サーキットは、フラフープや跳び箱などさまざまな運動を取り入れながら、体全体を動かせる遊びです。子どもの発達の状態に合わせて難易度を変更すれば、どのような年齢の子でも楽しく取り組めます。

そのため、保育園でサーキット遊びを行いたいと思っている保育士の方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、サーキット遊びの種類や導入時のポイントについて詳しくご紹介します。子どもたちが夢中で楽しめるサーキットを作り、心身の発達を促しましょう。

サーキット遊びとは?

「サーキット遊び」という言葉に聞き覚えのない方もいるかもしれません。ここではまず、サーキット遊びの概要や、効果・メリットについてご紹介します。

サーキット遊びの概要

サーキットとは、園庭や遊戯室などを周回しながら、複数の運動をこなしていく活動です。跳び箱やマットなどを行い、体のさまざまな部位の筋肉を動かしていきます。

また、サーキット遊びならではの「楽しさ」も取り入れ、自発的に「挑戦してみたい」と思える工夫も必要です。したがって、子どもの興味関心や身体的な発達の状態に合わせたツールを用意するのも良いでしょう。

サーキット遊びで得られる効果やメリット

サーキット遊びで得られる効果やメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 身体的な運動機能の発達を促す
  • ルールや秩序を守って遊べるようになる
  • 諦めずに挑戦する力が身に付く
  • 自発的に行動できるようになる
  • 達成感を味わう中で、自己肯定感が高まる など

身体的な発達を促せるだけでなく、「挑戦する心」「自己肯定感」といった情緒面も養えるのが嬉しいポイントです。しかし、サーキット遊びは周回型のため、1ヵ所を諦めてしまうと次に進めません。

つまり、サーキット遊びを実践することで、一つ一つの運動を一生懸命にこなし、乗り越えようとする子どもの姿が見られるようになります。

0~2歳の乳児期におすすめなサーキット遊び5種類

0〜2歳児の乳児期は、ハイハイやよちよち歩きの時期の子でも安心して楽しめるような内容に設定しましょう。乳児期におすすめの運動遊びは、5種類あります。

フラフープくぐり

フラフープくぐりは、ハイハイの子でも問題なくできるため、乳児期におすすめです。

やり方は、保育者がフラフープを持ち、子どもたちはフラフープを通り抜けさせます。ちなみにハイハイや歩行が安定していない状態の子がいる場合は、マットを敷き、マットの上でフラフープくぐりを行うようにすると良いでしょう。

一方、2歳児など体の発育が進み活発に動く年齢の場合は、フラフープの位置を少し高めに設定したり、何本かつなげるなどして難易度を上げたりして工夫すると、より楽しめます。

ゴロゴロマット

マットを敷き、マットの上に寝転んで横回転します。保育者は子どものサポートとして、軽く押して勢いを持たせましょう。

回るのが怖い子や苦手な子がいる場合は、ハイハイやジャンプもOKにして柔軟に対応することが大切です。また、保育者が実際に転がって手本を見せると、子どもたちも不安を抱くことなく楽しんで参加できます。

ボールプール

家庭用のビニールプールに、ボールを入れてプールを作ります。ボールは軽くて小さいものを選びましょう。適切なボールがなければ、風船や新聞紙のボールでも代用可能です。

ボールを投げたりボールの中を泳いだりして、運動遊びを楽しみます。保育者が、子どもたちの上からボールを降らせてみても、盛り上がるでしょう。

マット滑り台

マットを使って滑り台を再現します。まずは、マット1枚を丸めて、縄跳びやロープなどで縛り、固定しましょう。その上に、もう一枚マットを乗せれば完成です。

てっぺんの部分から、お尻を使い滑って降りましょう。保育者が子どもを一人ひとり支えながら行うと安心です。

玉入れ

0~2歳児にとって、玉を上に向かって投げ入れる動作は難しいため、床に落ちている玉を段ボールなどの箱の中に運び入れる方法がおすすめです。

子どもの手の高さの位置で段ボールをくり抜き、キャラクターや動物などの顔を描きましょう。ご飯をあげるような感覚が面白く、夢中になって楽しめます。

3~5歳の幼児期におすすめなサーキット遊び8種類

運動機能が発達する3〜5歳の幼児期は、サーキットにもさまざまな運動遊びを取り入れられるようになります。特におすすめの運動遊びは、以下の8種類です。

平均台渡り

平均台や長方形のブロックなどを用意して、その周りにマットを敷きます。最初は保育者が手をつないで支えながら行いましょう。

さらにマットを敷いておくと、万が一落ちても安心です。また、子ども自身も恐怖心がなくなれば、「自分だけの力で渡り切ろう」と、思い切って挑戦することができます。

この平均台渡りを取り入れると、平衡感覚や集中力を養うことが可能です。

跳び箱

跳び箱にまたがり、腕の力を使って前に進んでいきましょう。通常通りに跳び箱を飛び越えたり、一度跳び箱の上に立ってジャンプで降りたりしても問題ありません。

跳び箱は苦手意識を持つ子も多いので、ルールを決め過ぎず自由さを残しておくことも大切です。「楽しい」「跳び箱を越えられて嬉しい」といった気持ちを伸ばすようにしましょう。

キャタピラー

キャタピラーは、子どもが段ボールの中に入って、そのままハイハイをして段ボールごと前に進む運動遊びです。段ボールの耳の部分を切るか、ガムテープでつなぎます。また、段ボールに何カ所も折り目を付け、柔らかくしておくと進みやすくなります。

大きめに作れば、複数人の子どもが一緒にキャタピラーに入れるので、遊びが盛り上がります。協力しながら操縦する必要があるため、コミュニケーション能力や協調性も養えるでしょう。

縄跳びくぐり

保育者2人が縄跳びの端を持ち、子どもたちはその縄跳びの下をくぐります。縄跳びに触れなければ、歩いてもハイハイをしてもOKです。

だんだんと縄跳びの位置を下げ、難易度を上げていきましょう。「縄跳びに当たってしまうかもしれない」というスリルやドキドキ感を味わえます。

けんけんぱ

フラフープを並べ、その形に合わせて片足や両足でジャンプします。3歳児では難易度を下げて、「グーパー」と跳べるようにしたり、フープの中からはみ出ないように歩ければOKといったようにルールを変更したりしながら、柔軟に対応しましょう。

4〜5歳児は運動機能が発達するので、「けんけんぱ」など難易度を上げると楽しめます。また、自分で好きなようにコースを設定できる(フープを置ける)ようにするのも方法のひとつです。考える力も養えます。

鉄棒(前回り)

屋外でサーキットを行う場合は、鉄棒も取り入れましょう。鉄棒は腕の力や握力を鍛えられます。3歳頃は「豚の丸焼き」や「布団干し」といったぶら下がり系のものを、4~5歳頃には「前回り」や「逆上がり」などができるようになります。

また、鉄棒は1回や2回で簡単に技を決められるようにはなりません。諦めずに挑戦する心や、難しい動きにも果敢にチャレンジする精神が鍛えられるのも嬉しいポイントです。

マット(前転)

マットで前転する際は、しっかりと手を耳の横に用意し顎を引きながら回ることを事前に伝えておきます。怪我がないよう保育者が必ず付き、サポートしましょう。

また、回るのが怖い子やマットが苦手な子がいる場合は、無理にやらせる必要はありません。マット運動やサーキットで体を動かすことを楽しむことが一番大切です。

「マットの上でジャンプしたり、横向きに転がったりしてもOK」といったように、柔軟にルールを変更しましょう。

ボール(シュート)

ボール運動も、サーキットによく導入される運動遊びのひとつです。ただし、3〜5歳になるとボールを投げるのが上手になるため、簡単過ぎるかもしれません。

ただ投げるだけでなく、シュートをしてゴールに入れる遊びも取り入れましょう。足で蹴ってボールを操るのは意外と難しく、子どもの好奇心をかき立てます。

サーキット遊びのポイントと注意点

サーキット遊びを楽しくするためのポイントと、注意点をご紹介します。しっかりと配慮すれば、より安全に遊びを展開できるようになります。

広い場所を確保する

サーキット遊びを取り入れる際は、広いスペースを確保しましょう。園庭や遊戯室で行うのが一般的です。場所が狭いと、机の角にぶつかったり壁に当たったりといったように怪我が起こりやすくなります。

もし、なかなか園庭や遊戯室を使用できず、保育室のような小さいスペースで展開する場合は、できるだけものをどかしてスペースを確保しましょう。

一定の間隔を空ける

子どもが同じ場所に密集しないよう、一定の間隔を開けるようにしましょう。一斉にスタートさせるのではなく、一人ずつ順番にスタートさせ、前の子が次の遊具に移動したらゴーサインを出すようにします。

子どもが密集すると、「前の子とぶつかった」「早く行ってと言ってきて、喧嘩になった」といったように、怪我やトラブルが怒りやすくなるため注意が必要です。

保育者を各所に配置する

各遊具に保育者を配置し、危険がないようにしっかりと見守る体制を整えましょう。サーキット遊びでは、子どもたちは楽しさのあまり、時に危険なことを行う場合があります。

無理をしないように声掛けしたり、運動が苦手な子にはサポートを入れたりしながら、子どもの様子に合わせて個別に対応することが大切です。

まとめ

サーキット遊びは、全身を思い切り動かして楽しめる運動遊びです。さまざまな遊びを一度に体験できるので、子どもたちから人気があります。

サーキット遊びを行う際は、安全面に最大限配慮しながら、子どもの様子や発達の状態に合わせて適切な遊びを導入しましょう。今回の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。

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