東京で保育士を目指す上で多くの人が気になることの1つが「年収」です。
特に最近では「保育士の給料は低い」や「保育士への待遇は悪い」というニュースやSNSでの投稿も多いので、不安になりますよね。

そこで今回は、東京における保育士の年収を年齢別でご紹介していきます。さらに記事の後半では、保育士の給料をアップさせるためのポイントも解説しますので、じっくりとご覧ください。

この記事を読むことで、東京での保育士の年収と給料をアップさせる具体的な方法を知ることができます。

1.東京の保育士の年収はどのくらい?年齢別で紹介

東京の保育士の年収を以下の3つの年代に分けて解説します。

  • 20〜24歳の平均年収(新卒〜勤続2年目)
  • 25〜29歳の平均年収(勤続3年目〜勤続7年目)
  • 30歳以降の平均年収(勤続8年目〜)

最初に少しネタバレをしてしまうと、保育士の年収を上げるにはキャリアアップが必須になります。勤続年数によって取得できる資格や役職などもあるため、保育士としてのキャリアを見据えながら働くことが大事です。

それでは、年齢別に保育士の平均年収をみていきましょう。

1-1.20〜24歳の平均年収

20〜24歳における保育士の全国平均年収を以下のとおりです。

年齢 全国平均年収
20〜24歳 約260万円

出典:平成26年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)/保育士等に関する関係資料

男女で少し差はあるものの20〜24歳における全国平均年収は約260万円ほどです。月収にすると約20〜21万円前後になります。

一方、東京の場合は全国平均よりも少し高い水準になっていますので、平均年収は約290万円ほどで、月収は約23〜24万円という求人が多いです。

1-2.25〜29歳の平均年収

次は25〜29歳における全国の平均年収です。

年齢 全国平均年収
5〜29歳 約300万円

出典:平成26年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)/保育士等に関する関係資料

25〜29歳になると全国の平均年収は、約300万円ほどになります。月収にして25〜26万円前後です。

一方、東京の場合は少し上がって約330万円ほどで、月収は約28〜29万円前後になることが多いです。とはいえ、保育士はこの年代あたりから給与が上がっていくか停滞するかの分岐点になります。

というのも、25歳〜29歳になると勤続年数的には3年以上になりますので、昇進するためにキャリアアップ研修を受講したり、資格を取得したりと自ら行動することで年収がアップしていきます。

ちなみに「キャリアアップ研修の受講」については後述します。

1-3.30歳以降の平均年収

最後は30歳以降の全国平均年収です。

年齢 全国平均年収(男女別)
30歳以降 男性:約340万円 女性:約300万円

出典:平成26年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)/保育士等に関する関係資料

30歳以降では男女で平均年収に差があり、男性は約340万円ほどです。月収にして約28〜29万円前後になります。一方、女性は約300万円ほどで、月収は約25〜26万円前後という結果になっています。

また、東京での平均年収は少し上がり、男性で年収が約400万円前後で月収は約33万円ほどになります。女性では、年収が約350万円前後で月収は約29万円ほどになることが多いです。

特に30歳以降になると、保育士から「主任保育士」「施設長(園長など)」にキャリアアップすると大きく年収を上げることができます。

以下の表は、キャリアごとの月収平均をまとめたものです。

<私立と公立でのキャリア別月収比較表>

職種 私立 公立
常勤 非常勤 常勤 非常勤
施設長 565,895円 536,146円 632,982円
主任保育士 422,966円 344,103円 561,725円 257,531円
保育士 301,823円 187,816円 303,113円 162,859円

出典:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の 経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】

*表中の給与はいずれも賞与込みの月収になります。

主任保育士や施設長にキャリアアップすることができれば、月収を40万円〜60万円前後まで上げることも可能です。また、東京は全国と比べて給与水準が高いので、上記の数値よりも高い給与が見込めます。

このように保育士の年収は、勤続年数に伴いキャリアアップをすることで伸びていく傾向が強いです。なので、保育士からスタートするのであれば、まず「主任保育士」目指してキャリアを積んでいくことが重要になります。

2.保育士の年収で生活はできるのか?

ここまでで、東京における保育士の年収がわかってきたと思います。ですが、「やっぱり保育士の年収で生活できるか不安…」と思われる方も多いです。

そこで、東京での平均生活費のデータを基に解説していきます。

2-1.一人暮らしの場合

一人暮らしの際にかかる1ヶ月の生活費は、平均で約15万円*です。年間で約180万円になります。
*参考:家計調査報告家計収支編(2020年版)

ここからわかることは、20〜24歳までの東京で働く保育士の年収は約290万円ほどなので、車を購入したり高価な買い物をする余裕はあまりないという印象です。

ただし、ここで述べた「年間約180万円」という生活費の中には、1番重要な「家賃」が入っていません。そのため、新卒であればなるべく費用を抑えた物件を見つけることも必要だということを覚えておきましょう。

とはいえ、25歳以上になると新卒で入社しても勤続年数が3年目になりますので、キャリアアップなどによる給与アップは大いに期待ができます。

入社したての1〜2年ほどはお金の心配を頭の片隅でする事もありますが、3年目以降は収入アップを目指してキャリアアップをすることで、物価が高いと言われている東京でも問題なく生活できるでしょう。

2-2.二人以上で暮らす場合

二人以上で暮らす場合の1ヶ月の生活費は、平均で約27万円*です。年間で約324万円になります。

*参考:家計調査報告家計収支編(2020年版)

一人暮らし同様、二人以上で暮らす場合の生活費にも「家賃」は含まれておらず、二人分の収入があったとしても住む物件によっては生活が苦しくなりかねません。

ですが、家賃が少しでも抑えられれば、新卒同士の二人が一緒に暮らしたとしても十分に生活できる費用といえます。

とはいえ、一人暮らしと同様に1〜2年目までは給与アップはあまりできないので、いきなり車や家などの高価な買い物をすることは難しいかもしれません。

ただ、3年目以降にキャリアアップができれば、早めの収入アップを狙うこともできますので常に自分のキャリアを意識しつつ成長することが大事ですね。

3.東京で保育士の給料UPを狙うポイント3つ

「さっきから給与アップと言ってますが、具体的にはどうすればいいのですか?」と疑問に思いますよね。

そこで保育士の給料をアップさせる3つのポイントをご紹介します。

3-1.ポイント①公立保育園に就職

まず1つめのポイントは、公立保育園に就職することです。理由は、公立保育園の方が私立保育園よりも「主任保育士」や「施設長」の給与が高いからです。

職種 私立 公立
常勤 非常勤 常勤 非常勤
施設長 565,895円 536,146円 632,982円
主任保育士 422,966円 344,103円 561,725円 257,531円
保育士 301,823円 187,816円 303,113円 162,859円

出典:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の 経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】

*表中の給与はいずれも賞与込みの月収になります。

特に主任保育士は、公立と私立で約14万円ほどの差があります。また、公立保育園は国からの助成金が運営資金になっているため、給与が経営状況に左右されることもありません。

一方で、非常勤として働きたいと思っている方はむしろ私立保育園への就職をおすすめします。というのも、私立保育園での非常勤の方がキャリアアップに伴い給与が高くなる傾向にありますので、公立保育園で非常勤をするよりも私立保育園の方が高待遇になる可能性があります。

3-2.ポイント②キャリアアップ研修を受講

引用:保育分野の現状と取組について(厚生労働省)

2つめのポイントは、2017年に新しく創設された「キャリアアップ研修」を受講することです。これから保育士を目指す方にとっては、非常に重要な制度です。

キャリアアップ研修を受講することで「職務分野別リーダー」や「副主任保育士」、「専門リーダー」などの今まで存在しなかった中間キャリアに昇進することができるようになりました。

具体的な待遇は以下のとおりです。

職務分野別リーダー 副主任保育士 専門リーダー
待遇 月額+5000円 月額+40000円 月額+40000円
必要勤続年数 3年以上 7年以上 7年以上
キャリアアップ条件 特定の研修を受講 ・研修の受講

・職務分野別リーダーを経験

・研修の受講

・職務分野別リーダーを経験

このようにキャリアアップ研修を利用することで、早ければ勤続3年目で給与アップを目指すことができます。さらに、副主任保育士または専門リーダーになれば給与が40000円もアップするので、ぜひ利用していただきたい制度です。

また、このキャリアップ研修を受講すると「修了証」が発行され、修了者の名前が登録されます。そのため、転職するときの大きなアピールポイントにもなります。

3-3.ポイント③待遇の良い職場に転職

あまりにも待遇が悪かったり、職場の環境が合わないようであれば待遇の良い職場に転職をしましょう。

特に東京であれば、保育園の数はたくさんありますし求人数もトップクラスで多いです。加えて、今は保育士不足なので良くも悪くも転職がしやすい環境は整っています。

転職をしたことで今までよりも仕事がしやすい環境になり、結果的に給与が上がる人も多いです。
辛い状態を我慢して保育士をやめてしまう前に、まずは新しい求人など今いる環境の外へ目を向けてみることも重要ですよ。

4.まとめ:保育士の年収を上げるにはキャリアアップが必須

東京における保育士の年収は、決して低いというわけでもありません。というのも、今では「キャリアアップ研修」などの制度も導入されて、昔より働きやすい環境が整っています。

このキャリアアップ研修などの制度を大いに利用しつつ、専門知識を身につけることができれば結果的に年収アップにつながります。

保育士になって終わりではなく、その先のキャリアまで考えられるとさらに求められる人材になります。

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