日本の祝日のひとつである文化の日。文化の日は日本の発展や平和を願う日といわれており、子どもたちにとっても重要な祝日です。ただ、子どもの日や七五三といったような身近な行事ではないため、文化の日の意味や由来を「どうやって子どもたちに伝えよう?」と悩んでいる保育士の方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、保育園での「文化の日」に関する意味や由来の伝え方をご紹介します。日本の文化を感じられる伝承遊びもお伝えしますので、文化の日が近くなったらぜひ試してみてください。
文化の日とは?意味や由来を知ろう
11月3日は文化の日です。日本では、祝日となっています。ただ、「文化の日って具体的には何をお祝いする日なのだろう」「どんな意味があるのだろう」と疑問に感じている方もいるかもしれません。ここではまず、文化の日の意味や由来をご紹介します。
文化の日の意味
内閣府の説明では、「自由と平和を愛し、文化をすすめる日」と言われています。また文化の日は、日本国憲法が公布された日と同じ日です。「新し憲法に則り、文化を大切にしながら自由かつ平和な世の中を築きましょう」という意味が込められています。
文化の日の主な目的は、文化活動をすすめることです。文化の意味は諸説ありますが、要約すると「人間が作り出した暮らし方・食生活・言語など全てのもの。特に哲学や科学、芸術といった精神的なもの」と言われています。昔ながらの生活習慣や、新しい発見、美術や音楽など「文化」に分類できるものは多々あるでしょう。そういったものを、改めて体験し大切にすることが文化の日の主な目的となっています。
文化の日の由来
1946年の11月3日には日本国憲法が公布されました。その2年後には、11月3日が文化の日として制定されています。平和や文化の大切さを重視する日本国憲法の意義を反映していることが分かります。
また、11月3日は明治天皇のお誕生日です。「天長節」「明治節」といった祝日として古くから日本国民に親しまれてきました。日本政府としては、11月3日を文化の日と制定したことに対し、親しみのある祝日を残したいという意向もあったと考えられます。
11月3日を建国記念日の祝日に定めようとしていた日本政府に対し、当時占領していたGHQが反対したため、5月3日を建国記念日にしたというエピソードも残っています。
文化の日について保育園でのベストな伝え方
保育園や幼稚園では、祝日や伝統行事が近づくと子どもたちに意味や由来を伝えるのが一般的です。ただ、子どもに説明する際には分かりやすく伝える必要があるため、どのように話すのがベストか分からず悩んでしまうこともあるかもしれません。
特に、「文化」は抽象的で曖昧な部分があるため、説明が比較的難しいと感じることもあるでしょう。ここでは、保育者から子どもたちへの伝え方のポイントをご紹介します。
文化を分かりやすく伝える
文化の日はどういうものなのかを、分かりやすく簡潔に伝えましょう。まずは内閣府が説明しているように、「自由と平和を大切にする日」であることを説明します。
次に、文化とは具体的にどういうものなのかについては、子どもたちの身近にあるものや体験できることを例に出すと伝わりやすいでしょう。例えば、「歌をうたう」「絵を描く」「昔ながらの遊びをする」などです。以下のようにかみ砕いて説明してみてください。
・例文
文化の日は、みんなが楽しく安全に暮らせることに感謝する日だよ。歌をうたったり絵を描いたり、工作で新しいものを作り出したりすることも文化のひとつだよ。誰かが作ったり伝えてくれたものにありがとうの気持ちを込めて生活しようね。
具体的にどんなことをするのか解説する
歌を歌う、絵を描くなど具体的にどのようなことが文化的な活動と言えるのかを説明すると分かりやすくなるでしょう。保育園で体験できる文化的な活動は、他にも以下のようなものがあります。
- 折り紙を折る
- 工作をする
- 新しいことを考える など
文化を感じる遊びを取り入れる
「文化」は抽象的で子どもにはイメージしにくい部分もあるかもしれません。そのため言葉で説明するだけでなく、実際に体験した方が伝わりやすくなります。文化的活動は日常生活の中にもたくさんあるので、カリキュラムにも取り入れやすいでしょう。
例えば、「伝承遊びをする」「美術を鑑賞する」「音楽を奏でる」など方法はさまざまあります。思い切って普段とは少し違う遊びや音楽などを取り入れた方が、子どもたちの印象に残りやすくなるかもしれません。
文化の日を体験!室内でできる伝承遊び5選
ここでは、保育園で実践できる文化的な遊びをご紹介します。室内でできる伝承遊びです。昔ながらの日本の文化を感じられます。
こま回し
けん玉と並んで学童の子どもたちはコマも上手な子が多いです。
洗面器に布を貼ってこんなものまで手作りしてしまうのだから、驚きです。#学童保育#こま回し pic.twitter.com/zypRiQvjQ6— 学童保育 玉造子どもクラブ (@tama_gakudou) September 20, 2020
こま回しは代表的な伝承遊びのひとつです。こまに巻きつけた紐を勢いよく外すことで、こまが回る仕組みになっています。コツが必要なので簡単には上手く回せませんが、何度も練習するとできるようになります。
また、ぶんぶんゴマであれば自分でも作成できるので、文化の日の製作遊びにも相応しいでしょう。主な材料は厚紙とタコ糸のみです。これもある程度のコツが必要なので、当日だけでなく何日も楽しめます。
おはじき
あなどるなかれ、おはじき遊び!
透明で見た目も涼しげ、触り心地もひんやりしているおはじき。
並べたりじゃらじゃら触るだけでも楽しいけれど、こんな楽しみ方もあるんだな♪https://t.co/Xo8HmmvRsE#おはじき #遊び #hoiclue #ほいくる pic.twitter.com/rzrMy2nSB7
— ほいくる(HoiClue) #やってみたいっておもしろい (@HoiClue) July 31, 2018
おはじきを床やテーブルの上に広げて、1つのおはじきでねらいを定めた1つのおはじきを弾きます。2つのおはじきの間に小指で線を引き、成功すれば両方のおはじきを獲得できます。より多くのおはじきを集めた方の勝利です。
おはじきは2~5人程度で遊べます。細かい指の動きが必要になるので、4~5歳以上の子どもに適した遊びといえるでしょう。また、おはじきは口に入れやすい形状なので、小さな年齢の子どもには不向きかもしれません。
けん玉
けん玉は、糸で繋がった玉を落とさないようにお皿に乗せたりけんに刺したりする遊びです。難しい遊びではありますが、集中力や忍耐力が養われるメリットもあります。
けん玉も自分で製作可能です。主な材料は、紙コップ、トイレットペーパーの芯、毛糸、紙、ゴムテープなど。簡単に作れるので一斉保育にも向いています。
あやとり
けん玉の次はあやとりにはまる長男です。
ゲーム📺️🎮️するの忘れる程熱中してます🎵昔遊び最強!!
byぐっさん#あやとり#昔遊び#おうち時間を楽しもう pic.twitter.com/EU01TWyqh6
— プリンセススクゥエアーfor WOMAN (@pri_for_woman) January 22, 2021
毛糸や紐などで大きめな輪を作れば、あやとりができます。1人もしくは2~3人でできる遊びです。1人で遊ぶ場合は、両手の親指と小指に糸をかけ、その張り詰めた糸を反対側の手の中指で取ると基本の構えができます。
決まった型どおりにあやとりするのも達成感があって良いですが、自分の創作で新しい形を作ってみるのも楽しいでしょう。
竹とんぼ
こまが売ってたので、子供に2つ買った😁
竹とんぼは前に買ったし、昔ながらの遊びはもっとやった方がいいと思う。#こま回し#竹とんぼ pic.twitter.com/0sRL3czgEL— しん🔩ゆきとま (@yukitomashin) January 7, 2021
竹とんぼは、筒状の部分を掌で擦り合わせながら飛ばす遊びです。奈良時代や平安時代から伝わる伝統的な遊びといわれています。飛距離を競って遊んでみましょう。
竹とんぼは本来、竹を削って作りますが、牛乳パックやストローといった身近なものでも簡単に作れます。竹とんぼを飛ばす際には、周りに人がいない広い場所に移動し、安全に配慮しながら行いましょう。
集団で楽しむ伝承遊び5選
園庭や遊戯場などの広い場所で、同じ組の子みんなで遊べる集団遊びをご紹介します。こちらも昔から親しまれている伝承遊びなので、文化を感じられる遊びといえるでしょう。文化の日の遊びとして、ぜひ取り入れてみてください。
はないちもんめ
江戸時代から伝わるとされるはないちもんめ。2組みに分かれてメンバーのやり取りをする遊びです。ルールは以下のようになります。
- 全員を2組みに分ける
- 組ごとに向かい合って一列に並ぶ
- 隣の子と手をつなぐ
- 「勝って嬉しいはないちもんめ 負けて悔しいはないちもんめ あの子が欲しい あの子じゃわからん 相談しましょ そうしましょ♪」という歌の一節を、組ごと交互に歌いながら前後に歩く※歌のうたい終わりに片足を振り上げる
- 各組ごとに相手チームの欲しいメンバーを相談で決める
- 「〇〇ちゃんが欲しい」「✕✕ちゃんが欲しい」と各チーム欲しい子を披露する
- 代表者がじゃんけんをして、勝った方に負けチームの子がもらわれていく
- 同じ組の子がいなくなったら負け
ハンカチ落とし
用意するものはハンカチのみの、簡単にできるゲームです。ルールは以下のようになります。
- 1人鬼を決めて、残りの子は全員内側を向き輪になって座る
- 鬼はハンカチを持ちながら周りをくるくると回り、気付かれないように誰かの後ろにハンカチを落とす
- 座っている子たちは、鬼が通り過ぎた後、後ろを振り返らず手だけでハンカチを確認する
- ハンカチにすぐに気付いた場合は、鬼を追いかけてタッチする
- ハンカチに気付くのが遅れた場合は、鬼とその子が交代する
缶蹴り
鬼ごっことかくれんぼを合わせたような遊びなので、複雑なルールにも対応できる年齢になる4~5歳児におすすめです。ルールは、以下のようになります。
- 鬼を決める
- 遊び場の真ん中に缶を置き、鬼は足をかけながら目を瞑り10秒数える
- 他の子は10秒の間に隠れる
- 10秒後、鬼は隠れた子を探しに行く
- 隠れている子を見つけたときに「〇〇ちゃん見つけ」と言いながら缶を踏む
- 見つかった子は鬼と手をつなぎ鬼になる
- 隠れている子は、鬼が他の子を見つけるために空き缶から遠ざかっている間に、空き缶を蹴り飛ばす
- 空き缶を蹴られる前に全員見つけられれば鬼の勝ち、鬼に見つかる前に空き缶を蹴られれば残りの子の勝ち
おしくらまんじゅう
ルールが簡単なので、年齢の小さい子でも楽しめる遊びです。ルールは以下のようになります。
- 全員で輪になる
- 背中を向けて「おしくらまんじゅう 押されて泣くな♪」の歌に合わせて押し合う
- 押し出されてしまった人の負け
押された際に転んだり物にぶつかったりと危険がないよう、周りに障害物がない広い空間で行うと安心です。
だるまさんがころんだ
遠くに逃げたり隠れたりする必要がないので、遊戯室など大きめな空間があればどこでも楽しむことができる遊びです。ルールは以下のようになります。
- 鬼を1人決めて、鬼は壁や木などに向かって立つ
- 残りの子は、少し離れたことろに線を引き横一列に並ぶ
- 「はじめの一歩」の掛け声で、鬼以外の子は大きく一歩前に出る
- 鬼が目をつぶりながら「だるまさんがころんだ」と唱える
- 唱えている間に、鬼に向かって近づく
- 「だ」で鬼は目を開けて振り返り、残りの子は停止する
- 動いてしまった子は鬼に呼ばれ、鬼と手を繋ぐ
- 鬼に捕まらずに鬼まで辿り着いた子は、鬼と捕まった子の手を「切った」と言いながら切る
- 鬼以外の子は逃げて、鬼は「ストップ」と叫ぶ
- 決められた歩数分のみ鬼が移動し(逃げた子の誰かを狙って)、タッチする
- タッチされた子が次の鬼になる
文化を体験できる遊び4選
古くから伝わる伝承遊び以外にも、文化を感じられる体験はたくさんあります。その中でも、保育園で比較的簡単に取り入れられるものをご紹介します。
習字
日本の伝統文化である習字もおすすめです。保育園児であれば、習字を見たことがない、やったことがないという子も多いでしょう。半紙や墨汁は100均一などでも手に入ります。
好きな文字や言葉、絵などを書いて、作品を壁に飾って楽しみます。ただし、保育園に通う年齢の子は、まだ通常漢字を書けません。ひらがなや絵、言葉など自由に選んで楽しく書くことを目標にしましょう。
歌舞伎ごっこ
戦国時代から江戸時代に流行したとされる歌舞伎も、日本の伝統的な文化です。歌舞伎を見に行ける環境であれば、社会科見学として歌舞伎鑑賞するのも良いでしょう。
歌舞伎らしい髪の毛とお面を作れば、保育園でも歌舞伎ごっこができます。歌舞伎には馴染みがない子も多いことが考えられるため、歌舞伎のお話を聞かせたり映像を見せることで興味や関心を引き出せるでしょう。
発明体験
科学も文化のひとつです。新しい発見や研究をしてみるもの、文化の日に相応しい遊びになります。遊び方にはさまざまな方法がありますが、「こんなものがあったらいいな」と想像したものを作ってみるもの楽しいでしょう。
また、科学に関する絵本を読んだり、最近見つけた新発見について発表し合うといった方法もあります。子どもたちの興味関心に合わせてカリキュラムを組んでみましょう。
美術館・博物館鑑賞
美術館や博物館見学、音楽鑑賞などでも文化を学ぶことができます。また、芸術に触れた後に「見たこと」「感じたこと」などを絵に描く、聞いた歌を演奏するといった時間を設けるものおすすめです。その工程を加えることで、さらに1つ多く「文化」を体験できます。
園外保育が難しい場合は、ごっこ遊びや映像を見せる、絵本を読むといった方法でも楽しめます。
まとめ
文化の日は11月3日です。「自由と平和を愛し、文化をすすめる日」と制定されています。言葉だけでは伝わりにくいため、芸術や科学、伝統的な遊びなどを体験できるよう保育をすすめると良いでしょう。
園生活の中にもたくさんの文化的な活動があることも説明し、文化の日をきっかけに文化に対する感謝や親しみが増えると良いですね。