「秋を楽しめる製作遊びを取り入れたい」と考えている保育士の方は多いのではないでしょうか。そこで今回は9月の製作遊びにおすすめの、折り紙アイデアをご紹介します。

折り紙は、指先のトレーニングや脳の運動にも最適です。適宜保育に取り入れ、子どもたちの発達をサポートしましょう。

保育に折り紙を取り入れる3つのメリット

折り紙は「子どもの知育に良い」と言われている遊びのひとつです。ここでは、保育に折り紙遊びを取り入れる主なメリットを3つ紹介します。

忍耐力や集中力が育まれる

折り紙は、簡単に折れるものから難しいものまで、たくさんの種類があります。また、折り紙は「角を合わせて丁寧に折れるか」や「しっかりと折り目の線を付けられるか」などによって、作品の出来栄えが変わってきます。

難しいものに挑戦する場合、なかなか上手く折れず、途中で諦めたくなる子どももいるでしょう。しかし、細かい作業でも諦めることなく前向きに取り組む中ことで、集中して取り組む力や忍耐力を身に付けさせることができます。

指先のトレーニングになる

折り紙は、単に紙を折るだけでなく、曲げる・広げるなど指先を細かく動かして作品を作っていきます。さらに作る作品によっては、紙を切ったり、変にシワがついたりしないように、丁寧かつ慎重に折らないといけません。

このように複雑な指の動きを何度も繰り返すことで、少しずつ指先の動かし方を覚え、巧緻性が身に付きます。また、指先を動かすと脳への刺激になるのもメリットのひとつです。

自分で考える力を身に付けさせたいときにも、折り紙はおすすめです。

コミュニケーション能力が身に付く

折り紙製作を通して、友達や保育者と「上手にできたね」や「ここはどうやって折るの?」などタイミングをみて話をすることで、コミュニケーション能力も身に付きます。

コミュニケーション能力は、人間関係を築く際に欠かせません。他者とじっくり関り合うことで信頼関係が生まれ、精神的な安定や満足感を得られます。

社会で生きていくうえで必ず必要になる能力なので、幼少期に身に付けておくと良いでしょう。

保育に折り紙を導入する際のねらい

折り紙製作で得られるメリットを確認しながら、保育を行う際のねらいを決めましょう。ねらいの一例は以下の通りです。

  • 表現方法のレパートリーを増やし、表現することを楽しむ
  • 折り紙の折り方や、指先の動かし方に関する理解を深める
  • 季節にちなんだ折り紙製作を行う中で、季節を感じる
  • 折り紙を完成させることで、満足感や達成感を味わい自己肯定感を育む
  • 友達と協力しながら折り進める中で、協調性やコミュニケーション能力を養う

ねらいを定めることで、子どもたちの発育に適切な保育を導入できるようになります。年齢やクラスの子どもたちの様子に合わせて、ねらいを決めましょう。

乳児期におすすめ9月の折り紙アイデア5選

乳児期におすすめの折り紙アイデアをご紹介します。簡単に折れる、9月の製作アイデアを5つピックアップしたので、参考にしてみてください。なお、乳児期は子どもの発達に大きな個人差があるため、クラスの子どもたちの様子に応じて難易度を変更しましょう。

きのこ

子どもでも簡単に作れる「きのこ」の折り紙アイデアです。完成したきのこにシールを貼ったり顔を描いたりすると、より個性が出るでしょう。

【作り方】

  • 白い面を上にして用意する
  • 縦と横に1回ずつ折り、折り目をつけて開く
  • 上側の左右の角を中心の点に合わせて折る
  • 下の辺を真ん中の線に合わせて折り、裏側に折り返す
  • 左右の辺を真ん中の線に合わせて折る
  • 黄色と白の境目となっている辺を、黄色い部分の四角形の真ん中の線に合わせて折る
  • 折り紙の白い部分の、左右の上の角を少し折り、開いて潰す
  • 90度の角になっている部分を少しだけ折り角をなくす
  • 裏返して完成

バッタ

折り紙で作る一番簡単なバッタです。難易度が低いので、1歳頃の子でも作れるでしょう。

【作り方】

  • 折り紙の白い面を上にして、角が上下左右にくるように用意する
  • 上の角を下の角に合わせて半分に折る
  • 角が右斜め上にくるように折る
    ※角度は自分で決められる
  • 裏返して、同じ位置に角がくるように谷折りして完成

どんぐり

どんぐりの折り紙アイデアです。どんぐり拾いをした後に作ると、興味関心が強まるでしょう。

【作り方】

  • 色のついた面を上にして、角が上下左右に来るように用意する
  • 上下左右に1回ずつ半分に折り、開く
  • 上の角を真ん中の点に合わせて折る
  • 上の辺を真ん中の線に合わせて折る
  • 真ん中のところでもう1回折る
  • 折り紙を裏返す
  • 上の辺を3等分して、左右を内側に向けて折る
  • 上の左右の角を少し内側に折り角をとる
  • 裏返して完成

簡単に折れる「栗」の折り紙アイデアです。「折り紙を半分に切る」「等分にする」といった難しい工程は、保育者が行うとスムーズに進でしょう。

【作り方】

  • 半分に切られた折り紙の茶色の面を表にして用意する
  • 下の辺を1cm程度上に向かって折る
  • 裏返して、三角形の左右の辺を等分にして真ん中のところに印をつける
    ※保育者が行う
  • 等分にした印の部分を起点にして、左右の角を内側に折る
  • 下の左右の角を少しだけ内側に折り、角をとる
  • 上下をひっくり返して完成

ぶどう

実りの秋にピッタリの、「ぶどう」の折り紙アイデアです。パーツをいくつか作り貼り付けることでぶどうを完成させます。パーツごとに折り紙の色を変えると、華やかになり立体感も出るでしょう。

【用意するもの】

  • 折り紙
  • はさみ
  • のり

【作り方】

  • 折り紙を半分に切ったものを4枚用意する
  • 切られている折り紙の白い面を上にして、横長になるようにセットする
  • 上下に半分に折り、開く
  • 4つの角を真ん中の線に合わせて折る
  • 横半分に折る
  • 右側の上下の角を真ん中に向けて折り、線をつけたら元に戻す
  • 線を付けた部分を、内側に向けて中折する
  • 右(開いていない方)の角を中心に向けて折り、線をつけたら開く
  • 線に向かって、角を折る
  • 折った部分を巻き込むようにしてもう一度折る
  • 左の角を持ち、左右に優しく開く
  • 中心の部分を平らになるように折り畳む
  • 全ての角を少しだけ折り、角をなくす
  • 同じものを何個か作る
  • 茶色の折り紙をはさみで切り、ぶどうの枝の部分を作る
  • パーツをのりで貼りつけて完成

幼児期に最適な折り紙アイデア7選

幼児期におすすめの折り紙アイデアを7個ご紹介します。幼児期は手先が器用に動くようになるため、折り紙の難易度も上がります。

コスモス

折り紙を重ねて作るコスモスです。コスモスの折り方はさまざまありますが、その中でも幼児期に丁度よい難易度のものを紹介します。

【用意するもの】

  • 折り紙
  • はさみ
  • のり

【作り方】

  • 折り紙を4等分に切る
  • 白い方を表にして、三角形になるよう半分に折る
  • 頂点を上にして、左右の角を合わせてさらに半分に折る
  • 左右の角を60度ぐらいのところで内側に折る
  • 開く方の辺を開かない方の辺に合わせて折る(左右どちらとも)
  • 折った部分を広げて潰す
  • 潰した部分の左右の角を、少しだけ裏側に折り込み角をなくす
  • 上部の3つの角の真ん中に、はさみで切り込みを入れる
  • 同じものを全部で4つ用意する
  • 折り紙の端にのりをつけて、少しずつ重なるように貼り付けていく
  • 黄色い折り紙を小さな丸になるように切る
  • 黄色い折り紙を真ん中に貼り付けて完成

すすき

簡単に作れる「すすき」の折り紙アイデアです。お月見の製作の際に使用できます。うさぎやお餅なども作って、一緒に飾ってみましょう。

【用意するもの】

  • 折り紙
  • はさみ
  • のり

【作り方】

  • 色のついた面を表にして、角が上下左右にくるように用意する
  • 下の角を上の角に合わせて半分に折る
  • 右の角と左の角を合わせてさらに半分に折り、1度開く
  • 折り目に沿ってはさみで切り4等分する
  • 二等辺三角形の短い方の辺の内、どちらかを半分に折り線をつける
  • 折り線に向かってはさみを入れてすすきの穂を作る
  • もう一方の短い辺から、くるくると内側に向かって巻き幹の部分を作る
  • 開かないようのりで留めて、形を整えたら完成

もみじ

秋の紅葉にふさわしい折り紙アイデアです。少し難易度が高めなので、幼児期の子に適しています。

ただし、「紅葉を見たことがない」「どんな葉っぱかわからない」という子もいるかもしれません。落ち葉広いや秋見つけなどで導入すると、興味関心が高まり、イメージもしやすくなるでしょう。

【作り方】

  • 白い面を表にして、角が上下左右にくるように用意する
  • 下の角を上の角に合わせて半分に折る
  • 左右にも半分に折り、一度開く
  • 右下と左下の辺を中央の線に合わせて折る
  • 裏返して、下の角を上の角に合わせて折り、再度裏返す
  • 左右の色がついた部分を開きながら、折り潰す
  • 上下の向きを変えて、裏返す
  • 下の角を上の角に合わせて折り、再度裏返す
  • 上の角(2枚)を中心の線に合わせて折る
  • 折った部分を斜め上に向けて開くように折る
  • 下の角を上の角に合わせて折る
  • 折った角を再度下に向けて折り、角が少しだけ出るようにする
  • 左右の下の角を内側に少し折り入れる
  • 裏返して完成

さんま

食欲の秋の代表的な食べ物「さんま」の作り方を紹介します。比較的難易度は低いので、3歳児や4歳児に適しています。

【用意するもの】

  • 折り紙
  • はさみ
  • マーカー

【作り方】

  • 折り紙の白い面を表にして、角が上下左右にくるように用意する
  • 下の角を上の角に合わせて半分に折る
  • 開いて、右側の上下の辺を真ん中の線に合わせて折る
  • 上下の角になっている部分を、真ん中の線より少しはみ出たあたりまで折る
  • 右の角に3cm程度の切り込みを入れる
  • 切り込みを入れた部分の角になっていることろを、真ん中の線に沿って折る
  • 切り込みの部分を上下に開いて折る
  • 左側の上下の辺を真ん中の線に合わせて折る
  • 裏返して顔やヒレを描いて完成

イチョウ

秋の紅葉を彩る、イチョウの折り紙アイデアです。折り目をつけた葉っぱの部分が、本物のイチョウのように柔らかく優しい雰囲気を演出します。

【作り方】

  • 折り紙の白い面を表にして、角が上下左右にくるように用意する
  • 下の角を上の角に合わせて半分に折る
  • 開いて、下側の左右の辺を真ん中の線に合わせて折る
  • 下の角を、先ほど折った部分の端に合わせて折る
  • 上の角も同じ場所に合わせて折る
  • 一度、上の角以外の折った部分を全て開く
  • 上の辺を、横の折れ線のあることろに合わせて折る
  • 左右の角を真ん中の点に合わせて折り、線をつけたら開く
  • 左右の角の上側の辺を、今付けた線に合わせて折り、線をつけたら開く
  • 左右の辺を真ん中の縦線に合わせて折る
  • 裏返して、左右の辺を、模様として付けた線に合わせて折る
  • 角を上に向けて折る
  • 真ん中の部分を開いて折り潰す
  • 折った部分の左右の角を中心の線に合わせて折る
  • 折った部分を下に向けて折り戻し、中心の部分をきれいに整える
  • 折った部分の両端の辺を中心の線に向けてさらに折る
  • 裏返して完成

両面折り紙を使った製作アイデアです。両面折り紙がない場合は、葉っぱの部分をクレヨンや色鉛筆で装飾することもできます。

【作り方】

  • 緑の面を表にして、上下左右に半分に折り、開く
  • 裏返して、上下左右の角を合わせて半分に折り開く
  • オレンジの面を上にして、真ん中の点が頂点になるように、折り目に合わせて畳みこむように折る
  • 開く方を下に向けて置く
  • 左右の角を真ん中の線に合わせて折る
    ※下の角が若干開くように折る
  • 裏返して同じように折る
  • 折った部分を全て、開いて潰す
  • 左右に一枚めくり、折っていない面を表・裏にする
  • 左右の辺を内側に斜めに折り込む
  • 下向きのぺらぺらしている部分を上に向かって折る
  • 折った部分を角が重ならないようにジャバラ折りする
  • 折った部分の左右の角を開きながら潰して折る
  • 裏返して、上の角を下に向けて折る(2cm程度)
  • 上に向いている緑の部分を、手前側の左右に開きながら降り潰す
  • 裏返して、下の角を上に向けて折る
  • オレンジ色の部分の、全ての角を少し折り、角をなくす
  • 裏返して完成

うさぎ

折り紙で簡単に作れるうさぎの製作アイデアです。お月見の際に、すすきやお餅、月などと一緒に飾ると雰囲気が出ます。

【用意するもの】

  • 折り紙
  • マーカー

【作り方】

  • 白の面を表にして、上下左右に半分に折り、開く
  • 裏返して、上下左右の角を合わせて半分に折り、開く
  • 白の面を上にして、真ん中の点が頂点になるように、折り目に合わせて畳みこむように折る
  • 開く方を下に向けて置く
  • 手前の1枚を取り、下の角と上の角を合わせて折る
  • 裏返して同じように折る
  • 左右の角を中心の点に合わせて折る
  • 下の角を左右の三角形より5mm程離れるようにして折る
  • 裏返して、ぺらぺらしている右側の部分を、三角形になるよう右に倒して折る
  • マーカーで顔を描いて完成

折り紙遊びの導入をする際の手順とポイント

折り紙遊びを盛り上げるためのポイントを手順に沿って解説します。子どもの自発的な活動と発達を促すには、保育者のサポートが必要不可欠です。

とくに以下3つのポイントを意識して、効果的に子どもたちの発達をサポートするようにしましょう。

①歌や絵本で気持ちを盛り上げる

いきなり「折り紙を折るよ」と言われても、「それよりも遊びたい」「なぜ折り紙を折るのか」と感じる子もいるでしょう。とくに遊びを通して発達を促す場合、子どもたちが自発的に参加しなければ、思うように学びを深められない恐れがあります。

すぐに作業や本題へ入る前の導入として、テーマにちなんだ歌を歌ったり絵本を読んだりしながら、興味関心を高めつつ、積極的に学びを深められる環境を作ることが大切です。

②保育者が手本を見せる

折り紙は、見本を見せたり口頭で説明したりしても、なかなか理解しきれないという難しさがあります。保育者が手本を見せながらサポートしましょう。

簡単な作り方のものであれば、一斉保育で進めても問題ありません。しかし、難易度の高いものを取り入れる際は、4~5人ずつに分けて少しずつ進めるのがおすすめです。子どもが質問したり、考えたりしやすい環境を作りましょう。

③個別にサポートをする

折り紙が苦手な子や発達がゆっくりな子も中にはいます。そういったときは、できるだけ個別で声掛けし、難しい部分は必要に応じて援助をしましょう。

「自分でできた」「安心して進められる」という成功体験を積むことで、だんだんと折り紙に対する苦手意識が小さくなっていきます。

まとめ

9月におすすめの、秋をテーマにした折り紙アイデアはたくさんあります。年齢や発達、達成したいねらいに合わせて、どの作品を作るか決めましょう。

また、折り紙を保育に取り入れる際は「丁寧に導入を行う」「個別にサポートする」「手本を見せる」のがポイントです。折り紙の折り方や、保育の進め方を紹介した今回の記事も、ぜひ参考にしてみてください。

Share.

子育て・教育・介護・医療・健康・LGBT・教養・法律など福祉を中心にしたテーマを発信する専門家集団です。各分野の専門家の意見や取材、キュレーションを通じて、幅広い視点で子育て世帯・介護世代に情報価値を提供します。日本の福祉の未来をつなぐ架け橋として活動を行っています。

Exit mobile version