雨の日や外遊びが難しいときは、室内で遊ぶ時間が増えます。1歳児クラスを担当している保育士の中には、「1歳児が楽しめる室内遊びが知りたい」「新しい遊びを導入したい」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、1歳児クラスにおすすめの室内遊びを15個ご紹介します。「運動遊び」「ゲーム遊び」「製作遊び」の3種類に分けて紹介するため、クラスの状況に合わせて実施してみてください。
1歳児が室内遊びを行う際のねらい
1歳児は、歩行が安定したり「ブーブ」「ママ」など簡単な言葉を話すようになったりと発達が目まぐるしい時期です。また、自我が芽生えたり周りの人に興味を持ち始めたりと、心も大きく成長します。
保育園で遊びを行う際は、事前にしっかりとねらいを定め、目的を持って展開しましょう。1歳児クラスの保育に適したねらいの一例は以下の通りです。
- コミュニケーション能力を養う
- 体を動かして遊ぶ楽しさを知る
- 体の動かし方や言葉を覚える
- 自分から進んで遊びに参加することで、自発性を養う
上記のように目的を持って室内遊びを行うことで、子どもたちの成長をサポートできます。
室内で体を動かす運動遊び5選
ここでは、体を思い切り動かして遊べる運動遊びをご紹介します。1歳児クラスの場合、歩行が安定している子もいればハイハイをしている子がいるなど、発達の状態が一定ではありません。したがって、どのような状況でも比較的取り入れやすい遊びを5つ紹介します。
スズランテープくぐり
スズランテープでカーテンを作り、その下をくぐったりカーテンに触れたりして遊びましょう。スズランテープを突っ張る位置を変えれば、一人で歩行できる子からハイハイの子までみんなが楽しめます。スズランテープは軽くて柔らかいので、1歳児の保育に導入する際も安心です。
【遊び方】
- スズランテープを保育室の端から端に向かって引っ張り、丁度よい長さで切る
- スズランテープを30cm位の長さに切り、先ほどのスズランテープに結び付ける
- 結んだスズランテープを割く
- カーテンのようになるまで繰り返す
- 保育者2人がスズランテープの端を持ち、張り上げる
- 子どもがスズランテープの下をくぐったり、カーテンを触ったりして楽しむ
ハイハイレース
ハイハイの速さを競う遊びです。段ボールでできたトンネルを潜り抜けるスリルも楽しめます。ゴールの先に保育者が立って待つようにすると、ゴール地点を理解しやすくなります。無事ゴールできたらたくさん褒めて、保育者と園児との触れ合いタイムも作りましょう。
【遊び方】
- 子どもがくぐれる大きさの段ボールを用意する
- 段ボールの1面を床に付けて固定しトンネルを作る
- 段ボールに飾りを付けるなどして楽しめるよう工夫する
- 同じように何個か段ボールを用意して並べる
- 段ボールを出たところをゴールと設定する
- スタートラインを作り子どもを並べる
- 「よーいどん」の合図で子どもたちはゴールを目指す
リトミック
リトミックは音楽に合わせて体を動かすリズム遊びです。「表現力を養う」「コミュニケーション能力を高める」といった効果を期待されており、多くの保育園や幼稚園でも積極的に取り入れられています。
保育で導入するリトミックには厳密なルールはありません。保育者が子どもの様子に合わせてリズム遊びを展開しましょう。リズム遊びの一例は以下の通りです。
【遊びの一例】
- 音楽をかけ、好きなように体を動かす
- 楽器を持ち、音楽に合わせて演奏する
- 音楽に合わせてダンスを踊る
- 歌いながら手遊びをして楽しむ など
マット遊び
動きが活発になる1歳児には、マット遊びがおすすめです。1歳になると体を動かして遊ぶ楽しさを実感し始めます。ただし、遊びに夢中になると衝突の危険が高まるため、マット遊びは広い空間で行いましょう。マット遊びは以下のように遊びを展開できます。
【遊びの一例】
- ハイハイしたりジャンプしたり好きなように体を動かす
- ゴロゴロと転がる
- マットの下に丸めたマットを敷き、滑り台のようにして遊ぶ
- 丸めたマットを保育者が持ち上げてトンネルを作り、中をくぐる など
ボール遊び
1歳になると手先の運動も少しずつ上手になります。ボール遊びを展開してみましょう。当たっても痛くないよう、柔らかいボールを使用すると安心です。1歳児におすすめのボール遊びの一例は、以下のような遊びがあります。
【遊びの一例】
- ボールを転がしてキャッチする
- ボールを投げて遊ぶ
- ボールを蹴って遠くに跳ばす
- ボールをたくさん用意してボールプールを作る
- ボールをついてバウンドする様子を楽しむ など
室内でできるゲーム遊び5選
簡単なルールを取り入れたゲーム遊びをご紹介します。ルールや遊びの内容は、クラスの子どもの様子に合わせてアレンジしましょう。
玉入れ
ボールやお手玉、風船などを箱に入れて遊ぶゲームです。段ボールをキャラクターの形にアレンジすれば玉入れ遊びがより盛り上がります。1歳児で玉入れを行う際は、必ずしも勝敗を決める必要はありません。「楽しい」という気持ちを共有できる時間にしましょう。
【遊び方】
- 段ボールで玉を入れる箱を作る
- 子どもを2チームに分ける
- ボールやお手玉などを子どもの周りにたくさん置く
- 「よーいどん」の合図で子どもが段ボールに玉を入れていく
- たくさん玉を入れられたチームの勝ち
ボーリング
ボールを転がして、ピンを倒すゲームです。1歳児で導入する場合はピンを軽くしましょう。紙コップを2つ重ねて付けると簡単に作成できます。作り方と遊び方は以下の通りです。
【用意するもの】
- 紙コップ
- ビー玉
- マスキングテープ
- 飾り(シールや折り紙など)
- ボール
【遊び方・作り方】
- 1つ目の紙コップにビー玉を2~3個入れる
- 2つ目の紙コップの飲み口の部分を1つ目の紙コップに重ねる
- 重なった部分をマスキングテープで留める
- 紙コップに飾りを付ける
- 紙コップ(ピン)を6~10個程度ピラミッド型になるように並べる
- 子どもがボールを転がして遊ぶ
- より多くのピンを倒した子の勝ち
かくれんぼ
1歳児では、簡単なかくれんぼができるようになります。隠れやすいように大きめの段ボールを用意したり、「待て待て」と追いかけて遊んだりと、楽しめるようにアレンジしましょう。「いないいないばあ」が好きな年齢なので、子どもたちを見つけた際も「ばあ!」と言いながら飛び出すと喜ばれます。
【遊び方】
- 子どもたちが大きな段ボールやドアの裏などに隠れる
- 保育者が「どこにいるかな?」「ここかな?」と声をかけながら探しに行く
- 子どもを見つけたら「ばあ!」といって飛び出す
- 最後まで残った子の勝ち
まねっこ遊び
保育者の動作の真似をして遊ぶゲームです。「動物になりきる」「絵本の登場人物になりきる」「手遊びでなりきる」などさまざまな遊び方ができます。ここではまねっこ遊びの一例は、以下のとおりです。
【遊び方】
- エリックカールの「できるかな?あたまからつまさきまで」の絵本を読む
- CDをかけながら、動物の真似をしていく
- 子どもたちは保育者の真似をしながら動物になりきる
- 最後まで上手に真似っこできた子の勝ち
新聞紙遊び
新聞紙はさまざまな遊び方ができます。また、びりびりと破く感覚やくしゃくしゃに丸めた際の音など、五感を使って楽しめるのもメリットの一つです。複数の遊びを順次展開してみましょう。
【遊び方】
- 1人につき1枚程度新聞紙を配る
- 新聞紙をくしゃくしゃに丸め、ボールのように投げたり転がしたりする
- 新聞紙を開き、びりびりに破く
- ちぎった新聞紙を集めて頭の上から降らせて遊ぶ
- ちぎった新聞紙を家庭用プールに入れ、お風呂ごっこをする
- ゴミ袋に新聞紙を入れて大きなてるてる坊主やおばけを作る
手先を使った遊び・製作アイデア5選
手先を動かす遊びは、脳を活性化させるため、知育への効果を期待できると言われています。製作遊びや手先を使った感覚遊びなども、積極的に導入していきましょう。
手形スタンプ
手形スタンプは、絵具の冷たい感覚などを楽しむ「感覚遊び」としても、季節の壁面製作を行う際の「技法」としても取り入れられる遊びです。手形スタンプでできるおすすめの壁面製作や具体的な遊び方は以下のようになります。
【壁面製作アイデア】
- 春:桜の木、蝶々、
- 夏:花火、ひまわり、魚、カニ
- 秋:もみじの木、おばけ
- 冬:クリスマスツリー、トナカイ(足形) など
【遊び方】
- 画用紙を用意する
- 体操着やスモックに着替える
- 少量の水で溶かした水彩絵具を用意する
- 子どもの手のひらや足の裏に筆で絵具を塗る
- 画用紙にスタンプをする
- 乾燥するまで待つ
- 手形の周りに絵を描いたり顔を描いたりして完成
手作りパズル
自分で作ったパズルで遊ぶのも方法の一つです。ピースが少なければ1歳児でもパズル遊びができます。絵を描くのが難しい場合は、手形スタンプや野菜スタンプなどでアレンジしてみましょう。
【用意するもの】
- 段ボール2枚
- 画用紙
- クレヨン
- ボンド
- のり
- カッター
【遊び方・作り方】
- 子どもが画用紙に絵を描く
- 段ボールの中心に絵をのりで貼り付ける
- 絵の部分だけをカッターで切り抜く
- もう一枚の段ボールに、枠組みだけになった段ボールをボンドで貼り付ける
- 絵を3~5ピース程度に切り分ける
- 絵(パズル)を枠組みの中にはめたら完成
手作りマラカス
マラカスを作って楽器演奏して遊びましょう。手作りマラカスはさまざまな作り方がありますが、ペットボトルを利用すれば簡単に作れます。また、マラカスを使ってリズム遊びを展開すれば、リズム感覚や表現力を養う効果も期待できます。
【用意するもの】
- ペットボトル(子どもが持ちやすいサイズ)
- ビーズ
- ストロー(細かく切ったもの)
- どんぐり
- シール
【遊び方・作り方】
- ペットボトルの中に、ビーズやストロー、どんぐりなどを入れる
- 蓋をする
- ペットボトルにシールなどを貼り付けて装飾して完成
- 保育者のピアノ演奏や歌などに合わせてマラカスを振って楽しむ
シール貼り
シールを貼ったり剝がしたりすることで手先の運動になります。1歳児のシール貼りには、大きめのシールを選びましょう。
また、色や柄ごとに分けてシールを用意しておくと遊びやすくなります。シールを繰り返し使用したいときはクリアファイルを、シールを正確に貼る練習をしたいときは画用紙を使用するのがおすすめです。
【用意するもの】
- 複数の種類のシール
- シールを貼る画用紙、またはクリアファイル
- 黒マジック
【遊び方】
- 画用紙を使用する場合は、保育者がシールの形に合わせて丸や模様を描いておく
- 子どもが自分で好きなシールを選ぶ
- はく離紙からシールを剥がして貼る
小麦粉粘土
柔らかい粘土の感覚がやみつきになる遊びです。小麦粉粘土は万が一口に入れてしまっても問題のない材料でできています。そのため、保育園での室内遊びにおすすめです。
ただし、小麦粉にアレルギーを持つ子もいます。遊びを行う前に子どもたちのアレルギー事情について今一度確認をして、安全に配慮しましょう。
【用意するもの】
- ボウル
- 小麦粉:一人当たり250~500g
- 水:適量(小麦粉と水が3:1になるように)
- 油:少々
- 塩:小さじ1
- 食紅(着色する場合)
【遊び方】
- ボウルに油と塩、小麦粉を入れて混ぜる
- 水を少しずつ入れてこねる
- 丁度よい固さになったらボウルから取り出す
- 粘土板や新聞紙などを敷いたテーブルに移動する
- 小麦粉粘土で遊ぶ
1歳児の室内遊びで配慮したいポイント
1歳児クラスでの室内遊びを、楽しくかつ安全に展開するためには、事前にしっかりと保育のポイントを押さえておくことが大切です。配慮したいポイントには以下のようなものがあります。
- 子どもの様子に合わせて難易度やルールを変更する
- 柔らかい素材や角のないものを使用する
- 安全に遊べる環境作りを行う
- 遊びたくない子は個別に対応をする など
室内で遊ぶ際は、安全面への配慮が必要不可欠です。テーブルの角に頭をぶつけたり、落ちていたものを踏んで転倒したりする危険があります。
特に1歳児は、まだ歩き始めたばかりの子も多く歩行が安定していません。物を片付けて十分なスペースを確保してから遊びを展開しましょう。また、新しい遊びに恐怖心や不安を感じる子もいます。
子どもが遊びに参加したくない場合は無理にやらせず、様子を見守ることが大切です。友達の姿を見ているうちに、自発的に参加するようになるケースもあります。
まとめ
1歳児は体の動かし方や言葉を覚え始め、「自分でやりたい」という気持ちが大きく育つ時期です。室内遊びを展開する際は、子どもたちの心身の発達を最大限促せるよう、クラスの様子に合った遊びを導入しましょう。
「運動遊び」「ゲーム遊び」「製作遊び」など、室内でも楽しめる遊びはたくさんあります。雨の時期や外遊びが難しいときは、適宜室内遊びを取り入れて楽しく過ごしましょう。