伝承遊びとは、日本に昔から伝わる子どもの遊びです。折り紙やあやとり、鬼ごっこやかくれんぼなど、子どもの頃は夢中になって何度も遊んだと記憶している方も多いのではないでしょうか。
この記事では、肌寒くなってくる秋・冬に楽しむ伝承遊び「おしくらまんじゅう」の遊び方や3つのねらい、楽しむための注意点についてご紹介します。
「おしくらまんじゅう」ってどんな遊び?
「おしくらまんじゅう 押されて泣くな」の掛け声と共に、後ろ向きになってお互いに背中やお尻で押し合うシンプルながらも長く親しまれている遊びです。
リズムに合わせて何度も押し合っているうちに体もポカポカと温まるため、肌寒くなってくる秋・冬にピッタリの遊びです。
道具いらず!体を使って遊べる
必要なものは体だけ!複数人の子どもが集まれば、すぐにでも始めることができます。
お友達のお尻に当たって弾かれるだけでも楽しい気持ちになるので、子ども達は笑いながら夢中になって繰り返し遊ぶことができます。
歌詞の続きがわからなくても大丈夫!「♪おしくらまんじゅう 押されて泣くな」の掛け声だけでも十分に楽しむことができるということも、「おしくらまんじゅう」が長く親しまれてきた理由の一つです。
細かいルールなし!何歳児でも楽しめる
後ろ向きにお互いに体で押し合う動作が入るので、走ることができるほどの脚力がついた2歳頃からお友達と一緒に楽しめるようになってきます。
では、それより月齢が低いと遊べないのでしょうか?
いえいえ、大丈夫!おしくらまんじゅうは何歳児でも楽しく遊ぶことができる遊びです。
まだ歩けない子どもでも、座ったまま向かい合い、掛け声に合わせて両手をポンポンと軽く押し合うことでも楽しく遊ぶことができます。
1歳を過ぎ、走るのがまだおぼつかない子どもの場合には、しゃがんだ保育者と立った子どもが背中合わせになり、掛け声に合わせて軽くお尻で押し合うだけでも楽しめます。
もちろん、「危なっかしいかも」と感じるのであれば、向かい合ったまま保育者は膝をつき、手を腰にあて、お腹同士をぶつけ合うというのも面白いかもしれません。
「♪おしくらまんじゅう 押されてぼよよん」と、掛け声を子どもが喜びそうなワードに変えてみても楽しめそうですね。
これらの場合は触れ合い遊びの要素が強く、スキンシップを通して楽しい気持ちに共感することが大切です。保育者も一緒に楽しむことで、共感力や愛着形成、信頼関係の構築にも役立ちますよ。
「おしくらまんじゅう」の3つのねらいとは
「おしくらまんじゅう」には、歌やリズム、お友達との触れ合いといった子ども達が好む要素がたくさん含まれています。
「おしくらまんじゅう」を楽しむことで、子ども達にどのような影響や変化がみられるのでしょうか。
お友達との触れ合い遊び
「おしくらまんじゅう」はお友達と体が触れ合うことでのコミュニケーションが生まれます。
背中やお尻をぶつけ合うだけではなく、顔を見合わせて笑い合ったり、掛け声を出すタイミングを合わせようとお友達の顔を見たり、目くばせしたりと、「言葉を交わさなくても気持ちが通じる」という経験は、より絆を強くしてくれます。
さらに、勝敗が決まった時に一緒に喜んだり、励ましてもらったりするといった経験も、相手の気持ちを思いやる心が育つため、シンプルな遊びながらも心の発達にとって大切な要素がたっぷり詰まっているといえるでしょう。
体がポカポカ温まる
みんなで集まって体を押しつけ合うだけでも温かいのですが、大きな声を出すことで腹筋を使い、負けないようにとバランスを取りながら体を動かすため、長く続けるほどに体がポカポカと温まってきます。
中には汗をかく子もいるので、重ね着をしている場合には洋服の枚数や厚みを調整したり、遊び終わった後に着替えたりと、風邪をひかないように気をつけましょう。もちろん、水分補給もお忘れなく。
足・腰を丈夫にする
「おしくらまんじゅう」は描いた円からはみ出さないように足に力を入れて踏ん張ったり、背中やお尻をぶつけ合うために軽く飛び跳ねる動きをします。
何度も繰り返し遊んでいるだけで足・腰が鍛えられる、倒れないように全身のバランスをとるという「気づいたら良い運動になっている」という一石二鳥の遊びですね。
「おしくらまんじゅう」の遊び方について
「おしくらまんじゅう」は年齢や人数に応じて、さまざまなアレンジが利くところも楽しいポイントの一つですが、今回は一番浸透している遊び方をご紹介します。
「おしくらまんじゅう」の歌詞は?
「おしくらまんじゅう」には、もともとあった歌詞なのか後付けなのかは定かではありませんが、何曲か同名タイトルの曲が存在します。
以下は、一番よく聞く歌詞です。
あんまり押すと あんこが出るぞ
あんこが出たら つまんで舐めろ
歌詞がわからなくても、「おしくらまんじゅう 押されて泣くな」の掛け声だけでも十分楽しめるため、すべての歌詞を把握しておく必要はありません
「おしくらまんじゅう」の遊び方
おしくらまんじゅうの具体的な遊び方は、以下のとおりです。
1.みんながギリギリ入るくらいの円を描く
2.円の内側に入って後ろ向きになり、外側に向かって丸くなる
3.腕を前でクロスする
4.「おしくらまんじゅう 押されて泣くな」の掛け声と共にお互いに背中やお尻で押し合う
5.円の外に押し出されたり、倒れたりしたら負け(円の外側に出る)
人数が減ってきたら円のサイズを小さくしてみたり、三角や楕円といった形に変えてみたりしても盛り上がります。
「おしくらまんじゅう」を楽しむための注意点とは?
みんなで楽しく遊ぶことができる「おしくらまんじゅう」ですが、複数の子どもが一か所に集まって押し合うとなるとケンカやケガの心配も出てきます。
そのため、おしくらまんじゅうで遊ぶときは以下の注意点を意識するようにしましょう。
周囲を広く取り、安全を確保する
転倒する子や負けて円から出てくる子を考慮して、子ども達が遊ぶ場所は広く取りましょう。
屋内であれば、、棚の角に頭や体をぶつけてしまわないか、周囲におもちゃが散乱していないか注意します。
屋外であれば、大きな石や伸びた草などは転倒の原因にも繋がりますので気をつけましょう。
腕やひじでお友達を押さないようにする
バランスを取ろうと広げた手がお友達に当たったり、興奮してお友達を手で押したりしないよう、手は胸の前でクロスしておくと良いでしょう。
みんなで腕を組んで行う場合もありますが、バランスを崩したところから一斉に引っ張られてしまうため、保育園児や幼稚園児には不向きです。
人数が多いときはグループ分けをする
人数が多い場合には5〜6名ほどのグループに分けて行うといいですね。
分ける際には、身長差があまりないようにする、力に大差がないようにするといったことに気をつけて行うと安心です。
ただし、この場合には勝敗がなかなかつかないことも予想されます。
「おしくらまんじゅう 押されて泣くな」の掛け声を何回までにするか、時間はどのくらいといった決まりを作っておくのも良いでしょう。
まとめ
昔から子ども達の間で親しまれてきた伝承遊びの中から「おしくらまんじゅう」の遊び方や3つのねらい、楽しむための注意点についてご紹介しました。
道具を使わず、すぐにでも楽しんで遊ぶことができる「おしくらまんじゅう」は、体と体が触れ合うスキンシップや覚えやすい掛け声とリズムといった、子ども達が大好きな要素が詰まっています。
さらに、足・腰・全身のバランス運動も兼ねていますので、安全面に留意して楽しく遊びましょう。