生まれてから1歳を迎える頃までの間に、目覚ましい成長をとげる赤ちゃん。そんな赤ちゃんの運動能力や情緒面での成長を後押しするために欠かせないことが「遊び」です。0歳児の赤ちゃんにとって、「遊び」は単なる「遊び」ではありません。遊びによって、赤ちゃんは世界を知り、また新たな世界に自分から踏み入れるのです。
そんな0歳児さんにおすすめな遊びを成長別、季節別にご紹介します。
1 0歳児にとって遊びとは
0歳児の赤ちゃんにとっての「遊び」は、大人の行なうような「遊び」とは、意味が少し異なります。0歳児にとって「遊び」とは、どのようなものなのでしょうか?
1-1 0歳児にとって遊びは世界を知る術
赤ちゃんは、生まれてから日々少しずつ体の動かし方を覚えていきます。また、それと同時に周りの物や人と関わることに興味を示すようになります。
そんな生活の中で、遊びによる刺激はより周りへの興味を刺激することになります。例えば、ハイハイを始めた赤ちゃんは、遊びによってどんどん活動範囲を広げ、新たな発見をしていくのです。手の感触だけでなく音に注目したり、口に物を入れて確かめたり、いろいろなアプローチをします。
そんな経験を積み重ね、赤ちゃんはどんどん周りの関心を増加させます。赤ちゃんは遊びによって、周りの世界を知ることができるのです。
1-2 遊びを通して心身が発達する
遊びによって、体の発達はどんどん進んでいきます。昨日まで出来なかったことが今日できるようになった、ということの繰り返しの0歳の時期。
同時に情緒も発達し、喜怒哀楽の表情もどんどん増えていきます。「できた!」という喜びや「やりたい!」という衝動、「できない!」という悲しみ等、遊びはどんどん気持ちのバリエーションが増えていくきっかけになるのです。
2 0歳児の発達とおすすめの室内遊び
毎日どんどん成長して世界を広げていく赤ちゃん。赤ちゃんはどんな発達をしていき、どんな遊びをすると良いのでしょうか。
2-1 ねんね期の赤ちゃんのおすすめの遊び【ねんねしながらの触れ合い遊び】
ねんね期は0~4ヶ月です。この頃の赤ちゃんは、ほとんどの時間を寝て過ごす時期から、首がすわり、周りの物を見て笑ったり、不快な時は泣いたりと、表情が出てくるくらいの時期です。
そんなねんね期におすすめな遊びは、「ねんねしながらの触れ合い遊び」です。「らららぞうきん」「きゅうりができた」等、歌に合わせて体を優しく触ることがおすすめです。体の感覚が刺激されることや、保育士が目を合わせて楽しい歌を歌うことで保育士との愛着を形成することが期待できます。
触れ合い遊びのねらいとして、「穏やかな関わりの中で、保育士に対する安心感を持つ」「触れ合い遊びを通して、さまざまな感覚を味わう」等が考えられます。
2-2 おすわり期の赤ちゃんにおすすめな遊び①【膝の上での触れ合い遊び】
おすわり期は5〜7ヶ月頃です。おすわり期の赤ちゃんは、支えられれば座ることができたり、寝返りをしたり、ずりばいで移動したりする時期です。また離乳食を始める時期でもあり、生活リズムが整ってくるため、成長を感じることでしょう。
そんな時期におすすめな遊びは、保育士の「膝の上での触れ合い遊び」です。「バスに乗って」や「いっぽんばしこちょこちょ」は、座りながら遊ぶのにちょうど良く、バランス感覚を養ったりくすぐられる感覚を味わえることでしょう。
2-3 おすわり期の赤ちゃんにおすすめな遊び③【寝返りトレーニング】
おすわり期の赤ちゃんは、寝返りができるようになるため、赤ちゃんが寝返りをする距離におもちゃをうまく置いて、寝返りを促すこともおすすめです。寝返りがもう少しでできそうな場合には、足を優しく持ち体をひねれるように補助してあげると、赤ちゃんが寝返りの体の使い方を覚える場合があります。
2-4 はいはい期の赤ちゃんにおすすめな遊び①【ボール遊び】
はいはい期は8〜10ヶ月頃です。はいはい期の赤ちゃんは、ずりばいからハイハイに移行し、より活発になります。また、早いとつかまり立ちをする赤ちゃんもいることでしょう。だんだんとハイハイやおすわりの姿が多くなり、寝転んで遊ぶことが少なくなります。ハイハイ期におすすめな遊びは、「ボール遊び」です。ボールを転がすと、赤ちゃんは追いかけてハイハイします。保育士も一緒にハイハイで追いかけるとより楽しさが増すでしょう。ボールなしで、ハイハイで追いかけっこをするのも楽しいですね。
2-5 はいはい期の赤ちゃんにおすすめな遊び②【段ボールトンネルくぐり】
ハイハイが好きな赤ちゃんには、段ボールトンネルがおすすめです。保育士がくぐって見せたり、出口で「おいで」と声をかけたりすると、赤ちゃんはトンネルをくぐってくれるでしょう。
2-6 たっち期の赤ちゃんにおすすめな遊び①【段ボールの手押し車】
たっち期は11ヶ月頃〜です。たっち期の赤ちゃんは、歩行に向けてつかまり立ちやつたい歩きを始めます。早いと歩ける赤ちゃんもいるでしょう。好奇心からより活発に活動するようになり、いたずらも増えてきます。また、自分の気持ちを身振りや言葉にならない発語や泣くことで表現することもあります。
そんな時期におすすめな遊びは、手押し車です。手押し車と言っても段ボールで簡単に作ることができ、とても手軽です。手押し車は歩行の練習になる他、歩きたいけれどひとり歩きがまだできない赤ちゃんの気持ちを満たすことができます。
2-7 たっち期の赤ちゃんにおすすめな遊び②【壁掛けおもちゃ】
つかまり立ちする高さのところに、壁掛けのおもちゃを用意することもおすすめです。楽しくつかまり立ちをしながら、手を動かして遊ぶことができます。遊びながらバランス感覚を鍛えることができるでしょう。
3 0歳児におすすめの季節を感じる遊び
0歳児の赤ちゃんでも、遊びを工夫すれば季節を感じることができます。どんな遊びがあるのでしょうか?
3-1 春や夏におすすめの遊び
暖かくなる春や夏の時期は、水の冷たさを感じる遊びがおすすめです。例えば、水遊びはもちろん、シャボン玉遊びや寒天遊びもみずの感触を楽しむことができます。手で水の感触を味わったり、バシャバシャという水の音を聞いたり、月齢に合わせて工夫して楽しみましょう。
3-2 秋や冬におすすめの遊び
寒くなる秋や冬におすすめな遊びは、落ち葉を使った遊びです。触って音を楽しむだけでなく、足で踏んだり、制作に使用したり、いろいろな使い方ができます。
また、霜柱やバケツに張った氷を触ることも季節を味合うことができるため、おすすめです。
4 0歳児の遊びで配慮が必要なこと
0歳児の遊びには、注意しなければならないことがいくつかあります。事故なく楽しく遊べるように注意しましょう。
4-1 成長には個人差がある
成長には個人差があり、発達も同様です。体の大きさやハイハイやひとり歩き等ができるようになる時期には赤ちゃんによってさまざまです。
一人一人の成長をよく観察し、その子に合った遊びを考えることが大切です。
4-2 対話を楽しみ無理強いはしない
0歳児とは意味のある会話を楽しむことは難しいかもしれませんが、やりとりを楽しむことはできます。優しい語りかけを丁寧に行ない、赤ちゃんの反応を見逃さないように遊びましょう。
遊んでいる最中に赤ちゃんが嫌そうな様子を見せたら、無理強いはしないようにしましょう。赤ちゃんが嫌そうな時は、違うアプローチを試す、休憩を入れる等工夫しそれでもダメならやる時期の延期や思い切って中止を考えましょう。赤ちゃんが楽しく遊ぶ時間が苦痛の時間とならないようにすることが大切です。
4-3 誤飲、転倒に注意する
赤ちゃんは、興味のある物を口に入れて確かめる行動をよく行ないます。遊びによっては、口に入れると危ない物があるため、特にに注意しましょう。
また、赤ちゃんはつかまり立ちをするようになると同時に、転倒する危険も生じます。もし転倒しても赤ちゃんを受けとめられる場所に保育者がいるようにする、床に柔らかいクッション性のある物を敷く等、赤ちゃんが転倒して怪我をしないように環境を整えましょう。
4-4 遊びに集中できる環境を用意する
0歳児の赤ちゃんは、基本的に自分の遊びに集中します。しかし、周りで他の赤ちゃんが側で遊んでいると、気になってしまい集中できずおもちゃの取り合いが起きてしまうことがあります。
そうならないように、赤ちゃん同士の視界を遮り集中できる空間や十分な数のおもちゃを用意し、赤ちゃん一人一人が遊びに集中できるようにしましょう。
4-5 生活リズムを保つ
準備していた遊びが赤ちゃんたちに大喜びされたら、保育士としてはやりがいを感じることでしょう。たくさん遊んでほしいと思ってしまうかもしれません。
しかし、0歳児の赤ちゃんには生活リズムを整えて過ごすことが非常に重要です。遊び過ぎてしまうと、お腹が空いたり眠くなったりして機嫌が悪くなるだけでなく、体調を崩してしまうきっかけになることもあります。
そのため、遊びは生活リズムが狂わないように、時間を決めて行ないましょう。規則正しい生活を第一に、赤ちゃんが元気に過ごせるようにしましょう。
5 遊びで健やかな成長をサポートしよう
0歳児の赤ちゃんにとって、遊びは発見の連続です。楽しく健康に成長できるようにさまざまな遊びを用意することは保育士にとって腕の見せ所ですね。赤ちゃんの心と体が健やかな成長のために、一人一人に合った遊びを準備し楽しい時間を過ごしてくださいね。