日本の古くから親しまれてきた伝承遊び。その伝承遊びの一つである「なべなべそこぬけ」は、年齢の低い子でも楽しめるので保育に取り入れやすい遊びです。
子どもたちと楽しむ前に、遊び方をしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
この記事では、「なべなべそこぬけ」の由来や遊び方についてご紹介していきます。また、保育に取り入れる際のねらいや注意ポイントもあわせて解説するため、ぜひ参考にしてみてください。
「なべなべそこぬけ」とは?
日本の伝承遊びである「なべなべそこぬけ」とはどんな遊びなのでしょうか?
ただ遊ぶだけではなく意味を理解することで楽しさの幅が広がり、さらに親しみを持って遊べるはずです。
「なべなべそこぬけ」の意味
以下は、「なべなべそこぬけ」の歌詞です。
とてもシンプルで覚えやすい歌詞ですね。
「なべなべそこぬけ」とは、鍋の底に穴が開いて抜けていることの比喩です。
わらべうたが発祥した江戸時代の鉄鍋や鉄釜は穴が開きやすく、鍋や釜の底の穴をふさぐ「鋳掛屋(いかけや)」という職業も存在していたようです。
金属自体が貴重だったため、穴が開くまで長く大事に使っていたという事情もあると言われています。
「なべなべそこぬけ」のねらい3つ
気軽に取り入れられる遊びですが、しっかりとねらいを立ててから楽しむことで、遊びながら子どもたちの成長に繋げていくことができるでしょう。
文化や伝統に親しみを持つ
伝承遊びは住んでいる地域によって呼び方や遊び方、ルールなどが異なっています。ルーツとなる部分は同じでも、地域性や方言、その地ならではのものを使うなど変化している場合もあります。
そのため、古くから伝えられてきた文化や伝統に触れる機会となるでしょう。楽しく遊びながら、自分たちが住んでいる地域の歴史に親しみを持てるようになるかもしれません。
コミュニケーション能力を育てる
「なべなべそこぬけ」は複数人で楽しむ伝承遊びのため、自然と人とのコミュニケーション能力を養うことができます。
先生や友だちと一緒に考えたり力を合わせたりする場面も多く、時には衝突してしまう経験も子どもたちの成長には欠かせません。
どうすれば楽しく遊べるのか自分たちで考えたり、基本の遊びに工夫やアレンジを加えたりすることもできるので、創造力や発想力を伸ばすことにもつながるでしょう。
体の柔軟性を養う
「なべなべそこぬけ」は体を大きく動かしながら楽しめる伝承遊びです。
友だちと手を繋ぎながら左右に揺れたり体をひねったりする動きを繰り返すことで、体の柔軟性を養うことができるでしょう。
普段しないのびやかな体の使い方をすることで子どもたちの運動発達を促すメリットがある点からもぜひ保育に取り入れたい遊びだと言えます。
「なべなべそこぬけ」の遊び方
いよいよ「なべなべそこぬけ」の具体的な遊び方を解説していきます。
伝承遊びの中でもとても覚えやすい歌詞と、アレンジしやすいシンプルさが魅力です。
2人1組で向き合って遊ぶ場合と、クラス全体など3人以上で遊ぶ場合に分けてご紹介します。
2人で遊ぶ場合
1.2人1組になり、向かい合って両手を繋ぐ。
2.「なべなべそこぬけ そこがぬけたら♪」と歌いながら、繋いでいる両手を左右にゆらゆら揺らす。
3.「かえりましょ♪」と歌いながら、手を繋いだまま片方の手の下をくぐって反り返り、外側を向いて背中合わせになる。
4.背中合わせの状態で、『なべなべそこぬけ そこがぬけたら♪』と歌いながら、繋いでいる両手を左右にゆらゆら揺らす。
5.「かえりましょ♪」と歌いながら、手を繋いだまま片方の手の下をくぐって反り返り、元の向かい合わせに戻る。
3人以上で遊ぶ場合
1.全員で手を繋いで1つの輪を作る。
2.「なべなべそこぬけ そこがぬけたら♪」と歌いながら、繋いでいる両手を左右(または前後)にゆらゆら揺らす。
3.「かえりましょ♪」と歌いながら、手を繋いだまま代表2人がアーチ(門)を作り、その下を他の人たちが次々とくぐり抜ける。
4.最後にアーチを作っていた代表2人が反り返り、全員が外側を向いて背中合わせになる。
5.背中合わせの状態で、『なべなべそこぬけ そこがぬけたら♪』と歌いながら、繋いでいる両手を左右(または前後に)にゆらゆら揺らす。
6.「かえりましょ♪」と歌いながら、手を繋いだまま代表2人がアーチ(門)を作り、その下を他の人たちが次々とくぐり抜ける。
7.最後にアーチを作っていた代表2人が反り返り、元の向かい合わせに戻る。
「なべなべそこぬけ」の注意ポイント3つ
ここでは、伝承遊びである「なべなべそこぬけ」を保育に取り入れる際の注意ポイントを3つ解説していきます。
集団で行う場合に心がけておくべきことをしっかりと把握し、全員が楽しく怪我なく遊べるよう配慮しましょう。
保育士が見本を見せる
実際に遊びを開始する前に、まずは保育士が見本を見せるのがベストです。
言葉で説明するだけでは理解しにくい部分もあるので、実際にどのように体を動かすのか目で見るとわかりやすいでしょう。
保育士が2人以上いるクラスは大人同士で見本を示してもいいですし、子どもに手伝ってもらって一緒にやってみるのも子どもたちが興味を持ちやすいです。
怪我をしないようルールを伝える
「なべなべそこぬけ」は体を大きく動かすので柔軟性が養われるメリットがある一方で、無理に行うと肩や手の関節を痛めてしまう危険があります。
遊ぶ前には、無理なく相手としっかり息を合わせながらゆっくりと反り返るなどのルールを必ず伝えましょう。
また、大人数で遊ぶ場合はアーチを作る代表を事前に決めておくとスムーズに進められます。
2回目の元に戻る時は、後ろ向きのままアーチをくぐることになるので難しさがあります。
急がずにゆっくりと振り返りながら進むことを伝えましょう。
飽きずに遊べるアレンジを加える
同じことの繰り返しではいずれ子どもは飽きてしまいますが、せっかく伝承遊びに触れて楽しめたのにすぐに終わってしまうのは残念ですよね。
基本の遊び方が理解できたら、飽きずに遊べるアレンジを徐々に取り入れていきましょう。
例としていくつかご紹介します。
1.「そこがぬけたら かえりましょ」の部分をアレンジする。
2.2人組から3人、4人と徐々に人数を増やしたり、チームを作ったりする。
3.大人数で遊ぶ場合のアーチを作る人、最初にくぐる人をその都度変える。
4.保育者が楽器を使って盛り上げたり、リズムを変えたりする。
まとめ
伝承遊びの1つである「なべなべそこぬけ」の由来や遊び方についてご紹介しました。
シンプルで簡単な遊びなので年齢の低い子でも楽しむことができ、アレンジを加えていくことで年齢が高くなっても達成感を味わうことができます。
保育に取り入れる際は今回ご紹介した「なべなべそこぬけ」のねらいや注意ポイントもしっかり把握しておくことで、より子どもたちの成長に繋げながら安全に楽しめるでしょう。
地域ごとの特色や文化を織り交ぜながら世代を越えて楽しめる伝承遊びを、ぜひ積極的に保育に取り入れていきたいですね。