「最近、うちの子が急に変な言葉を使い始めて…」と感じている保護者の方は、少なくないと思います。「ブレインロット」「ノーブ」「トゥントゥンサフール」。聞き覚えのない言葉が子どもの口から飛び出してきたとき、まず頭をよぎるのは「それ、大丈夫なの?」という不安ではないでしょうか。
そうした言葉の中には、いまや小学生の間で「当たり前」となったゲームプラットフォーム「ロブロックス(Roblox)」をきっかけに広がっているものが少なくありません。ただし、多くはロブロックス単独ではなく、YouTube実況やTikTokなどの動画文化と重なりながら子どもたちの間に浸透しています。
この記事では、ロブロックスで子どもがよく使う言葉・ミーム・スラングの意味を、危険度の見分け方も含めて整理します。「意味が分からないから不安」という状態から、「ある程度分かった上で見守れる」状態になることを目指して、やさしく解説します。
この記事でわかること
- ロブロックスでよく使われる言葉の意味
- 注意が必要な言葉や場面の見分け方
- 保護者としての見守り方と安全設定
目次
ロブロックスの言葉が気になる親が増えている理由

子どもが使い始めた聞き慣れない言葉を前に、多くの保護者が「どこで覚えたのか」「何を意味するのか」と戸惑っています。まずはそのリアルな状況から整理しましょう。
子どもが急に知らない言葉を使い始める
「ノーブってどういう意味?」「ブレインロットじゃん、って笑いながら言ってるけど…」。こうした言葉が子どもの口から出てきたとき、どこで覚えたのかを聞いても「ロブロックスで」「動画で」と返ってくるだけで、詳しいことはなかなか教えてくれません。
ゲームや動画の世界には、その文化を知らないと意味が分からない言葉がたくさんあります。親が「それは何?」と尋ねると、子どもは「説明するのが面倒」「どうせわからない」と感じてしまうこともあります。結果として、親子の間に小さな情報の断絶が生まれていきます。
ゲームの中だけでなく、学校や日常会話にも出てくる
ロブロックスのスラングやミームは、ゲームをしているときだけに使われるわけではありません。学校の休み時間、友だちとの会話、家でのふとした一言として出てきます。
ロブロックスをやっていない子でも、YouTubeやTikTokを通じてミームを知っていることがあります。「遊んでいないのに聞き覚えがある言葉」として教室に広がっていくのが、いまのミーム文化の特徴です。
知らない言葉=危険と感じてしまうのは自然
意味が分からない言葉を子どもが使っていると、「何か問題のある言葉なのでは」と思うのは保護者として自然な反応です。それは子どもの安全を守りたいという気持ちの表れでもあります。
ただ、言葉の多くはゲーム文化や動画文化の中で生まれた流行語であり、危険なものとそうでないものは分けて考える必要があります。この記事は「危険かどうか」を煽るのではなく、言葉の意味と温度感を整理し、親が冷静に見守るための手がかりを提供することを目的としています。
ロブロックスとは?親が先に知っておきたい基本
なぜロブロックスでは独自の言葉やミームが生まれやすいのか。その背景を理解するために、まずプラットフォームとしての特性を押さえておきましょう。
ロブロックスは「ひとつのゲーム」ではなくプラットフォーム
ロブロックス(Roblox)は、ひとつの完成されたゲームではなく、ユーザーが自分でゲームを作って公開できるプラットフォームです。「ゲーム版のYouTube」とも表現されます。冒険ゲーム、脱出ゲーム、シミュレーション、ホラーなど、数百万のゲームが無料で遊べます。
さらに、フレンド機能やチャット機能も備わっており、同じゲームに友だちと入って一緒に遊んだり、チャットでやり取りしたりと、SNS的な要素も持ち合わせています。2025年後半には1日あたりの利用者が1億4000万人台に達し、13歳未満が約4割を占めると報じられています。
小学生に人気が出やすい理由
ロブロックスが小学生に広まりやすい理由はいくつかあります。まず、基本プレイが無料であること。次に、友だちと同じサーバーに入って一緒に遊べること。ゲームのジャンルが非常に多く、飽きにくいこと。そして、人気のYouTuberが実況動画を投稿しており、動画を見るだけでもコンテンツとして楽しめることが挙げられます。
プレイと視聴が一体になっていることが、他のゲームとは異なるロブロックスの特徴のひとつです。
ゲーム・動画・友だちの会話が重なって言葉が広がる
ロブロックスの言葉やミームは、「ゲーム内でのチャット」「実況動画・ショート動画」「学校や友だち同士の会話」という三つの層で広がります。ゲームをしていなくても、YouTubeやTikTokで見て言葉を知り、それを教室で使いはじめる子もいます。
こうして生まれた言葉は、もはやゲームの外に出て「小学生の共通言語」になっていきます。
ロブロックスで子どもが使いやすい言葉・ミームの意味
ここが記事の中心となる章です。子どもが実際に使いやすい言葉を、意味・どんな場面で使われるか・温度感の観点から整理します。すべての言葉が危険なわけではなく、多くは仲間内の流行語や感情表現です。
先に結論
ロブロックスで使われる言葉の多くは、ゲーム文化や動画文化から広がった流行語です。すべてを危険視する必要はありませんが、使う相手や場面には注意が必要です。
まず知っておきたい定番ワード
以下は、ロブロックスのチャット内外でよく目にする基本的なスラングです。英語圏のゲーム文化全般に共通するものも多く、ほとんどは悪意のない使われ方をします。
- noob(ヌーブ):初心者、ゲームに慣れていない人を指す言葉です。「newbie(ニュービー)」の略称で、慣れていない様子を軽くからかうときに使います。侮辱として使うこともありますが、自分に対して「私まだnoobだから」と謙遜的に使う場合もあります。
- gg(ジージー):「good game(グッドゲーム)」の略で、ゲーム終了後にお互いの健闘をたたえる挨拶です。スポーツでの「ナイスゲーム」に近い感覚です。
- W(ダブリュー):「win(勝ち)」の頭文字で、「最高」「うまくいった」という意味で使われます。「Wすぎる」「これW」のように、ポジティブな反応として使われます。
- L(エル):「loss(負け・失敗)」の頭文字で、Wの反対です。「それはL」「Lすぎる」のように、残念な場面やミスに使われます。
- oof(ウーフ):失敗したときや残念なときに使う感嘆詞です。ロブロックスではゲームオーバー時の効果音として広く知られたことで、子どもにも印象が残りやすい言葉になりました。
- bruh(ブラ):「bro(ブロ、男友達への呼びかけ)」が変化した言葉で、「え、まじか」「うそだろ」というような呆れや驚きを表します。
今の流れを知るためのミーム系ワード
ゲーム実況動画やYouTubeショートを経由して広まった言葉もあります。ロブロックス専用ではなく、ゲーム文化全般から流れ込んでくるものも多いですが、子どもの会話に出てくることがあります。
- skill issue(スキルイシュー):「それは腕前の問題でしょ」という意味で、失敗した相手に対してやや軽くツッコむ言葉です。煽り的に使うこともありますが、自分のミスを自虐的に「skill issue」と言う使い方もあります。
- touch grass(タッチグラス):「外に出て草でも触ってこい」という意味で、「ゲームのやりすぎ」や「ネットの世界に閉じこもっている人」に向けて言う言葉です。直接的な悪口というより、自虐や冗談として使われることが多いです。
こうしたミーム系の言葉は、意味より「響き」「テンション感」で使われることも多く、必ずしも字義通りに受け取る必要はありません。
ブレインロット系の言葉は、なぜロブロックス文脈でも出てくるの?
最近特に保護者から「どういう意味?」と聞かれることが多い言葉が「ブレインロット(brain rot)」です。
直訳すると「脳の腐敗」ですが、ネット上では「動画やゲームのやりすぎで思考がゆるくなった状態」を指す言葉として広まっており、2024年にはオックスフォード大学が「今年の言葉」に選んでいます。
(出典:Oxford University Press「Brain rot named Oxford Word of the Year 2024」)
ロブロックス周辺では、「brain rot」を自虐や軽いツッコミのように使う場面も見られます。
この「ブレインロット」という言葉は、AIが生み出したキャラクター群「イタリアンブレインロット」や、関連するロブロックスゲーム「Steal a Brainrot」と重なりながら広がっています。2025年の小学生年間トレンド調査では、低学年女子の流行語1位に「イタリアンブレインロット」がランクインし、男子でも2位に入るなど、イタリアンブレインロット系の言葉は関連する動画やロブロックス内の人気ゲームと重なりながら、小学生の間で広がっていきました。
(出典:PRtimes「小学館 JS研究所・コロコロコミック研究所 共同調査・2025年小学生年間トレンド発表」
イタリアンブレインロットについての詳しい解説は別記事でも取り上げています。この記事では、「ブレインロット系の言葉が、ロブロックス周辺の人気ミームと重なって広がっている」という現象として把握しておいてください。
意味を知らずに真似していることも多い
大人がスラングを「意味を知った上で使う」のに対して、子ども、特に小学校低中学年の子どもは「語感が面白い」「みんなが言っているから」という理由で使っていることがよくあります。
「トゥントゥンサフール」「トララレロ・トラララ」などのキャラクター名を繰り返すのも、意味があるからではなく「言いやすくて面白いから」が大半です。子どもが使っているからといって、必ずしもその意味を深く理解しているとは限りません。
知らない言葉を全部危険視しなくてよい理由
ここまで見てきたように、ロブロックス関連のスラングやミームの多くは、仲間内の挨拶、感情表現、流行語の一部です。すべてを「怪しい言葉」として排除しようとすると、子どもは「親は何も分かってくれない」と感じ、言葉に関する話題を避けるようになります。
むしろ「その言葉どういう意味なの?」と一度聞いてみることが、会話のきっかけになります。次の章では、本当に注意が必要な言葉や場面に絞って整理します。
親が特に気をつけたい言葉や場面
すべての言葉が問題なわけではありませんが、一部には親として把握しておきたい表現や場面があります。ここでは「見分ける目を持つ」ことを目標に整理します。
からかい・煽りにつながる言い方
「noob」や「L」は文脈によっては煽りや見下しに使われることがあります。特にゲームが上手くいかない相手に対して「noob乙」「どうせLじゃん」のように重ねて言い続ける場合は、からかいやオンラインいじめに近くなることがあります。
冗談として受け取れる場合と、傷つける意図がある場合の違いは、「相手が嫌がっているかどうか」「繰り返されているかどうか」にあります。子どもが言われた・言われ続けていると感じているなら、話を聞いてあげることが大切です。
英語や略語で意味が見えにくい表現
英語の略語の中には、意味が分かると重い言葉もあります。たとえば「kys」は「kill yourself」の略で、使われる文脈によっては非常に深刻な意味を持ちます。子どもが意味を知らないまま使っているケースもありますが、だからこそ気づいたときに確認することが大切です。
ただ、こうした言葉はあくまで一部です。略語や英語が混じっているからといって、すべてを警戒する必要はありません。
チャットやボイスで注意したいこと
ロブロックスには、テキストチャットとボイスチャット(音声通話)の両方があります。チャット機能では、名前や住所、通っている学校などの個人情報が流出するリスクが指摘されています。
2025年11月、Roblox社は年齢確認を前提にチャット相手を年齢層ごとに制限する仕組みを発表し、2026年1月からグローバル展開を進めています。年少ユーザーのコミュニケーション機能には、年齢に応じた制限がかかる仕組みです。

(出典:Roblox公式ニュースルーム「Roblox(ロブロックス)がコミュニケーションに年齢確認を義務づける」)
こうした公式の安全対策は以前より進んでいますが、完全にリスクがなくなるわけではありません。個人情報を教えないこと、知らない人とのやり取りには慎重になることは、引き続き子どもと確認しておきましょう。
言葉だけでなく、子どもの様子も見る
見守りのポイントは、言葉の種類だけにとどまりません。ロブロックスを遊んでいる前後で子どもの様子が変わったと感じたら、それはひとつのサインです。
たとえば、ゲーム中や後に急に機嫌が悪くなる、画面を隠そうとする、誰と遊んでいるか聞いても答えない、といった変化は、何らかのトラブルに巻き込まれているかもしれません。言葉の意味を知ることと合わせて、子どもの状態を丁寧に観察することが、最も確かな見守りになります。
こんな変化があれば一度確認を
- ゲームの後に急に不機嫌になる
- チャット画面を隠すようになる
- 誰と遊んでいるか聞いても答えたがらない
- 言葉づかいが急に攻撃的になる
ロブロックスの言葉を子どもが使うのはなぜ?
「危険かどうか」だけでなく、「なぜ子どもはその言葉を使いたくなるのか」を理解しておくと、見守りの視点がひとつ広がります。
友だちとの共通言語になるから
「gg」「noob」「W」といった言葉を知っているかどうかは、ロブロックスをしている子どもたちの間で、共通のコードになっています。同じ言葉を使えることで「この人もロブロックスを知っている」という仲間意識が生まれます。
スラングを使うことは、その文化の一員であることの表れでもあります。子どもがこうした言葉を使い始めるのは、友だちの輪に加わりたい、仲間と同じ感覚を共有したいという、ごく自然な気持ちの表れです。
短くて真似しやすい言葉が多いから
「W」「L」「gg」のような言葉は短く、一言で感情を伝えられます。話しながらでも使いやすく、日常会話に混じり込みやすいのが特徴です。
「それ完全にLじゃん」「ggすぎる」のように、既存の日本語に混ぜて使えることで、ゲームを知らない場面でも自然に口をついて出てきます。言葉として使いやすいから広まる、という側面があります。
ゲームと実況動画がつながっているから
ロブロックスはプレイするだけでなく、YouTubeやTikTokで実況・解説動画を見ることも楽しみのひとつです。人気の実況者が使う言い回しやリアクションが、視聴者にそのまま伝わっていきます。
子どもがスラングを覚えるのは、ゲームをプレイしているときだけではなく、動画を見ているときでもあります。ゲームをしていない子でも、動画経由で言葉だけが先に入ってくることがあるのはそのためです。
言葉遊びとして使っている場合もあるから
「トゥントゥンサフール」のようなキャラクター名が教室で広まるのは、それが面白い響きを持っているからです。意味よりも「言ったら笑える」「みんながつられて言う」という遊びの要素で使われていることも多いです。
言葉の意味が先にあるのではなく、音の面白さやノリが先にある。そうした「言葉遊び」的な使い方は、子どもが昔から自然にやってきたことでもあります。必ずしも深刻に受け取る必要はない場合が多いです。
親はどう見守るとよい?
最後に、保護者として実際に取れる行動を整理します。「意味を知る→聞く→ルールを決める→設定を整える」という流れで考えていただければと思います。
まずは責めずに意味を聞いてみる
子どもが知らない言葉を使っていたとき、まず試してほしいのは「それどういう意味?」と素直に聞いてみることです。責めるのではなく、純粋に「知らないから教えて」というスタンスで聞くと、子どもは案外喜んで教えてくれます。
「ロブロックスの言葉は難しくてよく分からないんだけど」と言うだけで、会話が自然に始まることがあります。親が興味を持っていると感じると、子どもは話してくれやすくなります。
単語より使い方を確認する
言葉そのものよりも、「誰に向けて」「どんな場面で」使われているかを把握することが大切です。「noob」という言葉自体は問題なくても、特定の子に向けて繰り返し使っているなら、それはいじめの可能性があります。
言葉を禁止するのではなく、「その言葉、誰かがイヤな気持ちになってない?」と確認する問いかけが、子ども自身の判断力を育てることにもつながります。
家庭内ルールを「禁止」ではなく「安全の約束」として決める
子どもが「隠れて使う」状況は、最もリスクが高くなります。禁止するよりも、「一緒にルールを決める」ほうが長続きします。
たとえば、「知らない人とはチャットしない」「個人情報(名前・学校・住所)は絶対に教えない」「課金したいときは親に相談する」などを、納得のいく形で決めておきましょう。ゲームの利用時間や遊ぶ場所(リビングでのみOKなど)も、強制ではなく理由を共有しながら決めると子どもも守りやすくなります。
公式の保護者設定を活用する
ロブロックスには、保護者がアカウントと連携して利用できる安全設定が整っています。2025年4月には、保護者がお子様のつながりを制限できる機能、プレイ時間が最も長いゲームを確認できる機能、アクセスできるゲームを制限する機能の3つが新たに追加されました。
(出典:Roblox公式ニュースルーム「Robloxでのお子様の体験をパーソナライズするための保護者用の新ツール」
)
また、月ごとの課金上限の設定、フレンドや通信の制限、チャット機能のオン・オフも保護者側で管理できます。設定方法が分からない場合は、公式サポートページを参照してください。
(出典:Robloxサポート「保護者コントロールの概要」https://en.help.roblox.com/hc/ja/articles/30428310121620)
「フレンド」の設定は特に確認を
ロブロックスでは、フレンドになることでチャットや同じゲームへの参加がしやすくなります。子どもが知らない相手と気軽にフレンドになっていないか、保護者設定の「つながり」の項目から確認しておくことをおすすめします。
保護者が見直したいポイント
- チャット機能が年齢に合った設定になっているか
- フレンド・つながりに知らない相手がいないか
- 課金上限やアクセス制限が必要か
- 遊ぶ時間や場所について、家庭内でルール共有ができているか
まとめ
子どもがロブロックスで使う言葉やミームの多くは、仲間内の流行語や感情表現であり、すべてが危険なわけではありません。一方で、チャットを通じたリスクや、場面によって注意が必要な言葉があることも事実です。
たまごだるまとして伝えたいのは、「ゲームを知る」ことと「子どもと話せる関係を保つ」こと、この二つが見守りの土台になるということです。言葉の意味を知っていれば、子どもとの会話の入口がひとつ増えます。意味を知った上で「なぜ流行っているの?」と聞ける親は、子どもにとっても相談しやすい存在になれます。
ロブロックスのミームやスラングも、意味を知って見守ることで、必要以上に怖がらず向き合いやすくなります。


