就職や転職の際に、重要なポイントとなる「志望動機」。ただ、毎回同じような内容になってしまったり、オリジナリティがない文になってしまったりと、文章を作るのが難しいと感じ悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、保育士が志望動機を書く際のポイントを解説します。志望動機は履歴書にも記載し、面接でも聞かれる最重要項目なのでしっかりと考えておきましょう。

志望動機の役割は?

志望動機はどの仕事でも、どの職場でも必ず聞かれる質問です。それほど重要なポイントということになります。

まずは、志望動機を書く理由や、採用する側が知りたいポイントなどを確認していきましょう。

志望動機を書く理由

志望動機とは、「その園で働く理由」と「保育士を志望した理由」を書くための項目です。「ここに魅力を感じるから、この園でこんな風に働きたい」ということを伝えるために記載します。

志望先のことをどれだけ知っているか、自分が就職したらどのように役立つことができるかといった熱意を伝えることができます。

また、自分の良さを売り込む「自己アピール」とは少し違いますので、同じような内容にならないよう注意しましょう。

採用時に見られるポイント

履歴書を書く側が伝えたいことと、採用する側が見たいことはほとんど同じです。採用時には、以下のような部分を見られます。

  • 保育士としてのやる気
  • 教育理念や園の特色を理解しているか
  • 園との相性は良いか

保育園やこども園など、数ある園の中から、なぜこの園でなければならなかったのかを知るために志望動機を確認します。

志望動機を書く際の4つのポイント

志望動機を書く際には、文章全体の構成を考えながら行いましょう。ただ単に熱意を伝えれば良いわけではなく、相手が読みやすい文章を書く必要があります。

読みやすい文章を考えられるかどうかといった部分も、人物を評価する際の重要な要素です。ここでは、志望動機を書く際の4つのポイントをご紹介します。

志望先の園に入りたいと思った理由

志望先の園の教育方針や特徴などをしっかりとリサーチし、魅力的に感じた部分を記載しましょう。園が力を入れているポイントを抑えることが重要です。

また、ホームページには記載されていない情報もあるので、できれば園見学をさせてもらうなどし、実際に園を見てみると書きやすくなるでしょう。

「園児の笑顔に魅力を感じた」「先生方や子どもたちが元気に挨拶する姿を見て、感銘を受けた」など、書いている内容は一般的なことだとしても、実体験を元にすると一気に説得力が増します。

保育士として何をしたいのか

保育士として何をしたいのか記載しましょう。自分の保育観を書くことで、保育士として働くことへの情熱を表現できます。

ポイントは「志望先の園で何を行いたいのか」です。どの園でもできるようなことではなく、志望先の園の特色と照らし合わせて書くと「この園で働きたい」という部分が生きてきます。

この園でどれだけ働けるか、どのような役割を担うことができるかを記載することで、志望先の園にとって必要な存在であることがアピールできるでしょう。

転職しようと思った理由

なぜ転職したのか、前の園を辞めた理由も記載します。「前の園ではできなかったことや活かせなかった自分のスキルで、志望先の園では活かせること」といった流れで記載すると自然でしょう。

この時に気を付けたいのが、前職を辞めた理由はあくまで簡単に記載することです。長く書き過ぎると、未練があるように感じます。

また、短く簡単に記載することで嫌な言い方にならずに済みます。前職をネガティブな理由で辞めていたとしても、信用がなくなる恐れがあるため嫌な言い方はしないのがマナーです。

自分のアピールポイント

自分のアピールポイントを記載しましょう。「ピアノが弾ける」「絵を描くのが得意」など保育に活かせることがあればベストです。

ただ、「コツコツ努力できる」「明るく前向き」など性格のことでも構いません。また、保育士は体力勝負の仕事でもあるので、スポーツを習っていた場合などもアピールポイントとなるでしょう。

これができます!とただアピールポイントを書くだけでなく、その特技を活かして子どもと何をしたいのか「目標」を書くと魅力がよりはっきりと伝わります。

【キャリア別】志望動機の書き方

志望動機は、キャリアによって書き方も若干異なります。キャリアごとに求める人物像が異なるので、ニーズに合わせた志望動機を書くことが大事です。

ここでは、キャリアごとの書き方のポイントや例文をご紹介します。参考にしながらオリジナルの文章を考えてみましょう。

新卒の場合

学校を卒業し、はじめて就職する方の場合は実務経験がありません。実習の経験はあっても、保育士の仕事内容はまだ具体的にはイメージしきれない部分もあることでしょう。

新卒の場合は、以下の部分を記載するのがポイントです。

  • どんな保育士になりたいか、夢や熱意
  • 得意なことやアピールポイントをどう保育に活かしたいか
  • 元気で明るい、優しいなど人柄の良さ
【例文】
「私は小さいときから子どもと関わることが好きで、自然と保育士になりたいという夢を持つようになりました。また、小学生1年生から12年間、体操を習っていたため体力には自信があります。自然豊かな園庭でのびのびと体を動かす貴園の子どもたちを見て、私も体を動かす楽しさを伝えていきたいと感じ、貴園を志望しました。たくさん楽しいことを提案し、子どもたちを笑顔にできるような保育士になれるよう精一杯勤めたいと思います。」

新卒の方は、フレッシュさや今後の可能性などをアピールしていきましょう。

未経験の場合

社会人としての経験はあるものの、保育業界は未経験である場合は、社会人としての経験がある部分はアピールできるポイントです。また年齢によっては、新卒同様にフレッシュさにも魅力があります。

未経験の場合は、以下の部分を記載するのがポイントです。

  • 社会人としてのマナーや礼儀があること
  • 前職での経験をどう保育に活かすことができるか
  • どんな保育士になりたいか、夢や熱意
【例文】
「大学卒業後は、一般企業に就職しました。3年間営業として働き、社会人としてのマナーを身につけることができたと実感しております。ただ、保育士としての夢をどうしても諦めることができず、退職し、保育士資格を取得しました。貴園を志望したのは、自己肯定感を育むという保育理念に共感したためです。保育士は未経験ですが、何事にも積極的に取り組み、子どもたちと共に様々なことを学んでいきたいと思います。」

前職を辞めてまで保育士になりたかったというところを上手くアピールできれば、魅力あふれる志望動機になるでしょう。

転職の場合

これまで保育士として働ていた経験があり、別の園に転職する場合は、保育のスキルやノウハウがあるため強い武器となります。

ただ、前の職場を辞めた理由は慎重に考え記載しなければ、マイナスに捉えられてしまう可能性もあるので気を付けましょう。

転職の場合は、以下の部分を記載するのがポイントです。

  • これまでの保育で学んだことと今後に活かしたいこと
  • 前の職場を辞めた前向きな理由
  • 保育観や目指す保育士像
【例文】
「現在勤めているこども園は、1クラス35名、1学年5クラスの大規模こども園です。多くの子どもたちと関わることで、クラス全体をまとめる力や指導力を身につけることができましたが、以前より1人1人とじっくり関わる保育にも興味があり、転職を決意しました。貴園は少人数制を採用しており、個性を尊重するという保育理念にも魅力を感じています。これまでに培った経験や知識を活かし、即戦力として働けるよう努めたいです。」

保育士としての経験がある方が転職する場合、ニーズは高いでしょう。これまでの経験をどう活かせるかを明記することが重要です。

ブランクがある場合

保育士として働いていた経験があるものの、長い間離れていてブランクがある場合は、なぜまた復職したいと考えたのかを記載しましょう。

ブランク中には何を行っていたのか、その経験を保育にどう活かして行きたいかを書くと、分かりやすい志望動機になります。

ブランクがある場合は、以下の部分を記載するのがポイントです。

  • 保育士として働いていたときの経験や役割
  • ブランク中に行っていたこと、それがどう保育に繋がるのか
  • 保育士として復職する理由
【例文】
「出産を機に10年勤めた保育園を退職しましたが、子どもが小学校に入学し手が離れたため、保育士への復職を希望しています。子育てを経験したことで、保護者の方の悩みや気持ちがよりはっきりと理解できるようになり、保護者の方へのサポートや精神的なケアを丁寧に行える保育士になりたいと強く思うようになりました。貴園に就職できた際には、これまでの経験を活かし、子どもも保護者の方も安心して通園できるような環境作りを行いたいと思います。」

ブランクがあっても、保育士として働いた経験は強い魅力ポイントとなります。

パートの場合

パートやアルバイトの場合は、資格がなくても「保育補助」として働けることもあります。とはいえ、新人社員のように時間をかけてじっくり教育することはできない場合が多いので、即戦力としてどれだけ働けるかが重要なポイントです。

パートやアルバイトの場合は、以下の部分を記載するのがポイントです。

  • 保育士としての実務経験や子育て経験の有無
  • なぜ保育の仕事を選んだのか
  • 園が希望する時間、曜日に働けるか
【例文】
「短大を卒業後、4年間保育士として勤めましたが、結婚を機に退職しました。今年、子どもが高校に入学し、自分の時間を持てるようになったため、パートとして復職できればと考えています。貴園が自宅から徒歩2分と近く、子どもも手がかかる年齢ではないので、7時から18時までどの時間帯でも勤務可能です。これまでの経験を活かし、今後はパートとして保育士の方々をサポートできるよう、精一杯努めたいと思います。」

どのような人物なのか、信頼して子どもを任せて大丈夫なのか、責任感を持って働けるかといった部分を判断できる志望動機が理想的でしょう。

志望動機を書くときの注意点と攻略法

志望動機を書く際には、「この人の話をもっと聞きたい」と思ってもらえるような、印象の良い文章を心がけましょう。

ここでは、志望動機を書くときの注意点と攻略法をご紹介します。

志望先の園が求める人物に近づく

保育理念や保育観は、園によって大きく異なります。しっかりとリサーチしましょう。また、園見学に行き、実際に働いている保育士がどのような姿なのかも観察するのがおすすめです。

どれだけ素晴らしい人物でも、志望先の園に合わないと判断されれば採用されない可能性は高いです。一方、志望動機に記入している保育観や人物像が、志望する園が欲している人物像と近い場合は、興味を持ってもらいやすいでしょう。

志望先の園ならではの良さを見つける

志望先の園にしかない魅力が必ずあるはずです。のびのびと遊ぶことで主体性を身につける方針の園もあれば、行事やカリキュラムなどに力を入れている園もあるでしょう。

また、「ここを褒められたら嬉しいだろうな」という部分を見抜くのも志望動機を書く際のポイントです。ホームページで公表している部分だけでない、その園ならではの魅力を見つけてみましょう。

前向きな退職理由が好印象

新卒でない場合は、前職の退職理由がネガティブにならないように注意する必要があります。退職理由が人間関係だったり、前の職場への不満があったりする場合でも、悪く伝えることで自分自身への評価が下がるだけでメリットはありません。

「うちの園のことも、また悪く捉えるかもしれない」「ネガティブな人なのかもしれない」と捉えられてしまうと、そこから印象を変えるのは難しいでしょう。

「これがやりたいので、辞めました。この園ではこれをやりたいです!」とポジティブに伝えることが大事です。

保育士は健康第一

保育士は健康が重要です。面接でも健康に関することは良く聞かれます。そのため、健康面で気になることは、あらかじめ記載しておくと親切です。

志望動機の内容に書かなくても構いませんが、履歴書の「特記事項」の欄に記載するか、面接の際にしっかりと伝えましょう。

面接対策!志望動機の伝え方


志望動機は履歴書に書くだけでなく、面接の際にも聞かれます。そのため、面接対策も併せて行いましょう。

ここでは、面接で志望動機を聞かれた際の答え方のコツを3つご紹介します。

履歴書に書いたことを自分の言葉で表現

履歴書に書いたことと、面接で伝える内容に違いがないようにしましょう。記載した内容を写真に写すかメモを取っておくのがおすすめです。

また、書いたことをただ覚えたような、機械的な言い方では気持ちが伝わりません。履歴書に書いた志望動機を少し詳しく、なおかつ話し言葉に直して伝えると「心のこもった言葉」になります。

「具体的には何をしたいの?」「他の園でもできるのでは?」など志望動機に関する質問がくる場合もあるので、あらかじめ想定しておきましょう。

自分の長所や特技を交えてアピール

面接の場合は、自己アピールを交えながら志望動機を伝えるのも一つの手です。

「これが得意なので、子どもとこんなことをして過ごしたい」「こんなことを教える先生になりたい」などと最後にアピールポイントと理想の保育士像を語り、話を締めるのも良いでしょう。

また、面接の志望動機は、2~3分程度にまとめるのがベストです。長くなり過ぎないよう注意しましょう。

退職先について悪く言うのはNG

面接の際にも、退職先を悪く言うのはNGです。面接の場合、前職について聞かれる可能性が高いですが、履歴書に書いた内容と同じように前向きな理由のみを述べましょう。

もし、「嫌なことはありましたか?」などと聞かれても正直には答えず、「こういう部分に課題を感じましたので、この園ではこうして対応していきたいと思います」など、反省を活かそうとする未来志向な姿勢を見せるのがポイントです。

まとめ

志望動機は、ポイントを抑えて書くことが大事です。短い文章の中にも、保育士としての夢や熱意などをしっかりと記載しましょう。

また、自分の言葉でオリジナリティを出すことも、他の応募者と一線を画すための重要なポイントです。今回ご紹介した例文を参考にしながら、自分だけの志望動機を考えてみましょう。

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