日本には季節ごとにさまざまな祝日があります。その中でも「春分の日」や「秋分の日」は名称も似ていることからどのような違いがあるのかはっきりしないという方もいるでしょう。
そこで今回は、秋のお彼岸とも呼ばれている「秋分の日」について名前の由来から当日の過ごし方まで詳しく解説します。
この記事を読むことで、秋分の日における実際の過ごし方なども知ることができるので、子どもたちが祝日に親しみを持てるようにするきっかけを与えることができるようになるでしょう。
目次
1.秋分の日とは?
秋分の日は、1年に1度ある国民の祝日のことで、1日における昼と夜の長さがほとんど同じになる日を「秋分の日」と呼んでいます。秋分の日を境に太陽が沈む時間が早くなり、夜の長さが徐々に長くなっていくのです。
この昼と夜の長さについては、暑かった夏が終わり涼しい秋へ季節が少しずつ変化しているということを伝えると子どもたちもイメージがしやすいでしょう。
ちなみに昼の長さが1年で一番長くなる日を「夏至」、一番短くなる日は「冬至」と呼ばれているので合わせて覚えておきましょう。
1-1.秋分の日は「秋季皇霊祭」が由来になっている
秋季皇霊祭という言葉はあまり聞きなれないかもしれませんが、歴代の天皇・皇后・皇族を祀るための儀式として全国各地の神社で行われている行事です。
かつては国家の祭日として「秋季皇霊祭」という名称が使われていましたが、現在では「秋分の日」という名称で定着しました。
また、この秋分の日がある目的としては、国立天文台によると「先祖を敬い、亡くなった人をしのぶ」日として定められています。つまり、秋分の日は亡くなった方々に対して感謝する大切な日ということです。
参考:国立天文台「国民の祝辞に関する法律」に定められた国民の祝日
したがって、夏と秋の境目となる秋分の日にはお墓参りをするなど亡くなった方々への感謝を形に表すことが大切になります。
1-2.祝日であることの正しい意味を伝えましょう
秋分の日を含めて国民の祝日は、年間で16日と定められています。しかし、現代では大人も含めて単なる休日と捉える方が非常に多いです。
このような部分については、子どもたちの教育者である保育士や保護者の方が正しい知識として教えていかなくてはなりません。
「16日もある国民の祝日なんて覚えられません」と思われるかもしれませんが、何もそれぞれの祝日における由来や意味をすべて覚える必要はなく、子どもたちに正しい目的を伝える行為が大事なのです。
祝日は一部の月以外で必ずある日なので、この休日が本来はどのような意味を持っているのかを簡単に教えるだけでも、祝日への受け止め方は変わってきますよね。
たしかに現代において祝日は当たり前の休日として捉えられていますが、とくに保育士や保護者など子どもたちを教育する立場にある方は、ぜひ秋分の日を含めた祝日の正しい意味を伝えるようにしてみてください。
2.秋分の日と春分の日が大きく異なる点2つ
秋分の日の意味や由来がわかったところで、次は春分の日と比べたときに大きく異なる点を解説します。
とくに大きく異なる点は以下の2つです。
- 目的がそれぞれ違う
- 昼と夜の長さが真逆になる
名称が似ているという点からもよく間違えやすい祝日の一つでもあるので、しっかり確認しておきましょう。
2-1.目的がそれぞれ違う
先ほども述べたように秋分の日の目的は「先祖を敬い、亡くなった人をしのぶ」と定められるので、すでに亡くなっている方に対してお墓参りなどを行い感謝をする祝日でした。
一方、春分の日は国立天文台による「自然をたたえ、生物をいつくしむ」と定められています。つまり、これから訪れる新しい自然や生物が生まれる春の訪れを祝うことが目的です。
参考:国立天文台「国民の祝辞に関する法律」に定められた国民の祝日
このように名称は似ていても定められている意味や日付によって、祝日の目的はそれぞれ異なります。
2-2.昼と夜の長さが真逆になる
もう一つの違いは、昼と夜の長さです。
秋分の日は、夏から秋に向かっていくため昼よりも夜の長さが徐々に長くなっていきます。一方、春分の日は冬から春に向かっていき、夜よりも昼の長さが徐々に長くなっていくことで、秋分の日と春分の日は昼と夜で長くなるほうが真逆になるのです。
したがって、秋分の日と春分の日において昼と夜の長さが一緒になるという点は同じですが、祝日以降の日照時間が異なるということを覚えておきましょう。
3.秋分の日はお彼岸の一部になっている
一般的なお彼岸は、秋分の日をちょうど中間の日として7日間のことを指します。例えば、2021年であれば9月20日〜26日の7日間がお彼岸になっていました。
つまり、秋のお彼岸という習慣は秋分の日を中日として前後3日間と定められているのです。そのため、秋分の日にはお墓参りやお供えをしたりする習慣があります。
また、「お彼岸」という習慣はもともと仏教がルーツになっていると言われており、太陽が真東から真西に沈む日は死者の世界である「彼岸」に最も近くなる日とされていました。
そのため、この「彼岸に近くなる日」として秋分の日にお墓参りやお供えをするという習慣定着したのです。
ちなみに、先ほど秋分の日と春分の日は目的が異なると解説しましたが、春分の日も秋分の日と同様に昼と夜の長さが同じなることから「春のお彼岸」とも呼ばれています。
4.秋分の日における過ごし方
最後に秋分の日における過ごし方について紹介します。
とくにこれから紹介する過ごし方については、子どもたちが実際に体験できるものなので体験を通して秋分の日がどのような祝日であるか学ばせるのもおすすめです。
4-1.おはぎをお供え・食べる
秋分の日では、おはぎをお供えしたり食べたりすることが一般的になっています。家庭によっては、秋分の日になると仏壇におはぎなどをお供えしているところもあるかもしれません。
このおはぎを秋分の日にお供えしたり食べたりする理由は、おはぎに使われている小豆に邪気を祓う効果があると言われているからです。また、おはぎにたくさん使われている砂糖ですが、かつては高級食材だったことから砂糖を使ったおはぎを供えることで、先祖への感謝の気持ちとしていたという説もあります。
4-2.ご先祖様のお墓参りに行く
先ほどから述べているように秋分の日は、先祖を敬いしのぶ日でもあるのでお墓参りに行くことが一般的です。
例えば、お墓が近隣にありお墓参りができるのであれば、実施に足を運んでお墓周辺を掃除したり新たにお線香をあげたりします。
また、家庭によって地方にお墓があり気軽にお墓参りができないという場合は、自宅にある仏壇などを掃除して先祖をしのぶのもいいでしょう。
このように秋分の日や春分の日という年に数回しかない祝日をきっかけに、子どもたちが亡くなった故人へ感謝する気持ちを育むことも成長するうえでは大事です。
5.まとめ:秋分の日についてわかりやすく伝えて祝日への関心を持たせよう
今回は秋分の日における由来から春分の日との違い、実際の過ごし方について紹介をしました。
本文中にも述べたましたが、祝日は私たち大人でも単なる休日という意識で過ごしてしまっていることがあります。しかし、実際はすべての祝日には意味があるのも事実です。
決してすべての祝日に対して昔ながらの風習を守り伝えるべきとは言いませんが、子どもたちを教育する保育士や保護者という立場にいる方は、正しい知識として代表的な祝日だけでも教えてあげてください。
また、子どもと一緒に秋分の日など独自の風習を過ごすことで、少しでも日本の風習や季節に対して興味を持つきっかけ作りになるかもしれません。