入園・進級して間もなく訪れる行事は「こどもの日」。保育園では、季節の行事に親しみを持てるよう「こいのぼり」を歌い、鯉のぼりの製作を楽しみます。製作といっても、受け持つ年齢によってその手法はさまざまです。

「今年はどんな鯉のぼりにしようかな?」と、悩んでいる保育士も多いのではないでしょうか?そこで今回は、クラスに合わせた鯉のぼり製作のアイディアと、指導のポイントをご紹介します。

1 鯉のぼり製作(0歳児~1歳児)

入園後、慣れない保育園生活に戸惑い大泣きだった0歳児~1歳児は、4月の下旬ごろには落ち着いてきます。しかし、月齢により差が激しいのが乳児クラスの特徴です。決して無理強いはせず、製作の雰囲気を楽しめるよう配慮しましょう。

1-1 入園の記念にも最適!足形を使った鯉のぼり

足型で製作するオシャレなこいのぼりです。指先の発達が未熟で、まだ製作が難しい乳児にピッタリのアイディアです。鯉のぼりの意味をまだ理解できない0歳児でも、記念に残しておくことで保護者に大変喜ばれます。

〇準備物
・台紙となる画用紙
・絵具・筆(もしくは絵具を染み込ませたタオル)
・ぬるま湯を入れたタライやふき取り用タオル

〇製作手順
・子どもの足形を取る
・(保育士)絵具が乾いてから矢車や吹き流しをペイントして完成

〇指導のポイント
・筆や絵具の感触を嫌がる子もいるので、無理強いしないようにしましょう
・「ちょっと冷たいよ」「すぐに終わるよ」と、声掛けをしながら行いましょう
・足をバタバタさせることもあるので、保育士2名で対応するとスムーズです
・保護者に足形を取った時の反応や、絵具を落としきれていないことを忘れず伝えましょう

1-2 ギュッ!お花紙を丸めて作る立体的な鯉のぼり

お花紙をクシャクシャして製作する鯉のぼりです。柔らかいお花紙を丸めるだけなので、乳児でも簡単に取り組めます。立体的な鯉のぼりになるので子どもの日の前に持ち帰り、お家で飾って楽しめます。

〇準備物
・短く切った傘袋2枚
・鱗に見立てた丸シール
・寒色と暖色に分けたお花紙
・鯉のぼりの顔になる部分
・モール、矢車となるストロー

〇製作手順
・傘袋に丸シールを貼る
・お花紙をクシャクシャに丸めて、傘袋に入れる
・(保育士)しっぽ部分をねじってモールでとめ、鯉のぼりの顔を貼り付け、矢車に吊るして完成

〇指導のポイント
・1歳児はシール貼りが大好きですが、まだ手先が器用ではないため大きめのシールを用意しましょう
・お花紙を丸める動作は、保育士が実際に丸めて見せながら説明しましょう
・見本を見せたり声掛けをしたりしながら、子どもの意欲や発想力を刺激しましょう

2 鯉のぼり製作(2歳児~3歳児)

クレヨンや絵具、のりやハサミといった製作道具を少しずつ使いこなせるようになっていく時期です。「何色にしようかな?」「どんな鯉のぼりにしようかな?」と、ワクワクしながら製作できるようになるので、この時期は特に意欲を搔き立てる声掛けを大切にしましょう。

2-1 ハサミとのりを使ってみよう!カラフル鯉のぼり

ハサミやのりを使ったカラフルな鯉のぼりです。月齢が低い場合は、ハサミを使わずに切っておいたものを貼るだけでも構いません。のりではなく、両面テープを貼っておけば低年齢にも対応できるアイディアです。

〇準備物
・鯉のぼりの形に切った台紙
・鯉のぼりの目(白、黄、黒)
・縦4等分に切った折り紙
・のり、はさみ
・ぞうきん

〇製作手順
・縦4等分に切っておいた細長い折り紙を、一回切りで小さな正方形サイズに切る
・鯉のぼりの形をした台紙に、のりで目や切った折り紙を貼って完成

〇指導のポイント
・あらかじめ「ハサミを使った一回切り」や、「のりの使い方」を説明する時間を設けましょう
・「どんな大きさ?」「何色にする?」と、想像力を刺激する声掛けを大切にしましょう
・のり付けが甘い箇所は回収時にはがれたり、他のお友達の台紙と引っ付く場合があるので注意しましょう

2-2 デカルトコマニーに挑戦!不思議な模様の鯉のぼり

絵具を使った手法「デカルトコマニー」で、不思議な模様の鯉のぼりを製作します。デカルトコマニーとは、絵具を自由に塗りつけた紙を半分に折り、絵具を転写させる手法です。紙を開くと、塗りつけた絵具が左右対称に広がったり、色が滲んだり混ざったりして不思議な模様になります。子ども達の「どうなるの?」というワクワクした気持ちを引き立てることができます。

〇準備物
・白い画用紙
・絵具、筆
・のり
・ぞうきん
・鯉のぼりの形に切った台紙
・鯉のぼりの目(白・黄・黒)

〇製作手順
・白い画用紙に絵具を塗りつける
・半分に折って絵具を転写させ開く
・絵具が乾いたら鯉のぼりの台紙に乗せ目を付けて完成

〇指導のポイント
・筆や指で塗ったり、絵具を垂らしたり、自由に取り組んでよいことを伝えましょう
・絵具が乾いてしまうと上手く転写できないので、時間を置きすぎないよう注意しましょう
・「どんな模様も素敵」と、みんなと違った模様を楽しめるような声掛けをしましょう

3 鯉のぼり製作(4歳児~5歳児)

4歳児~5歳児は、自分でアイディアを考えたり、それぞれ工夫する姿が見られる年齢です。製作時間をあえて2~3日に分け、期待やイメージを膨らませることで、より良い作品が完成します。製作した鯉のぼりを作品帳に貼るのか、持ち帰るのかを決めてアイディアを絞りましょう。

3-1 どんな柄にする?世界にひとつだけの鯉のぼり

鯉のぼりの台紙を準備するところから始まり、画用紙に好きな模様をペイント。指で模様を付ける「フィンガーペイント」や、クレヨンと絵具を使った「はじき絵」、垂らした絵具をストローで拭いて模様を付ける「吹き絵」など、ペイント方法はさまざです。ペイントした画用紙から、自分で鱗の形に切り取ることで、お友達とは全く違う「世界にひとつだけの鯉のぼり」を製作できるアイディアです。

〇準備物
・画用紙(鯉のぼり用、ペイント用)
・筆、クレヨン、ストロー、タンポ筆、スタンプなど
・のり、はさみ
・ぞうきん
・吹き流し用の材料

〇製作手順
・鯉のぼり用の画用紙を、鯉のぼりの形に切る
・ペイント用の画用紙に、好きなペイントをする
・ペイントした絵具が乾いてから、鱗の形に切る
・鯉のぼりの形に切った台紙に鱗を貼り付ける
・吹き流しを作成し、鯉のぼりと合わせて完成

〇指導のポイント
・どんな手法があるのか、それぞれ実際に見せて紹介しましょう
・製作時間を決めず、納得がいくまで取り組める環境をつくりましょう
・作業工程が多いため、子どもの日に間に合うよう早めに取り掛かりましょう

3-2 鱗が可愛い!紙コップの鯉のぼり

紙コップを使った立体的な鯉のぼりです。鱗部分は折り紙を1枚ずつ貼り付けるので4歳児~5歳児の、集中力や根気を養うにはピッタリのアイディアです。鱗のカラーはそれぞれ好きな組み合わせを選ぶことで、お気に入りの鯉のぼりが完成します。

〇準備物
・紙コップ
・折り紙
・鯉のぼりの目
・クレープ紙
・のり、はさみ
・ぞうきん

〇製作手順
・折り紙を鱗の形に切る(月齢によっては切っておいた鱗で対応)
・のりで紙コップに鱗や目を貼る
・クレープ紙を巻き付けて完成
・(保育士)持ち帰り用に矢車を準備

〇指導のポイント
・細かい作業はスピードに差が出てしまうため、製作時間に余裕を持っておきましょう
・出来上がった鯉のぼりをみんなの前で紹介する機会を持ち、お友達の作品から刺激を受けられるようにしましょう。

4 みんなで作ろうクラス製作

個人の製作も大切ですが、クラス全体で取り組む製作もおすすめです。特に幼児クラスは、それぞれ意見を出し合い、時間をかけて製作することで達成感を得られます。5月中に参観がある場合は、そのまま飾っておき保護者に見てもらうことも可能です。

4-1 みんなの鯉のぼりを使って完成させよう

インパクトの大きい、壁一面に広がる鯉のぼりのアイディアです。それぞれが製作した鯉のぼりを合わせて、大きな鯉のぼりに仕上げます。壁面を飾るスペースがない場合は、天井を使うのももおすすめです。保育士の作業量が多いので、シーズンに間に合うよう早めに取り掛かりましょう。

4-2 みんなの手形を鱗に見立てよう

ひとつの鯉のぼりを、子ども達の手形で完成させるアイディアです。小さな手のひらが、ちょうど鱗のサイズになります。鯉のぼり用に、白い布を切ったり縫ったりする作業が必要です。下準備は大変ですが、子ども達の手形だけで完成するため、乳児クラスでも簡単に取り組めます。

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