認可保育園を運営したいと思っていても、情報が分散していていまいちよくわからない…と思いますよね。特に政府が発表している情報は、内容が細かすぎてなかなか理解が進まないという方も多いです。

そこで今回は、認可保育園の運営基準を規模別に詳しく解説していきます。また、認可保育園を運営したときのメリットと注意点についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

それでは、本題に参りましょう。

1.認可保育園の運営基準とは?規模別に解説

認可保育園は、規模ごとに運営基準が異なります。そのため、自分が運営した保育園がどの規模で、どんな基準が設けられているのかを明確に知っておく必要があります。

ちなみに認可保育園の種類は以下の3つです。

  • 認可保育園
  • 小規模認可保育園A型
  • 小規模認可保育園B型
  • 小規模認可保育園C型

まず大きな枠組みとして「認可保育園」と「小規模保育園(3種類)」があります。これらは、入所対象も定員数も全く違うので、1番注意して覚えましょう。

それぞれの保育園ごとに詳しい運営基準を解説していきます。

1-1.認可保育園の運営基準

1つは、「認可保育園」です。認可保育は児童福祉法に基づいて設置される児童福祉施設で、国と都道府県知事から公認されることが条件になります。

例えば、施設の面積や職員数、設備などさまざまな基準をクリアすることで運営することができます。

また、入所対象の児童にも「保護者が日中に仕事などで、十分な保育ができない状態であること」という条件が課されたりと、非認可保育園とは運営条件が大きく異なりますので注意してください。

以下は認可保育園の具体的な認可基準です。

①入所対象

認可保育園の入所対象児童は、0歳〜小学校入学前の児童となります。ただし、2歳未満は全体の1割以上で3歳未満は2割以上という条件です。

②設置・位置

保育園を設置する位置については、原則2km以内に保育所がないことが条件です。必ず周辺の保育所状況を把握しておきましょう。

③定員

認可保育園における児童の定員は60名以上です。

④開所時間

開所時間は1日11時間までという基準が設けられており、保育時間は1日8時間が原則とされています。

⑤職員数

職員数については児童の年齢によって基準が決まっています。具体的には、「0歳児は3人につき1人以上」「1歳児〜2歳児は6人につき1人以上」「3歳児は20人につき1人以上」「4歳児は30人につき1人以上」です。

このように児童の年齢によって必要な保育士の人数が決まるので、漏れなく確認しておきましょう。

⑥資格

資格の有無については、保育に関わる従業員は原則すべて保育士である必要があります。

⑦保育室の設備

保育室の設備については以下のように決められています。

  • 乳児室またはほふく室は、0歳児および1歳児1人あたり3.3平方メートル
  • 保育室は、2歳児以上1人あたり1.98平方メートル
  • 屋外遊戯場は、2歳児以上1人あたり3.3平方メートル以上。ただし、保育園外の公園も含まれる

1-2.小規模保育園A型の運営基準

2つめは、2015年より認可事業となった小規模保育園の1つ「小規模保育園A型」です。この小規模保育園A型は認可保育園からの分園を想定されたもので、規模が小さくなった認可保育園をイメージしていただくと良いかもしれません。

そのため、小規模保育園A型の大きな特徴は、規模は小さいが保育者全員が保育士であることが条件となっています。

以下は、小規模保育園A型の具体的な運営基準です。

①入所対象

小規模保育園A型の入所対象児童は、0歳〜2歳児と決められています。

②定員

定員数は認可保育園よりも小規模になるため、6名〜19名です。

③職員数

職員数については認可保育園の配置基準に加えて1名の職員が必要です。

④資格

小規模保育園A型は、認可保育園とほとんど変わらない位置づけのため、全員保育士である必要があります。

⑤保育室等の設備

保育室の設備については以下のように決められています。

  • 乳児室またはほふく室は、0歳児および1歳児1人あたり3.3平方メートル
  • 保育室は、2歳児以上1人あたり1.98平方メートル
  • 屋外遊戯場は、2歳児以上1人あたり3.3平方メートル以上。ただし、保育園外の公園も含まれる

こちらも認可保育園と同じ基準となっています。

1-3.小規模保育園B型の運営基準

3つめの小規模保育園B型は、A型と後述するC型の中間として設置されました。そのため、認可保育園よりも少し基準は低くなります。

以下は、小規模保育園B型の具体的な運営基準です。

①入所対象

小規模保育園B型の入所対象児童は、0歳〜2歳児で小規模保育園A型と同じ基準となっています。

②定員

定員についても、小規模保育園A型と同じで6名〜19名とされています。

③職員数

職員数も小規模保育園A型と同様に、認可保育園の配置基準に加えて1名の職員が必要になります。

④資格

資格については、職員の1/2以上が保育士とされています。そのため、認可保育園や小規模保育園A型よりも少しハードルは低くなります。

⑤保育室等の設備

保育室等の設備は、認可保育園および小規模保育園A型と同じ基準となっています。

  • 乳児室またはほふく室は、0歳児および1歳児1人あたり3.3平方メートル
  • 保育室は、2歳児以上1人あたり1.98平方メートル
  • 屋外遊戯場は、2歳児以上1人あたり3.3平方メートル以上。ただし、保育園外の公園も含まれる

⑥給食

小規模保育園B型での給食については、原則自園調理とされています。また、連携施設等からの搬入する場合でも問題ありません。

1-4.小規模保育園C型の運営基準

4つめは小規模保育園C型です。C型は家庭的保育社(保育ママ)のグループ型を想定されて設置されており、大きな特徴が保育士の資格が必要ありません。

以下は、小規模保育園C型の具体的な運営基準です。

①入所対象

小規模保育園C型の入所対象児童は、0歳〜2歳児です。

②定員

定員は6名〜10名と最も少ない基準となっています。

③職員数

職員数については、「0歳〜2歳児3人につき1人」が必要です。ただし、補助者を置く場合は5人につき2人が必要とされています。

④資格

家庭的保育者であれば、保育士の資格は原則必要ありません。ちなみに家庭的保育者とは、市町村の研修を受けた保育士または保育士と同等の知識・経験を有すると認められた人を指します。

⑤保育室等の設備

保育と室等の設備については以下の基準になります。

  • 乳児室またはほふく室は、0歳児および1歳児1人あたり3.3平方メートル
  • 屋外遊戯場は、2歳児以上1人あたり3.3平方メートル以上。ただし、保育園外の公園も含まれる

⑥給食

小規模保育園C型での給食については小規模保育園B型と同じで、原則自園調理とされています。また、連携施設等からの搬入する場合でも問題ありません。
以上のように認可保育園、小規模保育園A型、小規模保育園B型、小規模保育園C型という規模によって基準や条件が異なります。なので、ご自分が運営をされる保育園がどの基準に当てはまるかをしっかりと検討するようにしましょう。

2.認可保育園を運営するメリット2つ


それぞれの認可保育園における運営基準がわかったところで、認可保育園を運営するためのメリットと注意点を解説します。

ここで特に意識していただきたいことが、メリットだけでなく注意点にも目を向けることです。たしかに、認可保育園には大きなメリットもありますが、注意点を事前に把握して対策を練っておくだけでも経営状況は安定します。

2-1.①必要資金を抑えられる

まず1つめのメリットは、必要資金を抑えられることです。認可保育園の場合、国からの運営基準を満たしているため、補助金が出ます。

国からの補助金を運転資金として運用することができるので、非認可保育園と比べると初期投資はだいぶ少なくなります。

さらに国からの補助金以外にも各自治体によっては、独自の助成金制度を設けているところも増えてきています。このことからも、国と自治体の基準を満たした認可保育園は資金面で非常に大きなメリットがあると言えるでしょう。

2-2.②安定した経営が可能

2つめのメリットとしては、国からの補助金で運営することができるので、経営が安定することです。というのも、保育園の場合は、一般的な習い事や幼稚園と比べると入園から卒園まで在籍する家庭がほとんどです。

また、昨今における保育園は、「小学校入学までの教育施設」としての位置づけにあります。なので、入園したら小学校入学まで在籍することを希望するご家庭が多いです。

3.認可保育園を運営する際の注意点

認可保育園を運営することのメリットがわかったところで、注意点についても解説します。先ほども述べたように、注意点を事前に把握して対策を練ることが保育園開業で1番重要なことです。

そこで、特に注意していただきたいことは2点あります。

3-1.①認定までに時間がかかる

まず1つめは、国から認定されるまでにそれなりの時間がかかることです。先述のとおり認可保育園として認定してもらえるには、たくさんの基準をクリアする必要があります。

そのため、基準を満たすための準備から審査をしてもらうまでにある程度の時間と労力が必要です。特に従業員数や資格、施設規模などの調整はかなり労力が必要だということを事前に知っておいてください。

3-2.②運営だけでなく保育士の指導も重要

2つめの注意点は、保育園の運営だけでなく保育士の育成にも注力することです。たしかに認可保育園の基準を満たせば、開業することはできます。ですが、国からの補助金をもらって運営するには、経営者としての視点や考え方も重要です。

さらに経営者としては、従業員つまり保育士の育成にも力を入れておかないと認可保育園だとしても経営難に陥りかねません。保育園は、児童だけでなく保育に従事する全ての人たちの高い意識も必要となります。

長くそして人気のある保育園を創っていくためには、運営だけではなくこれから新たに保育士となった人たちへの指導も忘れてはいけません。

4.まとめ

今回は、認可保育園の運営基準から認可保育園を運営する際のメリットと注意点について解説しました。

本文で解説したように、認可保育園として開業するためにはさまざまな課題と条件をクリアする必要あります。時間と労力もかかります。

ですが、それらの基準をクリアし、国から認められた保育園として運営をすることで単なる事業ではなく、地域そして社会における重要な施設の1つとなります。

そのためには、開業予定の保育園がどの規模でどのような基準があるのかを把握しておきましょう。

運営基準が明確になれば、自然とこれから何をするべきなのかが見えてきます。ぜひ本記事を繰り返し読んでいただき、認可保育園開業に向けての一助となれば幸いです。

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