保育士は、子どもと直接かかわる仕事だけでなく、日誌の作成・教材の準備など子どもが帰ってからも多くの業務をしなければなりません。

そのような多忙化解消の方法の1つとして「保育補助者」を新たに雇用し、保育業務をサポートすることで軽減することもできます。

さらに保育補助者を雇用するための支援事業を国が用意しているため、うまく活用することで職場環境を整えられるでしょう。

この記事では、保育補助者雇上強化事業がどのような制度から貸付条件、具体的な事例まで徹底解説します。

保育補助者雇上強化事業の目的と効果

保育補助者雇上強化事業は、将来保育士を目指したい保育士志望の人に短時間勤務の「保育補助者」として雇うための費用を支援する事業です。

保育士の業務は子どもとかかわるだけでなく、保護者の対応・日誌作成・保育環境の整備など多岐に渡っています。

保育補助者雇上強化事業は「保育補助者」を雇い上げに必要な費用等を補助をすることで、保育所での保育士の負担を軽減させ、保育士の離職を抑えていくことを目的に行われています。

保育補助者の主な業務とは?

クラス担任などとして働くケースは少なく、基本的には有資格者を含むチームに入り、保育士のサポート業務をおこないます。

具体的に保育補助者はつぎの仕事に従事することが多いです。

  • 保育日誌の記入
  • 翌日の準備
  • 定期的な行事の準備及び当日対応
  • 保育士と共同による保育の実施

上記の業務は一例であり、その時々により必要なサポートをおこないます。

1年間の貸付額

保育補助者雇上強化事業を利用して保育補助者の雇用に必要な費用として支援される貸付額は、1年間に原則「221万5千円」です。

ただし、保育補助者雇上強化事業という制度は、あくまでも実施するのは各自治体となっているため、自治体によって貸付額が異なる点に注意してください。

支給条件は大きく5つ

保育補助者雇上強化事業を活用して保育補助者を雇う場合には、以下5つの条件を満たす必要があります。

  • 1施設につき、保育補助者1名を追加で配置した場合に支給する。
  • 保育補助者には、保育士修学資金貸付等を活用し、保育士資格の取得に努めること
  • 一定期間の研修(子育て支援員)を受講している者か、それと同等以上であると市町村長が認める者であること
  • 短時間正社員制度の導入など、職員の雇用管理や職場環境の改善を積極的に行っている保育事業者であること
  • 保育事業者は、 保育補助者の配置による具体的な改善計画を実施したいに提出し、かつ、当該計画に基づき改善を行うこと

引用:平成28年保育対策支援事業費補助金予算

とくに保育補助者には、保育士修学資金貸付等を活用しながら保育士資格の取得を目指すことが前提条件となります。

したがって、採用面接の際には、保育補助者本人が今後保育士になる意志を十分に持っているかどうかを確認しておく必要があるでしょう。

【事例紹介】東京都の保育補助者雇上支援事業

前述したように今回解説した保育補助者雇上支援事業は、各自治体によって貸付条件や貸付額が異なる場合があります。

ここでは、東京都で実施された保育補助者雇上支援事業の事例を紹介します。

支給条件は3つ

東京都の場合は、支給条件が以下の3つです。

保育補助者雇上支援事業として、貸付対象者は次の要件を満たしている東京都内の対象施設・事業者となります。

① 令和2年10月1日以降に保育補助者が勤務を始めた場合
② 令和2年9月30日以前に保育補助者の雇用を開始し、次の要件いずれかを満たしている場合

・雇っている保育補助者が保育士を目指し、保育士資格取得に取り組んでいる
・その保育補助者が保育資格取得以降の、新たな保育補助者を雇用する計画を提出している
・保育士と保育補助者を合わせた人数が、前年に比べても、それぞれ同じかそれ以上である
・貸付を受けることで、保育士の給与改善をしたか、または処遇改善に取り組んでいる場合
・働いている保育士の平均勤続年数が11年以上ある場合

③ 特に保育士の業務改善の取組みを積極的におこなっている場合
引用:令和3年度 東京都社会福祉協議会 保育補助者雇上支援事業 雇上支援資金 申込のしおり

とくに上記の条件②は、複数ある条件の中のいずれかを満たしている必要があるため、申し込みをする前にあらかじめ確認しておくことをおすすめします。

貸付内容

保育補助者の雇上げの年間貸付金額として 最大295万3000 円貸付を受けることができます。

また、無利子で支援を受けられる点も大きなメリットです。

貸付額 1か所あたり 2,953,000円以内(年額)
貸付期間 保育補助者が勤務する期間(最長 3 年間貸付)
貸付条件 上記保育補助者を配置することによる具体的な勤務環境改善計画を提出し、当該計画に基づき保育士の勤務環境を改善すること。
対象経費 保育補助者の給与、諸手当、福利厚生費、社会保険料の事業主負担分等
利子 無利子
交付 原則、当該年度分を年 1 回交付

*ただし、貸付期間が令和 2 年度を含む場合は令和 2・3 年度分を初回送金時に交付。

引用:令和3年度 東京都社会福祉協議会 保育補助者雇上支援事業 雇上支援資金 申込のしおり

内閣府の発表している保育補助者への補助金は221万5千円、東京都の発表している金額は295万3000となります。

繰り返しになりますが、各自治体によって貸付条件や貸付額が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。

まとめ

保育補助者雇上強化事業は、保育士の多忙化解消のためにおこなわれています。

また意欲のある保育士志望者を保育補助者として雇うことで、本人にとっても研修になり、保育現場がどのようになっているのか知ることはプラスと言えるでしょう。

また自治体ごとによって貸付条件が異なっていますので、自分の自治体の制度を確認した上で「保育補助者雇上強化事業」を活用し多忙化解消を図りながら、より良い職場環境をサポートすることができます。

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