5歳児クラスを受け持っている保育者や、実習生の中には「5歳児が楽しめる遊びを知りたい」「遊びを増やしたい」と思っている方も多いことでしょう。そこで今回は、保育園や幼稚園で気軽に楽しめる、5歳児におすすめの遊びをご紹介します。

遊びのねらい

5歳児になると、自分でできることも語彙力も格段に増えます。ルールや決まりを守りながらも、友達と楽しみを共有して遊べるようになる時期です。

5歳児にとって遊びは学びの時間でもあります。保育者は以下のような「ねらい」を持ち、5歳児の遊びを展開しましょう。

協調性を養う

協調性とは、自分の意見を押し通すのではなく、相手の立場になって物事を考え協力できることです。5歳児は遊びの中でも、「友達と楽しい気持ちを共感すること」を目標にしています。

例えば相手の意見を求める、友達の様子を観察するなど、自分だけでなく友達やその場にいる全員が楽しめるように配慮できるようになると良いでしょう。

自発的に動く

5歳児になると、「先生に言われたから」「友達がそうしたから」ではなく、自分で考えて自分で行動する力も身に付けます。自分で最善の方法を考え、自ら進んで動くことが重要です。遊びの中で自然に自発性が培われるよう、さまざまなパターンの遊びを提供しましょう。

想像力を育む

「こうすればもっと面白くなるのでは」「ここを変えれば、人数が増えても楽しめる」など、想像力を膨らませて遊ぶことも大事です。色々なことを考え、想像したことが実現する喜びを味わえるように援助しましょう。

自分たちで問題を解決する

5歳児は友達と遊ぶ中で、人との関り方を学びます。時には言い合いになったり、自分の気持ちが伝わらずに悔しい思いをしたりすることもあるでしょう。5歳児になると保育者の力を借りずに自分たちだけで話し合い、解決することも徐々にできるようになってきます。

友達が困っていたり悲しんだりしていれば、原因を解明しみんなが少しずつ譲り合って、楽しさを感じられるように考え行動する力を養いましょう。

多様性を受け入れる

「人間関係」は文部科学省「学習指導要領」の中の5領域にも定められている分野です。5歳児の目標として、身近な人と親しみ信頼関係を育むことをねらいにしています。

子どもたちから新しい遊びの意見を聞き、保育者自身が喜んで受け入れるなど手本を示すと良いでしょう。多様性を受け入れられるようになるには、「みんなと違っても良いんだ」「新しい意見を受け入れると面白い」と感じられるような機会を作ることが大切です。

5歳児におすすめの室内遊び・ゲーム

5歳児におすすめの室内遊び・ゲームをご紹介します。外に出られない時期やカリキュラムの間の空き時間にも手軽に試すことができるでしょう。

なんでもバスケット

なんでもバスケットはフルーツバスケットの応用ゲームです。なんでもバスケットは以下のような手順・ルールで行います。

  • 内側に向いて座れるよう椅子を円形にセッティングする(人数分から1つ減らす)
  • 鬼を決める
  • 鬼が言った内容に合致する人は席を移動する
  • 一番座るのが遅い人が鬼になる

「髪の毛を結んでいる人」「靴下が白い人」などお題を自由に決められるので想像力が育まれます。また、フルーツバスケットよりも遊びの難易度が上がるため、ルールをしっかりと理解できるようになる5歳児ならではの遊びと言えます。

じゃんけん列車

じゃんけん列車は空間さえあればどこでもできる遊びです。じゃんけん列車は以下のような手順・ルールで行います。

  • 音楽が流れている間は歩き回る
  • 音楽が停止したら、目の前にいる友達とじゃんけんをする
  • じゃんけんに負けた人が、勝った人の後ろにくっ付く
  • 最後の1人が決まるまで続ける

全員がじゃんけんをスムーズにできるようになる、4歳ごろから楽しめる遊びです。5歳児からも人気があります。音楽はピアノ伴奏や音源を用意しましょう。遊びの際には、友達とくっついた状態で走ると危険なので、歩くように声かけすることも大事です。

大根抜き

大根抜きゲームも用意するものなしで手軽にできる遊びです。大根抜きゲームは以下のような手順・ルールで行います。

  • 内側に向かって丸くなるように座る
  • 両隣の人と腕を組み簡単に動けないようにする
  • 1人が鬼(お百姓さん)になり、誰か1人(大根)の足を引っ張る
  • 大根が抜けたら鬼(お百姓さん)が交代になる

友達と協力することで大根が抜けにくくなるため、コミュニケーションも楽しめます。鬼(お百姓さん)が大変そうなときは鬼を増やしたり保育者が援助したりして、工夫しましょう。

オリジナルのお話作り

オリジナルのお話作りは、想像力を育むことができる遊びです。オリジナルのお話作りは以下のような手順・ルールで行います。

  • 大きな画用紙(自由画帳)とマジックを用意する
  • 保育者が導入部分のお話を作る
    ※例:「昔々あるところに、綺麗なドレスを着たお姫様が住んでいました」など
  • 挙手性で順番にお話を作り繋げていく(1文ずつ)
  • 適度なところでストーリーを完結させる

子どもたちは想像力が豊かなので、話がどんどん展開していきます。出来上がったお話は、保育者が読み上げたり、保育室に自由画帳を置き自由に読めるようにしておいたりすると、楽しさを共有できるでしょう。また、出来上がったお話を元にごっこ遊びをしても楽しめます。

新聞紙遊び

新聞紙遊びは、何歳でも楽しめる遊びですが5歳児ならではの楽しみ方もあります。5歳児におすすめの新聞紙遊びは、以下のような手順・ルールで行います。

  • 新聞を全員に配布する
  • 新聞紙を端から慎重に千切り、誰が一番長く千切れるか競争する
  • バラバラに細かく千切り、花吹雪として遊ぶ
  • 誰が一番多く新聞紙を集められるか競争しながら片付けをする

5歳児は手先も発達し細かい作業もできるようになります。また、新聞紙が途中で切れないように、できるだけ長く千切るためには集中力も必要です。新聞紙で兜を作ったり剣を作ったりと折り紙として使用しても楽しめるでしょう。

新聞紙遊びなら、最後の片付けまでゲーム感覚で行うことができるので、思いのほか簡単に片付きます。また、思い切り新聞紙を千切って遊べるので、雨が続いておりなかなか体を動かして遊べない時にもおすすめです。

猛獣狩り

猛獣狩りは、文字数や人数を瞬時に数えられるようになる4歳ごろから楽しめる遊びです。猛獣狩りは、以下のような手順・ルールで行います。

【手順】

  • 保育者の反復をしながら歌う(以下【歌と振付】参照)
  • 保育者は大きくゆっくりと動物の名前を言う(「らいおん」「ぞう」など)
  • 子どもは動物の名前の文字数と同じ人数だけ集まり、手を繋いで座る
  • 集まれなかったら、猛獣に食べられる

【歌と振付】
「猛獣狩りに行こうよ」:エイエイオーのポーズ
「猛獣なんか怖くない」:手を顔の前で左右に振り、首も左右に振る
「だって鉄砲持ってるもん」:鉄砲のポーズ
「槍だって持ってるもん」:槍を持っているイメージで手を上に掲げる
「あ!」:驚きながら、前後左右上下のうち一か所を指さす

スリルを楽しみながら、頭も体も使うことができる遊びで5歳児に適しています。必要な道具もないので、保育室でも手軽に遊ぶことができます。動物の名前を言う際に、手で文字数をカウントすると分かりやすいでしょう。

5歳児におすすめの外遊び・運動遊び

5歳児におすすめの外遊び・運動遊びをご紹介します。大きく体を動かして遊びたいときや、思い切り遊びたいときにおすすめです。

ドッジボール

「ドッジボールは小学生になってから」といったイメージがある方も多いかもしれません。しかし実際には5歳児でも十分楽しむことができます。ドッジボールは、以下のような手順・ルールで行います。

  • 最初の外野を3人と、アタックする人を1人決める
  • 外野は中の人を当てたら、中に戻る
  • 中の人は、ボールが当たったら外野になる
  • 終了時に中の人の数が多いチームの勝ち

全員がルールを理解するまでには少し時間がかかるかもしれません。最初は「外野は当てても中に戻らない」といった簡単なルールから始めると良いでしょう。また、時間がある時にはキャッチボールを行うと、ボール投げが上手になります。

おおかみさん今何時

室内でもできますが、公園に行った際など広い場所があるとさらに楽しめる遊びです。おおかみさん今何時は、以下のような手順・ルールで行います。

  • おおかみ役(鬼)1人を決める(残りは子やぎ役)
  • 子やぎが「おおかみさん今何時?」と尋ねる
  • おおかみが「今〇時」と答える(夜中の12時以外の時間にする)
    ※何度か繰り返す
  • おおかみが「今夜中の12時」と答え追いかける、子やぎは逃げる
  • 捕まった人がおおかみ役になる

だるまさんが転んだのように、徐々におおかみに近付いていき「夜中の12時」と答える前にタッチできたら子やぎの勝ちといったルールにすると、より楽しめます。

腕相撲大会

腕相撲はいつでもどこでもできる簡単な遊びですが、一工夫加えると盛り上がります。腕相撲大会は、以下のような手順・ルールで行います。

  • トーナメント表を作る
  • 表に従い順番に腕相撲を勝負する
  • 勝ち残った人が優勝

トーナメント選にすることで、腕相撲をゲーム感覚で楽しめるようになります。「女の子」「元〇〇組」など、色々な組み合わせでトーナメントを作ると面白いでしょう。

大縄跳び

大縄跳びはたくさんの人数で楽しめる外遊びです。大縄跳びは、以下のような手順・ルールで行います。

  • 回し手を決める
  • 順番に縄の中入って飛ぶ

最初は1人ずつ交代で行いましょう。クラス全員で行うことは難しいですが、慣れてきたら数人ずつ飛ぶこともできるようになります。

季節見つけ

季節見つけは、屋外ならではの遊びです。季節見つけは、以下のような手順・ルールで行います。

  • 今の季節に合った植物や生き物を共有する
  • 外に出てそれぞれに探検する
  • 見つけたものをスケッチしたり、持ち帰って製作に使用したりする

葉っぱや花びらは、フロッタージュ(こすり絵)にすると楽しめるでしょう。葉っぱや花びらの上に画用紙を置き、その部分を色鉛筆などで擦ると形が紙に浮かび上がる技法です。どんぐりや木の実なら駒、松ぼっくりではクリスマスツリーなどを作って楽しめます。

5歳児におすすめの手先を使った遊び・製作

5歳児になると細かい作業もできるようになります。また集中も長く続くようになるので、製作や手先を使った遊びもおすすめです。

ぶんぶん駒

ぶんぶん駒回しは、糸を巻き引っ張った遠心力で駒を回す遊びです。ぶんぶん駒は、以下のような手順で行いましょう。用意するものと、作り方をご紹介します。

【用意するもの】

  • 円を描いた厚紙(人数分)
  • たこ糸(1m程度)
  • コンパスやキリ
  • マーカー
  • はさみ

【作り方】

  • 円に沿ってハサミで切る
  • 絵を描く
  • 保育者が中心に穴をあける
  • 半分に折り端を結んだ糸を穴に通す

【手順】

  • 絵本を読み導入する
  • ぶんぶん駒を自分で作る
  • 回して遊ぶ

導入では、ぶんぶん駒に関する絵本を読むと製作への意欲がでます。厚紙が回転している間は少し危険なので、友達のいないスペースで行うよう声かけしましょう。駒が回るようになるまでは時間がかかりますが、製作から練習、遊びに至るまでの「過程」も楽しむことができます。

小麦粉粘土

小麦粉粘土は、口に入れても安全なので乳児期でも行う人気の遊びですが、5歳児なら粘土を作る過程も楽しむことができます。小麦粉粘土は、以下の手順を参考に行いましょう。

【用意するもの】

  • 小麦粉
  • コップ
  • ボウル
  • サラダ油

【手順】

  • 小麦粉粘土の作り方を説明する
  • 製作の準備を行う
  • 自分たちで考えながら作る
  • できた粘土で遊ぶ

水や油を少しずつ加えることで好みの方さにできるので、分量は正確に測らず目分量でも問題ありません。子どもたちだけで相談しながら作ることで、作成する過程も「実験」のような感覚で楽しむことができます。

ただ、小麦粉のアレルギーには十分注意しましょう。小麦粉粘土を行う前には、クラスだよりなどで保護者の方にも一度お知らせを入れておくと安心です。

マーブリング

マーブリングは製作の技法の一つです。絵具を落とし水面にできた模様を紙に写し取ります。遊びとして楽しむだけでなく、壁面製作などでも活用できるでしょう。マーブリングは以下の手順で行います。

【用意するもの】

  • 深さ2cm程度で紙が入る大きさのバット
  • 絵具(マーブリング専用)
  • 割り箸や爪楊枝
  • 白画用紙

【手順】

  • 製作するものに関する導入を行う
  • 絵具2~3種類をバットに垂らす
  • 水面を優しくなぞる(少しだけかき混ぜる)
  • 白画用紙を落とし絵具を写し取る
  • 紙が乾くまで干す
  • 出来上がった模様を使って製作する

マーブリングを行った紙を使って、さまざまなものが作れます。壁面製作として人気があるのは「傘・かっば(6月)」「こいのぼり(5月)」「くらげ(7月)」「アイスクリーム(8月)」などです。

はじき絵

はじき絵は、クレヨンと水彩絵具の性質を利用した技法です。クレヨンの上から絵具で塗ることでさまざまな色の付け方を楽しめます。はじき絵は以下のような手順で行いましょう。

【用意するもの】

  • 水彩絵の具
  • パレット
  • クレヨン
  • 白画用紙

【手順】

  • 製作するものに関する導入を行う
  • 白画用紙にクレヨンで絵を描く
  • 薄めに伸ばした水彩絵の具を画用紙全体に塗る
    ※クレヨンの部分は避けず上から塗る
  • 紙を乾かす

5歳児は想像力を使って、白いクレヨンで絵を描くと楽しめるでしょう。絵具を塗るまでどのような絵が完成するか分からないためスリルがあります。クレヨンは濃いめに塗ると絵具に負けず綺麗に色が出るでしょう。

また、はじき絵を使った季節の壁面製作では、「かたつむり(6月)」「花火(8月)」「魚(7月)」「クリスマスツリー(12月)」などが人気です。

ひっかき絵

ひっかき絵もクレヨンを使った製作技法の一つです。クレヨンを爪楊枝などで引っ搔いて模様を付けます。ひっかき絵は以下のような手順で行いましょう。

【用意するもの】

  • 白画用紙
  • クレヨン
  • 爪楊枝や竹串など

【手順】

  • 色とりどりのクレヨンで画用紙を全体的に塗りつぶす
  • 上から黒いクレヨンで全体を塗りつぶす
  • 爪楊枝や竹串などで模様を描く

爪楊枝や竹串で引っ掻くことで、黒いクレヨンが剥がれ下に塗った色が見えるようになります。想像力があり、手先が器用になる5歳児だからこそ楽しめる技法でしょう。クレヨンはできるだけ濃く塗ることでより綺麗に色が出ます。

季節の壁面製作では、「花火(8月)」「雪(2月)」「うちわ(7月)」などを作る際に使用されることが多い技法です。

遊びを展開する際のポイント

5歳児に遊びを展開する際には、気を付けたいポイントもあります。活動を行う前から活動中などさまざまな場面で保育者の配慮が必要となるので、遊びを行う際の保育者の動きを事前にしっかりと確認することが大事です。

導入をしっかり行う

遊びは楽しんで行うことに意味があります。「先生に無理やりやらされている」といったような気持ちで取り組んでも、学びを期待できないでしょう。

遊びにちなんだ歌を歌う、遊びの内容にちなんだ絵本を読むなど、気持ちを盛り上げるための導入をしっかりと行うことが大事です。

環境作りを大切に

遊びを展開する際には環境作りも丁寧に行いましょう。体を使った遊びをするなら、起こり得るリスクを想定し危険のないようにする必要があります。

また、製作をするときには道具の用意だけでなく、机に新聞を敷いたり、スモッグを着せたりと細かい部分にも配慮をしましょう。

保育者も一緒に楽しむ

子どもが主体的に遊べるように展開するのはもちろんですが、保育者自身も子どもたちと一緒に遊んで楽しみを共有しましょう。そうすることで、子どもとの信頼関係を築くことができます。

また、保育者が手本を見せることで、ルールを理解しやすくなります。遊びに加わり子どもたちの意見を取り入れ、どんどん遊びを楽しく発展させましょう。

まとめ

5歳児は発想力や理解力が深まり、身体的にも発達することからさまざまな遊びを楽しむことができます。今回ご紹介した遊びも、比較的手軽に取り組めるものばかりなので参考にしてみてください。

また、遊びを展開する際には、環境作りや導入、ねらいの設定などもしっかりと行いましょう。保育者も子どもたちと楽しみを共有し、信頼関係を築くことも大事です。

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