リズム遊びは、歌や音楽に合わせて指先や体を動かして楽しむ遊びです。リズム遊びを取り入れることでさまざまなメリットや効果があるため、実際の保育に導入したいと考えている保育士の方も多いのではないでしょうか。 

そこで今回は、リズムに合わせて楽しむ手遊び・ゲームと体を使って楽しめる遊びを15個ご紹介します。道具を使うことなく気軽に取り入れられる遊びから、思い切り体を動かして遊べる保育アイデアまで徹底解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

リズム遊びとは?概要やねらい

「そもそもリズム遊びってどんな遊び?」と疑問を抱いている方もいるかもしれません。リズムに合わせた遊びは昔から行われていましたが、「リズム遊び」という言葉が保育業界で流通したのは比較的最近です。

リズム遊びはどんな遊び?

リズム遊びは名前の通り、リズムや歌、音楽、楽器演奏などに合わせて体を動かす遊びです。保育園で行う遊び方に厳密な決まりはありません。体全体を使って遊ぶこともありますが、口や耳、手先などを使用して遊びを行う場合もあります。

リズムに合わせて体の一部を動かすことで、音楽を表現する楽しさや、音楽を通して友達とコミュニケーションを取る喜びを感じることを目的として行われます。クラスの子どもたちの様子や保育目標に合わせて遊びを計画しましょう。

リズム遊びを保育に導入するねらい

リズム遊びを導入する際は、ねらいを定める必要があります。目標をしっかりと決めておくことで、リズム遊びによって得られる効果を高められるためです。保育目標やねらいの代表例は以下のようになります。

  • 音感や運動能力を高める
  • 協調性やコミュニケーション能力を育む
  • 集中力を養う
  • 表現力を身につける など

リズム遊びで得られる3つのメリット

保育のねらいで定める内容は、リズム遊びから得られる効果やメリットとも言える部分です。ここでは、具体的なメリットについて詳しく解説します。

表現力が豊かになる

リズム遊びの最大のメリットは表現力が豊かになることです。音楽に合わせて思い切り体を動かして遊ぶ中で、体を動かしたり歌を歌ったりすることの楽しさや大切さを学び、自身の気持ちを表現する力が養われます。

また、表現力が豊かになると、気持ちを相手に伝えるのが上手になり、社会性も培われます。まだ言葉の語彙が豊富でない年齢の子や感情表現が苦手な子にも、言葉以外の方法で気持ちを使える手段があることを知れる良い機会となるでしょう。

協調性が身に付く

リズム遊びの中には、全員で力を合わせて一つの作品を作り出すものもあるため、協調性が身に付くと言われています。さらに「この歌面白いね」「〇〇ちゃん上手だね」などと会話を楽しむことで、コミュニケーション能力が養われるのも嬉しいポイントです。

協調性やコミュニケーション能力は、大人になっても必要とされる大切な能力です。人としての人格を形成する大切な乳幼児期にこそ、これらの能力を育むチャンスを積極的に増やしていきましょう。

リズム感覚や音感が養われる

音楽やリズム、ビートなどに合わせて何度も体を動かすうちに、リズム感や音感が養われます。実は、リズム感覚や音感は、普段の日常生活の中でも頻繁に使用する能力です。例えば、縄跳びやボール遊びなどを行う際にも、自然とリズムが発生しています。

また、音を聞きながら歌ったり手足を動かしたりすることで、複数の作業を同時に行う「マルチタスク」の能力が培われるのもメリットの一つです。こういった能力が発達すると、普段の生活をスムーズに送れるようになり、生活の質が向上します。

リズムに合わせて楽しむ手遊び・ゲーム10選

リズムに合わせて楽しめる手遊びやゲームをご紹介します。具体的な遊び方や対象年齢も解説するので、自身のクラスに導入できそうなものがあれば取り入れてみてくださいね。

バスに乗って

アップテンポなリズムで気分が盛り上がる曲です。ピクニックや遠足に行くバスのレクレーションにも適しています。3〜5歳であれば友達同士で、0〜2歳は参観の際に保護者と一緒に楽しめます。

【遊び方・歌詞】

  • 幼児:列になって座り、両手で前の子の肩を掴む
  • 乳児:保護者の膝の上に座る
  • バスにのって揺られてる(リズムに合わせて体を揺らす)
  • ゴーゴー!(右手の拳を上に向かって2回振り上げる)
  • バスにのって揺られてる(リズムに合わせて体を揺らす)
  • ゴーゴー!(右手の拳を上に向かって2回振り上げる)
  • そろそろ右に曲がります(先頭の子・保護者がハンドルを動かしながら体を右に大きく傾ける)
  • 3.2.1 ウワー(後ろについている子どもたちも順番に体を傾ける)
    ※左に曲がります、でこぼこ道です、坂を上ります、坂を下ります、右に急カーブ、前からオートバイ、そろそろ止まります といったように歌詞を替えて繰り返し歌う

大きな栗の木の下で

振付と歌詞が簡単で覚えやすいため、1〜3歳に適した手遊びです。歌が短く、遊びのスペースが必要ないため、絵本を読む前の時間や帰りの会の前などにも気軽に取り入れられます。

【歌詞と振付】

  • 大きな栗の(両手を頭の上で合わせる)
  • 木の下で(頭を触る→肩を触る→気を付けをする)
  • あなたと私(目の前にいる人と、自分を交互に指差しする)
  • 仲良く(右手を左肩→左手を右肩の順に自分の肩に手を置く)
  • 遊びましょう(左右に揺れる)
  • 大きな栗の(両手を頭の上で合わせる)
  • 木の下で(頭を触る→肩を触る→気を付けをする)

手を叩きましょう

ゆったりとしたリズムに合わせて、手や足、顔など体全体をダイナミックに使って遊べる手遊びです。運動の前の準備体操にも適しています。比較的簡単な振付なので、2〜3歳におすすめです。

【歌詞と振付】

  • 手をたたきましょう たんたんたん たんたんたん(両手を大きく叩く)
  • 足踏みしましょう たんたんたんたん たんたんたん(大きく足踏みをする)
  • 笑いましょう あっはっは 笑いましょう あっはっは(お腹に手を置き笑ったふりをする)
  • あっはっは あっはっは (お腹に手を置き笑ったふりをする)
  • ああ面白い(手をキラキラさせながら上から下におろす)
    ※「笑いましょう~」の部分を「怒りましょう うんうんうん」「泣きましょう えんえんえん」にアレンジして繰り返し歌う

握手でこんにちは

友達と一緒に行うリズム遊びです。コミュニケーション能力を養えます。友達との関りが広がる4歳以上の子におすすめです。また、このリズム遊びを通して色々な子と関われるので、子ども同士の交流を深めたいときやクラス替えの時期に適しています。

【歌詞と振付】

  • てくてくてくてく歩いてきて(歩き回る)
  • 握手でこんにちは(目の前の子と握手しながら軽くお辞儀をする)
  • ごきげんいかが(右手を左肩→左手を右肩、の順に自分の肩に手を置き、体を揺らす)
  • もにゃもにゃもにゃもにゃお話して(手て口を表現しパクパクさせる)
  • 握手でさようなら(目の前の子と握手しながら軽くお辞儀をする)
  • またまた明日(顔の横で手を振る)

アブラハムの子

体の部位が理解できる3〜5歳におすすめの遊びです。体をほぐすのに最適なので、運動前やゲーム前のレクリエーションに取り入れてみてはいかがでしょうか。歌詞に出てくる体の部位を替えてアレンジすれば、座ったままでも楽しめます。

【遊び方・歌詞】

  • アブラハムには7人の子 一人はのっぽであとはちび(リズムに合わせて揺れる)
  • みんな仲良く暮らしてる さあ踊りましょう(リズムに合わせて揺れる)
  • 右手(右手を大きく上げて揺らす)
  • 「アブラハムには~」の部分を繰り返して歌い、「右手」の次に「左手」と付け足す
  • その後随時体の部位を増やしていく(右手、左手、右足、左足、頭、お尻、回って、おしまい)
  • おしまい(両手を上に大きく上げる)

かみなりどんがやってきた

雨の多い時期や天気の悪い日に導入すると盛り上がる手遊びです。「雷様におへそが取られるのでは…?!」と、ハラハラドキドキとした感覚を楽しめます。テンポを早くしたり、体の部位を替えたりしてアレンジすれば、2〜5歳児と幅広い年齢で導入できます。

【歌詞と振付】

  • かみなりどんがやってきた(右手→左手の順番で頭に角を作る)
  • どんどこどん どんどこどん(太鼓をたたく真似をする)
  • 隠さないと取られるぞ(右手→左手の順番で頭に角を作る)
  • どんどこどんどんどん(太鼓をたたく真似をする)
  • 隠すのは「おへそ」(おへそを両手で隠す)
  • 隠す部位を変更したり増やしたりする(「おへそとお尻」「おへそとお耳とお口」など)

やおやのおみせ

給食やおやつの時間の前に行う手遊びにおすすめです。お店屋さんに買い物に行ったような気持ちで楽しめます。間違い探しの要素も入っているので、ゲーム感覚でできます。お店屋さんにどのような品物があるかを理解できるようになる、3〜5歳に適した遊びです。

【歌詞と振付】

  • 八百屋のお店に並んだ品物見てごらん (歌に合わせて手を叩く)
  • よく見てごらん(手で輪を作り目に当てる)
  • 考えてごらん(腕を組んで考えるポーズをする)
  • 野菜の名前を言う(「にんじん」「キャベツ」「かぼちゃ」など)
  • あるある(ある場合は2回手を叩く)
  • 野菜以外のものの名前を言う(「時計」など)
  • ブッブー(ない場合は手の前でバツを作る)
  • パン屋やおもちゃ屋、お花屋さんなどでアレンジする

おちたおちた

おちたおちたは、アップテンポなリズムに合わせて瞬時に正解を考える必要があるため、判断力や瞬発力が求められる遊びです。4~5歳児に適しています。落ちるものとその時の気持ち(ポーズ)を子どもたちと一緒に考えながら遊びを発展させると、さらにゲームが盛り上がります。

【遊び方・歌詞】

  • 保育者:落ちた落ちた(リズムに合わせて手を叩く)
  • 子ども:何が落ちた(リズムに合わせて手を叩く)
  • 保育者:リンゴ
  • 子ども:瞬時に手を前に出しリンゴをキャッチする
  • げんこつ(頭を隠す)、かみなり(おへそを隠す)など他のお題を出す

棒が一本

音楽に合わせて指を動かす、2〜4歳におすすめの手遊びです。座った状態でも比較的落ち着いた曲調なので、絵本を読む前や静かな雰囲気にしたいときに適しています。

【歌詞と振付】

  • 棒が一本(右手の人差し指を立てる)
  • 棒が一本(左手の人差し指を立てる)
  • 棒が二本でトントントン(二本の指をクロスさせてトントンと叩く)
  • 上を向いて(上に向かって指を指しながら顔ごと上を向く)
  • 下を向いて(下に向かって指を指しながら顔ごと下を向く)
  • ピアノはどこだ?ピッ(ピアノに向かって指を指す)
  • 「先生はどこだ」「時計はどこだ」「〇〇ちゃんはどこだ」など、他のお題を出す

ホルディアクック(大工のきつつきさん)

歌詞(語り)にストーリーがあり、どんどんお話の世界に引き込まれていく面白い手遊びです。絵本を読むような感覚で進める遊びなので、遠足のバスレクリエーションや次の活動までの待ち時間を消化したいときに適しています。振付に少し難しい部分があるので、5歳児におすすめです。

【遊び方・歌詞】

  • 緑の森かげに 響く歌は 大工のきつつきさん せい出す歌(歌を歌う)
  • ホルディア(膝を両手で叩く)
  • ※ホルディヒヒア(膝を叩く→手を叩く→指をパチンと鳴らす)
  • ※ホルディクック(膝を叩く→手を叩く→鳥のくちばしのように手を動かす)
  • ※を3回繰り返す
  • ホルディヒヒア(膝を叩く→手を叩く→指をパチンと鳴らす)
  • ホー(膝を両手で叩く)
  • セリフ:「ある日森の中できつつきが仕事をしていると、木の陰に何かがサッと通りました」(サッの音に合わせて手を横に振る)
  • ホルディア(膝を両手で叩く)
  • ※1ホルディヒヒア(膝を叩く→手を叩く→指をパチンと鳴らす)
  • ※1ホルディクック(膝を叩く→手を叩く→鳥のくちばしのように手を動かす)
  • ※1サッ(サッの音に合わせて手を横に振る)
  • ※1を3回繰り返す
  • ホルディヒヒア(膝を叩く→手を叩く→指をパチンと鳴らす)
  • ホー(膝を両手で叩く)
  • 上記の流れで以下のお話と振付を足していく
  • セリフ:「何かがサッと通ったのできつつきはハッとしました。」(驚いたポーズ)
  • セリフ:「何かがサッと通ったのできつつきはハッとしましたが、よく見るとお友達のフクロウだったのでホッとしました。」(胸を押さえてホッとしたポーズ)
  • 「何かがサッと通ってハッとしたけれど、フクロウだと分かってホッとしたきつつきさんは、フクロウにヨッと声をかけました。」(挨拶のポーズ)
  • 「何かがサッと通ってハッとしたけれど、フクロウだと分かってホッとしたきつつきさんが、フクロウにヨッと声をかけると、ニコッと笑ってくれました」(笑顔のポーズ)
    ※お話しやポーズはアレンジ可能

思い切り体を使って楽しめるリズム遊び5選

体を使って楽しめる遊びをご紹介します。手遊びやゲームよりも難易度が上がるため、基本的には3〜5歳の幼児クラスにおすすめです。乳児クラスで導入する場合は、内容をアレンジして行うとさらに良いでしょう。

体操

音楽に合わせてエクササイズをするのも、リズム遊びの一つです。運動会の練習やゲームなどを行う前の準備運動としても楽しめます。気分が盛り上がり楽しく取り組めるような歌や振付があるものを選びましょう。リズム遊びにおすすめの歌は以下の通りです。

  • できるかな?あたまからつまさきまで
  • エビカニクス
  • なんじゃもんじゃにんじゃ など

ダンス

歌に合わせて振付を覚えて踊るダンスもリズム遊びに属します。手遊びやゲームとは異なり、表現力や運動能力を高めることが主な目的となります。

また、一緒に踊る子と振付をしっかりそろえる必要があるため、協調性を学べるのもダンスのメリットです。保育園でのリズム遊びやお遊戯会などに使用される代表的な楽曲には、以下のようなものがあります。

  • パプリカ
  • ハッピージャムジャム
  • えがおのまほう など

パラバルーン

パラバルーンは大きな一枚の丸い布を、子どもが複数人で持ち、音楽に合わせて、揺らしたり膨らませたりする遊びです。パラバルーンは見栄えがきれいなので、運動会やレクリエーションなどでもよく使用されます。パラバルーンで行う技は以下の通りです。

  • 波(布を引っ張りながら上下に揺らす)
  • メリーゴーランド(保育者が中に入り真ん中を高く押し上げて、子どもは布を引っ張る)
  • 飛行機(全員が同じ方向を向いて歩いて回る)
  • 山(パラバルーンを上に持ち上げ全員一斉に、パラバルーンの中に入り淵に座る)
  • 花火(揺らしたパラバルーンの上に軽いカラーボールを複数個乗せて弾く)

リトミック

リトミックは、音楽と触れ合いながら、子どもの潜在的な基礎能力の発達を促すための音楽教育です。スイスの作曲家エミール・ジャック=ダルクローズによって考案されました。リトミックは以下の3つの要素から構成されています。

  • リズム運動:音の知覚能力を高めること
  • ソルフェージュ:歌を歌い音程を確認すること
  • 即興演奏:自由に音楽を表現すること

保育園や幼稚園の遊びとしてだけでなく、幼児教室として専門的に教えているケースもあります。リズム遊びの中では最も専門性が高いため、保育者が行うよりも講師を呼ぶのが望ましいでしょう。

合奏

音楽に合わせて楽器を演奏するのもリズム遊びの一つです。好きな楽器を選び思い思いに演奏する方法から、楽譜通りに音を合わせ一つの曲を完成させる方法まで幅広い遊び方ができます。

発表会や運動会で合奏を披露するケースも少なくありません。ただし、リズム遊びという観点から見ると「自発的に行う」「思い切り楽しむ」といった点が重要になります。発表会の練習の合間にも、息抜きとして楽器を使ったリズム遊びを取り入れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

リズム遊びには「音感や運動能力を高める」「協調性やコミュニケーション能力を育む」「表現力を身につける」といったメリットがあります。保育園でも積極的にリズム遊びを導入しましょう。

本記事でも、空いた時間に気軽にできる手遊びから、運動を取り入れた本格的な遊び方まで15個のリズム遊びをご紹介しています。保育にリズム遊びを取り入れたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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