ハロウィンに何かしてあげたいけれど、手の込んだ工作を準備する時間はない。そんなときは、紙で作ったおばけと懐中電灯を使う影絵遊びがおすすめです。
ライトと壁を固定し、その間にあるおばけの型紙をライトへ近づけると、壁に映る影が大きくなります。特別な舞台を作らなくても、白い壁があればすぐに試せます。
子どもが型紙をすべて作る必要もありません。大人が切り抜き、子どもは「選ぶ」「動かす」「見る」といった工程から参加できます。
この記事では、影絵人形の作り方、影を大きくする方法、光源による見え方の違い、部屋を暗くするときの注意点、怖がる子も参加しやすい遊び方まで順番に紹介します。3〜5歳の子どもと大人が一緒に遊ぶことを想定していますが、興味や道具の扱い方には個人差があるため、その子に合う関わり方を選んでください。
目次
ハロウィンの影絵シアターは、身近な材料で作れます
影絵シアターに特別な道具は必要ありません。光を通しにくい紙、持ち手、テープ、懐中電灯、影を映す壁があれば始められます。
たくさんの人形を用意しようとすると、切り抜きだけで時間がかかります。まずは輪郭の単純なおばけを1体作り、実際に壁へ映してみるのがおすすめです。
用意するもの(材料・道具リスト)
基本的な材料と道具は次の通りです。
- 黒い画用紙、または光を通しにくい薄手の厚紙
- 印刷した型紙、または紙に描いたおばけの下絵
- 角の丸いアイスの棒、太めの紙ストローなどの持ち手
- セロハンテープまたはマスキングテープ
- はさみ
- 懐中電灯などの光源
- 白または淡い色の壁
コピー用紙を使う場合は、そのままでは光が透けて影が薄くなることがあります。印刷した紙を画用紙に貼るか、同じ形の紙を重ねると調整できます。
持ち手には、先端の尖った竹串を避け、角の丸い素材を選びましょう。割り箸を使う場合は、破損や口元への接触を防ぐため、大人が操作する人形に限ると安心です。
スクリーンや箱型の舞台は必須ではありません。最初は白い壁に直接映し、慣れてから模造紙や白いシーツなどを使って舞台を作ると、準備の負担を抑えられます。
所要時間と対象年齢の目安
準備時間は、型紙の大きさや切り抜く数、目や口の穴を作るかどうかによって変わります。最初は外周だけを切るおばけを1体作り、短い試し映しから始めてください。
この記事では3〜5歳を主な対象としていますが、「3歳ならここまでできる」「5歳なら一人で作れる」と年齢だけで判断することはできません。はさみの使用経験や興味、その日の状態によって、無理のない工程を選びます。
大人が型紙を完成させても、子どもは人形を選ぶ、持ち手を動かす、影の変化を伝える、物語の声を担当するといった方法で参加できます。
おばけ・かぼちゃ・こうもりの型紙を用意する
影絵では紙の色や表面に描いた模様よりも、光を遮る輪郭が強く表れます。おばけ、かぼちゃ、こうもりなど、外形だけでモチーフが伝わる形を選びましょう。
目や口を影に映したい場合は、その部分を穴として切り抜きます。細かな穴を作る工程ではカッターなどが必要になるため、必ず大人が担当してください。最初は穴を作らず、外周だけのおばけでも十分に遊べます。
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なぜ型紙を懐中電灯に近づけると、おばけは大きくなるの?
影の大きさは、光源、型紙、壁の位置関係によって変わります。ライトと壁を動かさず、型紙をライトへ近づけると影は大きくなり、壁へ近づけると小さくなります。
光は光源から広がりながら進みます。型紙をライトへ近づけると、より広い範囲の光を遮るため、壁には大きな影が映ります。反対に型紙を壁へ近づけると、型紙に近い大きさの影になり、輪郭も比較的はっきりします。
(参照:Making Shadow Puppets|Science Buddies)
ここで大切なのは、ライトと型紙を同時に動かさないことです。最初はライトと壁を固定し、型紙だけを動かすと、何によって影が変化したのかを子どもにも伝えやすくなります。
やってみよう「おばけが大きくなる」3ステップ
遊び方は次の3ステップです。
- 懐中電灯を白い壁へ向け、倒れにくい場所に固定します。
- おばけの型紙を壁の近くに置き、小さな影を映します。
- 「大きくなるかな?」と声をかけながら、型紙だけをゆっくりライトへ近づけます。
大きくなった影を小さく戻すときは、型紙を壁側へ動かします。「小さなおばけが、大きなおばけになって、また元に戻る」という短い展開だけでも遊びになります。
すぐに正解を教える必要はありません。「ライトに近づけたらどうなると思う?」「壁の近くではどう見える?」と聞き、実際の変化を一緒に確かめてみましょう。
輪郭がくっきりする光、ぼんやりする光
影の輪郭は、光源の明るさや光る面の広さ、型紙と壁の距離などによって変わります。
ハンディライトのように比較的小さな部分から光が出る製品は、影の輪郭が分かりやすい傾向があります。広い面が光るランタンでは、複数の方向から届く光が重なるため、輪郭がやわらかく見える場合があります。
ただし、同じ種類のライトでも製品によって光の広がり方は異なります。「懐中電灯なら必ずくっきり映る」とは限らないため、大人が事前に試し映しをしてください。
影の大きさを3つの位置で比べてみる
ライトと壁を固定したまま、型紙を次の3つの位置へ動かして比べます。
- 壁の近く
- ライトと壁の中間付近
- ライトの近く
それぞれの位置で「大きさ」「輪郭の見え方」「怖そうか、かわいく見えるか」を比べてみましょう。紙に丸を3つ描き、子どもが感じた大きさを線や色で記録しても構いません。
正確な長さを測ることより、「同じおばけなのに、置く場所で見え方が変わる」と気づくことを大切にします。
3歳・4歳・5歳、どこまで子どもにまかせられる?
子どもに任せる工程は、年齢だけではなく、はさみの経験、手の動かし方、暗い場所への抵抗感などを見ながら決めます。大人が難しい工程を担当し、子どもが好きな関わり方を選べるようにすると無理がありません。
| 参加方法 | 子どもの関わり方 | 大人が担当すること | 調整ポイント |
|---|---|---|---|
| 見ることを中心にする | 型紙を選ぶ、影の変化を見る、声や音をつける | 型紙の制作、ライトの設置、人形の操作 | 暗さや題材を子どもに合わせる |
| 動かすことを中心にする | 完成した型紙を前後や左右へ動かす | ライトの固定、足元と周囲の確認 | 動く範囲を先に決めておく |
| 作る工程から参加する | 紙を選ぶ、型紙を押さえる、テープを貼る | 切り抜きや穴を作る工程 | 完成を急がせず、できる工程を選ぶ |
| 物語から参加する | 登場する形を選ぶ、セリフや展開を考える | 話を短く整理し、進行を支える | 正解のある物語にしない |
3歳では見る、選ぶ、動かすことを中心にし、4歳や5歳では本人が希望すれば、貼る工程や簡単な物語づくりまで広げられます。ただし、これは一律の発達基準ではありません。年齢にかかわらず、刃物やライトの安全管理は大人が行ってください。
保育の場面で使うときのねらい(保育士向け)
保育所保育指針解説では、身近な自然の美しさや不思議さに触れ、感じたことや考えたことを自分なりに表現する経験が重視されています。
(参照:保育所保育指針解説|こども家庭庁)
影絵遊びを保育に取り入れる場合は、この考え方を踏まえ、次のようなねらいが考えられます。
- 光を遮ると影ができることに気づく
- 型紙の位置によって影の大きさが変わることを試す
- 影の形や動きを使って、自分なりに表現する
- 演じる、見る、声をつけるなどの役割を選ぶ
これらは影絵遊びの特性を踏まえた活動案であり、保育所保育指針に影絵の実施が直接示されているわけではありません。園の子どもの様子や保育計画に合わせて調整してください。
影絵は、工作の“出口”ではなく“入口”です
多くの工作では、完成した瞬間が一つの区切りになります。影絵はその逆です。型紙が完成し、ライトをつけ、壁に影が現れたところから遊びが始まります。
だから、切り口が少しいびつでも、貼る位置がずれていても、壁に映して動かせれば成立します。工作の上手さだけで遊びの価値が決まらないことが、影絵のよさです。
暗くする目的も、子どもを驚かせたり、怖さを我慢させたりすることではありません。光によっていつもの部屋の見え方が変わる。その変化に気づくための環境づくりです。
子どもが全部の工程を完成させることより、見る、選ぶ、動かすという複数の入口を用意すること。その設計が、家庭でも園でも無理なく楽しめる工作につながると考えています。
影絵遊び10選
光源はどれを選べばいい?懐中電灯・スマホ・LEDランタンの違い
影絵の見え方は、人形の出来栄えだけでなく、光源によっても変わります。基本的には、壁へ向けて固定しやすく、電池室や本体に破損がないライトを選びます。
| 光源 | 影の見え方 | 固定しやすさ | 主な確認点 | 影絵への使い方 |
|---|---|---|---|---|
| ハンディライト | 輪郭が分かりやすい傾向 | 製品による | 電池室、発熱、転がりやすさ | 箱などに置き、大人が固定する |
| スマートフォンのライト | 比較的くっきり見える場合がある | 専用スタンドがあると安定しやすい | 落下、発熱、誤操作 | 大人が操作し、壁へ向けて固定する |
| LEDランタン | 製品によっては輪郭がやわらかい | 据え置きやすい製品が多い | 電池室、転倒、光る面の広さ | やわらかな影を試したい場合に使う |
| 卓上スタンドライト | 電球やカバーの形によって異なる | 据え置き向き | コード、発熱、転倒 | 大人が設置し、動かさずに使う |
おばけの影を大きくする変化を分かりやすく見せたい場合は、ライトを固定したうえで、型紙だけを前後に動かします。使用する製品によって見え方が異なるため、子どもと遊ぶ前に大人が確認してください。
スマートフォンのライトを使うときに気をつけること
スマートフォンのライトは手軽ですが、子どもに端末を持たせることを前提にしないほうが安心です。端末が落下しないスタンドなどに置き、大人が操作します。
ライトを人の顔や目へ向けず、床へ直接置く場合は踏まない位置を選んでください。撮影にも使う場合は、撮影する端末と光源を分けると、途中でライトが消えたり、端末を動かしたりする必要がありません。
長時間の点灯によって端末が熱を持つこともあります。異常な発熱がある場合は使用を止め、製品の取扱説明書に従ってください。
部屋を暗くする前に決めておきたい、5つの安全ルール
影絵の安全は、暗くした後の対応ではなく、遊び始める前の準備で決まります。次の5つを大人が確認してください。
- 部屋を完全な暗闇にせず、足元が確認できる明るさを残す
- ライトを人の顔や目へ向けない
- ライト、コード、家具などにつまずかない場所を選ぶ
- 電池室、持ち手、テープの状態を大人が確認する
- はさみ、小さな紙片、交換用電池を遊ぶ場所に残さない
光を目に向けない、という約束を先に言葉にする
遊び始める前に、「ライトは壁に向ける」「自分や友達の顔には向けない」と短く伝えます。
子どもがライトを動かすことに興味を持った場合も、最初は大人が手を添え、光の向きを一緒に確認してください。ライトを自由に振り回す遊びにはせず、壁の決めた範囲を照らします。
使用するライトの対象年齢、使用方法、連続使用時間などは、製品の取扱説明書に従ってください。
小型ライトのボタン電池は、大人が管理する
小型ライトやライト付きグッズには、ボタン電池やコイン形リチウム電池が使われていることがあります。
国民生活センターは、ボタン電池を誤飲すると、放電によって生じるアルカリにより、食道や胃などの消化管が損傷する危険があると注意を呼びかけています。
(参照:子どものボタン電池の誤飲事故に気をつけましょう!|国民生活センター)
消費者庁も、LEDライトなど身近な製品にボタン電池が使われていることを示し、電池カバーが外れやすくなっていないか確認することや、未使用・使用済み電池を子どもの手が届かない場所に保管することを案内しています。
(参照:ボタン電池誤飲を防ぐために!|消費者庁)
電池交換は子どもから離れた場所で行い、交換前後の電池を机や床へ置いたままにしないでください。電池が見当たらず誤飲が疑われる場合は、自己判断で様子を見続けず、医療機関などへ相談してください。
下のきょうだいがいる家庭で気をつけること
型紙の切れ端、剥がれたテープ、小さな紙片などは、明るい場所では見えていても、部屋を暗くすると見落としやすくなります。
こども家庭庁は、包装フィルムやシールなどの破片についても誤飲・誤えんにつながる可能性を示し、小さな物を子どもの手が届くところに置かないよう案内しています。
(参照:窒息・誤飲事故|こども家庭庁)
下のきょうだいがいる場合は、材料をトレーにまとめ、切れ端をその都度回収します。遊び終わった後は部屋を明るくして、床、机の下、家具の隙間まで確認してください。
【チェックリスト】準備&安全チェック10項目
- 使用するライトの取扱説明書を確認した
- ライト本体と電池カバーに破損や緩みがない
- ライトを人の顔や目へ向けないと伝えた
- 足元を確認できる明るさを残した
- 床のコード、おもちゃ、家具などを片付けた
- ライトを倒れにくい場所へ固定した
- はさみや切れ端を大人が管理している
- 交換用・使用済み電池を別の場所に保管した
- 怖がったときに離れられる明るい場所を用意した
- 終了後に道具、電池、小さな材料を回収した
短時間で終わらせないために——影絵が広がる遊び方と台本
影絵は人形を映すだけでも楽しめますが、短い物語や繰り返しの言葉を加えると、同じ型紙から遊びを広げられます。
長い台本を覚える必要はありません。「小さなおばけがやってきた」「どんどん大きくなった」「大きくなりすぎて元に戻った」という3場面だけでも成立します。
よくある失敗と対策(表)
| よくある困りごと | 確認したいこと | 調整方法 |
|---|---|---|
| 影がぼやける | 型紙がライトに近すぎないか | 型紙を少し壁側へ動かす |
| 影が薄い | 紙が光を通していないか | 画用紙に貼るか、紙を重ねる |
| 影が映らない | 型紙が光の通り道にあるか | ライト、型紙、壁を一直線に近づける |
| 影を大きくできない | 型紙が壁の近くにないか | ライトと壁を固定し、型紙をライト側へ動かす |
| 手や腕の影が目立つ | 持ち手や手の位置 | 持ち手を下側から支え、手を光の中心から外す |
| 紙に描いた顔が映らない | 目や口が色だけで描かれていないか | 外形で分かるデザインにするか、大人が穴を作る |
| すぐに遊びが終わる | 型紙を映すだけになっていないか | 大小の比較、声、短い物語を加える |
怖がる子がいるときの進め方
暗さやおばけを怖がるかどうかには個人差があります。嫌がっている子に、慣れることや最後まで参加することを求める必要はありません。
まずは部屋を暗くせず、明るい状態で型紙とライトを見せます。その後、影が見える程度まで少しずつ照明を落としてください。
おばけが苦手な場合は、月、星、動物、乗り物などに変えられます。見るだけにする、大人の隣に座る、明るい場所から参加する、別の遊びを選ぶこともできます。
「怖くないよ」と気持ちを否定するより、「暗いのが気になるんだね」「月の形なら見てみる?」と受け止めてから選択肢を示すと、参加を強制せずに済みます。
おばけが大きくなって戻る、短い影絵台本
次の台本は、型紙を前後に動かすだけで演じられます。
場面1:小さなおばけの登場
型紙を壁の近くに置き、小さな影を映します。
「小さなおばけが、そっとやってきました。こんにちは」
場面2:おばけが大きくなる
型紙をゆっくりライトへ近づけます。
「おなかがすいたおばけは、むくむく、どんどん大きくなりました」
場面3:元の大きさに戻る
型紙をゆっくり壁側へ戻します。
「大きくなりすぎてびっくりしたおばけは、小さくなって、おうちへ帰りました」
途中で「次はどうなると思う?」「もっと大きくしてみる?」と聞くと、子どもが物語の展開に参加できます。正しい答えを求めず、その場で出てきた言葉や動きを取り入れてください。
ハロウィン影絵シアターのよくある質問
- 影絵の人形は、黒い画用紙でないと作れませんか?
- 光を通しにくい紙であれば作れます。影には紙の色がほとんど表れないため、色よりも紙の厚さや透けにくさを確認してください。
- 白い壁がない場合、スクリーンは何で代用できますか?
- 白い模造紙や、しわを伸ばして固定した白いシーツなどで代用できます。素材の裏側へ子どもが入らない配置にしてください。
- 部屋を真っ暗にする必要はありますか?
- 真っ暗にする必要はありません。影が見える程度まで照明を落とし、足元や周囲を確認できる明るさを残してください。
- 3歳児でも参加できますか?
- 大人が型紙の切り抜きとライトの設置を担当すれば、型紙を選ぶ、影を見る、完成した人形を動かすなどの方法で参加できます。
- 子どもがおばけや暗い部屋を怖がる場合はどうしますか?
- 照明を明るくする、おばけを月や星に変える、離れた場所から見るなどの方法があります。嫌がる場合は中止し、別の遊びを選んで構いません。
- 影がぼやけるのはなぜですか?
- 型紙がライトに近すぎる場合や、光る面が広いライトを使っている場合などが考えられます。まず型紙を少し壁側へ動かし、輪郭の変化を確認してください。
- スマートフォンのライトでも遊べますか?
- 影を映せる場合がありますが、端末の落下や発熱、誤操作に注意が必要です。大人が安定した場所へ固定し、製品の取扱説明書に従って使用してください。
- はさみを使えなくても参加できますか?
- 参加できます。大人が作った型紙を選ぶ、動かす、見る、声をつけるなど、切る以外の関わり方を用意できます。
影絵遊びでは、型紙をきれいに完成させることだけが目的ではありません。ライトと壁の間で形を動かし、「同じおばけなのに大きさが変わった」と気づくところに、この遊びならではの面白さがあります。
作る子、動かす子、見る子がいてよく、途中で離れても構いません。まずはおばけを1体だけ作り、ライトと壁を固定して、型紙をゆっくり前後に動かすところから始めてみてください。
ハロウィンの飾りも一緒に作りたい場合は、かぼちゃ、おばけ、こうもりの折り方を紹介している関連記事も参考にしてください。


