子どもの頃から夢中で遊んだ思い出がある保育士さんも多いでしょう。
じゃんけん遊びは、日々の保育の中に取り入れやすく、子どもたちも盛り上がる遊びの1つです。
今回は、じゃんけん遊びのおすすめ10選と発達に合わせた遊び方やねらい、保育に導入するポイントも解説します。
じゃんけん遊びとは?
じゃんけん遊びとは「じゃんけんぽん」の掛け声に合わせて、手で作った「グー」「チョキ」「パー」の形を出して、勝ち負けを決める遊びのことです。
じゃんけんはいろいろな場面で勝敗を決める時によく使いますね。
そして、じゃんけん遊びには、応用して楽しむことのできる遊びが数多くあります。
じゃんけん遊びのねらいとは?
みんなに親しまれているじゃんけん遊び。保育に取り入れる時に、おさえておきたいねらいは、大きく3つあります。
ルールのある遊びを楽しむ
じゃんけんには、みんなにわかりやすい簡単なルールが多くあります。
ルールのある遊びを保育に取り入れたいと考える時には、じゃんけん遊びがピッタリです。
誰にでもわかりやすく、手軽に楽しめるルールのある遊びの1つとして、保育に取り入れることができます。
友達と一緒に遊ぶ嬉しさを感じる
じゃんけん遊びは、1人で遊ぶことができません。2人以上で遊ぶことができるのがじゃんけん遊びの良いところでしょう。
さらに遊び方によっては、遊ぶ人数に決まりはなく、大人数で遊ぶことができます。
じゃんけん遊びを通して、自然と多くの友達と関わる機会が生まれます。
同じ遊びを一緒に経験することで、友達と遊ぶ嬉しさや心地よさをより多く感じられるでしょう。
じゃんけんを通して遊びを発展させる
基本のじゃんけんを覚えたら、応用した他の遊びも楽しむことができます。ただ、じゃんけん遊びには、応用して遊びが発展する他にもメリットがあります。
例えば、生活の中でお友達と何か取り合ったり、揉めたりすることがあるでしょう。
話し合いでは、解決しないことがあるかもしれません。そんな時に、子ども達同士が「じゃんけんで決めよう」という選択肢を選んだらどうでしょうか。
ルールを理解できる年齢で、自分たちでじゃんけんをすると決めたのであれば、子どもも納得もしやすいでしょう。
じゃんけんに親しむことで、お友達同士が何かを譲歩したり、気持ちを切り替えたりする機会が増えることもありますね。
じゃんけんは、遊びはもちろんのこと、日々の生活の中でも子ども達の考え方を発展させる大切なねらいがあります。
じゃんけん遊びの導入のしかた
実際にじゃんけん遊びを導入するときには、気を付けたいポイントがあります。
子ども達にわかりやすく、順を追ってじゃんけん遊びを伝えることを意識できると良いでしょう。
ルールを覚える
最初にルールを伝えましょう。「グー(石)」「チョキ(はさみ)」「パー(紙)」の形を知らせます。
例えば、「はさみで石は切れないから、グー(石)の勝ちだよ」や「石は紙で包むことができるから、パー(紙)の勝ちね」、「紙ははさみで切ることができるから、チョキ(はさみ)が勝つよ」など、わかりやすい表現で伝えることがおすすめです。
タイミングを合わせる
子どもによっては、音にあわせて手を前に出すのが、難しいこともあります。
最初は、音に合わせて手で形を作ることも難しいので、簡単な「グー」や「パー」を前に出すだけで十分でしょう。
じゃんけんを身近に感じられるようにする
最後に、覚えたじゃんけんを身近に感じられるようにすると良いですね。
いざ、みんなでじゃんけんをしようとすると、緊張してしまう子もいるでしょう。みんなで遊びとして、楽しめるようにするには、日常のふとした場面にじゃんけんを取り入れることがおすすめです。
何かを決めたい時など、少人数や、大人と1対1でじゃんけんをする機会を設けると、じゃんけんに対しての抵抗もなくなるでしょう。
また、じゃんけん遊びが日常にある当たり前のものだと感じられるようになると、なんでもない場面で、じゃんけんを楽しむ機会も自然と生まれるようになるでしょう。
おすすめのじゃんけん遊び10選
ここからは、具体的なじゃんけん遊びを紹介していきます。
遊びのポイントも合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
1.後出しじゃんけん
【遊び方】
- 代表者を1人決めます。
- 「後出しじゃんけん、じゃん、けん、ぽん」で代表者がじゃんけんを出します。
- 「後出しじゃんけん、じゃん、けん、ぽん」の後に「ぽい」とすぐ続いて、他の人がじゃんけんを出します。
- 後出しの要領でじゃんけんをします。
【ポイント】
- 最初に代表者に勝つのか負けるのか決めることで、遊び方にアレンジが生まれます。
- 年齢によっては、慣れるまで保育士が代表者役になるのがおすすめです。
2.足じゃんけん
【遊び方】
- 普通のじゃんけんと同様のルールで、代わりに足で形を作ってじゃんけんします。
- グーは、両足を閉じます。チョキは、足を前後に開きます。パーは、両足を広げます。
【ポイント】
- じゃんけん遊びで体を動かしたい時におすすめです。
3.おちゃらかほい
【遊び方】
- 2人で遊びます。相手と向かい合い、手をつなぎます。
- 「せっせっせーの、よいよいよ」で、手を上下に振りクロスさせます。
- 左の手のひらを上に向け、前に出します。
- 「おちゃらか、おちゃらかおちゃらか」のリズムに合わせて、右手で自分の手と相手の手を交互に叩きます。
- 「ほい」でじゃんけんをします。
- 勝った人は「おちゃらか、勝ったよ」と歌いながら、両手をあげます。
- 負けた人は「おちゃらか、負けたよ」と歌いながら、泣く真似をします。
- あいこの場合は「おちゃらかあいここで」と、2人とも腰に手を当てます。
- そのまま「おちゃらか、ほい」と、再度じゃんけんをします。
- 6~8を繰り返します。
【ポイント】
- 慣れるまでは、音程をゆっくりにすると子どもも楽しめます。
- 勝ち負けだけではなく「おちゃらかほい」の歌のリズムに合わせて、じゃんけん遊びを続けることを楽しみます。
4.じゃんけんぽいぽい
【遊び方】
- 2人で遊びます。
- 「じゃんけんぽいぽい」の歌に合わせて、じゃんけんの形にした手を、体の前で胸に当てて、交差します。
- 「どっち出すの」「こっち出すの」で、どちらかの手を前に出します。
- 出した手の形でじゃんけんをします。
- あいこの場合は「あいこでぽいぽい」と続けます。
【ポイント】
- 出すのではなく「どっちひくの」と、出したい手と反対の手を引くバージョンもあります。
- 慣れてきたら、2人以上でも遊ぶこともできます。
5.グリンピース
【遊び方】
- 2人で遊びます。
- 「グリンピース」のリズムに合わせて、じゃんけんをします。
- 勝った人が掛け声を出しながら、リズムに合わせてじゃんけんを続けます。
- グーで勝ったときには「グリングリン」、チョキで勝ったときには「チョリンチョリン」、パーで勝ったときには「パリンパリン」と歌います。
- じゃんけんを出す時には、出す手の形の掛け声を出します。(例:「パリンパリンチョリン」など)
- あいこになったら「ドン!」と掛け声を出します。
- 先に「ドン!」と言った人の勝ちです。
【ポイント】
- 慣れるまではゆっくりのテンポで楽しむのがおすすめです。
- 慣れてきたら、2人以上でも遊べます。
- アレンジバージョンとして「カレーライス」もあります。ルールは同じですが、掛け声が変わります。
6.進化じゃんけん
【遊び方】
- 大人数で遊びます。
- じゃんけんで勝つと「あかちゃん」→「子ども」→「大人」→「神様」と、進化していきます。
- 最初は、みんなで四つ這いのハイハイの姿勢の「あかちゃん」になります。
- 同じ「あかちゃん」を見つけ、じゃんけんをします。
- 勝ったら、膝立ちをして「子ども」になります。負けたら、赤ちゃんのままです。
- 同じ人を見つけたら、じゃんけんをします。
- 「神様」になったら、ゴールとなります。
【ポイント】
- 動き回りながら、じゃんけん相手を探すため、広いスペースを確保しましょう。
- 進化するものを動物や、1つの生き物(例:たまご→おたまじゃくし→カエル)などにアレンジするのもおすすめです。
- 慣れてきたら、じゃんけんに負けたときに1つ前の段階に戻るようにしても、難易度が上がって楽しめます。
7.じゃんけん列車
【遊び方】
- 大人数で遊びます。貨物列車の音源を準備します。
- 「かもつシュッシュッシュッ、いそげいそげシュッシュッシュッ、今度の駅でシュッシュッシュッ、つもうよ荷物ガッチャン、じゃんけんポイ」の歌に合わせて、歩き回り、最後にじゃんけんをします。
- 負けた人は、勝った人の後ろに電車のようにつながります。
- 歌とじゃんけんを繰り返し、最後まで勝ち続けた人(先頭の人)が勝ちです。
【ポイント】
- 貨物列車の音源がない場合には、他の音楽をかけて、止まったらじゃんけんをするなど、音楽を変えても遊べます。
- 簡単なルールで、大人数でも遊べるため、異年齢児保育やレクリエーションにもおすすめの遊びです。
8.はないちもんめ
【遊び方】
- 大人数(10~20人ほど)で遊べます。チーム戦になります。
- 2チームに分かれ、手を繋いで横一列になります。
- 代表がじゃんけんをして、先攻と後攻を決めます。
- 先攻が「かってうれしい、はないちもんめ」と歌に合わせて前進し、片足を蹴り上げます。後攻チームは後ろに下がります。
- 次に後攻チームが「負けて悔しい、はないちもんめ」と、歌に合わせて前進し、片足を蹴り上げます。先攻チームは後ろに下がります。
- はないちもんめの歌に合わせて、同じ要領で続けていきます。
- 先「となりのおばちゃん、ちょっと来ておくれ」
後「おにがいるから行かれない」
先「お布団かぶって、ちょっと来ておくれ」
後「お布団ビリビリ行かれない」
先「おかまかぶって、ちょっと来ておくれ」
後「おかま底抜け行かれない」
先「てっぽう担いでちょっと来ておくれ」
後「てっぽうたまなし行かれない」
先「あの子がほしい」
後「あの子じゃわからん」
先「この子がほしい」
後「この子じゃわからん」
先「そうだんしよう」
後「そうしよう」 - 歌い終わったら、誰に来て欲しいかチームで相談します。決まったら「きーまった」と知らせます。
- 列に戻り、さっきと同じ要領で「〇〇ちゃんが欲しい」「△△くんが欲しい」とリズムに合わせて伝えます。
- 呼ばれた2人がじゃんけんをします。
- 負けた方が勝った方のチームに入ります。
- 勝った方のチームが先攻となり、最初から繰り返します。
- どちらかのグループに全員入ったら、ゲーム終了です。
【ポイント】
- 異年齢で遊んでも楽しめる遊びです。
- 人数が多い時には時間を決めて、時間内で人数の多いチームが勝ちにしても良いでしょう。
- じゃんけんを通して、みんなで遊ぶ楽しさを感じることのできる遊びです。
9.グリコじゃんけん
【遊び方】
- 複数人でも遊べます。
- スタートとゴールを決めます。
- じゃんけんをして、勝った人が出したじゃんけんの文字数分、歩いて進みます。
- グーで勝った場合は「グリコ」で3歩、チョキで勝った場合は「チョコレート」で6歩、パーで勝った場合は「パイナップル」で6歩となります。
- 繰り返しじゃんけんをして、1番最初にゴールまでたどり着いた人の勝ちです。
【ポイント】
- 階段を使って遊ぶと、みんなの1歩が同じ歩数で楽しめます。
10.どーん!じゃんけんぽん
【遊び方】
- 大人数(10~20人ほど)で遊べます。2チームに分かれます。
- 平均台を設置します。
- 各チーム1人ずつ、平均台の上に乗ります。次の人も平均台の上で待っていてもOK。他の人は、平均台の下に縦一列に並んで待ちます。
- 先頭の人のみが、同時にスタートします。出会い頭に両手を合わせ「どーん、じゃんけんぽん」の掛け声に合わせてじゃんけんをします。
- 負けた方は平均台からおります。勝った方はそのまま先に進み、次の人とじゃんけんをします。負けた人が平均台からおりたタイミングで、次の人はスタートします。
- 繰り返しじゃんけんをしていき、先に相手のチームまで、たどり着いた方の勝ちです。
【ポイント】
- 平均台の準備ができない、年齢的に平均台が難しい場合などは、白線を引いたり、テープで線を作ってもOKです。
- じゃんけん遊びをしながら、身体のバランス感覚を養うことができます。
じゃんけん遊びの注意点
数多くの遊びがあるじゃんけん遊びですが、保育に取り入れる時には、いくつかの注意点があります。
注意点を意識することで、子ども達のじゃんけん遊びもさらに充実するでしょう。
年齢に適しているか
じゃんけん遊びを応用して、多くの遊びを楽しむことができますが、適している年齢はさまざまです。
- ルールを理解できる年齢か
- 身体的、発達的に遊ぶことはできるか
上記のような点を子ども達の発達状況をしっかりと把握した上で、計画するようにしましょう。
日々の子ども達の様子を見ながら、発達に合ったじゃんけん遊びを取り入れるようにしましょう。
遊ぶ時間に余裕があるか
じゃんけん遊びは、勝ち負けの状況によって、思ったより遊びに時間がかかってしまうこともあります。
「思ったより、あいこの状況が続いてしまった」
「勝ち負けを繰り返し、なかなか勝敗が決まらない」
など、じゃんけん遊びは予測できないことも多く起こります。
子ども達が、存分に遊びを楽しめるよう、時間には余裕を持って、遊びを設定できると良いでしょう。
子どもの気持ちにしっかりと寄り添う
3つめは、子どもの気持ちにしっかりと寄り添うことが大切です。
じゃんけんには、勝ち負けがあり、ルールがあります。子どもの中には、負けて悔しい気持ち、そしてその気持ちを上手く消化できない子もいます。
そんな時には「悔しかったね」「頑張ったね」と、気持ちを受け止めてあげることが大切です。
気持ちを受け止めてもらうことで、安心できたり、信頼関係が生まれたりすることもあります。
状況に応じて、子ども達の気持ちを受け止め、寄り添っていくことがじゃんけん遊びにも求められます。
まとめ
じゃんけん遊びおすすめ10選と、発達に合わせた遊び方やねらい、保育に導入するポイントを解説しました。
事前の準備物も少なくて、遊ぶことのできるじゃんけん遊びは、保育の中に手軽に取り入れやすい遊びです。
さらに基本のじゃんけんを覚えてしまえば、そこから多くの遊びに発展できるのも、じゃんけん遊びの大きな魅力でしょう。