保育士として働いていく上で、1番気になることが「収入」ですよね。
どんなに良い環境で働いていても手取りの給与が低くて、生活ができなくては元も子もありませんからね。
そこで、本記事では公立保育園と私立保育園など施設ごとにどのくらい手取りが変わるのかを解説していきます。
また、手取りの紹介だけでなく、保育園からもらう給与をアップさせる方法もあわせてご紹介します。
この記事を読むことで、保育士の収入面での悩みはすべて解決するでしょう。ぜひ、参考にしてみください。
目次
1.保育士の手取りはいくら?【公立・私立別に解説】
まず保育園は、公立保育園と私立保育園とでもらえる給料が変わってきます。というのも、それぞれの施設は運営元が異なるからです。
たとえば、公立保育園は地方自治体が運営している保育園を指します。一方、私立保育園は社会福祉法人や学校法人などの民間企業が運営している保育園のことを言います。
このように運営元が違うと保育園自体が持っている運営資金や経営状況によって、その現場で働いている保育士の給料は決まるのです。
ちなみに「公立と私立」という違いは、認可保育園か無認可保育園かで判断するわけではありませんので十分注意してください。
あくまでも地方自治体(市区町村)が運営しているかどうかで決まります。
それでは、公立保育園と私立保育園の手取りをそれぞれ詳しくみていきましょう。
1-1.公立保育園の平均手取り
公立保育園に就職した場合の平均給与は、以下のとおりです。
<公立保育園の平均給与と手取り>
給与 | 手取り | |
高卒 | 14.9万円〜17.3万円 | 11万円〜14万円 |
短大卒 | 16.1万円〜20万円 | 13万円〜17万円 |
出典:平成29年4月1日地方公務員給与実態調査結果
上記の金額は平均の初給与のデータで、手取りの場合は社会保険料や厚生年金などが天引きされて支給されます。
なので、お住まいの自治体にもよりますが、額面給与から約2万円〜3万円ほど引かれたものが手取りです。
とはいえ、一般的な企業と比べると少し給与が低く感じるかもしれませんが、公立保育園の保育士は「公務員」とされます。
そのため、通常の企業よりも福利厚生が手厚かったり、有給の取得がしやすいなど保育士にとってとても働きやすい環境であることは間違えありません。
1-2.私立保育園の平均手取り
私立保育園の平均給与は、以下のとおりです。
<私立保育園の平均給与と手取り>
給与 | 手取り | |
男性 | 20.4万円 | 17万円 |
女性 | 20.1万円 | 17万円 |
出典:総務省(2019)
私立保育園の場合は、公立保育園とは違い独自の保育料や費用を設定していることがほとんどです。
そのため、私立保育園によっては公立保育園よりも経営状況が良いところもあります。とくに私立は民間企業が営利目的で運営しているので、経営状況が良くなれば給与がアップしていくと言えるでしょう。
なので、上記の表にある給与と手取りはあくまで参考程度にしておいてください。私立保育園は公立保育園と比べると圧倒的に私立保育園が多いです。
保育園によっては表よりも条件の良い保育園もたくさんあるので、ぜひ探してみてください。
ちなみに上記の給与には、ボーナスや時間外勤務、休日出勤などの特別手当は含まれていませんので、勤務状況によっては手取りで20万円以上支給されることもありますよ。
さらに私立保育園は、各地域ごとにたくさんありますので、求人やホームページなどに載っている募集要項をしっかりと把握しておくことが重要です。
1-3.最終学歴によっても手取りは変わる!?
保育士になりたいと思っている方のよくある悩みとしては、「最終学歴で手取りは変わるのか?」という点でしょう。
たしかに保育士は、資格を獲得することが条件になるのでたとえ高卒であったとしても就職することはできます。
ですが、高卒の新卒と短大以上卒の新卒とではもらえる給与に差が出てくるのです。
具体的な例としては、先ほどの公立保育園に就職したときの平均給与をご覧ください。
高卒と短大卒とでは約2万円〜3万円ほど差があることが分かりますよね。これが最終学歴による差です。
なので、これから保育士を目指してある程度の収入を希望するのであれば、高卒ではなく短大以上の最終学歴で就職すると良いでしょう。
とはいえ、保育士という仕事は収入面だけがすべてではありません。
自分にあった労働環境や福利厚生など多方面から判断する必要があることは、絶対に忘れないでください。
2.保育士の手取りをアップさせる3つの方法
ここまでで、保育士の給与と手取りについてある程度のイメージはついたかと思います。
とはいえ、「保育士の手取りはアップできないのか?」という疑問が浮かびますよね。
結論から言うと保育士の手取りをアップする方法は、”あります”。
そこでこの章では、保育士の手取りをアップさせる具体的な方法3つご紹介します。
方法を知っているのと知らないのでは、あなたが今後保育士としてキャリアを積んでいくための方向性が変わってくるでしょう。
目指すべき方向性がわかっていると、より効率的な働き方とキャリア形成を意識できるようになります。
ぜひ、目標として参考にしてみてください。
2-1.資格を取得する
保育園では、資格を取得することで特別手当が支給されるところもあります。
通常は勤務年数を重ねていくことで役職がつき給与に反映されるのですが、役職がつくまでの間は給与は変化しません。
なので、勤務先の保育園が特別手当として適用している資格を取得できれば、早い段階で手取りアップを狙うことができます。
特別手当として適用されやすい資格の例は以下のとおりです。
- 子ども環境管理士
- リトミック指導員
- 絵本専門士
ただし、上記のような民間資格や国家資格を持っているからといって、必ず特別手当が支給されるわけではありません。
特別手当は各保育園ごとに基準が異なりますので、事前に勤務先の保育園に確認をしておきましょう。
また、最近では幼稚園と保育園両方の特徴を持つ「認定こども園」も増えてきており、”保育教諭”の需要も高くなっています。
この保育教諭は、保育士と幼稚園教諭両方の資格が必要になります。なので、保育士免許を持っている方は新たに幼稚園教諭免許を取得するということです。
一般的な民間資格に比べると難易度は高いですが、保育園でも幼稚園でも認定こども園でも勤務ができるとても市場価値の高い人材になることができます。
もし、手取りをアップさせたくて資格取得を迷っているのであれば、「幼稚園教諭免許」を目指してみてはいかがでしょうか。
2-2.スキルアップして役職を上げる
2つめは、手取りをアップさせる方法としては一般的な「役職」に就くことです。
昔は保育士の役職は「主任保育士」もしくは「園長」の2択しかなく、それなりの勤務年すが必要でした。
ですが、2017年に保育士の新しいキャリアとして「副主任保育士」や「専門リーダー」、「職業分野別リーダー」の3つの役職が新たに設けられました。
その結果、あらかじめ定められた研修を受講することで役職に就くことができ、手取りアップだけでなくキャリアアップも狙えるようになっています。
とはいえ、それぞれの役職ごとに勤務年数が条件として設けられているので、必ず確認した上で受講するようにしましょう。
ちなみに「副主任保育士」「専門リーダー」「職業分野別リーダー」いずれかの役職に就くことができれば最大で月額4万円の手当を受けることが可能です。
毎月の給与が4万円アップすることは、一般的な企業でもなかなかありません。ぜひキャリアと給与をアップできるように役職を目指して業務をしましょう。
2-3.勤務経験を重ねる
保育士の手取りが1番変わってくるのが、勤務経験を重ねて「主任保育士」または「園長」という役職に就いたときです。
この主任保育士と園長になるためになるためには、8年〜10年以上の勤務経験が必要になります。
勤務年数だけを見ると「そんなに長く勤務しないといけないのか…」と思うかもしれません。
ですが、先ほどご紹介した「副主任保育士」「専門リーダー」「職業分野別リーダー」の3つ新しいキャリアを目指しながら最終的に「主任保育士」「園長」へのキャリアを進んでいくのがおすすめです。
新しいキャリアが新設される前は、保育士の平均勤続年数が約7年と言われていたので、ほとんどの保育士が役職に就くことなく退職をされていました。
ですが、現在は中間キャリアが新設されているので、ぜひ最終目標として主任保育士や園長という役職を目指してみてくださいね。
3.【Q&A】保育士の手取りにおけるよくある質問
最後に保育士の手取りにおけるよくある質問をご紹介します。
3-1.Q1:保育士の給料は安いのですか?
A:保育園ごとに異なりますが、一般の小中企業と同じくらいです。
最近はメディアでも「保育士の給料は安い!」という発信があったりしますが、本文でも述べたとおり公立保育園であれば、短大卒で16万円〜20万円です。私立保育園であれば、21万円前後になります。
なので、一概に保育士の給料が安いということではなく、その保育園での労働環境によって給料が安く感じているのでしょう。
なので、保育士として就職を検討しているのであれば、必ず就職を希望する保育園にアポイントを取って訪問するなど入社する側もしっかりと調査する必要があるということです。
ちなみにどの保育園でも事前に電話等でアポイントを取っておけば、保育園内を見学させてもらえる可能性は高いので安心してください。
3-2.Q2:保育士は国から補助金が出るって本当ですか?
A:補助金は保育園に支給されるので、保育士の給与に反映されるとは限りません。
保育士への待遇改善を図るために国から保育園に対して補助金が出ていることが事実です。ですが、その補助金は保育園に支給されるので必ずしも保育士の給与に直接反映されるかは保育園次第ということになります。
保育園次第とはいえ、補助金を保育士に還元している保育園ではボーナスが通常よりも上乗せされて支給されているようです。
その一方で、補助金が出ているのにもかかわらず保育士への給与には一切待遇がなかった保育園もありました。
このような問題を防ぐために、現在では各自治体が補助金を保育士の給与アップに使用しているかどうか「使い道のチェック」をする方向で動いています。
なので、今後は補助金の使い道が今よりも透明化されるので、より保育士の待遇は改善されるでしょう。
3-3.Q3:保育園の施設形態によって手取りは変わりますか?
A:施設業態というよりも運営元次第で変わります。
認可保育園や無認可保育園、認定こども園などさまざまな施設業態がありますが、各自治体が運営している保育園ではそこまで手取りに大きな差はなさそうです。
ただ、自治体が運営しているのではなく、企業が運営している施設の場合は給与が高くなる傾向にあります。
たとえば、東京における保育士の求人を見てみると、ほとんどの保育園が20万円以上の条件が提示してあります。さらに保育園によっては30万円以上の給与を条件にしている施設もあるくらいです。
このように自治体が運営している「公立」と民間企業が運営している「私立」では、給与の差があると言っていいでしょう。
とはいえ、先ほども述べましたが保育士のキャリアは給与だけではありません。労働環境や福利厚生などにも気を配る必要があります。
決して、給与がいいからという理由だけで決めないようにしてくださいね。
4.まとめ:保育士の手取りは今後も改善される可能性あり
今回は、公立保育園と私立保育園での手取りの違いから保育士の手取りをアップさせる具体的な方法まで解説しました。
現在の補助金体制などはまだ十分な状態ではないことは事実です。ですが、中間役職の設立など国や自治体も少しずつ動いています。
さらに待機児童が解消していないという社会問題を抱えているので、今後も保育士や保育施設に対しての待遇は改善されてく可能性が高いでしょう。
なので、保育士の手取りを頭の片隅で意識しつつ、あなた自身がどのようなキャリアで役職ついて、どのような資格を取得していくべきなのかを考えることをおすすめします。
ぜひ本記事を参考に理想の保育園探しをしてみてください。