自然遊びは、学びが多いと言われており、保育園や幼稚園で積極的に取り入れられている遊びのひとつです。「うちの園でも自然遊びを導入したい」「夏にできる自然遊びが知りたい」と考えている保育士の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、夏におすすめの自然遊びを10個ご紹介します。自然遊びのメリットや導入時の注意点も解説するので、自然遊びを検討中の保育士の方に必見の内容です。ぜひ参考にしてみてください。

保育で自然遊びを行う4つのメリット

自然遊びを保育に取り入れると、具体的にどのような効果があるのでしょうか。まずは、保育の中で自然遊びを取り入れるメリットを紹介します。

命の大切さを学べる

自然遊びの最大のメリットは、命や自然環境の大切さを学ぶことです。

自然に触れることで、動植物に対する興味や関心が深まります。また、「昆虫を飼育したい」「お花を摘んだらどうなるのだろう」など色々なことを考え感じていく中で、自然の摂理や命の大切さを学ぶことができます。

身体能力を鍛えられる

自然遊びではコンクリートの上と違い、砂や土が多く足場が安定しません。そういった中で走ったりジャンプしたりと体を動かすことで身体能力が鍛えられていきます。

また、屋外では暑さや寒さを感じることもあるでしょう。気温に応じた体の動かし方や汗のかき方を体で学んでいくうちに丈夫な体に育ちます。

生活リズムが整う

太陽の光を浴びることで「セロトニン」が生成されます。「セロトニン」は睡眠ホルモン「メラトニン」の原料の一種です。セロトニンが生成されると、良質な睡眠が取れるようになると言われています。

また、自然の中で思いきり体を動かすことでお腹がすいたりのどが渇いたりするでしょう。たくさん食べて栄養を摂取すれば、健康的な生活に繋がります。

探求心が磨かれる

自然の中で触れるものに関心を持つと、「この葉っぱはなぜ黄色いのだろう」「この虫はなぜ夏にしか出てこないのだろう」といったように考える力や探求心が育ちます。

また、砂をケーキに見立てたり、石を人形に見立てたりしながら遊ぶことで、想像力も育まれるでしょう。絵本や粘土などの室内遊びだけでなくさまざまなものに触れることで、脳が活性化され能力の向上に役立ちます。

夏に自然遊びを行う保育のねらい

自然遊びを保育に導入する際は、保育のねらいを定めることが大切です。ねらいに即した遊びを取り入れることで、子どもたちの学びを深めやすくなります。ねらいの一例は以下の通りです。

  • 自然に触れる中で、動植物の命の大切さを学ぶ
  • 季節の移り変わりや季節の動植物に興味関心を持つ
  • 体の動かし方を学び運動能力を育む
  • 保育室の中では触れられないようなものに触れ、好奇心や探求心を伸ばす
  • 自分で考え主体的に活動に参加する

保育園でできる夏の自然遊び10選

保育におすすめの夏の自然遊びを10個紹介します。乳児期と幼児期に分けて、遊び方を詳しく解説するので参考にしてみてください。自然遊びを保育に取り入れ、遊びのレパートリーを増やしましょう。

乳児期におすすめの遊び5選

乳児期におすすめの自然遊びを5つ紹介します。子どもたちの発達やクラスの様子に合わせてアレンジしながら遊びを楽しみましょう。

音探し

色々なものの音を聞き比べる遊びです。普段保育室の中では聞けないようなものの音を聞いて楽しみましょう。袋やコップなどの容器を持って行くと、音探しの際に役立ちます。また、虫の声を聞き比べしても盛り上がります。

【遊び方】

  • 落ち葉や石、水など音のするものを探す
  • 音を出して聞き比べる
  • 「何の音かな?」とクイズを出す
  • 見つけたものを用いて歌に合わせて演奏をする

水遊び

水に触れて遊べる場所がある場合は、水遊びをするのがおすすめです。水の冷たさや手に触れる感覚などを確かめてみましょう。「川などに遊びに行く」「保育園にプールを作り遊ぶ」「園庭で泥遊びをする」などさまざまな方法があります。

【遊び方(保育園)】

  • 園庭やベランダなどにプールを設置し、少量の水を張る
  • 水着に着替え、準備体操をする
  • 手足の先から順に水に触れて体を慣れさせる
  • プールで水を掛け合ったり道具を用いたりしながら遊ぶ

夏野菜スタンプ

夏に収穫できる野菜を用いて、スタンプ遊びを行いましょう。野菜を絵の具に付けてスタンプするだけなので、乳児期でも気軽に取り組めます。スタンプ遊びで夏の壁面製作を行うのもおすすめです。夏の思い出に残る作品になります。

【遊び方】

  • 野菜を収穫する
  • 保育者が野菜をカットする
  • 絵の具をお皿に出し少量の水を混ぜる
  • 画用紙に野菜スタンプを押していく
  • 余白の部分にクレヨンやマーカーで絵を描く

笹団子屋さんごっこ

笹団子は笹の葉の中にお団子を入れて蒸したものです。公園や河原などで遊ぶ際には、葉っぱを用いて笹団子作り(ごっこ遊び)ができます。また、作った団子を使ってお店屋さんごっこをしても、盛り上がるでしょう。

【遊び方】

  • 団子を包むための葉っぱと、細長い草(端を結ぶためのもの)を集める
  • 泥団子を作る
  • 泥団子を葉っぱにくるむ
  • 草を端に巻き付け、開かないように固定する
  • いくつか団子を作り、お店屋さんごっこをする

葉っぱのお面作り

葉っぱを千切るだけでできる保育アイデアです。「葉っぱ探し」と「お面を付けておばけごっこ」「いないいないばあ」などが楽しめます。顔が隠れる程度の大きな葉っぱを探しましょう。

【遊び方】

  • 大きな葉っぱ(蕗の葉)を探す
  • 目と口の部分を千切り、穴をあける
  • 葉っぱをお面のようにして、いないいないばあやおばけごっこなどをする

幼児期におすすめの遊び5選

遊びの広がる幼児期におすすめの保育アイデアを5つ紹介します。自然の中でしかできない体験を積んで学びを深めましょう。

砂鉄探し

砂鉄を集める遊びです。砂鉄が磁石にくっつく瞬間を観察したり、触った感覚を確かめたりして遊べます。ミステリアスで化学実験のような面白さがあり、探求心や好奇心を伸ばしたいときにピッタリです。

【遊び方】

  • 公園や河原などに行く際に、磁石を持っていく
  • あらゆる場所に磁石をかざし、砂鉄を集める
  • 触ったり観察したりして遊ぶ

昆虫探索

昆虫を探し観察する遊びです。誰が一番早く昆虫を見つけられるか競争しましょう。また、観察した昆虫に見立てて製作遊びを展開しても楽しめます。木の枝や葉っぱなどを持ち帰り、観察した昆虫に見立てて作ってみましょう。

【遊び方】

  • 公園や園庭などで昆虫を探す
  • 「一番早くセミを見つけた人の勝ち」など競争しながら遊ぶ
  • 木の枝や葉っぱなど昆虫を作る際に必要なものを集め、保育室に持ち帰る
  • ボンドやはさみなどを用意する
  • 観察した昆虫に見立てて製作する

おしろい花の布染め

夏に咲く花「おしろい花」を用いた保育アイデアです。ピンク色のきれいな花で色水を作り、布を染めてみましょう。濃く絞れば絵の具としても使用可能です。また、余った種を割って観察して遊ぶこともできます。

【遊び方】

  • おしろい花を集める
  • ビニール袋に花と少量の水を入れる
  • 水がこぼれないように注意しながら花を揉み、色を出す
  • 水に色がついたら、コップやバケツなどの容器に移す
  • 白い布を適当に輪ゴムで縛り、色水に漬ける
  • 輪ゴムを取って乾かす

笹笛鳴らし

笹の葉っぱを笛のようにして、音を出して遊ぶ保育アイデアです。簡単には音が出ないので、練習が必要となり、忍耐力や集中力が養われます。笹笛はいくつか作り方がありますが、ここでは簡単に作れる方法を紹介します。

【遊び方】

  • 若い笹の葉を探す
  • 笹の葉の端を裂いて幅を細くする
  • そのまま、もとの形に丸める
  • 笹の葉を口に当て、空気を送り、音を出す

しずくリレー

葉っぱの上に水を入れ、水をこぼさないようにしながら運ぶ遊びです。チーム対抗リレーにするとより盛り上がります。生えている葉っぱを取るときは根っこを残し、必要な数だけ(数枚のみ)を取るようにしましょう。

【遊び方】

  • 大きい葉っぱを用意する
  • 葉っぱの端を2人~4人で持つ
  • 葉っぱの上に水を垂らす
  • 「よーいどん」の合図で、水がこぼれないようにしながらゴールに向けて運ぶ
  • 水を残したまま先にゴールしたチームの勝ち

夏の保育に自然遊びを取り入れる際の注意点

夏の保育に自然遊びを取り入れる際は、注意したいことがいくつかあります。ここでは、その中でも特に重要なポイントを3つ紹介します。

ポイントを押さえ、子どもたちが安心して遊べる環境を整えましょう。

熱中症対策を欠かさない

夏に外で遊ぶ際は、熱中症対策を徹底することが大切です。暑さが厳しいときは「無理をしない」「短時間で済ませる」といった配慮をする必要があります。

また、外から部屋に戻ってきた際、涼しい部屋に入れるよう保育室の冷房をあらかじめ付けておくのもポイントです。熱中症のリスクを削減できます。

ただし、温度は適温~少し高めにして、部屋に入ったら、すぐに汗をタオルで拭き取り着替えるようにしましょう。汗が冷えると風邪をひく恐れがあります。

小まめに水分補給を促す

自然遊びの際は、水分補給も欠かせません。小まめに水分補給を促しましょう。遊びに熱中すると水分を取らずに過ごしてしまう子もいるため注意が必要です。

また、水筒の中身がなくなった場合に備え、ペットボトルの水やお茶、アルカリイオン水などを2~3個用意しておくと安心です。

体調や天候に合わせた保育を

自然遊びはカリキュラムのない、空いている日に行うことが多いでしょう。なかなか外に出られるチャンスがない時は特に、「できれば今日決行したい」と思うこともあるかもしれません。

しかし、子どもたちの体調や天候などをしっかりと確認し、万全の体制で臨む必要があります。無理して自然遊びを行うと、思わぬトラブルが起こる可能性があります。

まとめ

自然遊びには「命の大切さを学べる」「探求心が磨かれる」といった複数のメリットがあります。適宜保育に導入し、子どもの学びを深めましょう。

夏に適した自然遊びや、夏に自然遊びを取り入れる際の注意点を紹介した今回の記事もぜひ参考にしてみてください。

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