2歳になると筋力が発達し、走ったり跳んだりできるようになります。そのため、室内でも取り入れられる運動遊びを知りたい保育士の方も多いでしょう。
そこで今回は、2歳児クラスにおすすめの室内でできる運動遊びをご紹介します。保育アイデアを増やしておけば、雨の日や外に出られないときにも室内で楽しく過ごせるようになるでしょう。
2歳児クラスで運動遊びを行う際のねらい
2歳児クラスで運動遊びを展開する際は、ねらいを定め目標を持って行いましょう。ねらいには、以下のようなものがあります。
- 思い切り体を動かして楽しむ
- 達成感を味わい自信をつける
- 友達と楽しみを共有する中でコミュニケーション能力を育む
- 最後までやり遂げる力や忍耐力を身に付ける
保育者はこういった子どもの姿を引き出せるよう、十分に準備を進めてサポートしてあげましょう。また、運動遊びは「運動すること」だけに着目しすぎないことが大切です。
遊びの中で自発的に「楽しい」「もっと遊びたい」という気持ちが出てくるよう、配慮する必要があります。
思い切り体を使った運動遊び5選
まずは、思い切り体を使って遊べる運動遊びを5つご紹介します。
マット遊び
マットを使った運動遊びです。2歳児におすすめのマット遊びには「ゆりかご」や「いもむし」などがあります。
「ゆりかご」は、マットの上で膝を抱えて体育座りし、そのまま前後左右に体を動かします。ゆらゆらとした振動や体の動く感覚を楽しめるでしょう。
また、「いもむし」はマットの上をゴロゴロしながら動く遊びです。いもむしになりきり、ごっこ遊びのような感覚で取り組めます。
フラフープ遊び
フラフープを使った遊びです。保育者がフラフープを持ち、子どもたちはフラフープの輪の中を通り抜けます。地面から少し浮かせたり、フラフープを動かしたりしても面白いでしょう。
また、地面にフラフープを複数配置し、その中を渡り歩くのも方法のひとつです。フラフープから出てしまわないようにと慎重に歩くため、集中力も身に付きます。
ボール遊び
ボールを使った運動遊びは複数あります。その中でも思い切り体を動かせるのは、「キャッチボール」や「サッカー(シュート)」です。
2歳児では、ノーバウンドでボールをキャッチするのが難しいため、一度バウンドさせるのが望ましいでしょう。
また、足でボールを蹴る際は、保育者が少し離れたところに立ち、保育者に向かって蹴るように声掛けをします。子どもと保育者の間でコミュニケーションが取れるので、運動遊びをより楽しめます。
縄跳び
縄跳びも2歳児におすすめの運動遊びのひとつです。保育者がにょろにょろと縄を動かし、子どもは縄をまたいだり、跳んだりします。「ヘビがきたよ」「逃げろ」などと声掛けをしてごっこ遊びのような形で展開すると、より盛り上がるでしょう。
縄はあまり太すぎないものがベストです。身体的な発達が著しい時期であるとはいえ、まだ足元が不安定な子も多いため、縄を踏んだ際に転ばないよう安全面に配慮する必要があります。
サーキット
サーキットとは、複数の遊具を組み合わせて周回しながら運動遊びを楽しむ活動です。平均台やマット、ボール遊びなどを組み合わせてみましょう。
サーキットでは複数の遊具を使用するため、遊びを行う際は広い空間が必要になります。室内で展開する際はできるだけ保育室から物をどかして行うか、遊戯室を使用しましょう。
集団で楽しむ!ゲーム性のある運動遊び10選
2歳児は、他者への興味が少しずつ出てくる時期です。集団で楽しめる運動遊びも導入しましょう。
しっぽ取り
自分のしっぽを取られないようにお友達のしっぽを取りに行くゲームです。ルールが簡単なので、2歳児でも楽しめます。
【遊び方】
- 紙テープや新聞紙をちぎりしっぽに見立てる
- しっぽをズボンのウエスト部分にはさむ
- 走る枠を決める
- 「よーいどん」の合図でしっぽを取りに行く
- 自分のしっぽが取られたら枠から出る
- より多くのしっぽを取った子の勝ち
じゃんけん列車
じゃんけんしながら友達と列車を作っていく遊びです。友達とコミュニケーションを取れるだけでなく、音楽に合わせて体を動かすのでリズム遊びとしても人気があります。じゃんけんが分からない子がいれば、グーとパーだけにするなどしてルールを簡単にしましょう。
【遊び方】
- 保育者が音楽を流す
- 音楽が流れている間は自由に歩き回る
- 音楽が止まったタイミングで目の前にいる子とじゃんけんをする
- じゃんけんに負けた子は勝った子の後ろに周り、肩に手を置き列車を作る
- 最後の2チームになるまで繰り返す
- 最後のじゃんけんで勝った子が優勝
ボール運びリレー
友達と協力してボールを運びます。新聞紙などの道具を用いれば難易度が上がり、「落ちるのでは」といったハラハラドキドキも楽しめる遊びです。
【遊び方】
- 2人ずつのペアを作る
- ペアを2チームに分ける
- 一列に並び先頭のチームは新聞紙を持つ
- 新聞紙の上にボールを置く
- 「よーいどん」の合図でボールを運び次のペアにバトンタッチする
- 先に全てのペアがゴールしたチームの勝ち
ティッシュキャッチ
ひらひらと舞い落ちるティッシュをキャッチする遊びです。ティッシュの動きが予測不能なのでしっかりと動きを観察する必要があり、洞察力や集中力が身に付きます。
【遊び方】
- ティッシュを1枚ずつに分ける
- 保育者がティッシュをうちわで扇いだり息を吹きかけたりして空中に浮かべる
- 子どもたちが落ちてくるティッシュをキャッチする
- 床に落ちる前にティッシュをキャッチできた子の勝ち
新聞紙玉入れ
新聞紙を使用すれば、ボールが柔らかいため2歳児でも安心して遊べます。保育者がボールを入れるカゴを持って動かしても盛り上がるでしょう。
【遊び方】
- 新聞紙を丸めてテープを貼りボールを作る
- 保育者がカゴを持つ
- 子どもを2つのチームに分ける
- 子どもたちがボールを拾いカゴの中に入れる
- より多くのボールを入れられたチームの勝ち
宝探し
宝物を探し出すゲームです。保育室のあらゆる場所に宝物を配置しましょう。少し高い位置や手が届きにくいところに置くと、体全体を動かせてよい運動になります。
【遊び方】
- 宝物を決める
- 子どもたちは目を瞑る
- 保育者が宝物を隠す
- 「よーいどん」の合図で宝物を探しはじめる
- より多くの宝物を探せた子の勝ち
キャタピラー競争
キャタピラーは段ボールの中でハイハイをして動く遊びです。段ボールで作るところから一緒に始めるとより楽しめます。大きめに作れば複数人でひとつの段ボールに入れるので、コミュニケーション能力や団結力が高まるでしょう。
【遊び方】
- 段ボールの耳の部分を切り取る
- 段ボールが動きやすいよう折り目を付ける
- スタートとゴールを決める
- 子どもはキャタピラーの中に入る
- 「よーいどん」の合図でハイハイで進む
- 一番早くゴールできた子の勝ち
風船バレー
風船を使ったバレー遊びです。風船は軽くて動きがゆっくりなので、2歳児でも安心して遊べます。バレーのルールは難しいので、「風船を触って相手コートに入れるだけ」といったように柔軟にルールを変更して対応しましょう。
【遊び方】
- 子どもを2つのチームに分ける
- 部屋の真ん中にスズランテープを張る
- 風船をバレーボールのように相手コートの中に入れる
- 風船を落としたり遠くに飛ばしたりした場合は、相手チームに1点加算される
- 多くの得点をゲットしたチームの勝ち
まねっこゲーム
ちょっとした空間と時間があれば簡単に導入できる遊びです。保育者のアイデア次第で色々な動きができるので、運動遊びに向いています。
【遊び方】
- 保育者が子どもの前に立つ
- 保育者が子どもにお題を出す
- だんだんと難易度を上げていく
- 最後までマネできた子の勝ち
【声掛け・振付】
- 保育者「〇〇組さん」
- 子ども「なんですか」
- 保育者「こんなこと、こんなこと、できますか」
- 子ども「こんなこと、こんなこと、できますよ」
- お題の一例:頭を触る、ジャンプをする、スキップをする など
フルーツバスケット
集団遊びの王道ゲームです。瞬発力が必要なので室内での運動遊びにも適しています。2歳児に導入する際はルールを変更し、分かりやすくしましょう。また、必ずしも勝ち負けを決めなくても十分楽しめます。
【遊び方】
- 椅子を円形に並べる
- 子どもたちをいくつかのグループに分ける
- チームごとフルーツの名前を決めていく
- 保育者は椅子の真ん中に立ち好きなフルーツの名前を言う
- 自分のチームのフルーツが呼ばれた場合は、席を移動する
- 慣れてきたら保育者も参加し、子どもが鬼になる
- 鬼が「フルーツバスケット」といった場合は全員が移動する
- 最後のタイミングで鬼になった子の負け
室内で運動遊びをする際の注意点
運動遊びは体を思い切り動かせるため、人気のある遊びです。雨の日や暑さや寒さが厳しいときには室内で運動遊びを行うこともあるでしょう。
しかし、室内で運動遊びを取り入れる際は、安全面への配慮が必要です。ここでは、室内での運動遊びを楽しく行うためのポイントや注意点をご紹介します。
危険のないよう環境を整える
室内で体を動かすときは、物にぶつかったり友達と衝突したりすることがないよう、広い空間を確保する必要があります。できれば、遊戯室のような大きな部屋で行いましょう。
もし保育室で行う場合は、できるだけ整理整頓して物がない状態を作ることが大切です。また、机の角に保育者が立つようにして、子どもたちの様子を見守るといった工夫を取り入れるのもよいでしょう。
保育者が手本を見せる
室内で運動遊びを展開する際は、実際に子どもが行う前に保育者が手本を見せましょう。そうすることで、遊びのイメージを持ちやすくなります。
また、保育者の話を聞くことで高揚した気持ちを一度クールダウンでき、怪我やトラブルの予防にもつながります。
換気や水分補給を忘れない
室内で運動遊びを行うと、湿気がこもり室内が暑くなる可能性があります。適度に換気をして空気を入れ替えましょう。換気は感染症の予防対策にもなります。
また、水分補給も大切です。子どもはたくさん動くと大人以上に汗をかきます。また2歳児では、体温調節が難しい子も少なくありません。
保育者が子どもの様子をしっかりと観察しながら、小まめに休憩の時間を設けて水分補給を促しましょう。
まとめ
2歳児が室内でできる運動遊びはたくさんあります。思い切り体を動かしたいときは「マット」や「ボール」を用いた運動遊びが、友達との関わりを深めたいときや気分転換に運動遊びを取り入れたいときは、集団でできるゲーム性のある運動遊びがおすすめです。
保育アイデアを増やし、子どもの遊びを盛り上げましょう。今回ご紹介した運動遊びもぜひ取り入れてみてください。