保育でよく使われているペープサートを作りたい場合、どんなことに気を付けて作れば良いのでしょうか?ここでは、基本的なペープサートの作り方やおすすめの題材、演じ方のポイントをご紹介します。
目次
1 ペープサートってどんなもの?
保育園でのお誕生日会や行事の導入でよく使われているペープサート。市販の物ももちろんありますが、ほとんどの場合が保育士の手作りの物です。そんな手作りのペープサートはどのような目的で使われ、どのように作っているのでしょうか?
1-1 ペープサートとは
ペープサートとは、一般的には棒状の持ち手の先に紙で作った人形を貼り付けたものをいくつか使って行なう人形劇です。
表面と裏面の人形の絵を描き分けることで、そのときの人形の気持ちや動きを表現することができます。人形を動かしながら保育士が人形のセリフを言うことで劇を演じるものです。
1-2 ペープサートを使うねらい
ペープサートを保育で使うねらいとしては、次のようなことが挙げられます。
- 身の回りのことに興味を持つ
- 集中して話を聞く
- 物語への理解力をつける
- 身の回りもことについて理解を深める
- 子どもの表現力や想像力を育てる
- 言語能力を育てる
2 基本的なペープサートと舞台の作り方
手作りのものが多いペープサートですが、どのようにして作るのでしょうか。ここでは、基本的な作り方をご紹介します。
2-1 準備するもの
次のものを用意します。
- 画用紙(厚みのあるものがおすすめ)
- ペンや絵の具、クレヨンなど
- ハサミ
- のりやボンド
- 割り箸などの持ち手になる棒
2-2 作り方
ペープサートの作り方は次の通りです。
1.画用紙に絵を描きます。表面用と裏面用がそれぞれ必要なため2枚1組で用意します。
2.絵に色を塗ります。見やすいようにペンや絵の具、クレヨンなどを使います。
3.絵を切ります。表と裏の絵を貼り合わせるため、余白を取りながら同じ大きさに切ると良いでしょう。
4.割り箸を表面と裏面の2枚の絵で挟み込むように絵を貼り合わせて、完成です。
2-3 作る際のポイント
ペープサート作る際の重要なポイントは、子どもたちから見やすいように作ることです。そのためには、まず絵の大きさに注意しましょう。見る子どもたちが少人数で舞台からの距離が近い場合は、手のひらサイズの15センチ程度の人形の大きさで十分です。
逆に大人数で少し遠くから見る子どもたちがいる場合は、20センチ以上の大きめの人形を用意しましょう。遠くにいて見えない子どもがいないように配慮します。
また、人形の色はペンや絵の具、クレヨンなどで塗り、見えやすいことを意識して作ります。色の薄い色鉛筆は避けたほうが良いでしょう。絵に黒で縁取りをすると遠くからでもはっきり見えるため、おすすめです。
また、絵をラミネートして作っておくと補強されることや保管しやすくなるため、一度作ると長い期間に何度も使うことができます。
2-4 舞台を作る
人形に気を取られて忘れがちですが、舞台をしっかりと作ることでより一層ペープサートの世界観が深まります。
作り方は、テーブルの上に段ボールや牛乳パックを何個か積み上げて土台を作り、その上から布や色画用紙で覆えばOK。舞台があることで演じる保育士が見えなくなり、子どもたちの想像力が高まります。
さらに保育士一人、または少人数でたくさんの人形を使ってペープサートを演じる場合は、発泡スチロールや粘土でペープサートを立てるスタンドを作っておくと、動かさないけれど舞台上にいてほしい人形を固定することができます。スタンドを用意すると演じやすくなり、おすすめです。
3【年齢別】ペープサートにおすすめの題材
ここでは年齢別にペープサートにおすすめの題材をご紹介します。ペープサートを作る時の参考にしてみてください。
3-1 乳児向けのペープサートの題材
乳児ではまだ物語をしっかりと理解することが難しいため、歌や簡単なクイズが楽しめる題材がおすすめです。長い時間だと飽きてしまうため、短い時間で終われるように用意しましょう。
- ふうせんのうた
- どんないろがすき
- シルエットクイズ
3-2 3歳児向けのペープサートの題材
3歳児になると、簡単な物語は理解できるようになります。また、好みもはっきりしてくるため、その時クラスで流行っているものを題材にしても良いですね。
- はたらくくるま
- すうじのうた
- おおきなかぶ
3-3 4歳児向けのペープサートの題材
4歳児になると少し長い物語でも興味を持って聞くことができるようになっていきます。身の回りのこともよく理解しているため、身近なものを題材にすることもおすすめです。
- おやさいのおふろ
- 3匹のこぶた
- ブレーメンの音楽隊
3-4 5歳児向けのペープサートの題材
5歳児になると、物語や身の回りのことについての理解がとても深まります。長いお話などでも集中して見ることができるため、次のような題材がおすすめです。
- イソップ童話(アリとキリギリス 、王様の耳はロバの耳等)
- アンデルセン童話(おやゆび姫、みにくいあひるの子、はだかの王さま等)
また、興味のあることには集中して取り組み、大人がびっくりするような知識を持つこともある5歳児さんにはオリジナルのペープサート作りもおすすめです。流行っている遊びやキャラクターを取り入れたり、少し難しいクイズ形式にしたり、クラスの様子に応じて考えてみましょう。
4 ペープサートを演じる際のポイント
子どもが楽しくペープサートを見るために、保育士が演じる際に注意したいポイントがあります。ぜひ参考にして楽しい時間を作れるようにしましょう。
4-1 子どもに問いかけ参加型にする
保育士だけが発言しどんどんお話が進んでいくペープサートだと、子どもたちが短い時間で飽きてしまうことがあります。
そのため、ペープサートを演じている途中で子どもに「○○ちゃん、これ、なんだと思う?」などと時々問いかけることがおすすめです。聞かれた子どもはうれしくなって返事をしたり、他の子も集中してペープサートを見たりするようになります。
4-2 子どもの反応を見ながらアドリブを入れる
物語であれば話がどんどん進んでいくものですが、時々子どもたちの様子を見てアドリブを入れると子どもの興味が惹きつけられます。
例えば、人形を使って「ねぇみんなは怖くない?大丈夫?」、「みんな眠そうだから、ちょっと一緒に歌を歌おうか!」などと言ってみると、子どもたちは楽しい気持ちになりますよ。
5 ペープサートを上手く活用し、子どもたちと楽しい時間を
ペープサートを作るときに、特別な技術は必要ありません。特に保育士であれば普段から画用紙を使って仕事をしているため、むしろ簡単に作れることでしょう。
ペープサート作りで必要なことは、日ごろからよく子どもの様子を観察し子どもたちに合った題材を選ぶことや、子どもたちが楽しくなるアドリブの用意です。かわいい子どもたちのことをよく考えて用意をし、ペープサートで楽しい時間を過ごしてくださいね。