最近では、保育士や介護士などの給料が日本の平均年収よりも低いと言われていることから「保育士になって貯金ってできるのだろうか…」と不安になる方も多いでしょう。たしかに年収が600万円や700万円ほどある職種と比べると、貯蓄に回す金額は少なくなります。

しかし、今回ご紹介する方法をしっかりと実践することで保育士という職業でも十分貯金することが可能です。これから保育士として頑張っていきたい方やすでに保育士でこれから貯金をしていきたい方には必見の内容となっています。ぜひ参考にしてください。

1.保育士の給料だと貯金が難しいと感じる理由と解決策

冒頭でも少し述べたように保育士の年収は、日本の平均年収と比べて低い水準にあるのは事実です。

【日本の平均年収と保育士の平均年収】

  • 日本の平均年収:552.3万円
  • 保育士の平均年収:326.8万円

出典:2019年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省
出典:保育士の平均賃金|厚生労働省

上記の表からもわかるように日本の平均年収は保育士の平均年収よりも約1.7倍多くなっているため、数字上では保育士が一般的な職業と比べて貯金しづらくなっていると言えます。また、保育士が貯金しにくくなっている原因は、平均年収の差だけでなく毎月の生活費にもあるでしょう。

1-1.東京での一人暮らしでは「月15〜16万円」必要

政府による統計調査によると、単身世帯の1ヵ月あたりの平均支出は「150,506円」となっています。さらに東京の賃貸相場は、都市部に近いほど高くなる傾向にあるため先ほどの平均支出にプラス1万円ほどと考えていたほうがいいでしょう。
参考:家計調査報告(家計収支編)2020年平均結果の概要|総務省統計局

したがって、東京で保育士が一人暮らしをするにはおよそ1ヵ月あたり15万円〜16万円ほどの収入が必要になり、さらに貯蓄へ回すには18万円〜20万円以上の手取りが必要です。

1-2.キャリアアップ研修制度を活用するのがおすすめ

ここまでの内容で「やっぱり保育士で貯金するのは厳しそう…」と感じてしまう方もいるでしょう。しかし、近年は「キャリアアップ研修制度」などの待遇改善措置が新たに設立されるなど、少しずつですが以前よりも収入アップを図る機会が増えているのです。

キャリアアップ研修制度を簡単に説明すると、新たに「職務分野別リーダー」「副主任保育士」「専門リーダー」という役職が追加され、それぞれの役職ごとに処遇改善金額として月額5,000円〜40,000円が給料にプラスされるという制度です。つまり、キャリアアップ研修制度を活用して役職に就くことができれば、1ヵ月あたりの給料を20万円以上にすることは十分可能になり、結果的に貯蓄へ回す余裕も生まれるでしょう。

ただし、注意点としてキャリアアップ研修制度では、経験年数や受講する研修内容が決められているため保育士になってからすぐに給料を上げられるわけではありません。あくまでも保育における知識と現場での実務経験に基づいた上で、給料が改善されるということは念頭に置いておいてください。

2.保育士の貯金目標金額を「給料の20%」にするべき2つの理由

一般的に給料の一部を貯金をするときは、給料の20%を貯金に回すことを推奨されるケースが多いです。仮に手取りが20万円であれば、1ヵ月あたり4万円ほど貯金に回すイメージになります。

一見すると給料の5分の1を貯金に回すため、「ちょっと多すぎない?」を思う方もいるでしょう。しかし、この給料の20%を貯蓄に回すことを目標にするのには、明確な理由が2つあります。

2-1.理由①:年間で約50万円貯められる

先ほどの例のまま計算すると手取りが20万円あれば1ヶ月あたり4万円の貯金ができるようになり、1年間で「48万円」貯められます。この貯蓄金額は単身世帯を想定していますが、共働きで世帯年収が高くなれば年間で100万円ほどは貯金できる計算です。

また、年間に単身であれば約50万円、2人以上の世帯であれば約100万円貯金できるようになると、将来的に子どもができたときのために養育費や教育費などの蓄えにも回すこともできます。このように給料の20%を貯金へ回すことで、さまざまなことに対しての備えが可能になるのです。

ちなみにここでの例は手取り20万円として計算し、給料の20%を貯金へ回すことを推奨しましたが、あくまでも「最終目標」であることに注意してください。新卒の保育士が初任給の20%を貯金へ回してしまっては、生活費だけで手一杯になってしまいます。したがって、最初のうちは1ヶ月あたり1万円から貯金をスタートし、慣れてきたら徐々に金額を増やすようにしましょう。

2-2.理由②:無駄遣いが減る

実際に給料の20%を貯金してみると実感できますが、貯金していない人と比べると明らかに自由に使えるお金が少なくなります。そのため、人によっては「給料の20%なんて貯金できません」と感じる方も多いはずです。

しかし、自由に使えるお金が少ないということは、それだけ手元にあるお金をどのように使うかをじっくり考えるようになります。例えば、1ヵ月あたりに使える自由なお金が5万円ある人と1万円しかない人とでは、1万円しか使えない人のほうが「できるだけ外食は控えて自炊しよう」や「どこか節約できるところはないかな」のように考えられるでしょう。

その結果、自由に使えるお金が少ない人のほうが無駄遣いを減らせながら、貯金額も増えていくという好循環を生み出すことができます。

3.保育士が効率よく貯金する5つの方法

「給料の20%を貯金する」という目標は、かなりメリットが多いです。その一方で、「貯金とか節約って、最初の数ヶ月くらいしか続かない…」という方もいるでしょう。

そこで保育士が効率よく貯金する具体的な方法を5つ紹介します。以下の5つを実践することで、たとえ貯金するのが苦手という方でも効率よく貯金できるようになるので、ぜひ試しに実践してみてください。

3-1.貯金する額を徐々に増やしていく

先ほども少し触れましたが、給料の20%を貯金に回すというのはあくまでも最終目標です。そのため、いきなり高い金額を貯金するのではなく、最初は少額からスタートして余裕が出てきたら徐々に貯金額を増やしていくようにしましょう。

ちなみに貯金額を徐々に増やしていくには、1ヵ月に使う金額のうち節約できるところがないかを常に意識することが大切です。

3-2.各金融機関の自動積立サービスを利用する

自動積立サービスは、銀行や証券会社など金融商品を取り扱っているところが提供しているサービスです。イメージとしてはガスや水道などの公共料金の引き落としと同じで、あらかじめ決めた金額が自動で投資信託などの商品に積立られます。

特に自動積立サービスを利用することで、半強制的に給料の一定額を資産運用に回すことができるため、自分の意志で貯金するのが苦手という方にはおすすめです。ただし、金融商品にはリスクが必ずありますので、「つみたてNISA」など比較的利用しやすいサービスから検討するようにしましょう。

3-3.貯金の目標金額を決める

貯金をすることがあまり得意ではない方にとって、貯金を長く継続させることはかなり難しいと思います。そこでおすすめしたいのが、貯金の目標金額を決めることです。

目標金額を決めておかないとずっとゴールの見えない状態で貯金し続けなければならないため、継続が苦手な方にとっては辛い状態になってしまいます。しかし「〇年間で〇〇万円貯める」のように具体的な年数と金額を決めておくと、継続しやすくなるでしょう。

3-4.家計簿アプリなどを使って見える化する

前述したように貯金をしていく中で重要になるのが「無駄遣いをどれだけ減らせるか」です。ですが、光熱費やクレジットカードの支払いなど自動で引き落とされるものも多いため、どの部分が節約できるのかを把握することは難しいでしょう。

そこでおすすめなのが、家計簿アプリを活用して1ヵ月あたりの支出を見える化することです。実際に自分が使ったお金が何にどのくらい使われたのかを視覚的に把握できるようになれば、どの部分を節約すればいいのか見当をつけやすいでしょう。

特に最近では、かなり使いやすい家計簿アプリも多く、金額を入力しただけで円グラフなどに変換できる機能があるアプリもあります。また、スマートフォン用のアプリであれば隙間時間などを利用してサッと入力できるので、家計簿をつけるのが苦手という方にもおすすめです。

3-5.転職して給料とキャリアアップを図る

最後は貯金する方法というよりは、給料自体の改善を図るという方法です。やはり毎月の給料の一部を給料に回すには、手取りとなる給料の額も重要になります。そのため、基本給が高い保育園へキャリアアップも兼ねて転職することも視野に入れることも覚えておきましょう。

特に先ほど解説した保育士におけるキャリアアップ研修制度は、各研修が修了と県から修了証が交付されます。この修了証は有効期限がなく全国どこでも効力を発揮するため、給料アップと保育の知識を高めるチャンスでもありながら、転職などの場でも大きなアピールポイントになるのです。

したがって、貯金の元となる給料を上げるためにキャリアアップ研修制度を活用しながら保育士としてのキャリアを築きつつ、給料が高い保育園に転職することも大切なことだと言えるでしょう。

4.まとめ

今回は保育士がどのくらい貯金して、どのように貯金すればいいのかを具体的な方法を交えて解説をしました。特に冒頭でも述べたように保育士の給料は、一般的な職業の平均年収と比べると低い水準にあります。ですが、だからといって絶対に貯金ができないというわけではありません。

むしろ、少ない金額の中で節約できる部分や無駄になっている部分を見つけることができれば十分貯金に回すことが可能です。また、貯金そのものが苦手という方であれば、各金融機関の自動積立サービスを利用したり、貯金額を少額からスタートしたりするといいでしょう。

まずは、1ヶ月あたりにどのくらいの金額を使っているのかを把握することからはじめてみてください。

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