「おせんべやけたかな」は、日本の伝承遊びのひとつです。保育に取り入れたいと考えている保育士の方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、おせんべやけたかなの遊び方やアレンジ方法を紹介します。
おせんべやけたかなの歴史や導入するメリット、遊びを展開する際の注意点も併せて解説するため、参考にしてみてください。おせんべやけたかなに関する知識を増やし、遊びのレパートリーを増やしましょう。
目次
おせんべやけたかなはどんな遊び?
まず、おせんべやけたかなの概要や歴史を紹介します。
おせんべやけたかなの概要
おせんべやけたかなは日本の伝承遊びのひとつです。わらべうたを使用したふれあい遊びで、友達や保育者とコミュニケーションを取りながら遊びを楽しめます。
また、おせんべやけたかなは、「お・せ・ん・べ・や・け・た・か・な」のリズムに合わせて手の数をカウントする遊びです。リズム遊びや繰り返し遊びとしての一面も持ち合わせています。同じ言葉の繰り返しなので覚えやすく、1~2歳ごろの乳児期の遊びにも適しています。
おせんべやけたかなで遊ぶ4つのメリット
おせんべやけたかなを保育に導入するメリットは複数あります。具体的なメリットの内容を確認し、効果的に活動を展開できるよう準備しましょう。
感覚遊びに適している
おせんべやけたかなは感覚遊びに適しています。感覚遊びとは、視覚や聴覚、嗅覚などのさまざまな感覚を働かせて楽しむ遊びです。
「おせんべやけたかな」は歌を歌いながら、手を裏返したり、指を指したりして遊びます。さまざまな感覚を働かせて遊べるため、乳児や幼児といった発達が著しい時期の子どもの遊びにピッタリです。
保育室で気軽に取り組める
おせんべやけたかなは、手を使って遊びます。立った状態でも座った状態でもできて、体全体を動かすような激しい遊びではないため、空いたスペースで気軽に遊びを展開できます。
雨の日や園庭が混雑しているときなど、なかなか外に行けないときの遊びとしてもおすすめです。また、活動と活動の空き時間に取り入れる遊びや、活動前の子どもの注目を集めたいときのアクションとしても向いているでしょう。
鬼を決める必要がない
鬼ごっこやハンカチ落としなど、ほとんどのゲームには鬼が出てきますが、おせんべやけたかなには鬼が存在しません。リズムに合わせてカウントをする人を決める必要があるものの、「鬼」ではないため、恐怖やスリルを感じにくいでしょう。
「負けるのが嫌」「一人で鬼をやりたくない」といった子がいる場合でも、みんなで楽しく取り組めます。
コミュニケーションが取れる
友達や保育者とコミュニケーションを取れるもの、メリットのひとつです。皆で輪になって手を出しながら、一緒に歌を歌いカウントを取ります。楽しい時間を共有することで、友達や保育者との信頼関係を深められるでしょう。
また、「また〇〇ちゃんが早かったね」「次は〇〇君が勝つと思うよ」など、遊びを通して自然と会話が生まれます。異年齢保育や新学期のように、友達とのかかわりを増やしたいときにもおすすめです。
おせんべやけたかなを保育に導入するねらい
遊びを展開する際は、ねらいを定めましょう。目標を定めることで、保育計画が立てやすくなり、子どもの学びを深めるための適切な支援が施せるようになります。
おせんべやけたかなを保育に取り入れる際のねらいの一例は以下の通りです。
- 歌に合わせてカウントを取ることで、リズム感を養う
- 友達や保育者とコミュニケーションを楽しむ
- ルールに沿って遊びを展開する中で、社会性を培う
- 伝承遊びをすることで、日本の伝統や魅力を感じる など
クラスの子どもの様子や年齢、発達に合わせて適切なねらいを定めましょう。
おせんべやけたかなの遊び方は?
おせんべやけたかなというわらべ歌を聞いたことがあるものの、「具体的な遊び方が分からない」「忘れてしまった」という方もいるのではないでしょうか。
ここでは、おせんべやけたかなの遊び方を詳しく紹介します。
おせんべやけたかなの歌詞
おせんべやけたかなの歌詞は、地域や年代によって異なります。基本のリズムは以下の通りです。
- おせんべやけたかな
また、以下のような歌詞の場合もあります。
- おせんべ おせんべ 焼けたかな
- おせんべ おせんべ 焼けたかな 焼けたおせんべ 裏返し
- せんべせんべ やけた どのせんべ やけた このせんべ やけた
一言一言の間に一拍置き、はっきりと発音するようにしましょう。
おせんべやけたかなの遊び方・ルール
おせんべやけたかなの遊び方やルールを紹介します。ルールは簡単で覚えやすいため、乳児期の子でも楽しめます。
輪になって両手を出す
数える人を1人決める
歌詞に合わせて手を裏返す
おせんべやけたかなを楽しむアレンジ方法
おせんべやけたかなは比較的シンプルな遊びです。場合によってはすぐに飽きてしまう可能性があります。
おせんべやけたかなの遊びを発展させるためにも、状況を見ながら遊びにアレンジを加えましょう。おすすめのアレンジ方法を3つ紹介します。
速度や声色を変える
「おせんべやけたかな」とリズムを取る際の速度や声色を変えてみましょう。ゆっくりから急に早くしたり、小さい声にしたりとアレンジを加えることで、ゲームが新鮮に感じられるようになります。
消しゴムを活用する
年中~年長児クラスでは、おせんべやけたかなの遊びを発展させて「おせんべ焼きゲーム」を行うのも方法のひとつです。おせんべ焼きゲームのルールは以下のようになります。
- 机を囲んで輪になる
- 人数分より1つ少ない数の消しゴムを用意し、机の上に置く
※例:5人で遊ぶ場合は4個の消しゴムを用意する - 左の手のひらを上にして、前に出す
- 「おせんべやけたかな」の「な」のタイミングで手のひらを表か裏にする
- 表になった手のひらの数と消しゴムの数が合った場合、右手で即座に消しゴムを掴む
- 消しゴムを取れなかった子はアウトとなる
- 3回アウトを繰り返した子の負け
競争ゲームにつなげる
おせんべいに見立てた段ボールの裏側に点数を記載し、ひっくり返しながら集めたおせんべいの点数を競います。ゲームで使用するおせんべいを自分たちで製作しても楽しめるでしょう。遊び方は以下の通りです。
- おせんべいに見立てて、段ボールを丸く切る
- 片面に点数を記載する
- 点数が書かれた方を下にしてテーブルに並べる
- 「よーいどん」の合図でトングを使用して裏返していく
- 時間内に裏返したおせんべいの点数を合計し、一番点数の高かった人の勝ち
また、このゲームは複数の方法にアレンジできます。以下のようなアレンジ方法を取り入れ遊びを発展させながら、ゲームを盛り上げましょう。
・出題者が「50」「10」など点数を唱え、先に見つけた人の勝ちにする
・3枚裏返すという決まりを作り、一番合計点数の高かった人の勝ちにする
・4~5人のチームに分け、時間内に裏返したおせんべいの合計点数を競い、点数の高かったチームの勝ちにする
さまざまな工夫を加えることで、飽きさせず楽しい遊びを展開することができます。
おせんべやけたかなを保育に取り入れる際の注意点
おせんべやかたかなを保育に取り入れる際は、いくつか気を付けたいポイントもあります。注意点を事前に確認し、子どもたちが思いきり楽しめるよう環境を整えましょう。
強く手を叩かないよう説明する
おせんべやけたかなのゲームが盛り上がると、友達の手を叩いたり押したりと、ついつい行動が大きくなってしまうことがあります。新しい遊びを導入する際は、過激な行動をしないよう、事前にルールを定めておくことが大切です。
また、指を指す際に、顔や目に指を向けてしまうと、怪我をする恐れがあります。「指を指すのは手だけだよ」「優しく触るようにしようね」といったように、分かりやすい言葉で適宜声掛けをしましょう。
全員が遊びに参加できるよう配慮する
おせんべやけたかなの遊びには鬼が登場しません。また、1回の遊びに時間がかかるため、何度も同じ人がカウント役になってしまうと全員が楽しめなくなる恐れがあります。
「カウント役はまだやったことのない子にする」「指差しをする際に左回りにしたり右回りにしたりとカウント方法を変える」などしながら、対策を取りましょう。
また、1つのグループを大人数にするとその分、一人ひとりに順番が回ってくるまでの時間が長くなります。1グループの人数を少なめに設定して、回転率を上げましょう。
遊びに興味を持てるよう導入する
急におせんべやけたかなの遊びを始めても、子どもの気分が乗らず「やりたくない」「面白くなさそう」と感じてしまう可能性があります。初めておせんべやけたかなの遊びを行う際は、十分に導入を行い自発的な参加を促すことが大切です。
おせんべいに関する本を読んだり、他の伝承遊びを始めてみたりしながらスムーズに遊びを導入できるよう工夫しましょう。事前に興味を深めておくことで、楽しんで参加できるようになり学びを深めやすくなります。
まとめ
おせんべやけたかなは日本の伝承遊びです。「お・せ・ん・べ・や・け・た・か・な」のリズムに合わせて手の数をカウントして遊びます。ルールが分かりやすいため、乳児期の子どもにもおすすめです。
また、幼児クラスの場合はアレンジを加えながら遊びを発展させると楽しめるでしょう。おすすめのアレンジ方法や遊びの注意点を紹介した今回の記事も、ぜひ参考にしてみてください。