こまは奈良時代に中国から日本に伝わった伝承遊びです。「物事が円滑に回る」という意味からお正月の遊びとしても親しまれてきました。

保育園でのお正月や冬の遊びとして、こま遊びを取り入れたい保育士さんも多いのではないでしょうか。

この記事では、こまの種類や保育園での遊び方についてご紹介していきます。

子どもから大人まで楽しめる遊び方がたくさんあるのでぜひ参考にしてみてください。

また、保育に取り入れる際のねらいや注意ポイントについても解説します。事前にしっかりと把握しておくことで、子どもたちの成長や安全な環境作りにつなげられるでしょう。

こま遊びを保育に取り入れるねらい

最初に、こま遊びを保育に取り入れるねらいについて紹介します。

楽しみながら自然と成長や自信に繋げられるので、しっかりと意識して保育にあたりましょう。

日本の伝統的な遊びを知る

こまは日本の古くから伝えられてきた伝承遊びの1つで、伝統的な遊びを知るきっかけとなります。

また、伝承遊びは自分で考えたり工夫したりする必要があるため、自然と創造力や集中力が養われます。

楽しみながら指先を使って遊ぶ

こまは紐を巻いたり持ち手をひねったりと、指先を使う遊びです。

また、投げる時に手首のスナップをきかせたり手の平をこすったりと、手先全体を使う動きも必要になります。

そのため、楽しく遊びながら手先の器用さも養うことができるでしょう。

できた時の達成感を味わう

こま遊びをすると、種類によっては意外と難しいと感じるものもあります。

紐の巻き方や投げ方、力加減などコツを掴むまではなかなか思うようにいかないこともあるかもしれません。

難しいからこそ、できるようになった時の子どもたちの達成感は大きなものとなります。

幅広い年代で一緒に楽しむ

こま遊びは古くからずっと日本にある遊びなので、幅広い年代で楽しむことができます。

小さい子は簡単なこま、大きくなったら少し難しいこま、どんどん難しい技に挑戦するなど飽きずに遊べるでしょう。

親子や祖父母行事、地域との交流会などで年齢を問わず一緒に楽しめる伝承遊びです。

こまの種類や回し方

こまには簡単なものから難しいものまで、様々な種類があります。
ここでは、保育園で楽しめるこまやそれぞれの回し方を4つご紹介していきます。

投げごま

最もポピュラーなものが投げごまです。

紐を使うコツが少し必要なため、年齢の高いクラスで挑戦するといいでしょう。

具体的な遊び方は、以下のとおりです。

【回し方】
1.片手親指で紐の先端を押さえる。または、紐の先端に小さな輪を作りこまの上側の心棒にかける。
2.反対の手で反時計回りにこまの下側の心棒に3回強く巻きつける。
3.こまの形に沿って上までゆるやかに巻きつける。
4.薬指と小指で紐を挟み、こまの胴体をしっかりと持つ。
5.立った状態で地面と平行にかまえ、前に投げる。
6.こまが地面につく直前に紐を素早く引く。

慣れないうちは紐がこまに絡まったり角度が合わなかったりして、うまく回転しないことも多いです。

難しいからこそ、できるようになった時の達成感は大きいので、諦めずに根気よく練習することが大事になります。

紐の巻き方や投げ方など、細かい部分をしっかりと意識することで徐々にコツを掴めるでしょう。

手もみごま

手もみごまは「手回しごま」とも呼ばれ、両手の平全体をつかって回します。

投げごまと比べて心棒が長く太くなっていることが特徴です。

【回し方】
1.座った状態でこまの心棒を両手で挟むようにして持つ。
2.手の平を前後にこすり合わせるようにスライドさせて手を離す。

手もみごまは大小様々なものがあり、形も円錐状や円盤状などバリエーション豊富です。

指先を使うのが難しい年齢の低い子どもでも楽しめるでしょう。

手の平の擦り方や勢いなどで回転速度が変わり、慣れてくると回っている途中でも回転を加えられるようになります。

ひねりごま

ひねりごまは、指先だけでつまんで回すこまです。

比較的小さくて軽いものが多く、シンプルな形状をしています。

【回し方】
1.座った状態でこまの心棒を指でつまんで持つ。
2.心棒をひねりながら手を離す。

力は必要ないので年齢の低い子でも楽しめますが、ひねり方に少しコツが必要です。

慣れてくるといくつものこまを一気に回しても楽しいかもしれないですね。

素朴な形なので、ペットボトルのキャップやどんぐり、つまようじなどで手軽に手作りできるところも魅力です。

ブンブンごま

ブンブンごまは地面ではなく、板と紐を使って空中で回して楽しむこまです。

回転させると「ブーン、ブーン」という音が鳴ることからブンブンごまと呼ばれています。

【回し方】
1.両手で紐を持ち、回転させて紐にねじりを作る。
2.紐を外側に引っ張り、中央の板を回転させる。
3.ねじりがほどける直前で緩める。
4.こまの回転に合わせて引っ張ったり緩めたりを繰り返し、回転速度を上げていく。

コツを掴むとどんどん回転速度が上がり、回し続けることができます。

スピードに合わせて音も大きくなるので、楽しめるでしょう。

板状のものと紐があれば手作りもできるので、身近な材料で作ったり模様をつけたりするのもおすすめです。

保育で楽しめるこまの遊び方

こまには、ただ回して遊ぶ他にも様々な楽しみ方があります。

ここでは、保育に取り入れられるこまの遊び方について紹介します。

長回し

誰が一番長くこまを回せるか競う遊びです。個人戦でもチーム戦でも盛り上がり、何度も楽しめます。

ただし、うまく回せないと勝敗が偏りがちになるので、ある程度安定して回せるようになったら楽しむと良いでしょう。

【遊び方】
1.「せーの」などのかけ声で同時にこまを回す。
2.最後までこまが回り続けていた人の勝ち。

ぶつけごま

ぶつけごまは「けんかごま」とも呼ばれています。
こま同士をぶつけてけんかさせる遊びで、5〜10人の大勢でも楽しめるのが特徴です。

【遊び方】
1.じゃんけんなどで回す順番を決める。
2.最初の人がこまを回し、そのこまに向かって次の人が自分のこまをぶつけるように回す。
3.順番にこまを回していき、はじき飛ばされたりこまが止まったりしたら負け。

折り紙のせ

回っているこまに折り紙を乗せる遊びです。

こまの回転に合わせて回る折り紙の色彩を感じられるので、ただ回すだけよりも華やかで飽きずに見ていられます。

【遊び方】
1.好きな色の折り紙を選び、2〜3回折りたたむ。
2.中心になる部分や側面を、丸や三角にハサミで切り取って広げる。
3.こまを回し、心棒に折り紙の中心の穴を通すようにして上に乗せる。

散歩ごま

こまを散歩させるように紐で床を移動させる遊びです。

早く動かしすぎるとこまが倒れてしまうので、力加減が大切になります。

慣れたらスタートとゴールを決めて競争しても楽しいですよ。

【遊び方】
1.床の上にこまを回す。
2.紐を心棒の下部にかけてゆっくりと手前に引く。
3.自分の方に引き寄せるようにしながら方向を変えたり前進したりして遊ぶ。

羽子板のせ

正月遊びの時期には羽つきを楽しむ園も多いでしょう。
こまと羽子板を組み合わせた遊びで、こま上級者向けです。
最初は難しいので、机や積み木など大きいものの上で練習してもいいでしょう。

1.床の上にこまを回す。
2.紐を心棒の下部にかけた状態で上に持ち上げる。
3.羽子板を反対側の手で持ち、こまを乗せて紐を抜き取る。

こま遊びを保育に取り入れる際の注意ポイント

こまは様々な遊び方ができますが、安全に楽しむためには配慮が必要です。

ここでは、こま遊びを保育に取り入れる際の注意ポイントについて5つ解説していきます。

保育士が見本を見せる

最初は保育者が実際にやってみて、見本を示しましょう。

見ているうちに流れが掴めたりやってみたいと思えたりするはずです。

自分もできるようになりたいと意欲的に取り組める大切なポイントですね。

一人一人に手を添えて遊び方を伝える

見ているだけではなかなか思うようにいかない子も多いでしょう。

そんな時は一人一人に手を添えて具体的にやり方を伝えていく根気が必要です。

すぐにできるようになる子は少ないので、諦めずに挑戦できるようサポートしましょう。

遊びのスペースをしっかり確保する

こま遊びをする際は、他の遊びとのコーナーをしっかり分けてスペースを確保してから始めましょう。

できれば動きの激しい運動遊びなどは他の場所にして、落ち着いて集中できる環境作りをするのが望ましいです。

子ども同士の間隔を広く取る

慣れないうちはどこにこまが飛んでいくかわからないので、けがを防ぐために子ども同士の間隔は十分に開けましょう。

小さなこまでも心棒は鉄でできていたり、紐で投げる遠心力で勢いがついたりと、当たると大けがに繋がる恐れがあります。

遊びのルールをしっかり伝える

こま遊びを楽しむためにはルールをしっかりと共通理解しておくことが大切です。

安全面のルールはもちろん、遊びの中での勝敗などのルールもあります。

子ども同士でもめたり嫌な気持ちになる子が出てきたりした際にも、見逃さずに話し合うことでさらに遊びが深まるでしょう。

まとめ

こま遊びの種類や遊び方をご紹介しました。一言でこまと言っても様々な楽しみ方があるので、年齢や子どもの興味に合わせた内容を用意することが大切です。

また、ねらいや注意ポイントについてもしっかりと意識し、子どもの成長に繋げながら楽しく安全にこま遊びをしたいですね。

日本の伝承遊びの1つであるこま。正月遊びとしてはもちろんのこと、室内遊びが増える冬の遊びとしても積極的に取り入れていきましょう。

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