5歳になると手先が発達し、自由自在に動かせることが増えてきます。はさみや鉛筆も上手に使えるようになるため、「製作遊びをたくさん行いたい」「遊びの幅を広げたい」と思っている保育士の方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、保育園でできる5歳児におすすめの製作遊びを12個ご紹介します。「ゲーム・おもちゃ」「行事・イベント」「季節の製作」に分けて、作り方を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。この記事を読めば保育の引き出しが増え、子どもたちとより楽しい時間を共有できるようになるでしょう。

製作遊びを保育に取り入れるねらい

製作遊びを行う際は、しっかりと保育のねらいを定めましょう。5歳児クラスの製作遊びのねらいの一例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 自分の気持ちやイメージしたものを表現する力を養う
  • 製作を行う中で、友達と会話をしてコミュニケーション能力を育む
  • 製作遊びの楽しさを、保育者や友達と共有する
  • 作品を作り上げることで、達成感を味わう
  • 真剣に作業に取り組む中で、集中力を高める
  • はさみやテープなど、道具の正しい使い方を知る
  • 製作遊びに使用する材料の名前や性質を学ぶ など

保育のねらいを定めることで、活動の意味が増し、子どもたちの学びを効率的に深めることができます。まずはねらいを定め、ねらいに見合った活動内容を考えましょう。

製作遊びの保育アイデア12選

5歳児になると、手先を自在に動かし複雑な製作物も楽しんで作成するようになります。保育にも積極的に製作遊びを取り入れ、楽しみを共有しましょう。

ここでは、製作遊びの保育アイデアをご紹介します。「ゲーム・おもちゃ」「イベント・行事」「季節の製作」といった3つの項目に分け具体的な作り方を解説するので、製作遊びを行う際の参考にしてみてください。

ゲーム・おもちゃ

5歳児におすすめのゲームおもちゃに関する製作遊びです。おもちゃは、作るだけでなく遊んでも楽しめます。

金魚すくい

牛乳パックの廃材を利用してできる製作遊びです。夏の暑い時期やお祭りの時期の遊びに適しています。誰が一番多く金魚をすくえるか競争してみましょう。

【用意するもの】

  • 牛乳パック
  • ビニールテープ
  • 水切りネット
  • 油性ペン
  • はさみ
  • ペットボトルのキャップ
  • ホチキス

【作り方】

  • 牛乳パックに魚の絵を描く
  • 描いた魚の形に切る
  • ペットボトルのキャップをビニールテープで巻く
  • ビニールテープをキャップ1周分よりも6cm程度長く切る
  • 側面にもビニールテープを1周させて、余った部分をテープ同士で貼り付ける
  • 油性ペンで目を描く
  • 牛乳パックの1面を縦に1/3ずつに切る
  • 2つをホチキスでつなげて輪を作る
  • 輪に水切りネットをかぶせる
  • 先ほどの余った牛乳パック1つの、端と端をホチキスで留める
  • 水切りネットがついた牛乳パックにホチキスで付ける
  • バケツやプールに魚を浮かべて完成

紙皿ヨーヨー

ヨーヨーは、子どもたちから人気の高い遊びのひとつです。紙皿ヨーヨーなら、万が一当たってしまっても痛くないので、保育園や幼稚園でも安心して遊べます。

【用意するもの】

  • 紙皿
  • ペットボトルのキャップ
  • ビー玉
  • タコ糸
  • ビニールテープ
  • 両面テープ
  • ペンやクレヨン

【作り方】

  • タコ糸を80cm程度に切る
  • 片方の端を固結びし、もう片方は指が1本入る程度の輪を作る
  • ペットボトルのキャップ1つめにビー玉を入れ、2つめはタコ糸の固結びした方を入れてビニールテープで留める
  • 紙皿に絵を描く(2枚)
  • ペットボトルのキャップに両面テープを付け、紙皿の裏の中心部分に貼り付ける
  • キャップにタコ糸を巻きつけて完成

的あて

輪ゴムの鉄砲で、牛乳パックの的を倒していく「的あて」です。輪ごむの鉄砲は使い方にコツがいりますが、友達と相談しながら練習するのも楽しいでしょう。

【用意するもの】

  • 牛乳パック
  • 輪ゴム
  • はさみ
  • マーカー
  • ホチキス

【作り方】

  • 牛乳パックの底を切り取る
  • 注ぎ口の部分を切り取る
  • 牛乳パックを開いて、真ん中で切り、2枚にする
  • 1枚の牛乳パックを好きな幅に切り、絵を描く
  • もう1枚の牛乳パックは、1面ずつ内側に向けて谷折りにする
  • 真ん中の山になる部分の端(片方)をホチキスで留める
  • 山の部分に輪ゴムをかける
  • 的を好きな位置に置いて完成
    (ホチキスで留めていないほうを開くようにすると輪ゴムが飛ぶ)

ころころタワー

トイレットペーパーの芯を切ってつなげるだけで、ころころタワーができます。個人で作成するだけでなく、クラスみんなで大きなタワーを作っても楽しめます。

【用意するもの】

  • トイレットペーパーの芯
  • 段ボールや空き箱
  • セロハンテープ
  • ビー玉
  • はさみ

【作り方】

  • トイレットペーパーの芯を半分に切る
  • 切ったトイレットペーパーの芯をちょっとだけ重なるようにして、裏からセロハンテープで留める
  • 片方の角を1cm程度内側に折る
  • 同じ状態のトイレットペーパーの芯をいくつか作る
  • 段ボールや空き箱にトイレットペーパーの芯を貼り付けていく(斜めになるように)
  • ビー玉を上から転がして下まで落ちたら完成

イベント・行事

行事やイベントに関する製作遊びです。5歳児は手先が発達し比較的自由に動くようになるので、難易度の高い製作や難しい技法も積極的に取り入れましょう。

【春】こいのぼり

春の行事のひとつに「こどもの日」があります。こどもの日には行事のシンボルである「こいのぼり」を飾るのが一般的です。5歳児におすすめのこいのぼり製作アイデアをご紹介します。

【用意するもの】

  • 色画用紙
  • スタンプにできそうなもの(プチプチ、段ボールの側面、水切りネット、ペットボトルのキャップなど)
  • 絵具
  • お皿
  • はさみ
  • のり

【作り方】

  • 画用紙をこいのぼりの形に切る
  • お皿に絵具と水を入れる(何色か作る)
  • スタンプ用の材料を絵具に付けて、画用紙に押していく
  • 画用紙を乾かす
  • 画用紙でこいのぼりの目を作り、のりで貼り付けて完成

【夏】七夕飾り

七夕飾りにおすすめの製作アイデアです。張り子は時間がかかりますが、その分完成したときの達成感を味わうことができます。張り子の技法は夏祭りの提灯作りなどにも応用できるため、習得しておくと便利です。

【用意するもの】

  • 風船
  • 折り紙
  • 花紙
  • すずらんテープ
  • ストロー
  • ボンド
  • 新聞
  • お皿

【作り方】

  • お皿にボンドと水を入れて混ぜる
  • 風船を適切な大きさに膨らます
  • 新聞紙をちぎる
  • 筆で風船にボンドの入った水をつけ、新聞紙を貼る
  • 乾かし、同じように新聞紙を貼り付けていく
  • この工程を何度か繰り返す
  • 中に入っている風船を割る
  • 上にも小さく穴を開ける
  • 花紙でお花を作る
  • すずらんテープを30cm程度の長さに切り、端を結び、さく
  • 結んだ方に、すずらんテープをくくる
  • 結び目のところにお花を付ける
  • くくったすずらんテープを本体の下から上に通す
  • 天井や壁から吊るして完成

【秋】ハロウィン飾り

ハロウィンのランタン飾りです。紙コップを使用するので、水をそそぐ部分にお菓子を入れたり鉛筆立てにしたりして利用できます。

【用意するもの】

  • 紙コップ
  • オレンジの画用紙
  • 定規
  • 鉛筆
  • のり
  • モール
  • セロハンテープ

【作り方】

  • 画用紙を用意し、縦14.5cm横20cmの大きさに切る
  • 画用紙を横向きに置き、上と下に両面テープを貼る
  • テープの部分で片側だけ折り目を付ける(この部分は切らないようにする)
  • 2cmの幅に線を引く
  • 線に沿ってはさみで切る
  • 切られていない方の両面テープの部分を紙コップの底の側面に貼り付ける
  • 切られているほうの両面テープも取り、紙コップの上側の側面に一つひとつ貼り付けていく
  • ジャコランタンの目・鼻・口を黒い画用紙で作り、のりで貼る
  • モールをアーチ状にする
  • 端をセロハンテープで貼り付けて完成
    ※お好みで帽子やおばけなどの飾りを作って付けることも可能

【冬】クリスマスツリー

ひっかき絵の技法を使ったクリスマスツリーです。一度隠れたはずのクレヨンが出てくる面白さや、不思議な感覚が楽しめる製作アイデアになっています。比較的汚れやすいため、テーブルの上には新聞紙を敷きスモックを着てから行いましょう。

【用意するもの】

  • 画用紙
  • クレヨン
  • はさみ
  • つまようじや竹串など

【作り方】

  • 画用紙をクリスマスツリーのような二等辺三角形に切る
  • 黒以外の色で、画用紙を塗っていく
    ※細かく色を変え、しっかりと濃く塗ること
  • 上から黒いクレヨンで重ね塗りする
  • つまようじや竹串などで、ひっかきながら模様を描いて完成

季節の製作

保育園や幼稚園では、日々の生活の中でその時々の季節を意識できるよう、季節にちなんだ植物や動物などを作り壁に飾ることが多くなっています。季節の壁面製作に適したアイデアをご紹介しますので、参考にしてみてください。

【春】だんごむし

春は植物や昆虫が元気になる時期です。春によく見かける虫「ダンゴムシ」の、はじき絵を使用した製作アイデアをご紹介します。はじき絵では、クレヨンの色が出やすくなるよう、絵具は水の分量を若干多めにするのがポイントです。

【用意するもの】

  • 紙皿
  • はさみ
  • クレヨン
  • 黒い絵の具
  • お皿
  • 黒いモール
  • 穴あけパンチ

【作り方】

  • 紙皿を半分に切る
  • クレヨンで顔と縦しまを描く
  • 絵具をお皿に出し、水に薄めて紙皿に色を塗る
  • 絵具を乾かす
  • 触覚部分と足の部分に穴を開ける
  • モールを10cm程度に切る
  • 穴に通しねじって留める
  • モールの先の部分を適度に開いて完成

【夏】花火

にじみ絵という技法を使って作成する花火です。マーカーを水でにじませることで、きれいな色合いになります。はさみも使うので、手指の運動にも最適です。

【用意するもの】

  • 障子紙
  • コンパス
  • はさみ
  • マーカー
  • コップ
  • のり
  • キッチンペーパー
  • スポイト
  • 黒や紺の画用紙

【作り方】

  • 黒や紺の画用紙に半径11cm程度の円を描く
  • 障子紙に半径10cm程度の円を描く
  • 線のところではさみで切る
    障子紙を3回取りたたみ、端を好きなようにはさみで切る
  • 端の部分だけマーカーで色を付ける(1色だけでなく何色かに分ける)
  • コップに水を入れ、スポイトに含ませる
  • スポイトでマーカー部分に水をたらす
  • 全体に水がなじむよう軽く押す
  • キッチンペーパーで軽く水気を切る
  • 障子紙を乾かす
  • のりで画用紙に貼り付けて完成

【秋】くもの巣

手先が器用になる5歳児に適した製作です。蜘蛛の巣をイメージして、毛糸を張り巡らせます。ハロウィンをイメージした色合いで製作すると、可愛らしくまとまるでしょう。

【用意するもの】

  • 紙皿
  • 穴あけパンチ
  • はさみ
  • 折り紙
  • のり
  • 画用紙
  • 毛糸

【作り方】

  • 紙皿の真ん中の部分を切り取る
  • 折り紙をちぎってのりで紙皿に貼り付ける
  • のりを乾かす
  • 内側の円の部分に穴あけパンチで穴を開ける
  • 穴に毛糸を通し、糸を張り巡らせる
  • 毛糸の端と端を紙皿の裏側で結ぶ
  • 画用紙で、蜘蛛や魔女などを作り、貼り付けて完成

【冬】スノードーム

水を使わない平面タイプのスノードームです。言葉を書き込むスペースもあるので、クリスマスプレゼントのメッセージカードとしても活用できます。

【用意するもの】

  • 画用紙
  • 透明の袋
  • スパンコール
  • 紙コップ
  • のり
  • はさみ
  • セロハンテープ
  • 両面テープ
  • マーカー
  • マスキングテープ
  • 鉛筆

【作り方】

  • 画用紙をはがきの大きさに切る(2枚)
  • 画用紙に紙コップを置き、周りを鉛筆でなぞる
  • 線に沿ってはさみで切る
  • もう1枚の画用紙を重ね、穴の部分に絵を描く
  • 透明の袋にスパンコールを入れる
  • 切り抜いた方の画用紙の裏側に、袋を貼り付ける
  • 画用紙を重ねて、両面テープで留める
  • スノードームの土台のイメージでマスキングテープを円の下に貼って完成

製作遊びを行う際の3つのポイント

製作遊びを行う際のポイントを3つご紹介します。ポイントを押さえて保育を展開すれば、効率的に学びを深められ、より充実した時間になるでしょう。

主体的な活動を促す

子どもが自分から進んで「やりたい」と思う気持ちを育てることが大切です。自分でやりたいと思って製作をはじめなければ、「先生に、作りなさいと言われたから作る」「本当は遊びたいのに、製作を終わらせないと遊べない」「早く終わらせたいから適当に作ろう」といった気持ちになってしまう可能性があります。

しかし、このような気持ちで無理やり参加しても、そこから学べることはほとんどないでしょう。声掛けや導入に工夫したり、子どもの発達や興味関心に合わせて活動内容を決めるようにしたりすることで、子どもが自分から積極的に活動に参加できるようになります。

丁寧に導入を行う

遊びを始める際は、事前に導入を行いましょう。導入では、1週間前~活動の前までに興味関心を高めるよう、援助を施します。例えば、以下のような方法が挙げられます。

  • 絵本を読む
  • 歌を歌う
  • 保育者のエピソードを話す
  • 製作する予定のものを保育室に置いておく など

活動内容や製作物にちなんだ絵本を読んだり、歌をうたったりしながら子どもの興味を引き付けましょう。また、「このおもちゃを製作すると、こんな風に遊べるよ」「こんな技法が使えるようになったら、小学生みたいで素敵だね」などと具体的なメリットを伝えるのも効果的です。

材料は多めに用意する

製作を行う際は、材料をできるだけたくさん用意しましょう。例えば、折り紙を使った製作では、1色よりも10色あった方が、作品の彩が豊かになり、それぞれが好む色に出会える可能性も高くなります。

また、選択肢が広がるため、「自分で選んで作った」「自分だけのオリジナルになった」という気持ちも大きくなり、達成感や特別感を感じられるでしょう。

ただし、材料を多くするということは予算も増えるということです。保育園の予算や、他のクラスとの兼ね合いも考慮しながら、状況に合わせて指導計画を立てましょう。

まとめ

5歳頃は手先が発達し、はさみや道具を器用に動かせるようになる時期です。製作できるものの範囲も広がり、保育で取り入れられる保育アイデアも一気に増えます。クラスの子どもの様子を観察しながら、興味関心を引き立てられるような製作遊びを行いましょう。

5歳児に適した製作アイデアの引き出しを増やしておくと、製作遊びを保育に導入する際に役立ちます。今回の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。

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