鮭の水煮缶は、離乳中期の生後7〜8か月頃から使う方法が紹介されています。
商品を選ぶときは、塩分を抑えたいなら「食塩不使用」の水煮を候補にし、缶の表示で食塩相当量と原材料を確認するのがたまごだるま編集部の提案です。ただし、食塩不使用でも塩分はゼロではありません。どの商品を選んだ場合も、骨と皮を取り除き、子どもが食べやすい形に整えてから使います。
この記事では、次の内容を順に説明します。
- 使い始める時期と量の目安
- 同じメーカーの3商品で見る表示の読み方
- 骨・皮と塩抜きを含む下処理の手順
- 開封後・調理後の保存の考え方
この記事の要点
- 鮭水煮缶は生後7〜8か月頃から使う方法が紹介されている。ただし、国のガイドが鮭缶の開始月齢を定めているわけではない
- 塩分を抑えたいなら食塩不使用の水煮が候補。ただし塩分ゼロではない
- 表示は「何g当たり」「液汁を含むか」まで確認する
- 骨がやわらかくても、離乳食では骨と皮を取り除いて使う
- 塩抜き後の塩分は一律には分からないため、購入前の表示確認を優先する
目次
鮭の水煮缶はいつから?月齢と商品の条件を合わせて考える
鮭水煮缶は、生後7〜8か月頃から使う方法が紹介されています。月齢の目安に加えて、離乳の進み具合と商品の内容を確かめ、食べやすい状態に整えることが前提です。
鮭を取り入れる目安と、缶詰の選び方は分ける
「鮭をいつから食べられるか」と「手元の鮭缶を使ってよいか」は、分けて考えます。
鮭全般については、パルシステムの育児情報サイトが、白身魚より脂肪分が多いため、たいやかれいなどに慣れた7〜8か月頃から取り入れるよう案内しています。
(参照:鮭|離乳食のための調理ポイント|パルシステムの育児情報サイト 子育て123)
鮭水煮缶については、トモニテの管理栄養士監修レシピが「モグモグ期(生後7〜8ヶ月頃)から」としています。
(参照:さけ水煮缶の離乳食|中期(生後7〜8ヶ月頃)のレシピ・作り方・保存方法|トモニテ)
国の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年)」は、魚を白身魚から赤身魚、青皮魚へと進める順序を示しています。ただし、鮭缶を何か月から使えるかは定めていません。
(参照:授乳・離乳の支援ガイド(2019年3月)|こども家庭庁)
つまり「7〜8か月頃」は、鮭を取り入れる時期の目安です。缶詰を使う場合は、この目安に加えて、商品ごとの塩分と、開けた後の身の状態を確認します。
初めて食べるときの量と、個別の指示がある場合
授乳・離乳の支援ガイドは、新しい食品を始めるときは離乳食用のスプーンで1さじずつ与え、子どもの様子を見ながら量を増やすよう示しています。
食べ慣れた後の量については、同じガイドの「離乳の進め方の目安」が、離乳中期の魚の1回量を10〜15gとしています。
(参照:授乳・離乳の支援ガイド(2019年3月)|こども家庭庁)
この10〜15gを使うときは、次の点に注意してください。
- 魚全般の一般的な目安であり、鮭缶に限った推奨量でも、安全上の上限でもない
- 初回からこの量を与えるという意味ではない
- 缶詰の内容量は汁を含めた重さなので、下処理した身の量とは一致しない
鮭は、食品表示で「特定原材料に準ずるもの」に含まれるアレルゲンです。ガイドは、食物アレルギーが疑われる症状が出た場合は自己判断で対応せず、医師の診断に基づいて進めるよう示しています。すでに診断を受けている場合や、医師・栄養士から個別の指示がある場合は、その指示を優先してください。
水煮・食塩不使用・味付けは、表示のどこが違う?

「水煮」と書いてあっても、塩分ゼロとは限りません。商品名だけで判断せず、原材料名と食塩相当量を確認し、その数値が何gに対するものかまで見ましょう。
原材料欄で、食塩や調味料を確認する
原材料は、缶にある一括表示(黒い枠で囲まれた表示欄)で確認します。食塩や調味料が使われているかどうかは、手元の缶で確かめてください。
「さけ水煮」の原料欄に「からふとます」とあって戸惑うかもしれません。メーカーは、からふとますはサケ科サケ属の魚なので、さけ缶として扱われると説明しています。
(参照:商品別Q&A(缶詰)|Umios)
「食塩不使用」は、ナトリウム塩を加えていないことを示す表示です。塩分がゼロという意味ではありません。また、食塩を使っていないことと、骨や皮が取り除かれていることは別の問題です。
(参照:栄養成分表示について|消費者庁)
実在する3商品の表示を比べる
Umios(旧マルハニチロ)の公式ページに載っている栄養表示を、同じ90g缶の3商品で比べました。表示の読み方を説明するための例で、おすすめの順位ではありません。
| 商品 | 内容量 | 食塩相当量(1缶) | 100g当たり(概算) | 表示条件 |
|---|---|---|---|---|
| さけ水煮(90g) | 90g | 0.8g | 約0.9g | 1缶分当たり。液汁を含むかは明記なし |
| さけ水煮 食塩不使用 | 90g | 0.1〜0.3g | 約0.1〜0.3g | 1缶当たり・液汁を含む |
| 鮭味付 | 90g | 1.7g | 約1.9g | 1缶当たり・液汁を含む。砂糖としょうゆで味付け |
注1:JANは上から順に、4902165300062、4901901009979、4901901010036です。
注2:情報の基準日は、さけ水煮(90g)が2024年10月、他の2商品が2026年1月です。2026年10月19日に閲覧しました。
(参照:さけ水煮(90g)|Umios)
(参照:さけ水煮 食塩不使用|Umios)
(参照:鮭味付|Umios)
塩分を抑えたい場合、3商品の中で食塩相当量が最も少ないのは、食塩不使用の水煮です。冒頭で食塩不使用を候補に挙げたのは、この理由からです。食塩不使用の数値が幅で示されているのは、原料の個体差を見込んだ表示だとメーカーは説明しています。
味付け缶は、離乳食用の候補ではありません。商品の種類による違いを比べるために表へ入れています。
迷ったら「名前」より「表示の条件」を見る
今回の3商品は、同じメーカー・同じ90g缶でした。それでも、食塩相当量は食塩不使用の0.1〜0.3gから味付けの1.7gまで差があります。さらに、表示が「1缶当たり」なのか、「液汁を含む」のかといった条件もそろっていません。商品名の「水煮」だけでは、この違いは分かりません。
店頭で迷ったときは、「食塩不使用か」「何g当たりの数値か」「液汁を含むか」の3点を見ることを編集部はおすすめします。成分表のすべてを読み込まなくても、この3点で商品同士を比べやすくなります。
1缶・100g・液汁込みの違いを読む
100g当たりの数値は、「食塩相当量÷90×100」で計算した概算です。異なる容量の商品と比べるときの物差しにはなりますが、赤ちゃんが食べる量や、とってよい塩分量を示すものではありません。
メーカーによると、魚の水煮缶の内容量は、汁を含めた総重量で表示されています。
(参照:商品別Q&A(缶詰)|Umios)
食塩不使用と味付けの数値は「液汁含む」なので、ここから汁を切った身だけの塩分は計算できません。通常の水煮は、表示に液汁を含むかどうかが書かれていないため、他の2商品と完全に同じ条件では比べられません。
骨と皮はどうする?一般向けの商品説明だけで判断しない
缶詰の骨はやわらかく加工されていますが、そのまま乳児が食べられるとは限りません。開けた後に骨・皮と身の状態を見て、離乳食向けに準備します。
骨・皮の扱いは、離乳食向けの調理情報を参照する
メーカーは、魚の缶詰は加圧加熱殺菌によって骨までやわらかくなり、骨ごと食べられると説明しています。これは一般の食べ方についての説明で、乳児向けの保証ではありません。
(参照:商品別Q&A(缶詰)|Umios)
離乳食向けの情報では、骨と皮を取り除く手順が示されています。トモニテの鮭水煮缶レシピは、骨と皮を取り除いてから刻んでいます。パルシステムも、鮭は皮と骨を取り除いて身をほぐすよう案内しています。
(参照:さけ水煮缶の離乳食|中期(生後7〜8ヶ月頃)のレシピ・作り方・保存方法|トモニテ)
(参照:鮭|離乳食のための調理ポイント|パルシステムの育児情報サイト 子育て123)
鮭缶には、「ストラバイト」と呼ばれるガラスの欠片のような結晶が入っていることがあります。メーカーは、体内で溶けて害はないものの、大きいものは口の中をけがすことがあると注意しています。身をほぐすときは、骨や皮と一緒に、硬い粒が残っていないかも見てください。
(参照:商品別Q&A(缶詰)|Umios)
中骨缶と、身を使う水煮缶を区別する
商品名に「中骨」と付く缶詰は、骨そのものを主に詰めた商品です。この記事で扱っている「身を使う水煮缶」とは前提が違うため、同じ使い方はできません。骨の量や硬さは商品によって異なるため、ここでは比較していません。
ほぐした後の食べやすさも確認する
授乳・離乳の支援ガイドは、離乳中期の目安を「舌でつぶせる固さ」としています。また、飲み込みやすいようにとろみをつける工夫も必要になると説明しています。
(参照:授乳・離乳の支援ガイド(2019年3月)|こども家庭庁)
トモニテのレシピは、細かく刻み、始めのうちはすり鉢などで軽くすりつぶして、「粒のあるジャム状」を目安にするとしています。ほぐした身がパサつく場合は、食べ慣れたおかゆや汁物に混ぜるなど、子どもの食べ方に合わせて調整します。
塩抜きすれば使える?処理方法と限界を分けて知る
鮭水煮缶の下処理として、ゆでて塩抜きする方法が紹介されています。ただし、家庭で処理した後にどれだけ塩分が残るかは、一律には分かりません。先に商品の表示を確認しましょう。
塩分を含む水煮缶の下処理手順
トモニテの管理栄養士監修レシピは、塩分を含む鮭水煮缶を次の順で準備しています。
- 減塩の商品があれば、そちらを選ぶ
- 熱湯で約2〜3分ゆでて塩抜きし、水気を切る
- 骨と皮を取り除く
- 細かく刻み、始めのうちは軽くすりつぶす
- 味がついているため、食べ慣れた食材に混ぜて少しずつ与える
(参照:さけ水煮缶の離乳食|中期(生後7〜8ヶ月頃)のレシピ・作り方・保存方法|トモニテ)
ここで紹介されているのは、熱湯で一定時間ゆでる方法です。お湯を回しかける湯通しとは別の手順です。
食塩不使用の商品にも同じ塩抜きが必要かどうかは、この手順からは判断できません。ただし、食塩不使用品を使う場合でも、骨と皮を取り除き、食べやすい形に整える工程は欠かせません。
「何%減る」「これで安心」とは言い切らない
ゆでることで塩分がどれだけ減るかについて、商品ごとの数値は公開されていません。缶の表示から、処理後の塩分を計算することもできません。
他の食材と混ぜると、一口当たりの塩味は薄くなります。しかし、加えた鮭缶に含まれる塩分そのものがなくなるわけではありません。大人が味見をして薄いと感じても、それだけで乳児に適しているとは判断できません。
授乳・離乳の支援ガイドは、離乳を始める時期には調味料は不要で、進むにつれて使う場合も薄味にするよう示しています。塩抜きは、塩分を含む商品を使うときの手段の一つです。購入前の表示確認と組み合わせて考えましょう。
(参照:授乳・離乳の支援ガイド(2019年3月)|こども家庭庁)
缶詰は「手抜き」ではなく、確認して使う選択肢
国の授乳・離乳の支援ガイドは、ベビーフード等の加工食品を上手に使って離乳食づくりの負担が軽くなるなら、それも一つの方法だとしています。鮭缶も、骨のある切り身を一から調理するより手軽に魚を取り入れられる食材です。使うこと自体を後ろめたく感じる必要はないと、編集部は考えます。
一方で、今回調べた範囲では、家庭で塩抜きした後にどれだけ塩分が残るかを示すデータは見つかりませんでした。だからこそ、「何か月ならOKか」という一つの答えに頼るより、「買う前に表示を見る」「開けた後に骨・皮・硬い粒を見る」という2段階の確認を習慣にすることが、缶詰と上手につき合う近道だと考えています。
使う前に、商品表示・下処理・保存方法を確認しよう
購入前は表示を、開封後は骨・皮と食べやすい形を確認します。保存は、開封後の中身と、離乳食として調理した後とで分けて考えます。
購入前と調理前のチェックリスト
購入前
- 水煮・食塩不使用・味付け・中骨など、商品の種類を確認したか
- 一括表示で、原材料と食塩相当量を確認したか
- 栄養表示が何g当たりで、液汁を含むかを確認したか
調理前・調理後
- 子どもの離乳の進み具合に合う使い方か
- 初めての場合は、1さじから始める準備ができているか
- 骨・皮・硬い粒を取り除き、食べやすい状態に整えたか
- 開封後・調理後の保存方法を確認したか
開封後の保存は、条件に合う案内を確認する
保存期間は、清潔に扱うことを前提にした目安です。トモニテは、調理したものを常温で長時間放置しないことと、清潔な保存容器を使うことを注意点として挙げています。
(参照:さけ水煮缶の離乳食|中期(生後7〜8ヶ月頃)のレシピ・作り方・保存方法|トモニテ)
開封後、調理前の中身
メーカーは、食べきれなかった分は別の容器に移して冷蔵し、翌日を目安に食べるよう案内しています。缶のまま冷凍することは勧めていません。
(参照:商品別Q&A(缶詰)|Umios)
離乳食として調理した後
トモニテのレシピでは、調理後の保存を次のように案内しています。
- 冷蔵:当日中に食べる
- 冷凍:ラップに包んで保存用袋に入れ、約1週間以内を目安に食べきる
- 食べる前に再加熱する
- 解凍したものは再冷凍しない
(参照:さけ水煮缶の離乳食|中期(生後7〜8ヶ月頃)のレシピ・作り方・保存方法|トモニテ)
においや色などに少しでも違和感があれば、廃棄してください。再加熱すれば、どのように保存したものでも使えるわけではありません。
鮭缶の離乳食でよくある質問
- Q. 食塩不使用なら、そのまま与えてよいですか?
- 食塩不使用は、ナトリウム塩を加えていないという意味で、塩分ゼロではありません。例に挙げた商品も、食塩相当量は0.1〜0.3g(1缶・液汁込み)です。また、骨や皮は取り除かれていません。開けた後に骨と皮を除き、子どもの食べ方に合う形に整えてから使います。
- Q. 骨がやわらかければ、取り除かなくてもよいですか?
- 缶詰の骨がやわらかいというメーカーの説明は、一般向けの食べ方についてのものです。離乳食向けのレシピは、骨と皮を取り除く手順を示しています。この記事でも、取り除いてから使う前提で説明しています。
- Q. 缶の汁も使えますか?
- メーカーは、缶詰は汁ごと食べられると説明していますが、これは一般向けの案内です。トモニテの塩抜きの手順では、ゆでた後に水気を切っています。表示からは汁だけの塩分が分からないため、迷う場合は身だけを使うほうが判断しやすくなります。
- Q. 塩抜きすると、塩分はどのくらい減りますか?
- 減る量を示す公開データはありません。ゆでる時間やお湯の量によっても変わるため、一律の割合は示せません。塩分を抑えたい場合は、まず購入時に食塩相当量の少ない商品を選ぶことから考えましょう。
- Q. 鮭フレークや中骨缶も同じように使えますか?
- 鮭フレークや中骨缶は、原材料・味付け・形が鮭水煮缶とは異なるため、この記事の説明はそのまま当てはまりません。使う場合は、それぞれの商品表示を確認したうえで、自治体の栄養相談などで確認すると確実です。
- Q. 余った鮭缶は冷凍できますか?
- 缶のままの冷凍は、メーカーが勧めていません。開封後、調理前の中身は、清潔な別容器に移して冷蔵し、翌日を目安に使います。塩抜きや骨取りを済ませて調理した離乳食は、トモニテのレシピでは冷凍で約1週間以内が目安です。食べる前に再加熱し、解凍したものを再冷凍しないようにします。
まずは手元の鮭缶の表示を確認しよう
鮭缶は便利な食材ですが、使えるかどうかは月齢だけでは決まりません。購入前に、手元の商品の原材料・食塩相当量・表示の単位を確認してみましょう。
使う時期や食べやすい形に迷う場合は、商品名や表示の写真を用意して、お住まいの自治体の栄養相談などで相談できます。
