楽器遊びは、楽器に関する知識が増えたり、音感やリズム感を鍛えられたりするだけでなく、表現力や協調性も養うことができる遊びです。保育園で楽器遊びを導入したいと思っている保育士の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、保育園でもできるおすすめの楽器遊びをご紹介します。さまざまなパターンの楽器遊びを解説するので、参考にしてみてください。保育アイデアを増やし、楽しい保育を展開しましょう。

楽器遊びとはどんな活動?

「楽器遊び」は楽器を使った遊びのことです。ただ、具体的にどのような遊びなのかイメージできないという方もいるかもしれません。ここでは、まず楽器遊びの概要と、保育で楽器遊びを展開する際のねらいについて解説します。

楽器遊びの概要

基本的には、以下のような楽器を使用して演奏することを楽しみます。

  • タンバリン
  • カスタネット
  • トライアングル
  • 木琴
  • 鉄琴
  • 鍵盤ハーモニカ
  • ハーモニカ
  • 太鼓

詳しくは後述しますが、楽器遊びは「遊び」という楽しさを体験できる一方、表現や想像力など目に見えない部分を養うことも可能です。

楽器遊びのねらい

保育園で楽器遊びを展開するねらいの一例は以下のようになります。

  • 楽器の種類や特性を知る
  • 正しい使用方法で楽器を演奏する
  • 音を合わせることの楽しさを知る
  • 楽器を使用した自己表現方法を知る
  • 友達と協力してひとつの曲を演奏する中で協調性を育む

楽器演奏しながら自己を表現することや友達と協力する大切さを学ぶことが多いですが、「遊び」も目的のひとつとなっています。

楽器遊びを導入する際は、「楽器指導」と混同しないよう気を付けましょう。楽しさの中から学びを見つけられるよう援助することが大切です。

作って遊ぼう!自分で作れる楽器の製作アイデア6選

楽器遊びは演奏するだけではありません。自分で楽器を作ったり、作った楽器を使用して演奏したりして遊ぶのも楽器遊びの一種です。保育園で作れる楽器の製作アイデアを園児の年齢別にご紹介します。

乳児期(0~2歳)におすすめの製作アイデア

0〜2歳の乳児期におすすめの製作アイデアは、以下のとおりです。

マラカス

ペットボトルにビーズを詰めるだけの、簡単に作れるマラカスです。シャカシャカとした音や振った感覚が楽しくて何度も遊びたくなります。

【用意するもの】

  • 小さめのペットボトル
  • ★ビーズ
  • ★ストロー
  • ★モール
  • ★どんぐり
  • はさみ
  • 油性ペン
  • シール
  • ビニールテープ

【作り方】

  • ペットボトルに★の中から好きなものを入れる
  • 蓋をしてビニールテープを巻いて留める
  • ペットボトルに絵を描いたりシールを貼ったりして完成

タンバリン

紙皿で作るタンバリンです。叩いたり動かしたりすると音が鳴る仕組みになっています。軽くて簡単に動かせるので、乳児の楽器遊びにおすすめです。

【用意するもの】

  • マスキングテープ
  • マーカー
  • シール
  • ストロー
  • はさみ
  • 紙皿2枚

【作り方】

  • 紙皿の中に切ったストローを入れる
  • 紙皿をもう1枚重ねてマスキングテープで2枚を貼り付ける
  • 紙皿にシールを貼ったり絵を描いたりして完成

太鼓

棒を使ってトントン叩くと音が鳴る太鼓です。紙コップをくっ付けるだけで簡単に製作できます。

【用意するもの】

  • 画用紙
  • マスキングテープ
  • 紙コップ2個
  • ビニール袋
  • キッチンペーパー
  • 輪ゴム2本
  • 割りばし
  • クレヨン
  • はさみ
  • のり
  • セロハンテープ

【作り方】

  • 画用紙に紙コップの口と同じ大きさの丸を書く
  • 違う色の画用紙も同じように丸を書き、切り抜く
  • 切り取った画用紙に好きな柄を書く
  • 画用紙をビニール袋に入れて、ビニール袋ごと紙コップに巻きつける
  • 輪ゴムで固定する
  • 同じようにもう1つ作る
  • 紙コップの側面に絵を描いたり画用紙を貼ったりして装飾する
  • 紙コップを1つだけ逆さにし、2つをマスキングテープで留める
  • キッチンペーパーを小さく折りたたみ、割りばしの先に巻きつける
  • キッチンペーパーをマスキングテープで固定して完成

幼児期(3~5歳)におすすめの製作アイデア

手先が発達する3〜5歳の幼児期におすすめの製作アイデアは、以下のようなものが良いでしょう。

ベル

ふわふわした見た目が可愛らしく、揺らすと優しい音が鳴るベルです。クリスマスの時期に作ると幻想的な雰囲気が出てより楽しめるでしょう。

【用意するもの】

  • 紙コップ
  • ペットボトルの蓋2個
  • 毛糸
  • ヒモ(40cm)
  • リボン
  • 画用紙
  • キリ
  • はさみ
  • のり
  • ボンド
  • セロハンテープ

【作り方】

  • ペットボトルのキャップの上部にキリで穴を開ける
  • キャップの穴にヒモを通して結ぶ
  • ヒモの反対側にもキャップを通して結ぶ
  • 紙コップの底の真ん中にキリで穴を開ける
  • 穴にヒモを通して、ヒモを方結びしセロハンテープで固定する
  • 紙コップにボンドをつけ、毛糸を巻きつける
  • 画用紙で顔を作りボンドで貼る
  • リボンを20cm程度に切り、丸くしコップの底(ベルの上部)に貼り付けて完成

息を吹くとホーホーと音が鳴るペットボトルの笛です。笛の作り方はいくつかありますが、その中でも簡単にできるものをご紹介します。

【用意するもの】

  • ペットボトル(小さめのもの)
  • ストロー
  • ビニールテープ
  • マスキングテープ
  • 丸シール
  • はさみ

【作り方】

  • ストローを4cm程度に切る
  • ストローの先に5mm程度の切り込みを入れる
  • 切り込みの上部だけを切り落とす
  • 半分になった部分をペットボトルの口の部分に貼り付ける
  • ペットボトルの側面にテープやシールで飾り付けて完成

ギター

食品トレーやティッシュの空き箱に輪ゴムを付けるだけで簡単にギターが作れます。保育園ではあまり見ることのない少し大人っぽい楽器なので、子どもたちの気分も盛り上がるでしょう。

【用意するもの】

  • 食品トレーや焼きそばの容器、ティッシュの箱
  • 輪ゴム4~5本程度
  • ダンボール
  • 画用紙
  • テープ
  • のり
  • はさみ

【作り方】

  • 画用紙をちぎり、トレーに貼り付ける
  • 段ボールをギターのネックのように切る
  • ネック部分に絵や模様を描く
  • トレーの短辺にそれぞれ4~5ヵ所切り込みを入れる
  • 切り込み部分に輪ゴムを付ける
  • トレーの背面にネック部分を貼り付けて完成

鳴らして楽しむ!楽器遊びの保育アイデア4選

楽器遊びならではの、音を楽しむ遊びです。本物の楽器を使用して遊びましょう。

音のかくれんぼクイズ

どの楽器の音かを当てるクイズです。クイズをすることで、自然と楽器への興味関心を深められます。音のかくれんぼの導入方法は以下のとおりです。

【遊び方】

  • 楽器が見えないように隠しながら、音を出す
  • 「どの楽器の音かな?」とクイズを出す
  • 楽器を見せながら、楽器の音を出す
  • 「どんな感じの音だったかな?」などと尋ねながら子どもたちの発言を促す

山の音楽家に大変身

「山の音楽家」の曲に合わせて楽器を演奏する遊びです。なりきって遊べるので、子どもたちのイメージも沸きやすくごっこ遊びのような感覚で楽しめます。まずは1種類の楽器を演奏し、楽器の使い方を覚えさせましょう。

【遊び方】

  • 子どもたちをいくつかのグループに分ける
  • グループごとに動物の種類と楽器を決める
  • 子どもたちは楽器を持ち準備する
  • 山の音楽家の歌を歌う
  • 保育者が「わたしゃ音楽家 山の〇〇(動物名)」「上手に〇〇~(楽器)してみましょう」のところで、チームを指名する
  • 指名された楽器を持つチームは、歌の後半部分で楽器を演奏する

好きな楽器で表現遊び

ピアノや手遊びに合わせて、楽器を演奏する遊びです。表現することを重視し、好きな楽器を好きなように演奏して楽しみましょう。楽器を使った表現遊びをする際は、楽器遊びに適した曲を選ぶとより楽しめます。

【おすすめの曲・手遊び歌】

  • 手を叩きましょう
  • 大きな太鼓
  • 幸せなら手をたたこう
  • パプリカ など

合奏

複数の楽器を楽譜どおりに演奏し、音を合わせて1曲を作り上げるのが合奏です。合奏は楽器の表現遊びと異なり、闇雲に楽器を演奏するわけにはいきません。伴奏に合わせて、楽器を正しいリズム、音階で演奏します。

また、何度も練習を積み、それぞれの楽器の音がきれいに合わさるよう努める必要があります。頑張った先に、表現することの楽しさや、力を合わせてひとつの作品を作る楽しさを味わえるよう援助しましょう。

【合奏におすすめの曲】

3歳 さんぽ、ドレミの歌、小さな世界、虹の向こうに、ハイホー
4歳 にんげんっていいな、ありがとうの花、世界中の子どもたちが
5歳 ハッピーチルドレン、虹、勇気100%、夢をかなえてドラえもん

楽器遊びを楽しむための3つのポイント

楽器遊びを最大限楽しむには、ポイントを押さえて保育を展開することが大切です。楽器遊びのポイントは3つあります。

事前に楽器の使い方を説明しておく

楽器にはそれぞれ正しい持ち方、使い方が決まっています。ただ何となく楽器を演奏するのと、正しい使用方法で演奏するのとでは、子どもたちの学びの質も変わってきます。楽器遊びを行う際は、最初に正しい使い方を解説しましょう。

子どもの興味関心に合わせた選曲を

興味関心のある楽曲を選ぶと、子どもたちの気分が盛り上がります。みんなが知っている曲や、流行っている曲を導入すると良いでしょう。

また合奏で使用したい曲があれば、事前に朝の会や帰りの会などで歌うなどして楽曲に触れておくのがベストです。スムーズに楽器遊びや合奏に取り入れられるようになります。

しっかりと導入をして気持ちを盛り上げる

楽器遊びをする際は、しっかりと導入を行いましょう。何の情報もないまま楽器遊びを始めると「やりたくない」「面白くない」と思う子が出てくる可能性があります。

楽器が登場するような絵本を読んだり、実際に楽器を演奏して見せたりして、自発的に「やってみたい!」という気持ちになるよう、興味や関心を引き出しましょう。

まとめ

楽器遊びは、音感やリズム感を鍛えられるだけでなく、表現力や集中力も養うことができる遊びです。「楽器を自分で作って遊ぶ」「本物の楽器を使って遊ぶ」「合奏をする」といったようにさまざまな遊び方ができます。楽器を保育に導入し、子どもたちの興味関心を育てましょう。

Share.
Exit mobile version