保育園に就職したいと考えたときに大切なのは、その保育園の雰囲気や方針などをあらかじめ把握しておくことです。しかし、単に求人やホームページ、ネットの情報だけを頼りに就職活動をすると「イメージと全然違う…」や「なかなか内定がもらえない」のような状況に陥ってしまうでしょう。

このような状況を回避するためにも重要視されるのが「園見学」です。ただ、園見学に参加したことがない方にとっては、どのように参加すればいいのかもわからないと思います。

そこでこの記事では、正式に保育士として就職するために園見学が重要とされる理由から実際の申込方法までわかりやすく解説します。できるだけ早く希望する保育園へ就職したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.保育士になるために園見学が重要な理由3つ

保育士として希望の保育園へ就職するときに園見学が重要と言われている理由は、大きく3つあります。

1-1.理由①:保育園の雰囲気を把握できる

1つめの理由は、園見学をすることで保育園の雰囲気を把握できるからです。例えば、合同説明会や求人では、ほんの一部しか保育園の情報を得られません。

しかし、園見学をすることでその保育園に通っている子どもたちの雰囲気や指導方針、保育士同士の関係性など現場でしかわからない情報を得ることが可能です。さらに園見学として保育園の中に入って見学することで、自分がその保育園で働くイメージも湧きやすくなります。

このようにネット上の情報や求人内容だけでは得られない情報を園見学では把握できることは、大きなアピールポイントにもなるでしょう。

1-2.理由②:面接で園見学したことをアピールできる

2つめの理由は、保育士の採用面接時に園見学に参加したことをアピールできることです。保育園の採用担当者からすると、求人やホームページからの情報だけで応募してきた人よりも自身の保育園へ直接足を運んでもらった人のほうが信頼しやすくなります。

そのため、新卒または中途採用でも園見学を行ってから面接に臨む方はかなり多いです。つまり、園見学をしているかしていないかの違いは、保育士の技量や知識以上に熱意が伝わりやすく、採用における差がつきやすいとも言えるでしょう。

ちなみに園見学は、実習で行った場合でもアピールになるため、学校の保育実習で訪れた際も後述するポイントを意識して園見学することが大切です。

1-3.理由③:就職したいという熱意を効果的に伝えられる

3つめの理由は、先ほどの理由と少し近いですが、その保育園に就職したいという熱意を効果的に伝えられる点です。やはり採用側も現場に足を運んで、雰囲気を感じ取ってもらえている保育士のほうが、保護者から預かっている大切な子どもたちを任せやすくなります。

一方、園見学に参加していない人の場合は、評価を下げるというよりも「求人やホームページの内容とギャップを感じて退職してしまうかも…」ような不安感を抱きやすいです。そのため、園見学に参加していない人よりも実際に参加してくれた人を評価しやすくなります。

とくに厚生労働省が発表している「保育士等に関する関係資料」では、全体の離職率が10.3%に対して公立保育園が7.1%の離職率、私立保育園が12.0%の離職率であることを公表しています。このことからも、保育園の採用担当者側は「離職率が比較的高い職種だからこそ、信頼できる保育士を採用したい」と思っているのです。

参考:保育士等に関する関係資料|厚生労働省

2.園見学をするときに確認するべきポイント3つ

ここからは園見学を実際に参加するときのポイントを解説します。園見学への参加は重要ですが、しっかりと目的を持って参加しないと逆効果になりかねません。

そのため、以下の3つを意識して園見学をするようにしましょう。

  • 子どもたちの雰囲気
  • 保育園の設備状況
  • 勤務している保育士同士の雰囲気

それでは、それぞれのポイントについてもう少し詳しく解説していきます。

2-1.子どもたちの雰囲気

保育園の方針や特色によって子どもたちの雰囲気が違うため、子どもたちがどのような雰囲気で過ごしているのかをチェックしておきましょう。とくに私立保育園の場合は、公立保育園よりも個性がある保育園が多いです。

例えば、「室内で遊ぶ子どもが多いな」や「保育士と一緒に遊んでいる子もいる」、「ちょっとやんちゃな子が多いかな」のように教室または保育園全体を俯瞰しながら見学できると良いでしょう。

2-2.保育園の設備状況

園見学は、自分がこれから働く場所をあらかじめ把握できる絶好の機会のため、保育園内の設備状況も確認しておくことをおすすめします。

具体的には、更衣室や休憩室の有無、教室の場所と数、職員用のデスク・パソコンの数などを把握しておくと良いでしょう。したがって、園見学で保育園の設備状況を確認するときは、自分がその保育園で実際に勤務するところをイメージすることが大切です。

2-3.勤務している保育士同士の雰囲気

園見学をする中で当時に勤務している保育士同士の雰囲気も確認しておくと良いでしょう。なぜなら、保育士の退職理由に最も多いのが「職場の人間関係」という理由が多いからです。

参考:保育士の現状と主な取組について|厚生労働省

職場における人間関係は保育士に限ったことではないですが、園見学を通して職員同士の雰囲気を少し感じ取れるだけでも有益な情報になります。保育士に限らず、就職してからすぐに退職してしまうケースは、就職する保育園や企業に対しての情報が少ない可能性が高いです。

一方、保育士の場合は園見学という職場を直接見ることができる機会があるという点からも最大限に活用すべきでしょう。

3.園見学をするまでの具体的な5つの手順

園見学が保育園に就職するために重要だということは理解できたと思いますが、では実際に園見学を行うにはどうすれば良いのでしょうか。この疑問を解消していきます。

具体的な手順は以下の5つのみです。

  • 園見学の希望者を募っている保育園を探す
  • 希望する保育園の園見学に申し込む
  • 当日必要になる持ち物を準備する
  • 園見学に参加する
  • 園見学終了後に「お礼状」を出す

それでは、手順について詳しく解説します。

3-1.園見学の希望者を募っている保育園を探す

すべての保育園が園見学を実施しているわけではありません。そのため、あらかじめ就職先の候補に入っている保育園が園見学を実施するのかどうかを確認する必要があります。

とくに最近では、コロナ禍ということも重なって園見学を実施しない、もしくは人数を制限して実施する保育園が増えており、早い段階で計画的に動いておく必要があるでしょう。ちなみに園見学を募っている保育園を探す方法は、大きく2つあります。

3-1-1.ホームページなどから直接問い合わせる

1つは、保育園のホームページや電話などで直接問い合わせる方法です。園見学を行っている保育園は、ホームページに申し込みフォームを設置していることが多いため、就職先の候補に入っている保育園のホームページは定期的にチェックするようにしましょう。

また、ホームページに記載がなくても直接電話をかけることで、園見学をさせてもらえるケースもあります。ただし、公に園見学を募っていない保育園に電話などで直接問い合わせるときは、言葉遣いやマナーに細心の注意を払わなくてはなりません。

3-1-2.合同説明会などの就職イベントに参加する

もう一つは、合同説明会をはじめとする就職イベントに参加することでも園見学ができます。とくに学生の場合は、学校側が提携している保育園へ実習という名目で参加可能なため、仮に就職先の候補にない保育園でも積極的に申し込むようにしましょう。

ちなみに保育士志望の学生が就職活動をはじめるのは、実習を含めると6月以降になることが多いです。しかし、合同説明会や就活フェアなどは3月くらいから開催し始めるため、常にアンテナを張って参加できるイベントには、できるだけ参加しておくことをおすすめします。

3-2.希望する保育園の園見学に申し込む

就職先の候補になっている保育園が園見学の募集を行っていることを把握できたら、今度は実際に申し込みましょう。申し込み方法は、先ほど解説した「ホームページからの申込」と「電話での申込」の2通りです。

ホームページから応募する場合は、入力フォームに必要事項を入力するだけなため、そこまで難しくはありません。しかし、直接保育園へ電話して応募する場合は、電話を掛ける時間や言葉遣い、受け応え方などさまざまな点に気を配る必要があります。

【電話で園見学を申し込む際の注意点】

  • 保育園側が対応しやすい時間帯(平日13時〜15時)に電話する
  • 大学名、氏名を最初に述べ、正しい敬語を意識する
  • 声は大きめで、はっきりと話す

とくに学生の方は、普段から正しい敬語を使う機会があまり多くないため、あらかじめ言う内容を文字に起こしておき、何回かシミュレーションしておくと良いでしょう。

3-3.当日必要になる持ち物を準備する

ホームページまたは電話で園見学の予約後は、当日に必要となる持ち物を準備します。具体的には、以下の4点があれば問題ありません。

  • 清潔感のある服装と身だしなみ
  • メモ帳
  • ボールペン
  • 上履き

ただし、服装や身だしなみについては、保育園によってスーツ着用なのか私服参加OKなのかで変わるため、園見学を申し込むときに確認しておくことをおすすめします。ちなみにメモ帳は、園見学当日に気になったことをメモすることにも使えますが、事前に考えた質問事項もメモしておくとスムーズに質問できるでしょう。

3-4.園見学に参加する

いよいよ、実際に訪問して園見学に参加します。基本的には、午前中から見学が行われ、最初に保育園内の設備などを見学したあとに質疑応答の時間が設けられているケースが多いです。

質問を多くできれば良いということではありませんが、保育現場に携わる方に話を聞けることはほとんどないため、可能な限り疑問や不安に思ったことはしっかり質問するようにしましょう。

3-5.園見学終了後に「お礼状」を出す

園見学が無事に終了したら、見学をさせてもらったことに対して「お礼状」を送ります。各内容としては、園見学に参加して学んだことや実際に見学した保育園で働きたいという意欲を示す内容を書くと良いでしょう。

また、保育園に出すお礼状を書くときは、頭語や時候のあいさつを入れることが一般的のため、その季節に合わせた言葉を選ぶようにしてください。

4.園見学をするときの注意点3つ

最後に園見学をするときの注意点を3つ紹介します。以下の注意点を意識しておくことで、有意義な園見学にできるでしょう。

4-1.あらかじめ質問することをリスト化しておく

1つめは、質問する内容をメモ帳などを利用してリスト化しておくことです。園見学への参加がはじめての場合、緊張している可能性が高いため、話を聞きながら質問する内容を考えるのはなかなか難しいかもしれません。

そのため、園見学に参加する前の段階で自分が気になっていることや疑問に思っていることをリスト化しておくと、質疑応答の時間でもスムーズに質問できるようになります。

4-2.園見学当日に質問されそうな内容を想定する

2つめは、逆に保育園側から質問されそうな内容を想定しておくことです。場合によっては、質疑応答で園見学参加者からの質問だけでなく、保育園側から質問されるケースもあるでしょう。

そのときにスムーズな回答ができるよう準備が必要になります。以下は、保育園側から質問されやすい内容です。

  • 保育士になろうと思ったきっかけは何ですか?
  • なぜ、この保育園を選んだのでしょうか?

上記の質問は、ほとんどの保育園で聞かれる可能性が高いため、答えられるようにあらかじめ回答を考えておくことをおすすめします。

4-3.給与や待遇などを直接質問することは避ける

3つめは、就職後の給与や待遇などについて直接質問することは避けるということです。採用面接の際は、給与や待遇面の話を行うケースもありますが、園見学は当たり前ですが「見学すること」が趣旨になっています。

そのため、見学する場で就職後の給与や待遇について参加者側から言及することは、避けたほうが良いでしょう。ただし、保育園側から給与や待遇面の話が出た場合は、しっかりとメモを取っておくことをおすすめします。

5.園見学ではマナーや取り組む姿勢なども意識して好印象を与えよう!

今回は保育士として就職するためには、園見学が重要である理由から実際に申し込む方法、注意点まで詳しく解説しました。とくに園見学では、最低限のマナーや真面目に取り組む姿勢が採用担当者からすると好印象になりやすいです。したがって、園見学を有意義な時間にするには、事前準備をしっかりと行うようにしましょう。

さらに園見学は、就職前に職場の雰囲気や状況を知れる大きなチャンスなため、就職候補の保育園はもちろん少し気になる保育園でも園見学を実施していないかどうかを常に調べておくと良いかもしれません。積極的に園見学へ参加して就活を有利に進めていきましょう。

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