子連れ新幹線の暇つぶしは、音が出にくく、部品が少なく、すぐ片付く遊びを選ぶと準備しやすくなります。窓の外を見る遊びと手元でできる遊びを両方用意し、その日の子どもの様子に合わせて使い分けましょう。
年末年始の帰省を前に、「長い乗車時間に子どもが退屈しないか」「荷物を増やさずに何を持っていけばよいか」と考える方も多いと思います。ここでは、3〜6歳の子どもと新幹線に乗る場面を想定しています。
車内で取り入れやすい遊びを、音・散らかりやすさ・荷物・親の関わり・片付けの手間で比べます。あわせて、次の3つも紹介します。
- 乗車時間別の準備例
- 手元用バッグのチェックリスト
- 紙に書き写して使える「おでかけビンゴ」
紹介する遊びと準備例は、編集部の提案です。どの子にも同じように合うとは限らないので、普段の遊び方に近いものから選んでください。運賃や座席の選び方は、この記事では扱いません。
目次
新幹線の遊びは、音・部品・片付けやすさで選ぼう
車内で遊ぶときは、遊びが面白いかどうかに加えて、どこに広げて、どう片付けるかまで考えておくと慌てにくくなります。部品が少なく、途中でもやめられるものを選びましょう。
音が出ない玩具でも、使い方によって音は出る
電子音や音楽が鳴らないおもちゃでも、車内では次のような音が出ることがあります。
- テーブルをペンでたたく音
- ブロックやクレヨンを床に落とす音
- ケースのふたを何度も開け閉めする音
そのため、この記事では「無音の遊び」とは呼ばず、「音が出にくい遊び」として紹介します。どの遊びでも、子どもが楽しくなって声が大きくなることはあります。それを準備の失敗と考える必要はありません。道具の選び方で、音が出るきっかけを減らすという考え方で準備してみてください。
選ぶときの目安は、次の3つです。
- 硬い物より、紙や布の物
- 転がる形より、平たい物
- 部品がばらばらになる物より、一つにまとまっている物
こうした物を選ぶと、落としたときの音や拾う手間を減らしやすくなります。ただし、重さや形によっても変わります。普段使っている物で一度確かめておくと安心です。
広げる物と、戻す場所をセットで決める
座席の前のテーブルや膝の上は、思ったより狭い場所です。遊び道具は一度に全部出さず、「一つ出したら一つしまう」を基本にしましょう。降車前の片付けも短く済みます。
通路や隣の席まで広がる遊びは、ほかの乗客の通行や座席の使い方に関わります。そのため、この記事の基本の案からは外しています。
収納は、次の2つに分けておくと迷いにくくなります。
- 遊び用ポーチ:遊び道具だけをまとめる
- 手元用バッグ:飲み物や着替えなど、座席で取り出す物を入れる
遊び用ポーチは手元用バッグの中に入れ、大きな旅行バッグとは分けておきます。それぞれの中身は、持ち物の章で紹介します。
遊びの比較表(編集部の整理)
| 遊び | 音が出る場面 | 散らかりやすい物 | 荷物 | 親の関わり | 片付け方 |
|---|---|---|---|---|---|
| おでかけビンゴ | 見つけたときの声 | 少ない | 紙1枚・筆記具 | 3〜4歳は大人が読み上げる | 紙を折ってポーチへ |
| 絵本・探し絵 | 読み聞かせの声、ページをめくる音 | 少ない | 本(冊数と重さに注意) | 一緒に探す/見守る | ページの区切りで閉じる |
| シールブック | はがすときの小さな音 | はがした台紙・裏紙 | 薄い冊子 | 見守りが中心 | 台紙を袋へまとめる |
| お絵描き | 筆記具でたたく音、落とす音 | キャップ、転がる筆記具 | 小さな紙・筆記具 | 題材を一緒に決める | 紙と筆記具を同じケースへ |
| 写真で思い出クイズ | 会話の声 | なし | 手持ちの端末 | 親子で話す | 数枚見たら画面を閉じる |
| 指の形・まねっこ | ほとんどない(盛り上がったときの声) | なし | なし | 親子で行う | 最後の形を決めて終える |
| 保存済み動画・オフラインで使える遊び | 端末の音、通知・広告の音 | イヤホンのコードなど | 端末・充電器・音声機器 | 見守りが中心 | 終える場面を決めて閉じる |
荷物が「なし」の遊びを一つ覚えておくと、道具を使い切ったときや、バッグを開けにくいときの予備になります。
車内で取り入れやすい遊びと、終わり方を知ろう
窓を見る遊び、紙の遊び、端末を使う遊びでは、必要な準備が違います。子どもの好みと座席の状況に合わせて選び、使えない場合の代わりも決めておきましょう。
窓から見つける「おでかけビンゴ」
手順:座ったまま窓から見える物を探し、見つけたら指で示すか、紙に丸を付けます。
親の関わり:3〜4歳頃は、お題を大人が読み上げて一緒に探します。5〜6歳頃なら、子どもが自分で紙を見て探すこともできます。
片付け:遊び終わったら紙を折って、遊び用ポーチに戻します。
使えない場合:外が暗いときや、窓の外がよく見えない席では、絵本の探し絵などに切り替えます。
簡易おでかけビンゴ(3×3)
| いえ/House | くるま/Car | はし/Bridge |
| き/Tree | すきなもの/Your choice | かわ/River |
| えき/Station | やま/Mountain | トンネル/Tunnel |
この表は、小さな紙に書き写して使えます。
ビンゴの使い方
- 座ったまま見える範囲で探します。
- 見つけたら、指で示すか丸を付けます。中央の「すきなもの」は、乗る前に子どもが決めたもの(たとえば「あかいもの」)を見つけたら丸を付けます。
- 縦・横・斜めのどれか一列がそろったら一区切りです。そろわなくても、そこで終えてかまいません。
路線や座席によっては、見つからないマスもあります。書き写すときに、路線に合わないマスを別のお題に変えておくと遊びやすくなります。たとえば、海沿いを走るなら「うみ」にする、といった具合です。
「トンネル」は、外が急に暗くなるなど、通ったことが分かれば見つけたことにします。窓に顔を近づける必要はありません。
探すために席を離れることはしません。また、ほかの乗客の顔や持ち物はお題にしないようにしましょう。
絵本・探し絵
手順:家にある本の中から、好きな絵や、決めた物を一つ探します。
親の関わり:最初の数ページは一緒に探し、慣れてきたら見守ります。小さな声で話しながらでも楽しめる本を選んでおくと、読み聞かせの声の大きさを気にしにくくなります。
片付け:「この見開きまで」と決めておき、ページの区切りで本を閉じます。
使えない場合:揺れで見にくそうなときは、無理に続けません。道具を使わない遊びや、休む時間に切り替えます。
シールブック
手順:シールは、専用の台紙やシールブックにだけ貼ります。
親の関わり:見守りが中心です。はがしにくいシールは、最初に端を少しめくっておくと、手伝う回数が減ります。
片付け:はがした後の台紙や裏紙は、その場で袋にまとめます。座席の下に落ちると、降りる直前に探すことになりがちです。
注意点:車内の設備や座席、窓には貼りません。テーブルの上の冊子だけで遊び終えられるものを選んでください。
小さな紙と筆記具のお絵描き
手順:子どもが選んだ題材を一つ描きます。たとえば「さっき見た電車」「これから会う人」などです。
親の関わり:最初に題材を一緒に決めると、描き始めやすくなります。
片付け:紙と筆記具は同じケースに戻します。
注意点:キャップのある筆記具や、転がる形の色鉛筆を何本も持ち込むと、落とす場面が増えます。本数をしぼるか、転がりにくい形のものを選びましょう。
手元の写真で思い出クイズ
手順:端末に保存してある写真を見ながら、「これはどこだったかな」「何を食べたかな」と話します。
親の関わり:親子で会話しながら進めます。帰省先の家族の写真を使えば、着いてからの話題にもつながります。
片付け:数枚見たら区切り、画面を閉じます。
注意点:車内のほかの乗客を撮影する遊びにはしないでください。
指の形・小さなまねっこ
手順:自分の席の範囲で、手や指の形を見せ合い、まねします。「きつね」「ピース」など、片手でできる形が向いています。
親の関わり:親子で一緒に行います。道具がいらないので、バッグを開けにくいときにも使えます。
片付け:「最後はこの形でおしまい」と決めて終えます。
注意点:手拍子や歌、大きく体を動かす手遊びは選ばず、席の範囲で収まる動きにします。
保存済み動画・オフラインで使える遊び
手順:出発前に、通信なしで動画を再生できるか、アプリを起動できるかを試しておきます。
音の扱い:車内では、端末のスピーカーから音を出さないようにします。音を消して見るか、子どもが使えるイヤホンなどの音声機器を使い、音漏れにも気を配ります。
親の関わり:見守りが中心です。親が少し休みたいときの選択肢にもなります。
片付け:「この話が終わったら」「駅に着く前に」など、終える場面を事前に親子で確認しておくと、画面を閉じやすくなります。
使えない場合:子どもがイヤホンを嫌がるときや、音声機器が使えないときに備えて、音を消しても楽しめるものも入れておきます。乗る前の確認項目は、持ち物の章で紹介します。
おやつ・食事は「休憩」として
おやつや食事は、遊びの合間の休憩として考えます。子どもを静かにさせるために食べ続けてもらう使い方は、おすすめしません。食べる時間を一つの区切りにして、その前後で遊びを切り替えると、流れが作りやすくなります。
3〜6歳の遊び方と、乗車時間別の準備例
準備する量は、乗車時間と子どもの普段の遊び方に合わせます。長く乗るからといって、たくさんのおもちゃが必要とは限りません。休む時間や、使わずに持ち帰る物があることも考えて選びましょう。
年齢だけでなく、できること・好きなことに合わせる
同じ遊びでも、役割の分け方を変えると、年齢に合わせて調整できます。下の表は能力の基準ではなく、調整の例です。
| 年齢の目安 | 調整例 |
|---|---|
| 3〜4歳頃 | 大人が一つずつお題を出す。文字を読まなくても分かる絵や実物を使う |
| 5〜6歳頃 | 子どもがお題を出す、簡単なルールを決める、記録を付けるなどの役割も選べる |
きょうだいで乗る場合は、上の子に「お題を出す係」を任せるなど、役割を分けると、同じ遊びを一緒に使いやすくなります。
乗車時間別に、基本と予備を分ける
| 乗車時間 | 準備の組み立て例 | 荷物を増やしすぎない工夫 |
|---|---|---|
| 1時間以内 | 使い慣れた遊び1つ+道具なしの遊び | 新しい道具をそろえることを前提にしない |
| 1〜2時間 | 本・紙の遊びなど種類の違う2つ+予備 | 同じポーチに収まる組み合わせにする |
| 2時間超 | 基本の遊び+使わずに残す予備。食事・休息も含めて考える | 時間に比例して増やさず、繰り返し使える物を選ぶ |
この表は編集部の準備例です。必要な個数や、子どもが集中できる時間を測った数値ではありません。
組み合わせの一例として、1〜2時間なら「薄い探し絵本とシールブック、予備は道具のいらない指のまねっこ」が考えられます。どちらも平たく、遊び用ポーチ一つに収まりやすい組み合わせです。この組み合わせで乗車時間がすべて埋まるという意味ではありません。選ぶときの参考にしてください。
時間割を細かく決める代わりに、次のような流れで考えておくと、その場で選びやすくなります。
- 乗車直後:座席に慣れる時間です。荷物の置き場所を決め、窓の外を見るなど、道具を使わずに過ごします。
- 落ち着いた頃:ビンゴや絵本など、基本の遊びを一つ出します。
- 飽きたとき:種類の違う遊びに切り替えるか、おやつや休憩を挟みます。予備はここで使います。
- 降車前:到着の少し前に「次の駅でおしまい」と伝え、道具をポーチに戻します。最後に座席の下とテーブルの上を見ておくと、忘れ物を防ぎやすくなります。
持ち物は、遊ぶ物と片付ける物を一緒にまとめる
車内で使う物は、遊び用ポーチと手元用バッグに分けてまとめます。使い終わった紙や細かな物を戻す袋も、遊び道具と同じ場所に入れておきましょう。
手元用バッグに入れる物
遊び用ポーチ
- □ 子どもが普段使っている本・遊び道具
- □ ビンゴ用の小さな紙
- □ 必要な筆記具(ケースにまとめる)
- □ 使用済みの台紙やごみを入れる袋
手元用バッグ(遊び用ポーチもここに入れる)
- □ 必要に応じてウェットティッシュ
- □ 飲み物、着替えなど、その子に必要な生活用品
- □ 端末を使う場合:充電器、音声機器(イヤホンなど)
旅行の持ち物すべてではなく、座席で取り出す物にしぼったリストです。「普段使っている物」を最初に挙げているのは、使い方を説明しなくても、子どもが自分で始めやすいからです。
動画・アプリは乗車前に動作を確かめる
車内では、通信が思うように使えない場面もあります。JR西日本の案内によると、新幹線の車内無料Wi-Fiは携帯電話の電波を使って提供されています。そのため、電波の状況によっては使えない場合があります。また、通信容量に限りがあり、大容量の通信は快適に使えないことがあるとされています。
(参照:新幹線車内無料Wi-Fiサービス|JRおでかけネット)
動画やアプリを使う予定があれば、家を出る前に次の点を確認しておきましょう。
- 通信なしで再生・起動できるか
- ログインの期限や、ダウンロードした動画の視聴期限に問題がないか
- 広告や通知、音が突然出ないか
- 端末の充電は十分か。音声機器とつながり、子どもが装着できるか
オフラインで使えるかどうかは、アプリやサービスによって違います。利用するサービスの案内で確認してください。
遊ばない・声が大きくなるときは、予定を変えてよい
用意した遊びを使わない日もあります。次々に道具を出す前に、眠さや疲れ、トイレなど、子どもの様子を確かめましょう。休むことも選択肢の一つです。
遊びを増やす前に、子どもの様子を見る
遊びに乗ってこないときや声が大きくなってきたときは、遊びが足りないのではないかもしれません。眠い、暑い、お腹がすいた、トイレに行きたいといった理由のこともあります。準備の仕方が悪かったと考えるより、席でできる調整を順に試してみてください。
- 小さな声で、子どもの好きな話題について話す
- 出している道具を一度しまい、何もしない時間を作る
- 上着を調整したり、飲み物を飲んだりして休む
動画を使うことも、調整の方法の一つです。使ったからといって、うまくいかなかったと考える必要はありません。
移動が必要なときは、周囲と足元を確かめる
席を立つときは、揺れや、通路を通る人、足元の荷物に気をつけます。通路やデッキは遊ぶ場所ではなく、移動や一時的な待機のための場所です。困ったときは、乗務員に相談することもできます。
新幹線の多目的室について、JR西日本は、おからだの不自由な方の利用がない場合に、授乳や着替え、体調がすぐれないときなどに使えると案内しています。利用したいときは、乗務員に申し出ます。
(参照:お子様連れのお客様へ|JRおでかけネット)
多目的室は、いつでも自由に使える部屋ではありません。遊ぶ場所としてではなく、必要なときに相談できる設備として覚えておきましょう。設置の状況は列車によって違います。
子連れ新幹線の暇つぶしでよくある質問
- Q1.窓側に座れなくても遊べますか?
- 遊べます。窓の外が見えにくい席では、絵本の探し絵、お絵描き、指のまねっこなど、手元でできる遊びを中心にします。ビンゴは、見えた物を大人が伝えて、子どもが丸を付けるという遊び方もできます。
- Q2.おもちゃは何個くらい必要ですか?
- 決まった個数はありません。乗車時間別の準備例のように、基本の遊びと予備を分け、遊び用ポーチ一つに収まる量を目安に考えてみてください。道具のいらない遊びを一つ覚えておくと、数が少なくても切り替えやすくなります。
- Q3.スマホや動画を使ってもよいですか?
- 使ってかまいません。使うかどうかは、家庭ごとに決めてよいことです。車内では端末のスピーカーから音を出さず、音を消すか、イヤホンなどの音声機器を使って音漏れに配慮します。子どもが装着を嫌がる場合は、音を消しても楽しめるものに切り替えましょう。通信なしで再生できるかどうかは、乗る前に確かめておきます。
- Q4.きょうだいで同じ遊びを使えますか?
- 使えます。ビンゴなら、上の子がお題を読み、下の子が探すなど、役割を分けると一緒に遊びやすくなります。シールやお絵描きは、取り合いにならないよう、一人分ずつ分けて袋に入れておくと安心です。
- Q5.子どもが遊びを嫌がったらどうしますか?
- 無理に続けず、しまってかまいません。眠さや疲れが理由のこともあります。まずは休む、話す、何もしない時間を作るなど、席でできる調整を試してみてください。
- Q6.座席や多目的室は、どこで確認できますか?
- 車内設備の位置や多目的室の設置状況は、列車や車両によって違います。乗る列車について、JR各社の案内で確認してください。
(参照:N700系・N700A 座席配置・車内設備|JR東海)
(参照:お子様連れのお客様へ|JRおでかけネット)
座席の種類を検討している方は、子どもとグリーン車に乗る場合の料金・利用方法も確認しておきましょう。
乗車時間と窓の見え方を確認したら、使い慣れた遊びと予備を選び、片付け用の袋と一緒にまとめておきましょう。
