中には「遊びに参加したくない」「一緒に遊びたいけど、鬼はやりたくない」と言う子もいるでしょう。室内遊びの最大の目的は「子どもたちが楽しさを共有すること」のため、無理やり参加させる必要はありません。
遊びに参加したくない子や休憩したい子のために、「応援スペース」「見ている子チーム」などを作り、子どもの気持ちに寄り添った保育を行いましょう。
まとめ
保育園では室内遊びを行う機会はたくさんあります。「いつも自由遊びにしている」「最近遊びがマンネリ化していて盛り上がらない」場合には、保育者が主導して新しい遊びを取り入れましょう。
本記事でも、「運動遊び」「製作遊び」「ゲーム遊び」の3項目に分けて15個遊びを紹介しています。室内遊びの新しい保育アイデアを検索中の方は、今回の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。