保育士として働こうと思ったときに給与の次に気になるのが「ボーナス(賞与)」ですよね。

ボーナスの支給は単に収入が増えるというだけでなく、仕事へのモチベーションを維持するためにとても重要な役割があります。

せっかくがんばって働いていてもボーナスがなければ「これからもがんばろう」という気持ちにならないでしょう。

そこで今回は、保育士がもらえるボーナスの目安を公立保育園と私立保育園それぞれ分けて解説します。

1.保育士がもらえるボーナスの目安とは?

保育士に支給されるボーナスは勤めている保育園が公立または私立なのかで異なります。

理由としては、公立保育園で勤務している保育士は「地方公務員」という扱いになり、私立保育園に勤務している保育士は「一般的な従業員」という扱いになるからです。

例えば、公務員であれば勤勉手当と期末手当というものがあるのでボーナスが支給されることになっています。

ですが、私立保育園のように民間企業が運営している施設の場合は、その保育園の経営状況や運営方針によってボーナスの有無が決まるのです。

つまり、公立保育園の場合はそこまでボーナスの支給について心配する必要はありませんが、私立保育園は必ずボーナスの支給があるかどうか確認しておく必要があるという点だけ注意してください。

それでは、公立保育園と私立保育園で支給されるボーナスがどれくらいになるのか見ていきましょう。

1-1.公立保育園

公立保育園の場合は、先述したとおり「勤勉手当」と「期末手当」という手当が支給されます。

また、上記2つの手当は公立保育園だけでなく公務員全体に支給される手当です。そのため、公立保育園に勤務しているのであればほぼ確実に支給されます。

ちなみに総務省が発表している内容によると、保育士の業種にあたる福祉職へ支給されている勤勉手当は年間で585,475円となっており、期末手当は825,232円でした。

つまり、公立保育園で勤務する保育士は1ヶ月の平均給与が31万円ほどになっているので、支給される年間ボーナスは給与3ヶ月分〜4ヶ月分ということになります。

したがって、公立保育園に勤務するときは普段支給される給与を3倍〜4倍した額がボーナスだと思っておくといいでしょう。

とくに保育士の場合は、役職によって給与が大きく変わってくるのでボーナスもそれなりに変動します。

以下は役職ごとの給与とおよそのボーナスです。

役職 平均給与 年間ボーナス(給与3〜4ヶ月分)
施設長 632,982円 1,898,946円〜2,531,928円
主任保育士 561,725円 1,685,175円〜2,246,900円
保育士 303,113円 909,339円〜1,212,452円
保育補助者 148,720円 446,160円〜594,880円

このように役職が上がっていくとそれだけ平均給与自体も上がるので、それだけ年間で支給されるボーナスも変動していきます。

参考:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>
参考:平成31年度地方公務員給与の実態 第5表 職種別職員の平均給与額|総務省

1-2.私立保育園

公立保育園の保育士は地方公務員扱いとなるので、ボーナスが確実に支給されます。

しかし、私立保育園はいわゆる一般企業と同じなので「確実にボーナスが支給される」とは断言できません。

理由としては、私立保育園の場合は経営状態に応じて支給されるボーナスが決まっているからです。

つまり、経営状態が悪化しているもしくは設立したばかりで売上が安定していない保育園については、ボーナスが支給されないということもあります。

したがって、私立保育園でボーナスがもらえるかどうかは保育園ごとの就業規則を確認するようにしましょう。

また、ボーナスが支給される私立保育園では「給与の2ヶ月分〜3ヶ月分」が一般的と言われています。

私立保育園における年間ボーナス支給額は以下のとおりです。

役職 平均給与 年間ボーナス(給与2〜3ヶ月分)
施設長 565,895円 1,131,790円〜1,697,685円
主任保育士 422,966円 845,932円〜1,268,898円
保育士 301,823円 603,646円〜905,469円
保育補助者 223,584円 447,168円〜670,752円

参考:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>

先述した公立保育園と年間に支給されるボーナスを比較してみると、一般的な保育士が公立保育園では約90万円で、私立保育園では約60万円になっているので1.5倍くらいの差になっていることがわかります。

ただ、先ほども述べたとおり私立保育園は公立保育園と違い園自体の運営状況によってボーナスが変動するので、上記金額はあくまで目安として認識しておいてください。

2.保育士のボーナス支給時期は「夏」と「冬」の2回

公立保育園と私立保育園におけるボーナスの金額とその差については、少しイメージがついたと思います。

ですが、金額の次に気になるのが「支給されるタイミング」ですよね。

ボーナスの金額については、公立保育園と私立保育園とで大きな差がありますが支給されるタイミングについてはそこまで違いはありません。

具体的には、公立保育園は先述のとおり公務員として扱われるため勤勉手当と期末手当がそれぞれ「6月」と「12月」の合計2回に渡って支給されます。

一方、私立保育園の場合は一般企業と同じようなスケジュールとなるので、公立保育園と同様に「6月下旬〜7月上旬」にかけて夏の賞与として支給され、「12月中旬」に冬の賞与として支給される傾向があるのです。

つまり、保育士のボーナスが支給される時期については公立・私立問わず、夏と冬の合計2回となります。

ただし、私立保育園についてはあくまでも「傾向が強い」というだけで、厳密には各保育園ごとにボーナスの支給日は異なるのであらかじめ確認しておく必要があるでしょう。

3.Q&A:ボーナスに関するよくある質問


ここでは保育士のボーナス支給について、よくある質問に答えていきます。

3-1.Q:保育士になって1年目でもボーナスはもらえますか?

A:もらえます。(ただし、保育園ごとの規定による)

一般的にボーナスは1年目に支給しない企業も多いですが、もともとボーナス支給を定めている保育園であれば、たとえ1年目でもボーナスを支給される可能性が高いです。

ただし、1年目に支給される夏のボーナスは他の保育士よりも金額が安くなります。

なぜなら、ボーナスは支給されるまでの労働期間などが金額に反映されるからです。1年目の保育士の場合、夏のボーナスが6月に支給されるのであれば支給日までの労働期間は2〜3ヶ月程度になります。

したがって、1年目の保育士は夏のボーナスが支給されるまでの労働時間が他の保育士と比べて短いため、満額ではなく一部の金額が支給されるのです。

ちなみに1年目の「冬」のボーナスについては、ほとんどの保育園で満額支給されることが多い傾向にあります。

つまり、保育士になって1年目に支給されるボーナスは夏に支給される分は少し安いですが、冬は満額支給されると思っておくといいでしょう。

3-2.Q:パート・アルバイトは「ボーナスなし」でしょうか?

A:もらえない保育園が多いです。

ボーナスの支給がある保育園であってもパート・アルバイトに対するボーナス支給をする保育園は極めて少ないでしょう。

理由としては、保育園側がボーナスの支給を「正社員」または「契約社員」に絞っているからです。

とくにパート・アルバイト社員の場合、正社員とは違い勤務する時間が正社員と比べるとかなり少なくなります。

さらに非常勤という形で勤務をしているので、正社員や契約社員と比べると仕事量も勤務時間もかなり少なくなるでしょう。

このことからパート・アルバイトにボーナスを支給しない保育園が多くなっているです。ただ、「絶対にもらえないのか?」と言われると100%支給されないわけではありません。

保育園によっては、パート・アルバイトにもボーナスを支給する保育園はあります。ですが、正社員は給与の2ヶ月〜3ヶ月分の金額が支給されるのに対して、パート・アルバイトがもらえるボーナスはかなり少額であることを覚えておきましょう。

3-3.Q:そもそもボーナスがもらえない保育園はあるのですか?

A:あります。

今ではほとんどの企業がボーナスを支給しているので当たり前になりつつありますが、ボーナスを支給している保育園は公立保育園もしくは経営状態が良い保育園ということになります。

そもそもボーナスは、支給日までの売上の一部を社員に還元して今後もがんばってもらうためのものです。

そのため、私立保育園で経営状態が良くない、もしくは設立して間もない保育園はボーナスの支給ができないこともあります。完全に支給できなくても給与1ヶ月分以下の支給額になるでしょう。

また別のケースとしては、ボーナスを支給しない代わりに毎月の給与を少し高めに設定している保育園もあります。

つまり、給与が他の保育園と比べて高めに設定されている求人では、ボーナスの支給がない可能性もあるので注意が必要です。

3-4.Q:産休中の場合はボーナスはないのですか?

A:支給されます。(ただし、就業規則に依存)

基本的にボーナスの支給は、支給までに在籍していればもらえることがほとんどです。

したがって、たとえ産休中で職場自体を離れていても保育園の従業員には変わりないので、問題なくボーナスは支給されるでしょう。

ただし、ボーナスの支給は保育園ごとの就業規則に従って支給されるので、場合によっては減額されたり支給自体がされなかったりする可能性も十分にあります。

このようなトラブルを防ぐためにも早い段階で就業規則を確認しておくようにしましょう。

4.ボーナスがある保育園で働くためのポイント3つ

せっかく長く勤務するためにもボーナスの支給がある保育園で働きたいですよね。

そこで最後にボーナスがある保育園で働くために意識すべきポイントを3つ紹介します。

4-1.求人内容に「賞与」の文字があるか確認する

ボーナスを支給する保育園の求人には必ず「賞与」の文字が記載されてあるはずです。そのため、賞与に関する記載がない求人はボーナスの支給がない可能性が高くなります。

さらに記載内容に「賞与あり」だけでなく「賞与あり(年2回)」などのように年間で支給される回数も明記されている求人もあるので、見逃さないようにしましょう。

支給回数まで記載している保育園では、ほぼ確実に夏と冬にボーナスの支給がありますので「絶対にボーナスありの保育園がいい」と思っているのであれば「賞与あり(年2回)」と書かれている求人に絞るといいですね。

4-2.公立保育園に就職する

確実かつそれなりの金額のボーナスをもらいたいのであれば、私立保育園よりも公立保育園に就職するほうがおすすめです。

ですが、先ほどから述べているように公立保育園の保育士は、地方公務員という扱いになるので各自治体が設ける「公立保育園の採用試験」を受験して合格する必要があります。

ただ、公立保育園のボーナス支給について先ほど解説したように就職できれば確実にボーナスの支給が期待できるので、保育士としての収入を安定させたい人にもおすすめです。

狭き門ではありますが公立保育園への就職を視野に入れて活動してみるのもいいかもしれません。

4-3.ボーナスがもらえる保育園へ転職する

すでにボーナスの支給がない私立保育園に就職してしまった人は、ボーナスがもらえる保育園へ転職することも一つの選択肢です。

ここで心配になるのが「転職をすると勤務年数が途切れてしまうのでは?」という疑問でしょう。

たしかに勤務年数が途切れてしまうとキャリアアップ制度や次の役職を狙うことが難しくなります。しかし、在職証明書をしっかり取得してから転職すれば勤務年数を引き継ぎながら転職することが可能です。

つまり、転職しても在職証明書を取得して転職先の担当者に提出することで、勤務年数を途切らせることなく労働環境を変えることができます。

ボーナスの支給が少額もしくは支給されなくて生活が苦しいと感じているのであれば、自分の望む労働環境を手に入れるために転職することも考えてみましょう。

5.まとめ:保育士のボーナスは生活の要!賞与ありの保育園に就職しよう

今回は保育士に支給されるボーナス事情について公立保育園と私立保育園など施設ごとに解説をしました。

保育士などの福祉職は最近になって「キャリアアップ研修制度」などが設けられ、徐々に改善はしてきているもののまだ給与自体は低い水準にある保育園が多いです。

そのため、保育士にとってボーナスの支給はかなり生活の要になっており、とても重要な要素と言えます。

したがって、これから保育園へ就職を考えている方はできるだけ「賞与あり」と明記されている保育園へ就職するか公立保育園への就職を視野に入れるようにしましょう。

また、すでに保育園で勤務している方でボーナスが満足にもらえていないのであれば、先述したとおり転職も一つの選択肢です。

いずれも早い段階で求人を確認したり就業規則を把握したりする必要があるので、少しでも自分が希望する環境へ就職したいのであれば、こまめな情報チェックが重要になります。

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