外遊びは子どもが好きな遊びの一つです。思い切り体を動かして遊べるため、毎日の保育にできるだけ取り入れたい遊びでもあります。
外遊びをする際は、毎日同じ遊びを繰り返すのではなく、時には保育者が主導して新しい遊びを展開することが大切です。しかし中には「外遊びのアイデアが浮かばない」「いつも自由遊びにしてしまう」という方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、保育園での外遊びにおすすめの保育アイデアを10個ご紹介します。年齢ごとに分けてご紹介するので、参考にしてみてください。
外遊びを行うねらいや得られる効果は?
保育園で遊びを展開する際は、目標を持って行いましょう。外遊びから得られる効果を3つご紹介します。
季節や生活の変化を感じられる
外に出ると、木々の彩や風の温度、太陽光の強弱などさまざまなことを感じられます。そういった体験の中で、季節の移り変わりや人々の生活の変化を理解できるようになるのです。
外で自由に動きながら自然を感じることで、ストレスが発散され自律神経が整います。とくに自律神経は心身の健やかな成長に欠かせません。さらに睡眠リズムが安定したり、食欲が出たりなどの効果をもたらします。
体力がつき健康的に過ごせる
思い切り体を動かすことで、心身が発達するのもメリットの一つです。太陽をたくさん浴びれば代謝が良くなり、免疫力が向上し健康的に過ごせるようになります。
また、運動能力が発達することで危険を避ける能力も養われます。例えば、小石につまずいても筋力があればとっさに手を出し、顔面から地面に衝突することを避けられるなどの身体能力を身につけることも可能です。
コミュニケーション能力を養える
友達と関わりながら遊ぶことで、コミュニケーション能力を養えるのも大きなメリットです。楽しく会話しながら遊んだり、ルールを守って遊んだりする中で社会性が身につきます。
また、「ボールを強く蹴ったらお友達に当たってしまうかも」「年齢の低いお友達と遊ぶからルールを分かりやすくしよう」のように相手の気持ちを考える機会も多々あるため、思いやりの気持ちを育むこともできるでしょう。
保育園での外遊びにおすすめ!保育アイデア10選
保育園での外遊びに最適な保育アイデアをご紹介します。大人数で楽しめるものを中心に紹介しますので、保育園で導入する際の参考にしてみてください。
乳児期(0~2歳)におすすめの外遊び
0〜2歳の乳児期は、まだお友達と積極的に関わる姿は見られません。保育者が主導してみんなで遊びを共有できる環境を作りましょう。乳児期に楽しめるおすすめの外遊びとして人気の高い外遊びを3つご紹介します。
①だるまさんが転んだ
「だるまさんが転んだ」は、ルールが簡単なため乳児期でも導入しやすい遊びです。最初は保育者が鬼になり、遊びを展開していきましょう。理解が難しいルールがあれば簡略し、「だるまさんが転んだ」の部分の動きを行うだけでも楽しめます。コミュニケーションを取ることに重点を置き、楽しく遊べるように援助しましょう。
《遊び方》
- 鬼を1人決める
- 鬼は集団に背を向けて目をつむる
- 鬼から離れたことろに1本線を引く
- 鬼以外の子は線のところに並ぶ
- 「初めの一歩」で一歩大きく前に出る
- 鬼が外を向き「だるまさんが転んだ」と言い「だ」のところで振り返り、動いている子がいないか確認する
- 鬼以外の子は鬼に向かって歩きながら、「だ」に合わせて動きを止める
※動いた子は鬼と手をつなぐ - 何度か繰り返し、鬼までたどり着いたら「切った」と言い鬼と鬼に捕獲された子の手を切り、走って逃げる(全員逃げる)
- 鬼は「ストップ」と言い、全員の動きを止める
- 鬼以外の子が決めた歩数分だけ鬼は子どもに近寄り、誰かにタッチする
- タッチされた人が次の鬼になる
➁おしくらまんじゅう
おしくらまんじゅうは密集するため、寒い季節にピッタリの遊びです。複雑なルールがないので年齢の小さいクラスでも十分楽しめます。危険がないよう、「周りに物がないか」「十分なスペースを確保できているか」を確認してから遊びを展開しましょう。
《遊び方》
- 子どもが入れる程度の大きさの円を描く
- 子どもは円の中に入り背中を向けて丸くなる
- 「おしくらまんじゅう、押されて泣くな」の掛け声に合わせて、背中やお尻で押し合う
- 円から出てしまったり、尻もちをついたりしたら負け
- 最後まで残った人の勝ち
③鬼ごっこ
子どもたちが好きな定番の遊びです。鬼ごっこは「氷鬼」「影踏み鬼」「色鬼」「手つなぎ鬼」などアレンジを加えられるため、乳児期から幼児期までの外遊びで導入できます。
《遊び方》
- 鬼を1人決める(人数が多ければ複数人でも可)
- 鬼は10秒数える
- 鬼以外の子は逃げる
- 鬼が他の子を追いかけタッチする
- タッチされた子が鬼と交代する
- 誰もタッチできなければ鬼の負け
幼児期(3~5歳)におすすめの外遊び
幼児期になると比較的複雑なルールの遊びも楽しめるようになります。友達と協力したり競い合ったりしながら、たくさんコミュニケーションを取れるような遊びを取り入れましょう。ここでは、3〜5歳の幼児期におすすめの外遊びをご紹介します。
④おおかみさん今何時
「だるまさんが転んだ」に「鬼ごっこ」の要素をかけ合わせたような遊びです。おおかみと子ヤギという設定があるので、子どもの想像力が掻き立てられ遊びが盛り上がります。
遊ぶ前に「おおかみと七ひきの子ヤギ」の絵本を読んでおくとイメージしやすくなります。またおおかみへの質問は、「時間」だけでなく「好きな食べ物」や「好きな色」などでアレンジしても良いでしょう。
《遊び方》
- おおかみ(鬼)を1人決める
- おおかみから離れたことろに1本線を引く
- さらに離れたところに、子ヤギの家として陣地を作る
- 子ヤギは線のところに並ぶ
- 子ヤギがおおかみに「おおかみさん、今何時?」と聞く
- おおかみは「3時」「10時」など、好きな時間を答える
- 何度か繰り返す
- おおかみが「夜の12時」と答えたら、子ヤギは逃げ、おおかみは追いかける
- 家に逃げ込んだ子ヤギの勝ち
- おおかみに捕まった子は次のおおかみ(鬼)になる
⑤はないちもんめ
日本の伝承遊びとしても人気のある遊びです。友達の顔と名前を覚えていないとできない遊びなので、新学期など子ども同士の交流を深めたい時期にも適しています。なかなか遊びに入れない子や名前を呼ばれない子がいる場合は、保育者が声掛けしながら遊びを誘導しましょう。
《遊び方》
- 2つのグループに分かれる
- グループごと一列になって手をつなぎ、向かい合う
- リーダーがじゃんけんする
- 勝ったグループは「勝ってうれしい花いちもんめ」と歌いながら、負けたグループに向かって進み、「め」のところで片足を振り上げる
- 負けたグループは歌に合わせて後ろに交代する
- 負けたグループが「負けて悔しい花いちもんめ」と、勝ったグループに向かって進み、「め」のところで片足を振り上げる
- 勝ったグループは歌に合わせて後ろに交代する
- しばらく歌に合わせて同じ動作を繰り返す
- 「相談しようそうしよう」の歌の後に、各グループで集まって、相手グループから欲しい子を1人選び「きーまった」と言う
- 各グループ欲しい子を発表し、名前を呼ばれた子はじゃんけんをする
- 負けた子は勝った子のグループに加入し、どちらかのグループが最後の1人になるまで繰り返す
《花いちもんめの歌》
勝ってうれしい花いちもんめ 負けて悔しい花いちもんめ
隣のおばさんちょっと来ておくれ 鬼が怖くて行かれない
お布団かぶってちょっと来ておくれ お布団びりびり行かれない
お釜かぶってちょっと来ておくれ お釜底抜け行かれない
鉄砲担いでちょっと来ておくれ 鉄砲玉なし行かれない
あの子が欲しい あの子じゃ分からん
この子が欲しい この子じゃ分からん
相談しよう そうしよう
⑥しっぽ取り
しっぽを取られないように気を付けながら、相手のしっぽを取りに行くゲームです。自分のしっぽを守りながら相手のしっぽを狙うという、やや複雑な動きが必要になるため、年齢や子どもの様子に合わせてルールを柔軟に変更しましょう。
しっぽは、縄跳びや紙テープ、新聞紙、ビニールテープ、などを使用します。取る瞬間やしっぽが落ちたときに子どもに危険のないよう、柔らかい素材のものがおすすめです。
《遊び方》
- しっぽになるものを用意する
- ズボンやスカートにしっぽの先を入れる
- しっぽ取りを行う陣地を決める
- 陣地内で逃げながら、友達のしっぽを取る
- しっぽを取られることなく残った人の勝ち
⑦ドッジボール
幼児期になるとボール遊びにも複雑なルールを取り入れられるようになります。特にドッジボールは人気の高い遊びです。最初はキャッチボールなどから始めて、少しずつルールを追加していきましょう。
《遊び方》
- 2つのチームに分ける
- 各チームから最初の外野を3人と、アタックする人を1人決める
- 外野は中の人を当てたら、中に戻る
- 中の人は、ボールが当たったら外野になる
- 終了時に中の人の数が多いチームの勝ち
⑧缶蹴り
鬼ごっことかくれんぼを融合させたような面白さのある遊びです。缶蹴りは昔ながらの伝統的な遊びでもあります。いつも同じ遊びになっていてマンネリ化している時などに導入してみましょう。
《遊び方》
- 地面に円を描き、円の中に缶を立てて置く
- 鬼を1人決める
- 鬼以外の子の1人が缶を蹴とばす
- 鬼が缶を拾って元の位置に戻すまでの間に、他の子は隠れる
- 鬼は缶を置いたら隠れている子を探し、「〇〇ちゃん見つけた」と言いながら缶を踏む
- 捕まった子は円の中に座って待機する
- 鬼が子どもを探している間に誰かが缶を蹴ることができれば、捕まっていた子は再度逃げられる
- 全員が鬼に捕まったら、最初に鬼に見つかった子が鬼と交代する
⑨自然見つけ
外遊びをする際は、自然をするのも良いでしょう。自然を感じられ、心身の安定や知的好奇心の発達を促します。遊び方は好きなように設定可能です。
例えば、自然を見ながらスケッチしたり何個自然を見つけられるか競ったりと、自然を見つける方法は複数あります。また、見つけたものを持ち帰り、それを使って製作を行うのもおすすめです。ここでは、一例をご紹介します。
《遊び方》
- 紙と鉛筆を用意する
- テーマと時間、行動範囲を決める
※「春の花」「昆虫」など - 「用意スタート」の合図で好き好きに自然を探す
- 自然を見つけたら、紙にメモをする
※持ち帰れるものであれば、袋などにしまう - 時間になったら終了を知らせ、集合場所に集まる
- 多くの自然を見つけられた子の勝ち
⑩大繩跳び
大繩を使った遊び方はたくさんあります。年齢や発達に合わせて難易度を変えれば、乳児期でも幼児期でも楽しめる遊びです。ここでは、「郵便屋さんの落とし物」という歌に合わせて大縄跳びをするという代表的な遊び方をご紹介します。
《遊び方》
- 回し手2人が長縄を持ち、跳ぶ子は縄の横に立つ
- 歌に合わせて回し手は縄を揺らし、中の子は跳ぶ
- 「拾ってあげましょ」の言葉を合図に、縄を回し始める
- 10枚まで数えたら、最後に「ありがとさん」の言葉に合わせて縄をまたぐ
《郵便屋さんの落とし物の歌》
郵便屋さん おはいんなさい
はがきが十枚落ちました 拾ってあげましょ
1枚2枚3枚4枚5枚6枚7枚8枚9枚10枚
ありがとさん
外遊びを行う際の注意点やポイント
外遊びは、子どもの心身の発達に欠かせない大切な時間です。1日1回でもいいので積極的に取り入れていきましょう。
ただし、外遊びを行う際には気を付けたいポイントもいくつかあります。子どもの安全面に配慮しながら外遊びをさせることが大切です。
夏は水分補給や休憩を取り入れる
夏の時期は気温が上がり、非常に暑くなる日もあります。気軽に水分を補給できるよう水筒を園庭に持っていったり、休憩を小まめに入れたりしながら、体調不良にならないよう気を付けましょう。
また、汗をかいてからすぐに涼しい場所へ行くと、汗が急に冷えて風邪を引く可能性もあります。そのため、タオルで汗をしっかり拭き、乾いた服に着替えさせてから移動させるなどの配慮も必要です。
冬は遊ぶ前に準備運動をする
冬は寒さで筋肉や関節などが固くなっている場合があります。そのまま外遊びをしてしまうと、骨折や肉離れなどの大きなケガにもつながってしまうかもしれません。
したがって、冬に外遊びをするときは、事前に準備運動をさせるようにしましょう。あらかじめ少し体をほぐしておくことで、ケガに発展するリスクを下げることができます。
他のクラスと外遊びの時間をずらす
園庭で外遊びをする際は、他のクラスの子と時間をずらすのがおすすめです。複数の子どもで混雑している状況では、思い切り外遊びを楽しめないでしょう。
また、遊びに夢中になることで他のクラスの子にぶつかったり、つまずいて転んだりなどのトラブルが起こることも考えられます。特にクラス全員で行うような大規模な外遊びは、他のクラスとあらかじめ相談し、十分な時間をもらってから行うことが重要です。
外遊びを展開した後は、「園庭を貸し切りにしたお礼を言う」もしくは「園庭の使用時間をもらった分、別の日の外遊びの時間を譲る」など、他のクラスへの配慮も忘れずに行いましょう。
まとめ
外遊びは思い切り体を動かせるため、子どもたちから人気のある遊びです。遊びのバリエーションは豊富ですが、普段「特に遊びを導入していない」「自由に遊んでいる」という保育園も多いのではないでしょうか。
遊びの種類を増やすと、子どもたちはより楽しく外遊びに参加できるようになります。後半で解説したような注意点にも十分気をつけながら、ご紹介した保育アイデアをぜひ活用してみてください。